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エンジニア人材の志向を理解した選考デザインと対話が採用成功のカギ!

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さまざまな業界でDXの重要性が叫ばれるようになり、急速に注目を集めているエンジニア採用。サポネットでは「先端IT人材特集」として先端IT人材の採用のヒントを紹介してきました。

一方で、実際に高度な専門性を持つ情報系学生を採用していくために何をすべきか、迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回お話を伺ったのは、特に高度な技術を備えている「競技プログラマー」の新卒採用実績が豊富なフューチャーアーキテクト株式会社の盛岡美菜さんです。
ポイントは、先端IT人材が活躍しやすい環境とカルチャー、そして自社が求める人材の特性を理解した選考デザインでした。

― 先端IT人材の採用について伺う前に、まずは事業内容を簡単にご説明いただければと思います。

盛岡さん: 弊社は「経営とITをデザインする」を掲げ、お客さまの経営課題をITで解決するITコンサルティング事業を行っています。

技術への深い理解を武器に経営改革をけん引し、お客さまの未来価値を最大化するというのがミッションです。お客さまとともに未来を描いていくコンサルティングから、それをITで具現化し、価値を生み出すところまで一気通貫で携わっているという点が特徴です。

最終成果物を具体的にイメージできる人がお客さまに提案しますので実現可能性が高く、また、最後まで責任を持ってプロジェクトを推進できることが弊社の大きな強みですね。

― なるほど。御社では技術力の高い競技プログラマーの獲得に成功していると伺っています。そういった学生がコンサルティング職に就くということもある、ということでしょうか。


盛岡さん: 弊社は技術職・コンサルタント職のように職種が分かれていません。「ITコンサルタント」職のみの採用で、いわば全員がコンサルタントでもありエンジニアでもあります。技術・コンサル・業務など特化した領域で強みを生かす人もいれば、バランス型でスキルを伸ばす人もいます。職種という枠に縛られず、自身の強みやキャリアの志向性によって活躍の場所を広げていくことが可能です。

弊社では2018年からAtCoder(※1)とのコラボレーションで「HACK TO THE FUTURE(通称:HTTF)」というコンテストを開催し、競技プログラマーの採用もしています。

競技プログラマーといっても志向はさまざまです。技術を突き詰めていきたいタイプもいれば、お客さまと対面して提案やコンサルティングの力を高めたいタイプもいます。それぞれの志向に応じてチャレンジできる環境はありますので、自らキャリアを切り開いていっていただきたいと考えています。

※1 AtCoder:日本最大の競技プログラミングコンテストを実施している企業。サポネットでは社長の高橋直大さんにインタビューした記事も掲載しています。

参考:「先端IT人材」どう採用すればいい? 競技プログラマーを見続けてきたAtCoder 高橋直大社長に聞きました

― 競技プログラミングコンテスト「HACK TO THE FUTURE」はどのような狙いで開催を決めたのでしょうか。

盛岡さん: 一番の目的は、優秀な競技プログラマーに弊社のことを知ってもらいたいということでした。他社との差別化を意識して、実際に弊社が求めている人材像やカルチャーに合致する方に興味を持ってもらうために、8時間で勝負を競うマラソン形式のコンテストにしました。8時間というのは他社のコンテストに比べてもかなり長時間で、思考力や思考体力が試されます。

― フューチャーアーキテクトが求める人材像やカルチャーはどのようなものなのでしょうか。


盛岡さん: 弊社は業界内でも高い技術力が評価されて、他社で実現できなかった案件を任せていただくことや、前例のない業界初の案件も多く手掛けています。つまり、難しい案件が多いのが特徴なのですが、同時に、「難しいからこそ面白いし挑戦したい」というマインドを持った人たちが集まっているというのも特徴と言えます。

ですから、8時間という忍耐力が求められるコンテストで難題に取り組み、楽しみながら高い成果を出せる方はきっと弊社のカルチャーにマッチすると考えました。

― コンテスト開催までには、AtCoder社からのアドバイスもありましたか?


盛岡さん: もともと競技プログラミングの経験があった社員がコンテスト開催を発案してくれ、一緒に進めていきました。

企画段階からAtCoderの高橋社長にも入っていただき、弊社が求める人材像、カルチャーなどの要素を盛り込みつつ、特徴のあるコンテストにするにはどうしたら良いかと考えて、ともに「HTTF」らしさを創り上げていきました。

― 実際に効果はあったのでしょうか。

盛岡さん: はい、大きな効果がありました。まず、弊社が競技プログラマーを求めている会社だと認知され、優秀な人材が弊社に興味を持ってくれるようになりました。
先日、AtCoderが発表した学生競技プログラマーの就職人気ランキングではGoogleやヤフーと並んで弊社が4位にランクインしました。感覚値だけではなく、認知されていることが可視化されましたので、うれしい結果でした。

また、コンテストの開催から本選考に進んでもらう流れもうまく機能しています。実際に、コンテストをきっかけに入社した社員は新卒・キャリアともに何名もいます。

― いま選考のお話がありましたが、具体的にはどのようにされているのでしょうか?


