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【10分でわかる】人材要件の作り方・考え方ポイントまとめ

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人材要件とは、採用すべき人材像を一定の根拠のもとに明文化したもの。選考はもちろん、採用広報においてもターゲット学生の姿を明確化する上で有用ですが、実際に「人材要件を作ろう!」となると、なかなか難しいのが現実です。

難しく感じるひとつの理由は、「なぜ人材要件を作るべきなのか、腹落ちしていない」ことが原因であることが多いのではないでしょうか。
実際、過去にサポネットで行ったアンケート(2020/12/23公開)では「人材要件を作りたいが、優先順位が低く手を付けにくい」という回答もありました。

取り掛かるとなれば、採用担当者1人ではなく、経営層から現場まで巻き込む必要がありますが、その協力を得るために必要な「なぜ、人材要件を作るべきなのか」を採用担当者本人が他の協力者に説明できず、前に進まないという状況はよくあるようです。

また、採用において一定の「基準」はどの企業でも持っているため、「明文化はされていないが、人材要件と似たものは自社にもある」という方もいらっしゃるでしょう。その場合にも、わざわざ「人材要件」を作り直すことに疑問が生じてしまうかもしれません。

しかし、実は「経営層から現場までが一緒になって考える」という過程そのもの、そして「共通言語として明文化されていること」こそが、人材要件作りにおける大きな価値であることが、これまでの取材からわかっています。

今回は、サポネットの過去記事から、読者の皆さんが前向きに人材要件作りに取り組むためのヒントをまとめてご紹介します。
「人材要件を作るために、まず何から始めればいいですか」という問いに対しては、これまで取材してきた方々が口をそろえて「経営層との対話」から始めるべきと答えています。
それは、人材要件を定めて明確なビジョンのもとに人材を採用することが、会社そのものの経営ビジョンを明確にすることに他ならないからです。

つまり、企業とは従業員の集合体であり、「どのような従業員によって企業を構成するのか」と考えることは、「企業としてどうありたいのか」を考えることと同じだ、という意見です。

一方で、現場の声ももちろん大切です。
経営層が目指したいビジョンと、現場がいま足元で必要としている人材像が必ずマッチするとは限りません。
そのときに、対話を通じて採用すべき人材に対する互いの納得感をつくっていくことも人材要件作りでは重要なステップとなります。

ここがまさに人材要件作りにおける難しい点でもありますが、この過程自体が人材要件作りの大きなメリットであるという意見もあります。

先ほど紹介した記事から、一部を引用しましょう。

「とある食品メーカーの事例に面白いものがあります。
その会社では、工場で働く製品管理の社員から幹部候補となる人材がなかなか出ず、苦労していました。
(中略)
一定の業務を正確にこなすことが求められる職種なので、チャレンジングな業務に従事する機会が少ない職場だったのですが、『自分が食品業界を変えてやる!』くらい大きなことを言う社員だと、上司が面白がってあえて難しい業務を与えるんです。それをクリアする過程で能力を開発し、パフォーマンスを高めていたんですね。
(中略)
つまり、入社時に重要だったのは、難しい業務をアサインされることであり、そのために『大きいことを言う』こと。つまり、マクロな視座やビジョンを持っている人材だったんですね。
このように、現場に出ないと分からないことはたくさんあるはずです」

人材要件を作ろうとしたとき、人事にとって最も重要な仕事となるのが経営ビジョンと現場のすり合わせです。難しい課題のようですが、こうして経営層と現場の両方への辛抱強いヒアリングが、会社にとって「本当に必要な人材像」を浮かび上がらせてくれることは珍しくないといいます。

つまり、人材要件を作るための「過程」そのものが、会社の未来をより良いものにする可能性を秘めているのです。
サポネットでは、人材要件の重要性を現場で運用したからこそ知っている人物へのインタビューも行いました。
話を聞いたのは、株式会社マイナビ 人事統括本部の谷本 健次。マイナビで新卒採用を統括している立場から、どのように現場で人材要件を使っているのか話を聞きました。

