新卒採用フローについて
採用活動には学生に企業を知ってもらうための「広報活動」と、最終的に内定を出す学生を決めるための「選考活動」があります。広報期間に実施することとしては、学校へ求人票を提出する、就職情報サイトに求人情報を掲載する、合同会社説明会への出展や自社で会社説明会を行うなどの方法があります。それぞれ適切な時期がありますので、スケジュールに応じて幅広く取り組むことが必要です。
選考期間では、企業の「求める人物像」に当てはまる学生を見極めるために必要な各種採用試験を行います。選考方法には個人面接、グループ面接、適性試験、グループワークなどがあります。こうした活動全体を通して、最終的に内定出しを行うまでの一連の流れを「採用フロー」と呼んでいます。
< 企業理解と学生の意識醸成 >
興味を持っている学生に対しては会社説明会を開催して企業・仕事理解を深める、合同会社説明会に出展して、学生に企業を知ってもらう機会を設けます。社内の協力体制を整えることができる場合は、採用担当者だけでなく、企業のトップや現場社員、そして学生と年齢が近い若手社員に協力してもらうこともおすすめです。採用担当が代弁するのではなく、当事者が直接学生に話したり、接したりすることで仕事の「リアルさ」を伝えられるためです。学生自身がその企業で働く姿やキャリアアップがイメージできることで納得感を得て志望意欲を高め、次のステップとなる選考へと繋げていくことが期待できます。
< 選考と内定者フォロー >
企業が求めている学生を見極めるために必要な選考は、筆記試験や面接など様々あります。選考や面接の回数は多くなれば内定出しまで時間と採用パワーがかかり過ぎてしまい、少なすぎても採用基準を満たしている学生なのかを判断する機会が少なく、ミスマッチを起こしてしまう可能性があります。おおよその目安として、多くの企業は一次選考から内々定の通知までを1ヶ月以上2ヶ月未満で実施しています。内々定を出したあとも、企業理解や仕事理解を深めて入社を迎えてもらうために「内定者フォロー」も重要になってきます。
3.採用フローのパターン例
一般的な採用フローにあわせて実際の採用活動について簡単にご紹介しましたが、ここからは、採用フローの重要フェーズ(エントリー受付から内定出しまで)について3つの形式に分けて例示します。いずれも企業と学生の間でいかにマッチング状態になるかという視点と、限られた採用パワーの中でいかに進行できるかという観点から実施されているパターンです。
■説明会・選考一体形式タイプ
採用フローを短縮することで、内定出しまでをスピーディーに行うことができます。他社が内定出しを行っている期間に、会社説明会への参加を促す企業がこちらの採用フローを導入するケースも見受けられます。理由としては、会社説明会より選考試験の方が学生の優先度が高くなる傾向が強いため「会社説明会プラス選考試験」とすることで他社と同じく選考ステップまで進めることができるからです。
「採用力が高い」企業はある程度有効な場合がありますが、会社説明会と選考試験が同じタイミングで行われるため、学生の企業理解が進まないまま選考に入るため、学生の「志望度」には不安が残ります。また、2つのステップが同日に行われる為、選考試験の内容や実施方法によっては学生の拘束時間が長くなります。何度も学生に足を運ばせる事での交通費に配慮する場合や、内定出しまでの時間を短縮するために、後半戦から採用フローを変更して説明会・選考一体形式タイプに切り替える場合があります。
■試験先行タイプ
エントリー数(応募学生数)が採用人員に対して、大量な場合に有効な手法です。ただし、学生側の立場になると会社説明会で企業の雰囲気や働く社員の様子を体感する前にセグメントされてしまうため、会社説明会に呼ばれなかった(選考試験で不合格となった)学生は「納得感」を得られない可能性があります。
「人気業界」「人気企業」である場合には、大量の母集団を効率的にフィルタリングする方法として有効であるといえます。この手法の場合も、内定出しまでの段階(または内定後のフォローも含めて)で、該当学生が「納得」している状態に持っていくことが極めて重要です。能力の高い学生が残る事も多く、企業側が入社してもらう事に注力し、学生の企業理解が疎かになることがあります。入社後に、「イメージとは違っていた」ということにならないよう細心のケアが必要です。