マイナビサポネットアンケート企画 「人材要件」のリアルに迫る!
近年、一種のトレンドと言ってもいいほどよく聞かれるようになった「人材要件」という言葉。
具体的には「自社が求める人材像を明文化したもの」を指しますが、その実態は企業ごとに異なり、実にさまざまです。
そこで、今月の特集でもある「人材要件」を読み解くにあたって、まずは企業と人材要件の関係性を明らかにすべくマイナビサポネット独自のアンケートを実施しました。
そのデータを見ながら、「いま」の企業と人材要件について見てみましょう。
アンケート概要
実施期間 | 2020年9月24日~2020年9月30日 |
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有効回答数 | 86社(新卒採用サポネット会員にメール告知・WEBフォームにて回答) |
回答者の属性 (業種) |
メーカー 29.55%(26名)、商社9.09%(8名)、流通・小売 11.36%(10名)、金融 2.27%(2名)、サービス・インフラ 25%(22名)、ソフトウエア・通信 14.77%(13名)、広告・出版・マスコミ3.41%(3名)、官公庁・公社・団体 4.55%(4名) |
回答者の属性 (従業員規模) |
〜50人未満 7.95%(7名)、50~100人未満 19.32%(17名)、100~300人未満 35.23%(31名)、300~500人未満 12.5%(11名)、500~1,000人未満 13.64%(12名)、1,000~3000人未満 7.95%(7名)、3,000~5,000人未満 1.14%(1名)、5,000人以上 2.27%(2名) |
回答者の属性 (採用人数) |
~9名 59.09%(52名)、10~29名 30.68%(27名)、30~49名 5.68%(5名)、50~99名 2.27%(2名)、100~199名 1.14%(1名)、200名以上 1.14%(1名) |
そもそも「人材要件」を持たない企業が約2割
まずは基礎的な情報として「人材要件を持っているかどうか」について伺ってみた結果が下の円グラフです。問:人材要件を持っていますか?
サンプル数の少ない項目もあるので一概に傾向として把握することは危険も伴いますが、業界別では有意な差が見られない一方、従業員規模別で比較的サンプル数の多い「50〜100人未満」から「500〜1,000人未満」の間で、規模が大きくなるにつれて人材要件を持っている企業が多い傾向は見て取れます。
しかし、サポネットでも取材をした、株式会社エスノグラファー代表で採用学研究所のフェローでもある神谷俊さんによれば、中小企業ほど、新入社員が成果を上げるための育成制度や業務支援の取り組みが構築されていないケースが多く、その一方で個々の新人の能力やパフォーマンスが企業に及ぼす影響が大きいため、人材要件をしっかりと作ったほうがいいと言います。
しかし、現場では苦労も多いようです。
人材要件を作りたいが、なかなか手を付けられない! 会社の理解が得られない!
人材要件を持っていない企業について、もう少しデータを見てみましょう。優先順位が低く、策定はしたいがその他の業務を優先して行う必要があるため。
(メーカー / 従業員規模5,000名以上 / 採用人数50〜99名)
このように、そもそも人事としての仕事が忙しくて人材要件に手を付けることができない、または手を付けようと思ってもその重要性を理解してもらいにくい、という方は読者の皆さんの中にもきっといらっしゃるでしょう。
マイナビの山根によると、そういった場合には外部の専門家を招いた勉強会を開くなど「大きな話」にしてしまうのも一つの手だとか。 全社的なプロジェクトとして取り組む環境になるよう仕掛けていくというわけですね。
作りたくても、なにから手を付ければいいのか…
「人材要件を作りたいが、社内の理解が得られない」という意見の他に多く見られたのが、「人材要件をどう作ればいいのか分からない」というものでした。
要件の設定の仕方が分からない
(流通・小売 / 従業員規模500~1,000人未満 / 採用人数10~29名)
多くの方が抱えるこの疑問については、神谷さんほか多くの方が「まずは経営層と話すこと」から始めるべきと語っているとおりです。
会社の行く先を知り、その上で現場を見て「どの部門に、どのようなパフォーマンスのできる人材が必要なのか」を見極めることが人材要件策定の第一歩となります。
その後は、求めている人材像に近い人物を社内から見つけて適性テストを行ったり、または現場でパフォーマンスの高い人材にインタビューを行ったりといった方法で言語化していきます。
人材要件、本当に必要?
他の回答と比べると少数派ですが、
「人柄重視」などの漠然とした基準で採用を行っており、特に問題が発生していないことから、それ以上の要件をまとめようという機運が高まらないのだと思う。
(ソフトウエア・通信 / 従業員規模3,000~5,000人未満 / 採用人数100~199名)
というように、そもそも人材要件の必要性を感じていない方もいらっしゃいます。このことについて、取材を進めるなかで聞かれた意見として「必要ないのなら、作らなくてもいい」と意外な言葉も聞かれました。
つまり、今の採用実績に不満がないのであれば、必ずしも作らなくてもいいというわけです。
ただし「今の採用実績に不満がない」理由が属人的なもの(ベテラン面接官や社長)によるものなのであれば、異動や交代で同じように採用ができなくなってしまいます。そんな状況を避けるためにも、備えとして人材要件の策定を検討してもいいかもしれませんよ。
また、これと似た意見ですが
新卒採用については人柄重視の側面が大きく、「面接の時の印象」で決まるという考えが強いため。
(ソフトウエア・通信 / 従業員規模〜50名以下 / 採用人数〜9名以下)
という意見に代表されるように、新卒採用ではカルチャーフィットを重視するため「人材要件でスペックを規定するのではなく、あくまで面接での印象を重視したい」といった趣旨の声も、一定数ありました。
この意見の裏には、「カルチャーフィット」を定量的に推し量る方法が知られていないという理由もありそうです。 すでにご紹介した神谷さんによれば、それは誤解で、定量的に見ることのできる項目だと言います。
また、同じく神谷さんからは「面接時の印象」を重視するのは、それによって「見抜けている感じ」がするだけとの厳しい指摘もありました。
実際に対面することで学生から伝わってくる「熱意」や「圧」のようなものに押される形で採用を決めてしまっている可能性があるということです。
マイナビサポネットでは、皆さんの「人材要件」のお悩みを手助けしています
人材要件についてのアンケート結果を見てみました。
思ったより多くの会社が人材要件を持っていると感じたでしょうか。または、逆に思ったよりも使われていないと感じたでしょうか。
会社の規模、採用予定人数、社内での人事の立ち位置など、立場はそれぞれでも似たような悩みを持った方がいることが励みになれば幸いです。
マイナビサポネットでは「人材要件」についてあらゆる方向から記事を作っていますので、ぜひ参考になさってくださいね。
- 人材採用・育成 2020/12/23
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