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2021年3月から法定雇用率がアップ 障がいのある学生の就職活動を数字で分析!

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日本国内の障がい者数(※1)をご存じでしょうか。
その数は約964万7,000人(身体障がい者:約436万人、知的障がい者:約109万4,000人、精神障がい者:約419万3,000人)になります。
※1「令和3年版 障害者白書(内閣府)」

学生に絞ってみても、その数は3万7,647人(※2 2020 年統計)。
このうち5,454人が大学などを卒業し、そのうち3,247人が就職しているというのが現状です。
※2「令和2年度(2020年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障がいのある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書(独立行政法人日本学生支援機構)」より

また、2021年3月には厚生労働省が「障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる『共生社会』実現」という理念の下に設定している障がい者の法定雇用率も、民間企業では2.2%から2.3%に引き上げられました。

「+0.1%」は小さな数字に見えるかもしれませんが、障がい者の雇用が義務付けられる対象事業主の範囲が、従業員45.5人以上から、43.5人以上まで拡大されています。

それに伴い、初めて新卒での障がい者採用を考えられている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、マイナビで障がい者の就職支援と企業向けの雇用支援を行っている「マイナビチャレンジド」を担当している井上美沙紀に、21年9月に実施した障がい学生の就職活動に関するデータを紹介してもらいました。

<障がい者採用特集>
●2021年3月から法定雇用率がアップ 障がいのある学生の就職活動を数字で分析! ※本記事
●「能力を生かせる環境があれば障がいの有無は関係ない」
障がい者採用のリーディングカンパニーとなったソフトバンクの軌跡

<調査概要>

調査期間 2021年9月13日〜15日
回答数 119名
調査対象 以下の条件全てを満たす方
・「障害者手帳」を持っている または 申請中(種別・程度は不問)
・下記のいずれかを卒業した方、もしくは卒業予定の方 ※()内は今回の調査の割合
大学院(17%)/四年制大学(64%)/専門学校(11%)/短期大学(5%)/高等専門学校(3%)
・新卒での就職活動経験のある2020年卒~2023年卒
調査委託先 GMOリサーチ株式会社

― 障がいのある学生を雇用したことがない読者の方もたくさんいらっしゃると思いますので、学生と企業の双方を知る井上さんに障がいのある学生の就職活動初期の動きを伺いたいと思います。


井上: こちらのデータをご覧いただくと分かるのですが、一般学生と同じく、多くの障がいのある学生が3年生の4月以降インターンシップに参加しています。
井上: 早い方は3年生の4月より参加が始まり、3年生の6・8・9月がピークとなります。
井上: 続いて、こちらのデータもご覧ください。
一般の学生と比較して長期のインターンシップが人気です。また、動き出しは早いのですが、参加したインターンシップの数は一般の学生が平均で8.0社※であることと比較して、少なくなっています。
※ 「マイナビ2022年卒学生就職モニター調査2月の活動状況」より

― ここからどのような傾向が読み取れるのでしょうか。


井上: 障がいの種類や程度によっては自分自身が就職できる・したい企業を一般学生よりも慎重に選ぶ方が多いため、早めに動き出すだけでなく、実際の職場で業務内容を確認したいのだと思います。

― 就職活動の開始時期に続いて気になるのが、障がいのある学生がどのように企業を探しているのか、ということです。


井上: 障がいのある学生も一般学生と同じく就職情報サイトを利用し、企業を探しています。弊社で運営している「マイナビ」や障がいのある学生向け特集の「マイナビチャレンジド」も多く活用いただいています。

井上: 障がいの種類や程度によっては一般応募か障がい者応募かで迷われている学生も多いので、そういう方にアプローチするという意味では一般の学生向けサイトに掲載されるのも効果があると思います。