盛岡さん: AtCoderのコンテストを通じて弊社には一定の興味を持っていただけています。ですが、すぐに選考に進んでもらうのではなく、より深くカルチャーを理解し、働くイメージを持ってもらうために、社員と交流するイベントをできるだけ多く開催するようにしています。

例えば、AIグループを中心に自社の事例や取り組みなどを座談会形式で紹介する「AI Day」というイベントや、技術部隊の若手社員が技術的な強みや自社の仕事の特徴などをお伝えする「Tech Night Web Session」というカジュアルな質問会などを行っています。また、選考の後半では学生の希望に応じた社員との面談も行います。社内の競技プログラマーに話を聞いてみたいというご要望があれば、適した社員と話す機会を設けるなど個々に対応しています。

― カルチャーとのフィット感や仕事の理解にかなり力をいれていらっしゃいますね。

盛岡さん: そうですね。ミスマッチを防ぎたいということもありますが、入社後も活躍してもらうためには、実際に働いている社員との対話を通して、自身が働く姿を明瞭にイメージできることが大切だと考えています。

実際、弊社では面接以外の接点を最低3回持つと、内定承諾率がぐっと上がるという分析結果も出ています。接点を重ねることで弊社のことを深く理解し、仕事そのものの面白さに惹かれて、意欲高く入社を決めてもらえるのだと思います。

― カルチャーへの理解、仕事の持つ魅力の理解を通じて優秀な学生が入社を決めてくれているとのことですが、実際に入社された後はどのように育成しているのでしょうか。


盛岡さん: 新人研修は3〜4カ月程度を目安としていますが、期間は人それぞれです。「手掛かりを提示するのみで自律的にゴールにたどり着けるプロフェッショナル人材に育てる」ことを目的としています。
ITに関しては、Javaやデータベース、WEB周りの技術要素などの基礎知識を自分の力で身に付けてもらいます。表面的な知識ではなく、口頭試問を通して技術の原理原則を深く理解していることを確認していきます。習得スピードにも差はありますので、早い人では2カ月で修了する人もいれば、4カ月程度じっくりと時間をかけて基礎を身に付けていく人もいます。

― 講習形式にするとよりスピードアップできそうに思いますが、「教える研修」を行わない理由を教えてください。

盛岡さん: 実際のプロジェクトで活躍できるプロフェッショナル人材にいち早く成長してほしいと考えているからです。ITコンサルタントの仕事は予め答えが決まっているものは一つもありません。自分で課題を見つけ、それを解決していくという自力を養うことがお客さまに貢献するための第一歩と考えます。

― 自社に取り入れようと思うと、ちょっと勇気のいる研修の形式かなと思います。


盛岡さん: そうかもしれません。弊社では、働き方にしろ、制度にしろ、一律に定めて推進していくことはありません。研修も教わるのではなく自発的に教え合うことを大切にしていますし、配属に関しても一人ひとりの希望やキャリアイメージを面談の中ですり合わせながら最適なプロジェクトにアサインします。

評価も同じで、プロジェクトでの貢献を多角的に見ていきます。満遍なく指標をクリアすることを求めてはおらず、特定の専門領域でパフォーマンスを発揮する人も貢献に応じて評価されます。決して易しい環境ではありませんが、さまざまな強みを持ったプロフェッショナルたちの中で切磋琢磨し、難題を楽しみながら挑戦できる人にとっては面白く、成長できる環境が整っていると思います。

― 経営方針から採用、育成まで一貫したカルチャーが貫かれていることが、競技プログラマーを惹きつけ、活躍する先端IT人材へと成長させているんですね。今日はありがとうございました!

日本でも指折りの「競技プログラマー人気企業」であるフューチャーアーキテクトの採用活動は、想像以上に彼ら・彼女らを深く理解した独自のものでした。

カルチャーの確立が土台としてありながら、コンテストの設計や選考過程での社員との接触イベントなど工夫次第で取り入れられそうなポイントもあったかと思います。

これからのDX時代を人材の視点から盛り上げていくために、この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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