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求人サイトと人材紹介の違いとは? それぞれの特徴を踏まえて採用を成功させるためのポイント

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採用にはさまざまな手法がありますが、代表的なものが求人サイトと人材紹介です。それぞれの特徴や、求職者・人事担当者・人材会社がどのように接点を持つかを理解した上で、自社に適した手法を選ぶこと、また候補者への対応を行う事が重要です。
今回は、マイナビで長年、求人サイト営業を担当してきた茅野、キャリアコンサルタントとして求職者を支援する鎌田に求人サイトと人材紹介、それぞれについてうまく活用する方法を聞きました。

このインタビューに答えた社員

  • $タイトル$
  • 転職インサイドセールス部 部長 茅野 航太

    2012年よりマイナビ転職(求人サイト)の営業として約10年間、大手から中小企業までのクライアントの中途採用に携わる。 2022年6月よりインサイドセールス部へ異動し、戦略的市場分析を担当。

 
  • $タイトル$
  • 転職キャリアパートナー統括部 部長 鎌田 ゆうか

    2012年新卒入社。マイナビ転職(求人サイト)の営業を経験した後、2020年より転職キャリアパートナーへ異動し求職者と企業のマッチングを行う成果報酬サービスに従事。

ページ上の各種情報は2022年11月時点のものです。

Q求人サイトとはどんなものなのか、特徴を簡単に教えてください。

茅野航太(以下、茅野):求人サイトは、サイト上に企業が求人広告を掲載し、それを見た求職者が応募するという仕組みになっています。ほとんどの求人サイトでは求職者は誰でも無料で登録できるので、ユーザー数が多く、多くの求職者に求人情報を届けられます。そのため、一般的には総応募数は多く集まる傾向があります。また、全国どのエリアの企業でも求人広告を掲載でき、全国規模で募集できるのも特徴です(ただし、一部には募集できる企業のエリアを限定しているサイトもあります)。

求人サイトは、営業担当者やライターなどの広告制作スタッフが企業の人事・採用担当者や現場の社員にヒアリングをして、その内容をもとに制作します。求人サイトを見て応募してきた候補者と日程調整をはじめとしたコミュニケーションをとり、選考を進めるのは、企業の人事・採用担当者自身です。求人サイトの営業担当者は応募状況に合わせて、広告内容の変更の提案などのサポートやアドバイスをします。

Q求人サイトと人材紹介経由の応募者に、違いはあるのでしょうか?

茅野:たしかに求人サイトでは、提出書類をきちんと書けていないケースが多くなる傾向があります。不完全な書類が多いのは、職務経歴書などの書類を書き慣れていない人が多いのも要因でしょう。しかし、だからといって求人サイト経由の応募者が、人材紹介の利用者に比べて能力が低いわけではありません。

人材紹介では、求人サイトの登録者に対してオファーを出す、自社の人材紹介サービスへ登録してもらうといった方法で求職者を集めています。集めた求職者たちに対して、履歴書や職務経歴書の添削を行い、企業にマッチする人材を選んだうえで紹介します。いわばプロがサポートし、フィルターにかけたうえでの紹介ですから、マッチング度や能力が高く感じられて当然なのです。

求人サイトの応募者の書類に不備が多いもう一つの要因として、企業が求めている情報を応募者が把握していないという事情があります。そのため、求人サイトの応募者の提出書類には、人事側が書いてほしい情報や、書類選考を通すための判断基準となる情報が書かれていないことが多いのです。ですから求人サイトでは、単に書類に情報が書かれていないだけで本当は選考に進めるかもしれない応募者を書類選考で落としてしまっている可能性があります。

一方の人材紹介では、企業ごとにどういう基準で書類選考を通すかを担当者が把握しているケースが少なくありません。それをもとに求職者の書類指導をしているので、基準を満たす書類になりやすいのです。

求人サイトを利用する際には、このような求人サイトの特徴と人材紹介との違いを理解しておく必要があります。さらに広告の原稿に、どういう人を求めているのかを明確に記載し、どんなことを職務経歴書に書いておいてほしいのかを補足しておくと、企業が求めている情報を得やすくなります。

Qでは、次に人材紹介サービスのスタッフである鎌田さんに伺います。人材紹介とはどんなもので、求人広告とどう違うのかを簡単に教えてください。

鎌田ゆうか(以下、鎌田):人材紹介は、求人をしている企業に求職者を紹介するサービスです。求職者が自分の判断で自由に応募できる求人広告と違って、人材紹介では間にキャリアコンサルタントを挟んでいて、企業の採用基準にマッチする候補者だけを紹介します。この点が最大の違いです。

Q人材紹介のキャリアコンサルタントは、企業に候補者を推薦するまでに、候補者に対してどんな対応をしているのでしょうか?