実際、このデータにもあるとおり、一般募集枠と障がい者募集枠のどちらも使っていた学生が半数もいます。

どちらかに企業情報を掲載するのではなく、両方に載せるというのも選択肢の一つだと思います。

― 先ほどのデータで、利用媒体では「就職情報サイト」が1位となっていました。WEBでの企業探しが、障がいのある学生にとってプラスに働く要素もあるのでしょうか。


井上: WEBを通じて企業の情報収集ができることは、一般の学生よりも恩恵を受けやすいと思います。
井上: また、こちらのデータにもあるように、障がいのある学生の就職活動においては、相談相手として「親・保護者」が非常に多くなっています。

自分の障がいの程度や種類について最も理解してくれている家族に相談しながら就職活動を進めていますので、そういった場面でも一緒に見ることのできるWEBは使い勝手がいいですね。

― いま、障がいのある学生の企業探しでWEBとの相性が非常いいという話を伺いましたが、昨今非常に増えている「WEB説明会」でも同じでしょうか。


井上: はい。リアルの説明会だと障がいのある学生にとっては説明会会場へ行くことが難しかったりすることもあり、非常に好相性ですね。

また、精神障がいのある学生によっては人の多く集まる場所を苦手としていることもありますので、そういった学生にとってもWEB説明会のメリットは大きなものです。

加えて、先ほど「ご両親と一緒に就職活動を進めている」というお話もさせていただきましたが、土日開催だと一緒に見ることができますので、さらにメリットがあるようです。

― では続いて「企業選び」について伺いたいと思います。例えば、企業に求める条件について何か違いはありますか?


井上: こちらが、入社を決めた企業の「決め手」を障がいのある学生に聞いたアンケート結果です。

― 思っていたよりも「障がいへの配慮」などの項目が低く出ているのが意外でした。


井上: そうなんです。障がいのある学生も「自分が企業に何を還元できるのか」や「自分自身がどう成長できるのか」という点を重視していることは一般学生と変わりません。成長環境を求めていますね。

― 障がいのある学生に特徴的な項目はありますか?


井上: 「希望する勤務地で働ける」という項目は一般学生よりも高く数字が出ているかもしれませんね。家族の近くで働きたい、環境の変化があまり大きくない職場がいい、ということを考えている学生は多いかもしれません。

あとは、「福利厚生が充実している」の項目は一般学生でも上位になるのですが、少し意味が違うかもしれません。

― というと、どのように違うのでしょうか。


井上: 障がいのある学生は、日常的に通院が必要なケースもあるので、どのような制度があるのかを気にする方は多いかと思います。

そういった配慮ができる企業という意味で、「経営が安定している」も一般学生と同じく上位にきています。

このアンケートで上位に来ている項目を、障がいのある学生の採用活動では強くアピールしていただくと効果的です。

― なるほど。では最後に、障がいがある学生を採用するに当たって企業ができることは何でしょうか。


井上: 障がいがある学生は、その種類や程度に応じて必要な配慮が一人ひとり違います。インターンシップや採用選考の場でもそれぞれの方に合わせた配慮ができるように準備しておく必要はあります。

とはいえ、構えすぎても良くありません。例えば聴覚障がいのある学生の中には「手話がなくても少し大きな声でゆっくり話してもらえれば大丈夫」という方もいます。一人ひとりの話を伺い、できる範囲の配慮を行うという企業姿勢が大切だと感じます。

― 見極め方やポジションの選定などは「マイナビ チャレンジド」でアドバイスを受けることもできるのでしょうか。


井上: はい。繰り返しになりますが、一人ひとり異なる事情を抱えていますので一概に「こう見極めればOK」「こういうポジションがあれば採用できる」とは言えないのですが、障がいのある学生の新卒採用をすでに行っている企業の事例をご紹介するなど、サポートさせていただきます。

― 今日はありがとうございました!

いかがだったでしょうか。採用活動、特に採用広報においては一般学生と障がいのある学生との間に違いがないことに驚かれたかもしれません。

途中、障がいのある学生の就職活動とWEBの相性がいいという話がありました。「マイナビチャレンジド」はベースがWEBであることはもちろん、障がいのある学生向けの合同会社説明会やWEB説明会ツールもご用意しています。ご興味のある方はぜひ下記のバナーよりお問い合わせください。
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2021/12/03
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