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働き方改革と賃上げの好循環をめざして【賃上げと業績アップ実現シンポジウム 2024】(セッションサマリーレポート)

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働き方改革と賃上げの好循環をめざして

政府の働きかけもあり、多くの企業で、企業努力により賃上げが実施されています。賃上げは従業員のモチベーションアップ、人材流失の防止や人材の採用などメリットが大きいもの。特に人材確保に苦戦する中小企業では、6割が給与アップを計画しており、さらに6割の企業で業績改善が見込めず、価格転嫁できないまま、売り上げに先行して給与だけ上げているという背景もあります。こうした短期的な対策ではなく、持続性のある賃上げを実現するためには、様々な角度から構築された新しいノウハウが必要になってきます。

マイナビでは、2024年6月に賃上げに取り組む企業の皆さまを全力で応援すべく「給与アップ応援プロジェクト」を発足し、8月に「賃上げ」をテーマに初のシンポジウムを開催しています。シンポジウムでは産学官の識者がそれぞれの立場から、賃上げや業績アップの実現方法、働き方改革と賃上げの相関関係、経営への効果などについてセミナーを開講、賃上げに役立つ知識やノウハウを発信。

企業と求職者を仲介するメディアとして、こうした情報発信が、企業の皆さまの業務改善や働き方改革、生産性の向上につながるきっかけになるよう、サポートとして参りたいと考えています。

各セミナーの詳しい内容は以下のレポートでお読みいただけます。


登壇者の紹介・講演概要


【セミナー 1】
「賃上げ政策で実現する新しい日本の未来、総理補佐官の視点より」
基調講演 政府内の議論について

  • 基調講演「賃上げ政策で実現する新しい日本の未来 ~総理補佐官の視点より」(レポート#1)
  • 矢田 稚子 氏 内閣総理大臣補佐官、賃金・雇用担当

    1984年松下電機産業株式会社入社、同社労働組合中央執行委員を経て、2014年よりパナソニックグループ労働組合連合会 副中央執行委員、電機連合男女平等政策委員長。2016年から2022年まで参議院議員をつとめ、2023年9月より現職。政府においては、賃金・雇用を担当し、2024年4月からは「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」において座長を務める。

講義概要

各企業の賃上げは上昇傾向だが、売り上げに先行した防衛的賃上げも少なくない。そうした短期的な施策ではなく、持続性のある賃上げを実現するためのサポートとして、政府は促進税制や助成金を提供している。働き方改革や女性活躍の推進とセットで考え、取り組みを進めながら、制度を活用して業績を上げ、賃上げを実現する方法について解説する。

目次

  • 賃上げは上昇傾向が続く

    ① 実質賃上げは+5%
    ② 最低賃金が全国一律+50円に

  • 賃上げに活用してほしい促進税制と助成金

    ① 賃上げを持続させるための税額控除
    *最大45%、賃上げや働き方改革で控除率アップ
    *「くるみん」や「えるぼし」認定で控除率が上乗せに!
    *繰り越し控除制措置について
    ② 設備投資費の大半が返ってくる助成制度
    ③ キャリアアップへの取り組みも助成対象
    *非正規社員の基本給アップを助成するコース
    *社会保険料を助成でカバー、年収の壁突破応援コース

  • 女性の職業生活における活躍推進プロジェクト
    「男女間賃金格差の解消に向けた職業環境の改革」について

    ① 世界と比較して、日本の男女の賃金格差は依然大きい
    ② 追加で労働供給を望む女性は290万人

※この講演は2024年8月7日に行われたものです。

【セミナー 2】
「持続的な賃上げを可能にする、生産性の向上、データ解析の結果から」
データでわかる勝てる人的資本経営の本質

  • 山本 勲 氏
  • 山本 勲 氏 慶應義塾大学商学部教授/慶應義塾大学経済研究所パネルデータ設計・解析センター長/ブラウン大学博士(経済学)

    日本銀行企画役などを経て現職。専門は労働経済学。主な著書として、『コロナ禍と家計のレジリエンス格差』(編著)慶應義塾大学出版会2023年、『人工知能と経済』(編著)勁草書房2019年、『実証分析のための計量経済学』中央経済社2015年、『労働時間の経済分析』(共著)日本経済新聞出版社2014年(第57回日経・経済図書文化賞受賞)。

講義概要

経済理論やデータ解析の視点から考えると、持続的な賃上げには、経営改革による生産性向上が不可欠。調査でわかった客観的エビデンスから得た3つの改革案を紹介。改革を通して、適正な賃上げを実現するための経営戦略を解説する。

目次

  • 賃上げの構造を考える

    ① 持続的な賃上げには生産性の向上が不可欠
    ② スマートワーク経営は賃金アップにどう影響するのか?
    ③ 生産性向上につながる3つの取り組み

    1)働き方改革(長時間労働の是正)