鎌田:最初に行っているのは、候補者との電話面談です。電話で候補者と接触して、候補者の経験やスキル、転職理由、希望する条件などを確認し、ヒアリングでさらに深堀りし、候補者の個性や人柄を把握します。ちなみに、私のチームは候補者の手間を省くためにも電話にしていますが、オンラインで顔を合わせて面談するケースもあります。

次に、履歴書、職務経歴書の添削を行います。人材紹介では、転職サイトの応募者が提出するWeb履歴書やWeb職務経歴書ではなく、面接時にも持っていける一般的な書式の履歴書・職務経歴書を候補者に作成いただいています。面談で話した内容をもとに、文章の構成などをチェックして、よりわかりやすくアピール性が高くなるようアドバイスします。

求人サイトでは、この後に応募者が自身で興味のある企業に求人に応募しますが、人材紹介の場合は、まず候補者に企業の紹介をします。候補者の希望条件とマッチする求人のほかに、面談の内容を踏まえて、私たちがその方の経験やスキルを活かせると考える求人も紹介します。その結果、候補者が応募を決めた企業には、候補者を推薦します。

Q候補者を企業に推薦した後は、どのように候補者をフォローしているのですか? 特に面接前後のフォローについて詳しく教えてください。

鎌田:企業に人材を推薦した後、その候補者が企業側の書類選考を通過した場合は、企業から面接の候補日を聞いて候補者に伝え、日程調整をします。その際に、候補者から「対面では難しいが、オンラインなら対応できる」「仕事があるので午後6時以降にしてほしい」といった希望が出れば、企業側に可否を聞いて候補者の都合に合わせてもらえるように交渉することもあります。

面接前には、面接対策をしています。特に力を入れるのが想定質問の確認です。転職面接で面接官が候補者にする質問は、主に、職務経歴(自己紹介)、転職理由、退職理由、転職軸、志望動機、強み、キャリアビジョンの7項目だといわれています。それぞれについて候補者がうまく答えられるかどうか、転職理由から志望動機までが一貫しているかどうか、転職軸・志望動機が応募先の企業とマッチしているかどうかを確認して、改善のためのアドバイスをします。

候補者の応募先の企業・業界への理解度を確認して、企業リサーチを徹底していただくことも欠かせない対策です。さらに、こちらからは応募先の企業の魅力づけを徹底し、面接では志望意欲の高い状態で送り出すことを目標にしています。

面接後は、企業・候補者の双方からフィードバックを聞き取り、双方に連絡します。その上で、候補者の所感と志望度を確認し、志望度が高ければ企業にその候補者をプッシュします。志望度が下がっている場合は、懸念点を洗い出して企業側と情報共有や交渉をしながら払拭していきます。また、今後の別の候補者の選考をスムーズに進める事を目的として、企業側がどんな質問をしたのか、候補者からはどんな逆質問をしたのかもヒアリングします。

最終的に内定が出た候補者に対しては、これまでに伝えきれていない情報を補足して、さらに動機づけをします。候補者を内定承諾に導けるよう、企業に内定後フォローの方向性をアドバイスしたり、候補者に代わって年収額などの条件交渉をしたりすることもあります。

Q並行して他社(紹介した企業以外の企業)を受けている候補者に対しては、どのように働きかけをしていますか?

