オンボーディング
採用した社員の定着と長期にわたる活躍のためには、それ以降も採用担当者や人事部門が果たさなければならない役割があります。
中途採用者にとって、配属直後は未知のことに触れる機会が急激に増える時で、入社時と同じかそれ以上に不安な気持ちが大きくなる時なのです。
中途採用者がこういう状況に陥ったとき、フォローの役割を担えるのは、配属先の部門以外では採用担当者や人事部門となります。
早期離職を防ぐ取り組み
入社前後の認識ギャップを減らす
採用選考期間における取り組みが最も重要です。ここで早期離職での一番大きな理由となる「入社前後の認識ギャップ」を減らすことで、入社してからの定着に大きな影響を及ぼします。
Realistic Job Previewの実施
ここで重要なのは、「自社の良い点と悪い点をそれぞれありのままで伝える」ということです。この入社後のミスマッチによる退職を防止する方法として、「RJP(アールジェイピー)」というものが注目されています。これは「Realistic Job Preview」の略で、採用活動で応募者に開示する情報を、会社の良い面ばかりでなく、厳しさや大変さなどのネガティブな面も伝えることで、入社後のミスマッチを減らして人材の定着を高めるという取り組みです。
採用活動においては、自社アピールへの気持ちの強さから、強みや良い面ばかりを強調してしまいますが、早期離職を防ぐためには、採用活動の初期段階から、自社の実態を包み隠さず正直に伝えることを意識しておく必要があります。
コミュニケーションの断絶を防ぐ
次に挙げられるのは、「中途採用者とのコミュニケーションを絶やさない」ということです。
具体的な方法としては、上司と一対一で、週一回程度の短いサイクルで面談する「1on1ミーティング」、採用担当や人事による月一回程度の「定期面談」、その他社長や役員、先輩社員なども含めた「不定期面談」や「声掛け」、さらに「雑談」やその他の交流を通じたコミュニケーションの継続です。
多くの人が代わるがわるに関わることで、中途採用者がその時に思っていることや悩み、不安や不満などが表に出やすくなり、そのことへの対応やフォローがおこないやすくなります。 コミュニケーションの総量を増やすことは、定着促進のためには重要です。
メンタルケアの重要性
早期離職の理由の中には、メンタル的な問題がかかわっていることがあります。
メンタルケアには、初期症状を自覚して本人が対処する「セルフケア」、各部門マネージャー等が対応する「ラインケア」、その他社内外の「専門スタッフによるケア」がありますが、まず関係者への知識導入の研修や相談先の組織など、対応できる体制を準備しましょう。
現場メンバーほか関係者の当事者意識を高めましょう
さらに「現場のメンバーたちの当事者意識」という問題があります。中途採用者に対して、現場のメンバーに「採用を決めたのは自分たちではない」という意識があると、中途採用者と現場メンバーの間に溝が生じてしまうことがあります。これを避けるための方法としては、以下のような取り組みがあります。
現場関係者の採用面接参加
現場の関係者も採用面接などに参加させることでて、自分たちの意思で採用したという責任感を持たせるという方法です。
OJTトレーナー研修
配属先のマネージャーをはじめとした関係者に対して、教育研修などの形で事前に意識付けをおこなう方法です
現場の意識付けは、定着向上の取り組みをおこなっていくうえで重要な要素となります。その方法はしっかりと考えておきましょう。