    *労働時間が減っても利益率は変わらない
    *長時間労働の是正はメンタルヘルスにも良い

    2)健康経営や人的資本経営などの経営改革

    *健康経営指数と利益率は比例関係にある
    *人的資本経営で注目されるエンゲージメント
    *従業員の睡眠時間と業績の相関関係

    3)新テクノロジーの導入による生産性向上効果

※この講演は2024年8月7日に行われたものです。

【セミナー 3】
「残業が減って給与は上がる、新しい経営で勝ちに行く3000社の改革事例」
働き方改革を実施し、賃上げを実現する方法や事例

  • 小室 淑恵 氏
  • 小室 淑恵 氏 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長

    3000社以上の企業へのコンサルティング実績を持ち、残業を減らして業績を上げる「働き方改革コンサルティング」の手法に定評がある。働き方改革コンサルティングで支援した企業では10%前後のベースアップを実現する事例が増えている。安倍内閣 産業競争力会議民間議員、経済産業省産業構造審議会、文部科学省中央教育審議会などの委員を歴任。著書に『プレイングマネージャー「残業ゼロ」の仕事術』(ダイヤモンド社)『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例 20 社』(毎日新聞出版)『6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)『男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる』(共著、PHP 新書)等多数。「朝メールドットコム??」「カエル会議オンライン??」「介護と仕事の両立ナビ」「ワーク・ライフバランス組織診断」「育児と仕事の調和プログラムarmo(アルモ)」等の WEB サービスを開発し提供している。「WLB コンサルタント養成講座」を主宰し、2000名の卒業生が全国で活躍中。私生活では二児の母

講義概要

3000社の働き方改革をサポートした経験から、有給のフル消化、残業ゼロ、時短、自宅勤務など多様な働き方を受け入れても、十分に業績を上げられる方法論について解説。複数業種にわたる実際の改革実例を交えながら、生産性向上、ベースアップにつながる具体的改革ノウハウを伝授する。

目次

  • 「新しい休み」で離職率ゼロへ


  • 働き方を変えても競争に勝てるのか?

    ① 人口ボーナス期の終焉 ルールが変わる
    ② 人口オーナス期に勝てる戦略とは
    ③ 脱・ギリギリ悪循環に効く「業務間インターバル」
     

    働き方を変え、給与と業績がアップした4事例

    ① 2018年まで長時間労働、男性中心企業だった大手アパレル
    ② 雪国の製造業、長時間労働で採用に苦戦
    ③ 100人採用しても105人辞めてしまう、寿司チェーン店
    ④ 大手の不動産管理業、1億8600万円を社員に還元

  • 4つのステップで改革を実践

    ① 朝・夜メールで仕事効率アップ
    ② 2週間たったら「カエル会議R」
    ③ 働き方改革成功のカギは経営の意思決定

※この講演は2024年8月7日に行われたものです。

まとめ

シンポジウムで開講したセミナーでは、産学官それぞれの専門家を迎えて、様々なジャンルから賃上げのノウハウをお届けしました。政府の賃上げ促進政策、生産性向上の方策、社内改革の具体例など、各分野からの方法論が展開されるなか共通してお伝えしたいポイントは、やはり働き方改革の実践です。

持続性ある賃上げを実現するには、まず働く人が活躍できる職場をつくることが第一。それによって生産性が上がり、利益を還元でき、賃上げによってさらにモチベーションが上がる好循環につながっていく。人材確保の面でも、高い賃金とともに、働きやすい職場環境は企業の魅力として評価されています。セミナー後のQ&Aでも、賃金に関わる質問のほか、働き方改革や魅力発信についての質問も多数寄せられました。

  • 人事担当者から経営陣への賃上げの有効性を伝えるアイデアについて

  • すぐに賃上げができない中小企業で、原資を使わずに従業員に魅力を感じてもらう施策について

  • 政府として働き方改革にどのような新施策を実施していくかについて


マイナビでは、引き続き賃上げに取り組む企業経営者の皆様、経営陣に提言する人事関係者の皆様に役立つ情報発信を進めていきたいと考えています。

マイナビは、企業の継続的な成長と働く人たちの活躍を応援します。

生産年齢人口の減少や実質賃金の低迷など、経済成長に対する課題が山積する中、
『マイナビ転職 BEST VALUE AWARD』 は、未来に向けて変わる努力をしている優良企業を認定します。

働く人にとっても社会にとっても価値ある企業を世の中に増やしていくことを目的とする新しいアワードです。
ぜひ、皆さまの応募をお待ちしています。

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  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 経営・組織づくり 更新日:2024/10/18
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