鎌田:候補者の他社選考状況は随時確認しています。さらに私たちが紹介している企業が今、志望度で何番目なのかも常に把握するようにしています。2番目以下なら、他社と比べて評価が低い点を洗い出し、候補者の疑問や不安をクリアにしたり、弱点に代わる魅力ポイントの情報を企業から引き出したりして、クライアント企業への志望度が上がるよう候補者に働きかけていきます 。

Q求人サイトに効果的な求人広告を掲載している企業はどんな努力をしているのでしょうか?企業が求人サイトをうまく利用するコツを教えてください。

茅野:ポイントは主に3つあります。まず1点目に、人事と現場で求める人材像のすり合わせができていて、採用基準が統一されている必要があります。採用基準が漠然としていると、広告の内容も情報不足でわかりにくくなりがちです。また、人事と現場で採用基準がずれたまま人事主導で広告を作成すると、現場のイメージと異なる人材からの応募が多くなり、歩留まり低下につながります。

2点目は、広告の原稿を作成するためのヒアリング時に、求人サイト側の営業担当者らと綿密にコミュニケーションを取って、自社の魅力をしっかり汲み取ってもらうことです。というのも、求人サイトでは、自社ならではの魅力を打ち出せるかどうかで応募数や歩留まりが大きく左右されるからです。

マイナビの調査では、最近の求職者は転職活動において、「職場の人間関係」と「給与」の2つをほぼ同程度に重視していることがわかっています(※)。
※出典:マイナビ「転職動向調査 2022年版(2021年実績)」(2022年1月調査)

給与額については具体的な額を提示するしかないため、広告では、職場環境の良さや社風の魅力ポイントを重点的にアピールしていく必要があります。自社の魅力を広告でうまくアピールできれば、有効応募やマッチング率の向上が期待できます。

3点目に、求人サイトの営業担当と企業の間で、「応募→書類選考→面接設定(日程調整)→面接→内定→内定承諾→入社」という各フェーズでの歩留まり(次のフェーズに進んだ人の割合)や辞退率を共有する事も有効です。歩留まりや状況がわかれば、課題がどの過程にあるか把握できるのでそれに応じて営業担当者から改善策を提案できるからです。

Q求人サイトの営業担当と企業で歩留まりを共有する必要があるとのことですが、歩留まりが低い場合にどんな改善策を提案していますか?

茅野:書類選考の結果、有効応募が少ない場合には、履歴書・職務経歴書の内容だけで判断せずにまずは応募者に会ってみることを提案しています。なぜなら最初に説明したように、求人サイトの応募者には履歴書・職務経歴書を書き慣れていない人も多く、誰かに添削してもらっているわけでもないからです。書類がアピール性に乏しいというだけで落としていると、良い人材を逃しかねません。また、どのようなことを職務経歴書に記載すべきかを応募者が把握しきれていない可能性もあるので、広告の原稿に記載している人材要件の表現方法を変更・追記することも有効かもしれませんね。

ほかに、担当する企業からよく相談されるのが、応募者が面接に来ない無断キャンセルの悩みです。対策の一つとして、エントリーが来たら必ずその日に応募者にメールを送って、翌日には、夕方などの相手が出やすい時間帯に電話で連絡するようにと、企業の採用担当者にアドバイスしています。

というのも、求人サイト経由で応募が来た後にメールで日程調整をするだけだと、競合他社に比べて応募者と接触する機会が少ない可能性があるからです。何もしなければ、他社に良い人材を持って行かれてしまい、キャンセルが増える一方になります。 他社の採用手法はさまざまですが、人材紹介を利用しているケースと同水準までは難しいかもしれませんが、それを目指して応募者との接触機会を増やすことで、歩留まり改善を図っています。

  • 求人サイトをうまく活用するポイントまとめ

    • 人事と現場で求める人材像についてすり合わせをして採用基準を明確にしておく
    • 求人サイト側の担当者と綿密にコミュニケーションを取って、自社の魅力をしっかり汲み取ってもらう
    • 求人サイトの営業担当と企業の間で、採用フローの各フェーズの歩留まりを共有しておく

    Qでは、人材紹介サービスを最大限に活用するためには企業はどんな努力をすればいいのでしょうか?工夫すべきことを教えてください。

    鎌田:主に2点あります。まず1点目は、企業が人材紹介会社に十分な量の情報開示をすることです。最終的にマッチさせることが人材紹介のゴールなので、人材紹介会社では、「この採用基準のA社だったらこの候補者は合いそう」というところまで考えて候補者に求人を紹介しています。

