書類選考ですべきこと
書類選考の目的
書類選考の目的には大きく2つの考え方があります。
一つは、まったく対象外となる応募者を面接前にスクリーニングすることで採用選考を効率的に進めるという目的です。面接を行うには相応の時間と手間が必要なので、自社のキャパシティーに合わせて書類選考が行われ、例えばできるだけ多くの応募者を集めてその中からできるだけ良い人材を採用したいというような場合が該当します。
もう一つは、書類選考によってある程度詳細な絞り込みを行い、そこで選考に残った少人数の有力な採用候補となる応募者に注力した選考を行いたいという場合です。 採用選考を効率的に行うという考え方は同じですが、人材要件が明確で比較的高レベルの人材を少人数採用したいというようなときに実施されることが多いです。
書類選考のポイント
書類選考を行うにあたって、大事なポイントが大きく2つあります。
一つは「選考基準を明確にすること」です。
基準があいまいなことで個人の感覚だけで判断がされたり、偏見に基づく排除がされたりしてしまう恐れがあり、さらに選考理由の記録まではしないことが多いため、結果の検証ができなくなるからです。
もう一つは「見るのはあくまで職務経験」ということです。
応募書類にはいろいろな内容が書かれますが、中途採用で重視されるのはあくまで職務経験の部分です。業界経験や実務上の経験、リーダーやマネジャーといった仕事上の役割など、確認するのは書類上でわかる内容にとどめ、それ以上の詳細は勝手な想像をせずに面接で確認していくこととして、しっかり区別しておくことが大切です。
書類選考を実施するにあたっての心構え
「書類選考」は採用活動を効率的に実施する上で会社と応募者の双方にとって有用なものです。しかしその一方、選考基準があいまいになりがちで、思い込みや偏見、その他仕事とかかわりが薄いことに対する判断により、せっかくの採用可能性を狭めてしまう恐れがあります。
面接とは違って個人ベースの判断で完結し、選考理由などの記録をはっきり残さない運用も多いため、偏った判断基準に陥っている状態があまり表に出てこないという問題もあります。これを防ぐには、適切な選考基準を設けて、それを関係者で共有することが必要になります。
ただ、書類選考の基準と言われても、実際にはその応募者によって千差万別な判断要素があり、簡単に決められるものではないと感じる人もいると思います。基準を作るのは、確かに難しいところがあるでしょう。
特に中小企業の中途採用では、人材要件に合った応募者を集めること自体に苦労することが多いのが実際のところです。書類選考については、これを過信しすぎずに、応募者の気持ちにも配慮した運用を心掛けましょう。