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アルムナイコミュニティの形成により、カムバック採用に成功。ジョブチェンジによるカムバックも

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  • 社名 株式会社MCS
    事業内容 ・HR事業
    ・医師紹介事業
    ・薬剤師紹介事業
    設立 2021年6月1日
    URL https://mcs-with.jp/

スギ薬局グループとして医療系人材に特化した人材支援サービスを行う、100%子会社の株式会社MCS。雇用の流動化が急速に進む近年、事業推進の原動力となる人的資本をより大きくしていくため、グループ内でのアルムナイ施策としてYELLoopを2022年11月から導入いただいております。
アルムナイコミュニティの運用を始めて約1年半が経つ今、離職率の低減やカムバック採用など少しずつ成果が見え出したMCS。導入秘話から具体的なコミュニティ運用の秘訣に至るまで、森茂樹社長と運用担当の新井裕訓様にお話を伺いました。

アルムナイとは

アルムナイは、大学や学校などの「卒業生」「同窓生」「校友」を意味する言葉ですが、 雇用の流動性が高い欧米企業を中心に、企業の「退職者」や「OB・OG」という意味合いも広まっています。雇用形態の変化、⼈⼿不⾜、多様化する働き方など、サステナビリティ時代における経営課題を解決するための新たな⼈材戦略として、日本でも導入する企業が増えています。

  • 課題

    • 雇用の流動化に伴い、既存社員の離職防止、さらには退職者のつなぎとめの必要性を感じていた
    • 経験者採用数の拡大により、優秀な人材を採用する手段にコスト/効果両面で課題があった
  • 成功ポイント

    • 退職者からも「戻ってきたい」と思ってもらえる仕組み作りの結果、カムバック採用のみならず、既存社員の安心感の醸成にも寄与した
    • タレントプールのみに止まらず、彼らとの接点を最大限に活かし次のアクションにつなげるアプローチによって、カムバック採用など具体的な成果に結びついた

Q なぜ最新の人事施策の一つである「アルムナイ」に取り組むことを決断したのですか

森茂樹様(以下、森): 元々アルムナイをカムバック採用として仕組化する前から不定期に採用していた出戻り社員の声を聞くことで、アルムナイをコミュニティ化する必要性は感じていました。さらに、近年働く社員の皆さんの価値観も変化し、ライフイベントや転職に対する垣根が低くなったことで、雇用の流動化がますます進んでいると捉えています。自身のキャリアをより自由に表現できる時代に変わってきているからこそ、既存社員はもちろん退職者であるアルムナイにとっても「戻ってきたい」と思えるようなさらに魅力的な会社したい。、との想いを持ったことが取り組みを決断した大きな理由です。

あとは、カムバック採用を通じて経験者採用をさらに推し進めたいという意図もあります。当社では現在新卒と経験者が約6:4の割合で採用しておりかなり経験者採用の比率が高まっているので、採用手法の一つとしての期待も大きかったです。

Q なぜコミュニティというかたちをとってアルムナイに取り組むのですか

森: 復職支援制度はこれまでも制度として整備し運用してきましたが、実際に復職される人数については課題を感じていました。退職者に戻ってきていただくためには制度を用意するだけでは不十分と痛感し、昨今新たな人材採用の方法として注目され始めたアルムナイに着目、タレントプールとアルムナイのコミュニティ形成等、退職後に再度繋がりを強く持つためのインフラとしてYELLoopの導入を決めました。これまで以上にYELLoopを活用することでアルムナイと会社間、そしてアルムナイ同士のコミュニケーションを活発化させることができると考えています。

現在、働き方改革を強く推し進め、より働きやすく進化するスギ薬局の人事制度や、各専門資格者が活躍する地域イベントの実績や出店情報、そして役立つ求人情報などさまざまなコミュニケーションを実施することで、アルムナイとの信頼構築はもちろん「スギ薬局に復帰したい」と思っていただける方が一人でも増えればと考えています。