    ですから、採用基準については必ず現場と人事で統一して、人材紹介会社にも必ず共有いただきたいですね。面接官が誰なのか、採用の決定者が誰なのか、その方の最終的な選考判断基準は何かといった情報も役立ちます。

    2点目は、推薦後の選考スピードを高めることです。最近の転職者は、複数の企業に同時に応募するのが一般的です。私のチームでは、候補者に、初回で最低5〜6社は応募してもらうように勧めます。最終的には2社から内定を獲得して、最後に比較検討をしてから1社に決めるという流れを想定しています。

    複数社を検討するなかで選考スピードが遅い企業があると辞退やキャンセルの原因になるため、選考や候補者への返信・連絡は可能な限り急がなければなりません。人材紹介を利用する企業の人事・採用担当者には、「エントリー後、書類選考結果は3営業日以内に返してくださいね」などとフェーズごとに具体的にアドバイスしています。

    Q企業に候補者の推薦が来ない場合、何が原因なのでしょうか?

    まずは、選考基準が明確になっていない可能性が考えられます。その場合、人材紹介会社としては、どういう人を推薦すれば書類や面接を通過できるかわかりませんから、推薦しにくいのです。 また、以前に人材紹介会社から紹介を受けた際にレスポンスが遅かった場合は、それが原因かもしれません。選考スピードが遅くなりそうな企業に紹介すると、書類合格の連絡が来る頃には、その候補者は他社の選考で先に進んでいると予想されます。結局、辞退につながる可能性が高いので、推薦するのはためらわれます。
    そのほか、求人企業の特徴や魅力が人材紹介会社に伝わっていない可能性もあります。この状態だと人材紹介会社が求職者に企業を紹介しにくいため、推薦の機会が少なくなってしまいます。

  • 人材紹介をうまく活用するポイントまとめ

    • 企業が人材紹介会社に、採用基準をはじめ、面接官は誰か、採用の決定者が誰なのか、その方の最終的な選考判断基準は何かといった選考に関する情報を詳細に開示する
    • 推薦後の選考スピードをできる限り高める

    Q最後に、採用手法の選び方についてアドバイスをお願いします。

    茅野:まず前提として、自社の採用ターゲットに合う採用手法を選ぶ必要があります。例えば先述の通り、求人サイトは一般的には総応募数が多くなりやすく、全国規模で募集できるので、採用したい人数が多い企業や全国の求職者をターゲットにしたい企業に向いています。ただし、求人サイトを利用する場合、採用担当者は、人材紹介のキャリアコンサルタントが求職者に対して行っているような細やかなフォローを心がける必要があるでしょう。

    一方の人材紹介は、各応募者の他社での選考状況を確認しながら自社の魅力づけを行う事に不安がある企業、担当者が採用以外の業務を兼務していて、求職者との連絡や調整にリソースをさけない企業に適しています。ただし、これらの業務をプロのキャリアコンサルタントが代行してくれる分、採用が決定した場合は相応の費用がかかります。

    鎌田:採用手法にはそれぞれに特徴があるため、予算に応じて複数の採用手法を利用することをおすすめします。例えば求人サイトは一般的に、広く多くの応募を集めやすい点がメリットですが、結果的に採用できなくても費用がかかる、人材紹介に比べると人事・採用担当者の負担が大きくなる傾向があります。

    人材紹介は、マッチング率が高く、採用できなかった場合は費用がかからない点がメリットです。ただ、有効応募を集めるという採用フローのなかでも手間のかかる部分を請け負うため、人事・採用担当者の負担が少ない分、採用のノウハウを得にくい部分もあります。また、もちろん人材紹介会社に企業の魅力などの情報開示や選考スピードも求められます。

    茅野:売り手市場が続く近年の採用市況を踏まえると、企業ごと、募集職種ごとに適した採用手法を選んだうえで、その採用手法だけでは不足する部分を別の採用手法で補っていくことも重要です。特に、より多くのターゲットに興味を持ってもらうためには、求人票や広告での発信だけでは情報量に限界があります。

    そのため、ブログで社内のイベントやサークル活動の様子を発信する、採用サイトに社員のインタビュー動画やインタビュー記事を掲載するといった採用広報の施策を実施していく必要があるでしょう。加えて、候補者が企業を知ってから採用されるまでの各フェーズでの候補者体験を向上する地道な企業努力も求められています。

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