インターンシップ・仕事体験の参加経験がある新社会人は現在の勤務先満足度が高い/2024年卒 入社半年後調査
新社会人の18.6%は就活時より勤務先満足度が上昇
就活時の入社予定先企業の総合満足度と、入社半年後(10月調査時点)の勤務先の総合満足度を、それぞれ5段階で聞いた。※1就活時の入社予定先満足度が高い(満足度4・5)割合は89.6%と、前年より4.7pt減少した。一方、入社半年後の勤務先満足度が高い割合は84.0%と、前年より4.9pt増加している。入社後の満足度変化に着目すると、23年卒(入社後15.1pt減)より、24年卒(入社後5.6pt減)の方が入社後の満足度の減少幅が少なかった。【図1】
※1勤務先満足度を、「不満である・やや不満である・どちらともいえない・やや満足している・満足している」の5段階で聞いた結果を、「満足度1・2・3・4・5」と表記
また入社前後で満足度が下降した割合は前年同値(40.1%)となったが、上昇した割合は18.6%(前年比9.8pt増)と、23年卒よりも入社後に満足度が上昇した人が多かった。一般的に入社直後はリアリティショック※2を感じやすいとされているが、24年卒は23年卒と比較してインターンシップ・仕事体験などの参加率も増加し、入社前の企業理解の機会の充実によって、リアリティショックが入社前に起こるケースもある。それにより就活時の満足度は低下するが、入社後のギャップが縮小すると推察される。【図2】
※2リアリティショック:現実と理想のギャップに衝撃を受けること。
新社会人の2人に1人が勤務先のインターンシップ・仕事体験に参加
参加経験者の方が現在の勤務先満足度が4.2pt高い結果に
現在の勤務先のインターンシップ・仕事体験に参加した割合は49.3%となり、調査を開始した20年卒以来、おおよそ右肩上がりで増加している。【図3】
インターンシップ・仕事体験の参加有無別に総合満足度を見ると、参加経験者の81.4%が勤務先の満足度が4もしくは5だったのに対し、不参加者は77.2%と、4.2ptの差があった。【図4】
さらにインターンシップ・仕事体験の参加日数に注目すると、1日よりも2日以上の参加者の方が満足度4もしくは5を選択した割合が多い。【図5】
総合満足度別に参加した内容についてみると、「グループワーク(企画立案、課題解決、プレゼンなど)」はいずれにおいても割合が高かったが、満足度5と3以下で最も差があったのは「実際の仕事のシミュレーション体験」の参加有無で、その差は23.9ptとなった。【図6】
インターンシップ・仕事体験に複数日程で参加したり、実際の業務に近いプログラムを経験したりすることで、企業理解が深まり、その後の勤務先満足度にも影響していると考えられる。
就職活動満足度が高い人の92.3%が現在の勤務先に満足
職種・部門の配属結果も勤務先満足度に影響か
就職活動を振り返ってみて、満足のいく活動ができたかを5段階で聞いた結果では、就職活動の満足度が高いほど、勤務先の総合満足度も高かった。就職活動を「満足している」と回答した人のうち総合満足度4もしくは5の割合は92.3%となったが、就職活動を「不満である」と回答した人では0.9%となった。【図7】
また自身の就職活動にあてはまるものを聞き、勤務先の総合満足度別に比較した。勤務先の総合満足度5のグループでは「運が良かった(56.4%)」「いい経験だったと思う(56.1%)」などポジティブな回答が多かったのに対し、総合満足度3以下のグループでは「大変だった・つらかった(42.4%)」「もう二度とやりたくない(35.3%)」などの回答が多く、就職活動に対してネガティブなイメージがあるようだ。【図8】
また配属先の職種や部門が希望通りだったかどうかを聞いた。もともと希望職種・希望部門がなかったという回答や、まだ配属先が決まっていないという回答も一部あるが、現在の勤務先の総合満足度別にみると、満足度が高いグループほど「はい(希望通り)」と回答した割合が多かった。【図9】
希望職種では、総合満足度5のグループでは80.1%が希望通りだったのに対し、総合満足度3以下のグループでは65.6%と、14.5pt差となり、希望部門では、総合満足度5のグループでは70.7%が希望通りだったのに対し、総合満足度3以下のグループでは41.3%と、29.4pt差となった。【図10】
新入社員の転職意向は過半数となるも、前年より減少
転職意向には「働く時間の長さ」が影響か
今後の転職意向について聞くと、転職意向がある割合は54.2%で、23年卒の57.2%から3.0pt減少した。【図11】
「仕事に疲れた、つらい」と感じることがあるかを聞くと、全体で70.2%が「感じる(常に+時々)」と回答した。これを転職意向の有無で比較すると、転職意向なしのグループでは57.2%なのに対し、転職意向ありのグループでは81.1%と、23.9ptの差があった。【図12】
また、仕事に疲れを感じる理由を聞くと、24年卒全体で最も多かったのは「仕事量が多い(41.1%)」だった。転職意向の有無で最も差が開いたのは「働く時間が長い」で、転職意向なしのグループでは18.0%であるのに対し、転職意向ありのグループでは35.7%と17.7pt差となり、長時間の勤務は仕事疲れや、転職意向に繋がる可能性が示唆される。【図13】
「人生100年時代」に向けた今後の働き方として、働き続けたい年齢上昇
ワークライフバランス重視、早期リタイアやFIREなど、キャリア観が浮き彫りに
人生100年時代に向けた働き方として何歳まで働きたいかを聞くと、24年卒の平均は64.2歳となり、前年の61.9歳から2.3pt増加した。経年の傾向をみると、特に文系女子、理系女子の働きたいと考える年齢が高くなっていることがわかる。【図14】
また「人生100年時代」に向けた今後の働き方として考えに近いものを聞くと、前年に引き続き「ワークライフバランスを重視してそこそこ働ければいい(48.1%、対前年3.4pt増)」が最も多かった。「早期リタイア・FIREしたい(19.3%、対前年6.8pt増)」は特に回答率の増加が大きく、新社会人の新しいキャリア観が浮き彫りになった。【図15】
2024年卒の新社会人生活を表す漢字一文字、1位は「学」
今年の新社会人に、入社してから現在までの社会人生活を表した漢字一文字を聞くと、「学」が1位となった(前年2位)。選んだ理由は、「様々なことを学んで成長していると感じるから」「一年目は様々なことを吸収して学び続けなければならないと考えるから」など、生き生きと学びながら仕事に向き合う様子がうかがえる。2位以下は「楽」「忙」「苦」「変」など、前年も上位だった漢字がランクインした。
彼らの就職活動時に自分の就職活動を漢字一文字で表すと何か聞いた際に1位となった漢字は「楽」だった※。選んだ理由としては、「試行錯誤しながら取り組んだことに楽しさを感じた。」「初めてのことで手探りもあったが、結局楽しんでできたから。」といった回答が挙げられ、就職活動そのものにも楽しさを見出していた人もいたようだ。この「楽」という漢字は新社会人生活を表す漢字一文字でも2位にラインクインしているが、1位の「学」は就職活動時のTOP10にはランクインしていない。社会人になって「学」びの多い環境に様変わりしたように感じている人が多いのだろう。【図16,17】
- 調査・データ 更新日:2024/12/11
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