Q具体的にどのような施策にトライしていますか

①コミュニティの登録者数獲得に向けた施策

森: 大きくは2つあります。1つは残念ながら退職される社員の退職届時にアルムナイコミュニティの説明、登録を促していること。もう1つは退職され、しばらくたった後にアルムナイコミュニティのご案内をすることです。必ずしもネガティブな印象で退職される方ばかりではなく、その時の環境や状況で辞めざるを得ない方、または、他と比較して改めて当社の良さを実感される方も多くいらっしゃいます。そうした方に向けて当社とのつながりを持てる環境としてご案内しております。またそうした案内の前にも、当社では普段より各エリアに人事社員を配置し、何か不安がある段階で人事の社員より面談をする場を用意しております。。普段より丁寧にコミュニケーションを行い、退職される方が気持ちよく次のステップに進めるようサポートすることで、その後のつながりや信頼関係の構築に寄与していると感じています。

②会社に興味・関心を持ってもらうための施策

森: アルムナイコミュニティに対して、人事制度の改革をはじめとした働き方に関するポジティブな情報や地域で行ったイベント情報、キャリアに役立つ様々な情報など、アルムナイの皆さまに情味があり、そして再びスギ薬局に戻ってきたい!と思ってもらえるような情報発信を心がけています。現在、スギ薬局グループでは、人生100年時代の社会において、さらに働きやすい会社へ進化し続けるため、様々な新規事業や制度の改革を進めております。そういった情報をこれからも発信し続け、ますます魅力的に関していただけるよう、全社一丸で取り組んでまいります。

③コミュニティを活発化させるための施策

森: アルムナイネットワークを活性化させるため、今後はコミュニティを盛り上げる施策にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。なかなか交流を促すだけでは自発的にコミュニケーションは生まれませんので、登録者に対するメリットの設計が鍵となります。コミュニティを積極的に活用していただいた方へのポイント施策や、例えばカムバック採用としての正社員募集に加え、薬剤師などの資格を生かした派遣という形でのスポット業務の案内など、当社と様々な形での関係性を持てるように仕組みを作ることもコミュニティが活性化する大きな施策だと考えております。

Q アルムナイに取り組んだ結果得られた成果はありますか

森: YELLoopの導入をきっかけに、退職後も気軽にスギ薬局に戻ってくる意思表示ができることそして会社は快く迎え入れてくれること、この2つを広く周知することができました。その結果、アルムナイ自身から検討段階から復職についての気軽な相談や、働いている社員から、復職希望のアルムナイの方々を紹介していただけるなどなど、しっかりと実績も出始めています。なかには在籍当時とは別の職種での応募、ジョブチェンジによるカムバックもありました。

アルムナイのコミュニティが必ずしも復職という形につながらずとも、例えば退職後の会社の状況を知るよいきっかけにもなっています。戻ってきたいと思える魅力的な会社づくりを心がけて、既存の社員がイキイキと働きやすい環境作りを、人事部を中心としてスギ薬局グループ全体で作り上げてきた結果、既存社員の離職率についてもここ4〜5年で半減、従業員エンゲージメントも年々向上しています。もう1歩2歩、アルムナイという新たな施策作りをきっかけにこれからも業界に先駆けたさまざまな施策作りに取り組んでいきたいと考えています。

Q アルムナイコミュニティの持つ可能性について教えてください

森: 私たちはMCSという人材支援の事業会社で、スギ薬局グループへの人材確保の支援に事業の大きなひとつとして取り組んでいるので、アルムナイ・カムバック採用にかける本気度が違うと考えています。現状ではグループへの貢献として捉えていますが、将来的には、この事業で培ったノウハウを連携する様々な企業様へ展開し、アルムナイネットワークを業界に広める役割も担っていけたらと考えています。

また、どの業界でも人材不足の声が上がる中、アルムナイ・カムバック採用は、ますます少子高齢化、働き手が減少し人材獲得競争が激しくなる時代において、優秀な人材を確保できるひとつの重要な採用手法になると考えています。退職時にネガティブに感じた部分も含めて、カムバックするという選択をしていただけているので、他で新たに人材を採用するよりも、むしろエンゲージメントが高くやそしてこちらも信用・信頼できる、即戦力としての人材採用となることが期待できます。また他社で得た新たな経験やスキルもあり、それらを活かしてより幅広いキャリアへの挑戦など高い価値と魅力を持った人材であることにも大いに期待しています。

