今すぐ人がほしい!人手不足の介護法人のためのToDoリスト
今すぐ人員補充をしたい介護法人が真っ先にやるべきことは、人材紹介会社に紹介を依頼することです。
人材紹介は、人材紹介会社が、登録している求職者のなかから、採用要件や求めるイメージに合う人材を法人に紹介してくれるサービスです。紹介後は、面接の日程調整から入職までの候補者対応を代行してくれます。
入職が決定した段階で法人が料金を支払う成果報酬型のサービスが多く、依頼した時点では費用は発生しません。しかし、結果的に多数の人材を採用できた場合は、費用が高額になります。
なぜ緊急で人員を必要としているときに人材紹介がよいかというと、ほかの採用手法よりも早く決まるケースが多いからです。たとえば就職・転職情報サイトで求人を募集する方法では、募集から入職決定までに、どうしても2~3カ月以上の期間がかかります。
一方、人材紹介では、候補者の状況や意向次第ではありますが、人材紹介会社の担当者に急いでいることを伝えれば、可能な範囲で対応してもらえます。
法人側、候補者側双方の決定が早ければ、紹介から1カ月程度で入職が決まることも珍しくありません。候補者がすでに離職していて、決定も早い場合、1週間程度で採用できた例もあります。
初めて人材紹介を利用する場合は、複数の人材紹介会社に声をかけて担当者と話してみて、印象のよいところと契約するとよいでしょう。過去に取り引きしたことのある人材紹介会社があれば、まずはその会社の担当者に相談してみましょう。
人材紹介会社を選ぶ際には、介護法人の採用担当者と二人三脚で候補者に対応する意識を持った、熱心な担当者がいる会社を選ぶことが大切です。
実際に話したときの印象以外で重視したいのが、担当者が電話やメールだけで済まさず、実際に現場に足を運んでくれるかどうかです。というのも、人材紹介会社の担当者がクライアントの介護法人をしっかり理解して人材とマッチさせるためには、現場で職場の雰囲気や職員の様子を感じ取り、採用担当者から対面で話を聞く必要があるからです。
一方、求める人材を紹介してもらい、内定承諾につなげてもらうには、介護法人の採用担当者自身が、人材紹介会社の担当者とこまめに情報共有し、自法人をしっかりアピールする努力も欠かせません。アピールする際に、自法人の魅力ポイントが明確であるほど、求職者とマッチングしやすくなります。
自法人の魅力の見つけ方、伝え方は、下記の記事を参考にしてください。
人材紹介会社に紹介を依頼したら、次のステップとして、当面の人手不足を補うために、人材派遣サービスを利用しましょう。
人材派遣には、派遣会社に登録しているスタッフに、一定の期間を定めて派遣先の法人で働いてもらう「登録型派遣(有期雇用派遣)」、派遣会社が無期雇用しているスタッフを法人に派遣する「常用型派遣(無期雇用派遣)」、派遣期間が終了した後に法人がスタッフを直接雇用することを前提とした「紹介予定派遣」の3種類があります。
このうち介護業界においてもっとも一般的なのが、登録型派遣です。登録型派遣では、スタッフの派遣先の法人が決まった時点で、スタッフと派遣会社が雇用契約を結びます。
派遣料金にはスタッフの基本賃金のほかに、社会保険料や派遣会社のマージンなども含まれるため、費用は高額になりますが、短期間で必要な人員を補充できます。
法人が依頼したときに、派遣会社の登録者にマッチする人材がいれば、最短数日で現場に派遣してもらえます。契約の手続きなどに時間がかかって遅くなる場合でも、2週間ほどで派遣されるのが一般的です。
注意点は、派遣では法律上、原則的に、法人側がスタッフを指名する、就業前に面接をする、履歴書を送付させるといった選考行為ができないことです(※紹介予定派遣は除く)。
依頼した派遣会社から業務に必要な能力を備えた候補者が見つかったという連絡を受けたら、法人は候補者の年齢や性別などを特定することはできませんが、候補者の了承を得られれば、職場見学の機会を設けることができます。職場見学を通して候補者に職場の雰囲気や業務内容を確認してもらうことはできますが、職場見学は選考行為ではないため、職場見学実施後に法人側から派遣の受け入れを断ることはできません
人材派遣サービスを利用する前に、関連の法律(労働者派遣法)と派遣の仕組みを確認しておきましょう。
現状で新卒採用をしていない法人は、新卒採用を始めるのもよいでしょう。採用活動が軌道に乗れば、毎年、将来性のある若い人材を安定的に採用できるのが、新卒採用の大きなメリットです。ただし、中途採用に比べると必要な工程が多いため、チームで採用にあたることをオススメします。
すでに新卒採用はしているものの、あまりうまくいっていない法人は、基本の採用フローを確認しましょう。一般的な介護法人の新卒採用フローは、下記の記事の後半に掲載されています。
説明会や内定者フォローといった基本の工程が抜けていると、応募数や内定承諾数がなかなか伸びません。現状で実施できていない工程があれば、始める必要があります。説明会を実施するにあたっては、下記の資料を参考にしてください。
ここまで、主に採用で人員を補充する方法についてお伝えしてきましたが、人手不足を解消するには、既存の職員が離職しないための方法を考えることも重要です。
介護労働安定センターの調査によると、介護関係で働く人の離職理由のトップは、「職場の人間関係に問題があったため」(25.3%)です。(※出典:介護労働安定センター「令和3年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」)。
人間関係に起因する離職への対策の一つが、定期的に面談を実施し、職員の悩みを聞き取ってフォローすることです。職員が上司や同僚との関係性に悩んでいる場合は、所属するチームを変える、入居型施設から訪問介護事業所に異動させるといった配置転換をすると解決する場合があります。
また、人間関係の問題のなかには、管理者・リーダー職の態度やハラスメントなども含まれる可能性があります。したがって管理者・リーダー職がマネジメントや人材育成の基本を身につける研修を受けることも、離職防止につながります。こうした研修は法人内で準備から開催まで用意をして、法人内で受けるもの以外にも、「マネジメントの基本を学ぶ管理職基礎研修」「管理職候補者にマネジメントを担う準備をしてもらうための研修」などさまざまなものが外部セミナーとして実施されています。セミナー・研修期間も1日完結型のものも多数ありますので、必要に応じて外部セミナー・研修への受講を検討するのもオススメです。
そのほか、労働環境を改善する工夫も必要です。人材育成をリーダー個人の裁量に任せている場合は、組織全体で計画的に育成できるように制度を整えると、職員全体のスキルが向上し、一人ひとりの負担が軽減する可能性があります。
さらに、タブレットで簡単に必要事項を入力できる、また情報共有ができるといった介護記録システムや夜間の見守りシステム、身体介護をアシストする介護ロボット、入浴機器などの導入による介護現場のDXも、職員の労働環境の改善につながるため、離職を防ぐ効果が期待できます。
- 人材採用・育成 更新日:2023/08/25
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