若手社員の定着率向上は時代に即した人材育成体制の整備がカギ。管理職研修の実施で意識改革に成功
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社名 佐野塗装株式会社 事業内容 建築塗装工事・鋼構造物塗装工事・防水工事・不動産事業ほか 創業 1930年(昭和5年)7月1日 従業員数 57名 URL https://www.sanotoso.jp/
静岡に本社をかまえ、東京、名古屋、大阪に支店を展開する佐野塗装株式会社。昭和5年創業以来、90年以上の歴史を持つ老舗企業として、従前の社内体制が受け継がれています。しかし、近年では若手社員の定着率が低く、旧態依然とした教育体制やマネジメント施策に課題がありました。そこで、若手社員が定着しやすい職場環境づくりの一環として、経営陣・管理職層の意識改革につながるマイナビの管理職研修を導入。実施後は、社内でのコミュニケーション機会が増え、やりがいを持てる職場づくりへの理解が広がりました。マイナビ研修を利用した経緯や実際の効果について、代表取締役の佐野 範宜様と、新規事業部所属で人事にも携わる杉村 卓様にお話を伺いました。
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課題
- 教育体制や評価制度が整っておらず、若手社員の定着率が低い
- 旧態依然とした社内体制で、社内全体で価値観のアップデートが必要だった
- 社内でのコミュニケーション機会が少ない
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成功ポイント
- 若手社員の受け入れや教育・評価に関する管理職の意識改革に成功
- マネジメントに対する管理職の意識向上
- 社内でのコミュニケーション機会の増加
若手の採用・定着の強化は、社内体制の見直しから。誰もが働きやすい環境づくりへの改革を
Qマイナビの管理職研修を導入した背景として、どのような課題があったのでしょうか?
杉村 卓様(以下、杉村):いくつかの課題がありますが、なかでも特に問題視していたのが、若手社員の定着率の低さです。弊社はもうすぐ創業94年目を迎えますが、これまでの環境を受け継ぐ形で、いわゆる「昭和」を感じさせるような風土が根付いていました。
たとえば、社員教育の機会がほとんどなく、各自、現場で学んでいく働き方もその一つです。過去にパワハラや長時間労働といった問題は生じていないものの、若手社員が困った時に気軽に相談できる環境や窓口もなく、部署内での定期面談なども行われていませんでした。そもそも社内でのコミュニケーション機会が少ないために、若手社員は不安や悩みを相談できなかったのではないかと思います。
加えて、事業計画や企業としての目標はあるのに現場に落とし込めないまま、部署や個人の目標も明確になっていませんでした。評価の機会もないので、入社してもやりがいを見出しにくく、早期離職につながったのではないかと考えています。
Q管理職研修の実施に至った経緯を教えてください
杉村:実は、私自身が中途採用で、2年前に同じ業界から転職してきました。入社当時は研修もなく、業務を指導される機会もほぼないような状況でした。前職は大手企業で社員研修が充実していたこともあり、大きなギャップを感じました。組織としての教育体制や評価の仕組みが整っていないため、次世代が育ちにくい環境になっているのではないかと考えたのです。
また、弊社は勤務歴の長い社員が社内構成比のほとんどを占め、管理職層も高齢化が進んでいます。ベテラン勢にとっては居心地の良い職場でも、若手にとっては働きづらい環境と感じていたかもしれません。若手社員の定着率を上げるには、まず管理職や先輩社員が若手社員のフォローを積極的に行う、といったマネジメントの意識を持つことが大切ではないかと感じました。
コミュニケーション機会が少ないことから、個々が抱える悩みや問題があっても、解決されているのかどうかさえ分からないという状況に危機感を感じていたこともあります。まず、そうした課題があることを経営陣や管理職層に再認識してもらい、今後の社内整備を考えていただく機会として、研修の実施を検討するに至りました。
佐野 範宜様(以下、佐野): 90年以上の歴史を持つ企業として社風を受け継ぎ、個々の資格取得を支援する取り組みは行っていましたが、社内研修を導入する機会やきっかけがありませんでした。人材も不足していましたし、長い間、人事部として独立している部署もありません。ですが、次の世代にバトンタッチしていく、新しい時代に馴染んでいくという意味でも、改めて、良いきっかけになったと思います。
Q「若手社員の定着率向上」に管理職研修が役立つと感じた理由は?
杉村:中途採用を進めるにあたり、マイナビ転職の担当者から指摘を受けたことが大きなきっかけとなりました。採用活動全般について相談した際に、「まず、人材の受け入れ体制を整えないと、同じこと(入社後の早期離職)の繰り返しになってしまいませんか?」と言われたのです。確かにその通りだと、衝撃を受けました。
費用をかけて求人すれば、人材は確保できるかもしれません。ですが、入社後に働きやすい環境が整っていない限り、定着率の改善にはつながらない。しかし、受け入れる側の体制づくりを進めるためにも、経営陣や管理職との意識統一が欠かせません。そこで、弊社の事情を理解しているマイナビに研修の実施をお願いしました。
経営陣や管理職層の意識改革に成功。コミュニケーション機会が増加しマネジメントへの意識が高まった
Q管理職研修は、どのようなテーマで実施されましたか?
