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注目される「リファラル採用」とは?メリットや注意点を分かりやすく解説

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「リファラル採用(リファラルリクルーティング)」はダイレクトリクルーティングの一種で、社員が人材として知人や友人を自社の採用担当者らに直接紹介し、採用を行うリクルーティングの手法。委託や紹介、推薦などを意味するリファラル(referral)と、採用(リクルーティング)を掛け合わせた言葉です。

リファラル採用は、社員が直接候補者を自社に紹介するため、さまざまなリクルーティングコストを削減することが可能。また、紹介者を通じて候補者がリアルな企業情報などを知ることができるため、採用のミスマッチを防げるといったメリットなども存在します。

明確な定義はありませんが、企業と特別なつながりのある人を採用する縁故採用も、リファラル採用の一つとして捉えるケースもみられます。しかし、従来の縁故採用は、業務のスキルよりも血縁のつながりなどを採用の判断基準としているため、昨今企業が進めるリファラル採用とはニュアンスが少し異なるかもしれません。

リファラル採用の導入背景や導入状況

リクルーティングの方法として、昨今注目されているリファラル採用について、国内の導入状況や既存のリクルーティング方法との比較など詳しく解説していきましょう。

リファラル採用とは

リファラル採用を取り入れる国内企業の数は、現在過半数を超えています。2019年の採用結果と2020年の見通しを調査した「マイナビ中途採用状況調査2020年版」によると、リファラル採用(縁故採用)を実施した企業は62.9%に達しました。特に、2019年の中途採用は業界を問わず人材が不足しており、企業の採用目標を達成した企業はわずか4割弱。こうした背景などを理由に、さまざまな手法を活用して人材を獲得しようとする企業の姿勢がみられたといいます。

国内でリファラル採用の導入が進む背景の1つには、生産年齢人口の減少が挙げられます。経済産業省が発表している統計「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」では、2010年頃から生産年齢人口が減少に転じており、また2050年まで減り続けることが予想されています。少ない人材の中から自社に合う人材を見つけるのは非常に困難です。したがって、人材を一人でも多く獲得する術の一つとしてリファラル採用が注目されているといいます。

リファラル採用の目的やメリット

  • 採用時に掛かるコストの削減
  • 採用ミスマッチの防止
  • 幅広い人材へのアプローチが可能

採用時に掛かるコストの削減

リファラル採用のメリットの一つは、採用時の広告宣伝などに掛かるコストを削減できることです。例えば、人材紹介サービスは効率的にリクルーティング活動が行える反面、紹介手数料などが発生します。しかし、リファラル採用では、自社の社員が直接人材を見つけるスカウトマンのような役割を担うため、企業は採用に関する費用や時間といったコストを大幅に削減することが可能です。ただし、人件費はかかるので、採用人数に対する労働分配率が適正であるかなど事前のシミュレーションをおすすめします。

採用ミスマッチの防止

二つ目のメリットは、採用のミスマッチを防げること。リファラル採用では社員が人材を紹介するため、自社の価値観に適合しやすい人材に直接アプローチすることが可能です。また、社員を通じて、候補者の経歴やスキルなどを知ることができるので、採用の精度向上が大いに期待できるでしょう。

幅広い人材へのアプローチが可能

三つ目は、転職潜在層に限らず現段階で転職を考えていない層に対し、企業が幅広くアプローチできることです。従来のリクルーティングでは、求職者から応募があって初めて、企業が採用活動に乗り出すケースがほとんどでした。しかし、社員が人材紹介を行うリファラル採用では、転職の意欲に関わらず、さまざまな人を集めることが可能。その分、企業の採用対象者が増えるということです。

また、リファラル採用は採用活動のみにメリットをもたらす訳ではありません。紹介者が、ある種人事担当者の役割を担うため、企業理念や社風、会社の強み・弱みなどを再確認するきっかけにもなり、従業員のエンゲージメント向上を期待することができます。

リファラル採用のデメリット

  • 不採用時の人間関係に関するリスク
  • 採用基準に満たない人物の選定
  • 採用プロセスの状況把握が困難

リファラル採用は、一般的な公募とは異なり、候補者(応募側)が従業員の知り合いという点が特徴的。その分、双方の人間関係や社内の他社員への影響が悪い方向へと転じてしまうリスクもはらんでいます。ここでは、そんなリファラル採用のデメリットについて説明します。

不採用時の人間関係に関するリスク

既存社員から紹介された候補者と面談などを行った際、自社が求める採用基準に満たないケースも大いにあります。そして「不採用」となってしまった場合、既存社員とその候補者との関係性にヒビが入ってしまうことも。冷静に考えれば、100%採用を約束するものではないことくらい分かるだろうと言いたくなる気持ちも分かりますが、事前に不採用となる可能性があることを了承したうえで行うなどのルールや進め方を明確にする必要があります。

採用基準に満たない人物の選定

リファラル採用の特性上、採用担当者ではなく既存社員が中心となって候補者とやり取りをするため、「仲がいい」「性格がいい」などの個人的な判断で選定してしまう可能性があります。そうなれば、企業が求める人物像とのアンマッチが起こり、時間や労力が無駄になってしまう。リファラル採用を始める前に、こうした採用基準や求める人物像を社内に周知し、理解してもらうことが重要です。

採用プロセスの状況把握が困難

人事など決められた人物ではなく複数の社員が動くリファラル採用では、採用活動の進捗把握が容易ではありません。部門ごとに人事とのリアルタイムな情報共有を実施するなどの方策が必要です。クラウドやチャットなどを活用した状況の可視化を徹底するなど状況把握の遅延防止や疑問点などの早期解消に努める必要があります。

