新卒採用の予算について
企業戦略や経営戦略を踏まえた人材マネジメントの観点からすれば、採用費用は「コスト」ではなく将来への「投資」といえます。自社の採用力を分析した上で、どんなPRが有効であるか、またどんな採用方法を行えばよりよい採用フローが構築できるか、経営層をまじえた検討が必要です。
採用環境は経済環境や雇用情勢等によりその年々で変動するため、前年のPR手法がそのまま利用できるケースは多くありません。常に新しいPR・採用手法を検討していただくことを強くおすすめいたします。その上で、まずは予算がいくら必要であるかを算出しましょう。主な使用用途は以下の通りです。採用実務の一部または全部をアウトソーシングする場合は、外注化の費用算出も必要です。
※採用予定人数、採用対象(理系限定など)、募集職種などの募集内容により採用予算は影響を受けます。
<主な具体的使用用途>
- 広告費(就職情報サイト掲載・イベント出展)・採用管理システム使用料
- 採用ホームページ制作料
- 入社案内等採用ツール作成料
- 上記発送料
- 会社説明会・選考会等会場使用料
- 面接学生の交通費
- 内定後の各シーンでの交通費・飲食費・宿泊費
- 学校訪問などの交通費
- 他、人事採用担当者の活動費
あくまで目安となりますが、弊社調査(出典:2023年卒マイナビ企業新卒内定状況調査)において、採用全体にかかる費用としては1社あたり平均約298.7万円というデータがでています。
■採用費総額平均
全体:約298.7万円/上場企業:約771.9万円/非上場企業:約267.4万円
■入社予定者1人あたりの採用費平均(1社ごとに採用費を入社予定の人数で割った数値の平均値)
全体:約45.0万円/上場企業:約38.1万円/非上場企業:約45.5万円
近年の新卒採用市場の早期化により、就職情報サイトを利用する場合は、そのサイト内での露出をいかに上げていくかが重要です。特に学生が情報収集をしている就職活動の初期においては、学生に“就職先として認知してもらう”ことが不可欠となります。 採用費を極端に抑え、それによりサイト内の露出が下がれば「思ったより応募が少ない」「応募は集まったが採用したい学生が少ない」という状況に陥りかねません。結果的に採用活動の長期化を招き、採用広報施策の追加(他の就職情報サイトに追加掲載するなど)等を行うことで、想定外の採用費用が発生することに繋がります。
採用費については、しっかりと「何人採用するのか」「いつまで採用活動をするのか」「学生にどういったフォローを行うか」「昨年度のPR手法はどうだったのか」など広報活動開始から入社までの明確な採用計画を事前に立てた上で採用費の予算を組むことをおすすめいたします。