杉村:課題となっている若手人材の定着を目指し、管理職が部下とのコミュニケーションを取ることの大切さを再認識できるように「人材育成の重要性」や「目標管理」をテーマとした研修になりました。具体的には、「なぜコミュニケーションが大切なのか」という項目から始まり、部下の成長を促し、動機づけを行う「エンゲージメント向上」や「目標管理の考え方」などを詳しく学ぶ時間でした。
初めての管理職研修ということで、どんなテーマにすれば良いのか悩みましたが、マイナビ研修はオリジナルで内容を組み立てられることもあり、担当者からの提案や経営陣とのやり取りを経て、今回の研修内容に決定しました。
上司と部下だけでなく、経営陣と管理職のコミュニケーション機会も少ないので、この管理職研修には代表をはじめとする経営陣とも参加していただきました。社内体制の整備に向けて、経営陣と管理職の考え方や方向性を統一できるきっかけとなったと思います。
これまでの社風から、管理職を含めてプレイヤーの立場で行動する社員が多く、マネジメントの視点が薄かったように感じます。そもそも組織としての評価制度がなく、個々が抱える問題を自身で解決するような状況でした。そのため部署内でコミュニケーションを取り、目標を共有して評価をしていこうという取り組みがなかったのです。
ですが、各自に問題解決や目標設定を委ねている状況では、組織としての成長限界があります。また、こうした社員個々の働き方に依存する社風は、今の時代の若手社員にとって馴染みにくいのではないでしょうか。なかには、目の前の業務をこなすだけで、明確な目標を持っていなかった社員もいたかもしれません。ベテラン社員もマネジメントの視点をもって、部下の問題解決を支援できれば生産性が上がりますし、チーム力も強化できます。組織目標の共有だけでなく、個々の目標を明確にし、達成するための施策を考えるだけでもやりがいにつながるのではないでしょうか。管理職研修を通して、マネジメントの必要性や目標設定と評価の大切さを再認識し、次の施策につなげたいと考えているところです。
Q管理職研修を実施後、社内にどのような変化が見られましたか?
杉村:研修後には、経営陣と管理職の間で、社内の受け入れ態勢を整える、社内整備を進めていくことに対する意識統一ができました。結果、就業規則の見直しや公式ホームページのリニューアルなどにもつながりました。組織目標に関わる重要な取り組みであるという認識が広がり、変わっていこうという気持ちが共有できたように感じています。
もうひとつ、研修後に広がっているのが目標シートの活用です。研修を実施する前から、一部の部署で社員個々が考えるスキルアップや業務目標を管理職と共有する「目標シート」の活用と面談を取り入れていたのですが、ほぼゼロからのスタートでもあり、ノウハウがない中で全社に広げるのは難しく、実践できずにいました。研修後には複数の部署に広がり、全社で取り入れていこうという雰囲気ができたように思います。すでに部下から提出された目標シートをきっかけに、利益率向上につながる施策の検討ができたり、現場を知るための現場研修会を実施することになったりと、具体的な変化もありました。
実際に、社内全体でコミュニケーション機会が増えつつあり、業務効率も向上しているようです。まだまだ取り組むべき課題もありますが、管理職研修をきっかけに、少しずつ新しい動きが始まっていることを感じています。今後は、目標シートの活用機会を増やし、上長と対話をする時間を作ることから始めていけたらと考えています。さらに、経営陣と管理職のコミュニケーションを増やして、経営陣から周知された目標を現場に落とし込み、それぞれの部門長が自身の役割を理解しながら、部署内をマネジメントしていくという考え方が浸透していくのではないでしょうか。
Q管理職研修を踏まえて、今後取り組みたいことはありますか?
杉村:今後は、より具体的な施策につながるような取り組みにつなげたいと思っています。例えば、数字で見える目標だけでなく、資格取得や、無事故無違反を目指すといった目標設定から、成果を出すための施策を上長と考え、実践に移すようなイメージです。さらに、半年スパンで振り返りを行いながら、次の目標を立てるような仕組みづくりを進めています。目標設定から具体的な行動につなげ、業務に活かせるような仕掛けができればと思っています。
佐野: 人材育成に着手しましたが、まだまだ社内のコミュニケーション不足があるのではないかと思っています。経営陣と管理職、上司と部下、部門間、支店間それぞれがコミュニケーションをとり、経営目標や会社方針を踏まえて、それぞれの役割があることを理解してもらえるような施策を取り入れたいところです。長い歴史があるがゆえに、急激な方向転換が難しいところもありますが、まずは小さな一歩から、少しずつ進めながら、誰もが楽しく働けるような会社作りを目指したいと思います。
Q管理職研修は、どのような点で事業貢献ができていると感じますか?
杉村:研修を行ったことで経営陣や管理職の意識が変わり、時代に合った社内整備を進められるようになりました。これを機に全社をあげて若手社員が定着しやすい職場づくりを強化していきたいと思います。また、コストをかけてでも社員を育てていきたいとする企業姿勢を社内に伝えられる機会となりました。今後も積極的に研修を活用し、組織としてのチームワーク強化や個々のスキルアップ向上につなげることができれば、結果的に利益や企業価値も高まるのではないかと期待しています。
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Q 代表取締役社長/佐野 範宜様
昭和61年4月に佐野塗装株式会社に入社。
東京電力の鉄塔の現場や、国土交通省の各種橋梁の現場にて
主任技術者としての経験を積み、平成元年より取締役に。
平成8年11月より3代目の代表取締役に就任する。
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新規事業部/杉村 卓様
三井不動産グループの会社で内装リフォームの営業、
積水ハウスグループの会社で塗装営業を20年以上経験したのちに、
2022年佐野塗装株式会社に入社。
新規事業部を立ち上げ、新規で不動産事業や、総務・人事・システム関係を担当する。
ページ上の各種情報は2024年6月時点のものです。
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