リファラル採用を進める手法やコツについて

リファラル採用を進めるための手法やポイントについて解説していきます。

採用プロセスの状況把握が困難採用制度の構築

リファラル採用を円滑に行うには、採用システムの制度構築が重要です。例えば、面談の際に紹介者が同席するのか否か、面接実施の判断基準などを事前に決めて下さい。特に、採用活動状況をどこまで周知するかについては、企業と候補者にとってセンシティブな話題。レギュレーションを確立し、制度を運用するのがポイントです。

採用プロセスの状況把握が困難採用の決定に伴うインセンティブ報酬

一部の企業では、採用の決定に伴い、人材の紹介者に対してインセンティブ報酬を与えています。これは、リファラル制度へ積極的にコミットする社員を増やすことが主な狙い。企業によっては、入社する部署やスキルに応じて、報酬額を細かく取り決める事例もみられます。また、採用・不採用に関わらず、インセンティブ報酬を与える例もあるということです。

採用プロセスの状況把握が困難制度導入の社内告知

リファラル採用を導入しても、対象となる部署や人材像などが社員に周知されなければ、人材の紹介は進みません。積極的に社内で告知し、社員に説明することが重要です。

採用プロセスの状況把握が困難採用ブランディングによる企業のイメージアップ

採用ブランディングが成功すると、入社前の「この会社で働きたい」という想いが、やがて「この会社に勤めてよかった」「この会社を勧めたい」に変化し、その想いはさらにリファラル採用へと繋がっていきます。こうした社員のエンゲージメントは家族や知人の共感を呼び、ひいては企業のイメージアップにも寄与するでしょう。

リファラル採用に適した業界

ここからは、リファラル採用が比較的多く実施されている、また向いているとされる業界について解説していきます。

IT業界

急成長を遂げているIT業界は、個人のスキルが重視されやすい業界なので、リファラル採用などのダイレクトリクルーティングに向いています。また、IT企業は数多くあるため、業界内での友人・知人が増えやすく、紹介型の採用方法は向いているでしょう。大企業に勤めている人をベンチャー企業に紹介して転職することもよくあるそうです。

飲食業界

飲食業界では、採用活動を巡り多くの課題が発生。面接の実施を通知しても候補者が現れなかったり、入社して間もなく退職してしまったりと、さまざまな事例が報告されています。このため、採用活動の実施などを担保するため、リファラル採用を導入する企業が昨今徐々に増えているといいます。正社員はもちろんのこと、アルバイトの募集に対してもリファラル採用を積極的に実施する企業も多く、人材不足の解決などにも寄与しているそうです。

製造(メーカー)業界

製造業界などの技術職は、ジャンルにもよりますが製造に必要な設備や生産ラインなどは、汎用性があるものも多くあります。そのため、ある程度の経験と技術をもつ方は比較的どこのメーカーでも即戦力として働けるケースは珍しくありません。リファラル採用は既存社員のフィルターを通して紹介してもらえるので、戦力アップに繋がる人材の確保が期待でき、メーカーの生産技術向上にも繋がるでしょう。

具体的な導入事例

freee株式会社では、効果的にリファラル採用を運用すべく、「紹介したくなる」ために大切にしていることが3つあります。

1.社外の知人を社内に呼ぶハードルを下げる

会社の許可を得ることなく、自由に友人を社内へ招待できるようにしています。そうすることで、社員の「紹介」に対するハードルを下げ、候補者に対しても職場環境や雰囲気を伝えられます。

2.社内SNSなどを利用して採用の重要性を伝える

常に求める人物像を伝えながら、最新の採用情報をアップデート。代表からもリファラル採用の重要性や想いを発信することで全社員への周知・促進に努めています。

3.協力者に対する称賛の文化をつくる

リファラル採用に対して積極的に取り組んだ社員を協力者として称える「リクルーティングアワード」を開催。称賛されることでモチベーションも高まり、他の社員にも参加意識が芽生えます。

これらの取り組みにより、採用率が向上しただけではなく、社員一人ひとりが自社の魅力を語れるようになり組織全体の採用力アップに繋がっています。

リファラル採用を巡るトラブル

リファラル採用を巡っては、さまざまなトラブルも発生しているといいます。例えば、リファラル採用で入社した友人、あるいは紹介者が後に退職したケースでは、会社の情報が筒抜けになる可能性があります。一方が退職したことによって、残された社員のモチベーションも下がるかもしれません。

さらに不採用になった場合では、人材の紹介者と候補者、紹介者と企業の関係が悪化する可能性があります。また、プライベートで付き合いのある人や、大学時代の同期などが数多く入社すると、社員の横のつながりやコミュニティーが築かれにくくなるでしょう。最悪、組織内に馴れ合いが生じ、業務に支障をきたす例も少なくありません。

採用手法のニューノーマルになりつつあるリファラル採用

より優秀な人材を確保するために、待ちの採用ではなく攻めの採用であるダイレクトリクルーティングが注目される昨今。その中で、素性の知らない相手ではなく、自社で働く社員が「紹介したい」と思える人物をピックアップしてくれるリファラル採用は、HR領域のニューノーマルといえるでしょう。企業の規模や知名度に関係なく、求める人材と繋がるチャンスを得られる点も大きな魅力です。これまで、あらゆる採用手法を試しても良い結果が得られずに悩んでいる方は、ぜひこの機会にリファラル採用を導入してみてはいかがでしょうか。

  • 人材採用・育成 更新日:2022/06/07
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