新井裕訓様(以下、新井):その人が戻ってくる人材確保の面だけではなく、アルムナイの方々は会社の良さを発信する広告塔の一人として活躍していただけるのではないかと、期待もしています。必ずしもカムバック採用で出戻りをすることだけがアルムナイ・カムバック採用の価値ではなく、兼業・副業なども珍しくなく、転職がネガティブなイメージではないこの時代において、元所属したことのある会社の情報をポジティブにとらえ、様々な職場で発信していただくことで、ポジティブな企業イメージが広がり、例えばアルムナイの方の周囲の方が当社へ興味を持って頂いたり、我々の店舗を利用していただくお客様や患者様が増えたりなど、さまざまな効果につながるのではないかと考えています。広く会社の地域貢献や進化を周知し、それをアルムナイ自身に広告塔として発信していただく、そんな関係性も良いのではないかなと思っています。

Q 今後アルムナイの取り組みを通して、どのような展望を描いていますか

森: 私は今後ますます進んでいくことが予想される雇用の流動化について、チャンスだと捉えています。もちろん既存社員の離職が増えることは懸念されますが、それ以上に当社を選んでもらえる機会にもなり得ると考えています。退職した人が戻ってきたいと思えるような会社づくりに一生懸命取り組み、その結果在籍している既存社員のエンゲージメントも同時にあげていく。やはり事業を成長させるのに一番大事なのは人材です。こうした想いを持って今後もアルムナイを始めさまざまな人事施策に取り組んでいきたいと考えています。

ここまで実務的な運用面のお話から導入背景・今後の展望を踏まえた方針面のお話まで、アルムナイコミュニティのリアルをインタビューしてまいりました。MCSが主導して取り組むスギ薬局グループのアルムナイ施策から紐解く、アルムナイコミュニティの持つ新たな可能性を見出すことができました。

①キャリア採用の推進

カムバック採用を促進することで、2つの側面から経験者採用を前に進める起爆剤となると言うことができます。1つはコスト面です。近年経験者採用の計画数が増加傾向にある企業が多く、エージェントに支払う紹介費用が高額でコスト面に課題を抱えるケースがよく見受けられます。そこでアルムナイを活用したカムバック採用であれば、元々自社社員として持っていたネットワークから採用をすることになるので、紹介料もかかりません。そして2つ目は、人材の質という観点です。カムバック採用においては在籍時に自社を知る社員が戻ってくるので、ミスマッチも少なくて済みます。カルチャーフィットや自社で役立つスキルに加えて、他社で培った新たな力も持ち合わせているので、即戦力としての活躍にも期待できます。

②会社全体のエンパワーメント

森社長の言葉にもあったとおり、アルムナイとのネットワークを機に「退職者にとっても良い会社であろう」という想い、働き方や事業面などさまざまな方面での企業努力につながります。それが結果として会社の魅力を向上させることはもちろん、新たな採用に加えて既存社員のエンゲージメントをあげることができます。そうすることで事業推進の要である人材力の増強に寄与することができるのです。

  • $タイトル$
  • 代表取締役社長 森 茂樹 様

    株式会社スギ薬局では、取締役管理本部長として人生100年時代を見据えた様々な人事制度改革を手掛け、社員が働きやすい職場環境を実現。現在も段階的に働きやすい環境改善を追求、同時に、株式会社MCSの代表取締役として採用・教育・人事制度のお悩みをもつ企業様に対して、培ってきたノウハウを元に支援を行っている。

  • $タイトル$
  • 事業戦略推進室 新井 裕訓 様

    株式会社スギ薬局で、新卒採用、経験者採用、人事企画や給与厚生などマネジャーとして幅広く人事業務を経験、その後、培った人事・人材業務を元に株式会社MCSでグループ内外問わず、人事・人材のお悩みを中心に支援業務を行う。

ページ上の各種情報は2024年3月時点のものです。

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