【2025年版】介護法人の採用担当者が知っておきたい、介護業界の最新転職動向【介護職採用シリーズ _vol.11】
介護職の多くは、より働きやすく条件の良い職場を求めて同じ介護業界内で転職します。介護法人は、できる限り職場環境や条件面を整えて、そのような業界経験者を少しでも多く獲得することが重要です。
ただ、介護法人間の人材獲得競争が激しいため、経験者だけをターゲットにしていても、なかなか採用人数は増えないかもしれません。人手不足を解消するには、異業種・別職種の未経験者も積極的に採用していく必要があります。
未経験者を採用できる大きなチャンスが新卒採用です。とくに人数が多い一般大学卒の未経験者をターゲットにすると、採用人数を大きく増やせる可能性があります。これまで中途採用だけに頼ってきた法人は、ぜひ新卒採用を検討するのはいかがでしょうか。新卒採用の始め方やポイントについては、下記の記事が参考になります。
中途採用で未経験者をターゲットにする場合、求人票や求人広告では、介護の仕事内容をわかりやすく伝えたうえで、利用者の役に立てる、感謝されるといったやりがいを強調すると効果的です。自法人の強みや特徴に応じて非正規労働者、第二新卒者などにターゲットを絞り、その価値観にマッチするキーワードを盛り込むのもよいでしょう。
たとえば派遣社員のような非正規労働者をターゲットにする場合は、安定した就労ができる点や福利厚生が充実している点を打ち出すと心に響く可能性があります。また、26歳くらいまでの第二新卒者をターゲットにするのであれば、職場に20代の若手職員が多いことをアピールすると、興味を持ってもらいやすいでしょう。
異業種・異職種のなかでも、とくに介護職への転職を促しやすいのが、飲食店やホテルなどで働くサービス職です。前出のマイナビの調査でも、サービス職は、異職種への転職率が全職種のなかでもっとも高いことがわかっています。
飲食店やホテルでの接客業務では、介護職と同様、利用客一人ひとりの性格や行動パターンに合わせて細やかに対応するスキルが求められます。また、飲食業界では、若いうちからマネージャーとして店舗運営やスタッフ育成を任される人も少なくありません。
サービス職をターゲットにする場合、介護現場でも前職で身につけた対人コミュニケーションスキルを活かせること、マネジメント経験があればリーダーや主任になったときに活かせることをアピールしながら自法人への魅力づけを行うと、スムーズに介護業界に流入してもらえる可能性があります。
【「医療・福祉・保育・教育・通訳」職種が勤め先にあると望ましいと答えた人事施策TOP5】
①週休3日制
②退職金制度
③家族手当・住宅手当
④能力に応じた昇給制度
⑤経験年数に応じた昇給制度
※出典:マイナビ「転職活動における行動特性調査 2024年版(2024年7月調査)」
とくにトップの「週休3日制」は、2位以下を大きく上回る結果になりました。転職者全体の結果でも、同様に「週休3日制」がトップでした。
近年、労働力不足の解消を主な目的とした働き方改革は、日本社会全体の大きな課題となっています。また、政府は、デジタル時代を支える人材育成のために、副業・兼業やリカレント教育を推進しています。そこで、ワークライフバランスの実現、副業や学びのための時間確保につながる取り組みとして注目を集めているのが、週休3日制です。
2021年に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」にも、週休3日制の普及を図ることが盛り込まれました。以降、大企業や一部の地方自治体を中心に、積極的に週休3日制を導入する動きが見られます。
上記のマイナビの調査結果からは、週休3日制が、最近の転職者のニーズにもマッチしていることがわかります。背景には、プライベートの時間を十分に確保して、家族との時間や副業などにあてたいと望む労働者が増えていることがあると考えられます。
介護業界においても、週休3日制を導入する法人は少しずつ増えています。すでに導入済みの法人は、求人情報のタイトルや見出しなどに加えて、求職者に向けてアピールしましょう。
ただ、人手不足で休みにくい職場もまだまだ多いのが介護業界の実情です。週休3日制という言葉だけを記載すると、求職者のなかには「制度があるだけで実際には休めないのでは?」と疑いを持つ人もいるでしょう。自法人が週休3日制を導入した理由や思い、実現に至るまでの体制づくりの経緯などをあわせて記すと、説得力が増し、訴求力が高まります。
なお、上記の2位以下の制度は、すでに導入している介護法人が少なくありません。まだ実現していないものがあれば、ぜひ導入を検討しましょう。
続いて、転職者に「前職・現職の年収額」を聞いた調査の結果を見てみましょう。転職者全体の平均額を比較すると、前職で501.2万円、現職で506.4万円と、異業種または同業種へと転職することで年収額が数万円増加しています。前職の職種別に見ると、「医療・福祉・保育・教育・通訳」は、前職で421.5万円、現職で448.8万円と、転職によって年収額が30万円近く増加しています。また、「転職パターン」を見ると、業種・職種ともにチェンジした層と同職種のまま業種をチェンジした層が多くなっています。
一方、現職の職種が「医療・福祉・保育・教育・通訳」の人に転職後の年収の変化を聞いた調査では、「転職後、前職より年収が下がった」(34.9%)が「前職より年収が上がった」(23.6%)を上回っています。
※出典:マイナビ「転職活動における行動特性調査 2024年版(2024年7月調査)」
これらの調査結果からは、業種チェンジを中心とした転職によって、年収が上がる傾向があることが読み取れます。とくに介護業界は他業種と比べて年収が低い傾向があるため、介護業界から異業種に転職すると年収アップにつながるケースが多く、逆に異業種から介護業界に転職すると年収が下がるケースが多いと考えられます。
異業種から介護法人に応募する求職者のなかには、介護職は給料が安いというイメージを持っている人が少なくありません。もしそんな人に、転職しても年収が変わらないか、入職後に資格を取ることで上がることを伝えられれば、介護の仕事に興味を持ってもらえる可能性が高まります。
たとえばサービス職、非正規労働者といったターゲットに応じて、その平均年収額と同程度か、より高い給与を出せる法人は、求人情報に入職後の年収額や昇給イメージを盛り込むことが大切です。求人情報に掲載できなかった場合は、面接や内定者面談の際にアピールしましょう。
さらに、国の取り組みによる介護業界の賃金アップの動きが今後も続く見込みであることも、求人情報や説明会、面談の場などで伝えられるとよいでしょう。
近年、転職者全体の「前職における勤続年数」は、短くなる傾向があります。最新の調査では、「1年未満」と答えた人の割合が20.1%と、2021年の調査開始以来、初めて2割を超えました。「1年未満」と「1年以上3年未満」と答えた人も合わせると4割を超えており、一つの職場に3年も勤めずに転職する人が多いことがわかります。
「医療・福祉・保育・教育・通訳」職種では、1年未満合計の割合は17.8%と全体より低いものの、「6ヶ月以上~1年未満」の割合は12.1%で、全体平均の9.0%より高くなっています。また、早期離職の印象について転職者全体に尋ねた調査では、自分のキャリアにとって早期離職が「プラスになる」と答えた人が4割以上という結果が出ています。
※出典:マイナビ「転職活動における行動特性調査 2024年版(2024年7月調査)」
これらの調査結果からは、最近の労働者には、自分に合わない職場、成長につながらない職場に早めに見切りをつける傾向があることがうかがえます。転職に踏み切る理由や背景は個人・世代によってさまざまではありますが、早期離職をポジティブに捉える人の割合は増えているようです。
- 人材採用・育成 更新日:2025/01/13
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