その中で谷本が話したのが「日本型の新卒一括採用」における人材要件の活用についてです。

「新卒採用はポテンシャル採用、つまり即戦力ではなく入社後の成長を期待しての採用となります。今の実力ではなく、将来の実力を期待し、見極めて採用するわけです。

つまり、「今、目の前にいる人」を評価するのではなく、未来を含めた可能性を見る必要があるわけですが、それだけに人事と現場の間、採用担当者一人ひとりの間で意見が食い違ってしまうことがあります。これは、営業として担当した企業でも、自社(マイナビ)でも発生しやすいですね。

だからこそ、言語化された見極めの要件、つまり「人材要件」が必要になってくると考えています」


新卒一括採用の場合は「未来の可能性」を見る必要があるため、人材要件が力を発揮すると語っています。

つまり、「いま、どのような人材であれば、将来的に活躍してくれるのか」という観点で選考を進める必要があるわけですが、もちろんその未来は不確定です。そこで、人材要件を定めることで「将来の成長」を期待できる人材像を共有し、選考を進めていると言います。

このインタビューの中では、事例も紹介されました。

「私が営業だった頃に担当した企業の例をお話しさせてください。その会社は創業以来成長を続けて社員が50名ほどになり、初めて新卒採用を行うこととなりました。

採用がうまくいき、最終の社長面接までフローが進んだところで、「優秀でいい子が来ているが、これでいいのだろうか」とご相談を受けたんです。つまり、いい子すぎるんじゃないか、と。

そこで私が提案したのが、日本エス・エイチ・エルの適性テストを全社員で受検し、今足りない人材像を浮かび上がらせることでした。すると、社長はバイタリティと問題解決能力に秀でた人材で、まさに経営者向きだったのですが、社員は同調性が高く積極性が低めな、いわゆる「イエスマン」ばかりだったことが分かったのです。

つまり、これまで社長の強力なけん引力で成長してきた同社は、無意識のうちに今いる社員たちと同質の人材を選んでいたわけです。

(中略)

そこで、人材要件を精緻に定めて必要な人材像を明確にしていくことになりました。社長にNoが言えるような人材も必要なんじゃないか、とはいえ組織になじまない人材では意味がない……あらゆる側面から検討し、作り上げた人材要件の力が発揮され、いまでは社員数300名を超えています」


このように「将来の成長」を見抜かなくてはいけない新卒採用では、ついつい「現在の平均的な社員像」に偏った採用をしてしまうことがありますが、それが正解とは限らないということです。

自社の未来に必要な人材を見抜くためには、一度、定量的な調査をもとに人材像を固めることもお勧めです。
先ほど引用した谷本の言葉にもあったように、人材要件を定めるにあたって、適性テストなどを用いた定量データがその基礎となることが多くあります。

これは、記事の前半でも触れた「現場を知る」ことの重要性と強い結び付きのある考え方で、まずは「いま、自社にどんな社員がいるのか」を知るところから、将来のビジョンに対して足りない人物像を浮かび上がらせるというアプローチです。

また、定量データを用いたアプローチとして「ハイパフォーマーのコンピテンシー(※)を知る」というものもあります。
これは、これからの自社に必要と思われるハイパフォーマーに共通するコンピテンシーを洗い出し、人材要件の参考にするために行われます。

※ コンピテンシー:一定の職務や作業において安定的に期待される業績を挙げている人材に共通して観察される行動特性のこと

いずれの場合も、これは自社の中に「どのような人材がいるのか」を定量的に知るいい機会です。
タレントマネジメントの考え方から、そのデータを社内異動や人事評価のために利用することも可能になるでしょう。
とはいえ、会社の規模によっては全社員で適性テストを受けることが非現実的な場合もあります。そういった際には、ディスカッションや座談会も有効と過去のインタビューで紹介されました。

記事の前半でもお伝えしたように、企業とは従業員の集合体です。定量的なテストや定性的なディスカッションなどを通じて人材要件を作ることは、自社の現状を知る絶好の機会にもなり得ます。

経営ビジョンに直結する情報を獲得する機会ととらえて人材要件作りに着手するのも手ではないでしょうか。

より具体的な内容も「人材要件のお悩み、まずはここから!人材要件Q&A(2021/01/14公開)」としてまとめていますので、ぜひこちらも参考にして貴社の採用戦略に人材要件を活用してくださいね。
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2021/12/21
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