内定辞退を防ぐには
昨今の内定者辞退の現状について、改めてデータを基にお伝えします。下の図は企業の内々定後の辞退率をご紹介しています。「辞退なし」と回答したのは20.4%で、8割近い企業は内定辞退された経験があります。(【グラフ①】参照)。つまり、内定辞退がまったくない企業は全体では少なく、採用活動においては辞退が常態化している事がうかがえます。
弊社が運営するマイナビ2022のグランドオープン時に掲載していた企業数は24,215社にのぼります。しかし新卒採用を行っている企業は増えても、学生の数は大きな上昇は見られないため、採用する企業1社あたりに分配される学生数が以前と比べると少なくなり、1人の学生に内定が重複することで辞退が非常に起こりやすい状況になっています。また、企業が学生に求める能力や属性についても偏りが出てきていることも内定が重複する要因となり、辞退を招きやすくなっている背景となっています。
内定者フォローを検討する時に、とりわけ「内々定通知を出した後に何をすべきか?」と悩む企業は少なくありません。内々定通知後いかに学生とコミュニケーションを取って、自社への入社意思を固めさせるかを考えるのは非常に重要です。しかし学生は入社する企業を決める際、判断材料を内々定後が出た後に集めているのではなく、企業の説明会や選考活動など企業との接触を重ねる中で材料を集めています。
下図【グラフ②】を御覧ください。こちらは学生の就職活動における応募企業に対する志望意欲の変遷を通して、内定辞退が起こりうる事象についてイメージ化したものになります。学生は複数の企業を受験し、エントリー以降内定に至るまで企業と接点を持つ中で志望順位を決めながら活動しています。その志望順位を決めて活動する中、入社決意線を越えるほどに志望度が高かった企業(最も志望度が高い企業1社)に最終的に入社を決めていくわけです。つまり学生は長い就職活動を通して入社する企業を決めるので、内々定後にどれだけ企業側が手厚いフォローをしても学生には響かず辞退が起こってしまうことになります。
本来学生の能力を見極める場である面接は、入社意思決定につながる志望度アップのための最重要ポイントでもあります。受験する学生にとって納得度の高い面接を実践すれば、内々定後の速やかな意思決定につながり、最良の内々定防止策となります。その場合、選考に必要な情報を質問するだけでなく、こちらから情報提供することも必要になります。学生と1対1で話し合う機会を設け、個々の学生との人間関係を構築することを意識することが大切です。
また、人間関係の構築には接触する回数も重要です。一概に増やせば増やすほどいいという事ではありませんが、会う機会が多いほど、魅力付けする機会が増えるので志望度は上がりやすいことになります。伝える要素としては「仕事の魅力=やりがい」をいかに伝えるかがポイントです。下図【グラフ③】は入社予定先企業決定時(就職活動終盤)において学生に聞いた企業選択のポイントのグラフを紹介していますが、「やりたい仕事がある」が最も多く選択されています。
複数内々定を保有している場合も、自社のみ内々定の場合も、様々な情報からの比較で入社予定先を選択します。その際、最も重要視するのがここでも「仕事」に関わる具体的な業務内容(入社1年目の業務内容など)です。内々定が出た後は必ず自社に呼んで頂き、一人ひとりと面談することをおすすめしますが、特に業務内容のすり合わせについては重点的に行いましょう。待遇面については企業規模や職種によって差が出てしまうことがありますが、今まで話しきれなかった部分を含めてプラスアルファの情報提供を心がけましょう。また、面談時にはこれまでの面接の評価、他の応募者と比べて優れている点や活躍できる素養があること、入社を歓迎している・期待していると伝え、会社として是非入社して欲しいという意思を学生に伝えるようにしてください。