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「能力を生かせる環境があれば障がいの有無は関係ない」障がい者採用のリーディングカンパニーとなったソフトバンクの軌跡

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以前に掲載した「障がいのある学生の就職活動を数字で分析!」の記事でもご紹介したとおり、2021年3月に障がい者の法定雇用率が0.1ポイント引き上げられ、民間企業の場合、2.3%となりました。

障がい者の法定雇用率は、厚生労働省が「障がいに関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる『共生社会』実現」という理念の下に定めている数値です。

「0.1ポイントの引き上げ」という数字だけを見ると小さな変化のように思えますが、1名以上の障がい者を雇用する義務を負う企業規模の面から見ると、「従業員数43.5人以上」にまで拡大しています。
この結果、従業員数の多い大企業はもちろん、日本企業の大半を占める中小企業でも、多くの企業が障がい者採用を考え始めるきっかけとなりました。

このように、社会的意義の面からも法的義務の面からも注目されている障がい者雇用ですが、「そもそもどう採用したらいいのかが分からない」「どこで出会えるのか分からない」「見極め基準の設定が難しい」など、採用担当者の視点から見ると課題の多い分野です。

そこで今回は、国内企業の中でも新卒の障がい者雇用においてリーディングカンパニーとして積極的な採用と人材活用を進めているソフトバンク株式会社の伊藤香織さんにお話を伺いました。

<障がい者採用特集>
●2021年3月から法定雇用率がアップ 障がいのある学生の就職活動を数字で分析!
●「能力を生かせる環境があれば障がいの有無は関係ない」
障がい者採用のリーディングカンパニーとなったソフトバンクの軌跡
 ※本記事

― まず、ソフトバンクの障がい者採用における基本的な考え方を教えていただいてもよろしいでしょうか。


伊藤さん: はい。弊社では「障がいの有無と能力は無関係」という考え方を基本として障がい者採用を進めています。入社後の働き方についても、必要なケアはしつつ、その上で同じ評価基準の下で働いてもらっています。

― マイナビが障がいのある学生を対象に行ったアンケートでも、入社先の決め手として、「福利厚生の充実」に続いて、「自分が成長できる環境にある」が2位となっていました。

伊藤さん: それは実感として分かります。繰り返しになりますが、障がいの有無と能力は無関係ですので、弊社には障がいのある社員のために用意した部門や部署、業務もありません。
現時点で395名在籍している障がいのある社員全員が、他の社員と同じように働いています(21年6月時点)。

実際に、社内の公募制度(ジョブポスティング)や、希望する部署への異動に直接チャレンジできる制度(フリーエージェント)を使って活躍している社員も多くいます。

そういったチャレンジのできる風土が、障がいのある学生に評価されているという面はあると思います。

また、社員の多様性の面からも、同じフィールドで働いてもらうことに意義があるとも思います。

― 同じ選考基準、そして同じ職場環境で同じ評価基準で働くことは、障がいのある学生、社員の皆さんも望んでいることだと思いますが、それでも一定のケアは必要になってくると思います。どうされていますか?


伊藤さん: 障がい者採用の場合、「マイナビチャレンジド」から応募いただくなど採用時の窓口が違いますので、通常どおりの選考と合わせて、障がいの状況に合わせたケアについてもしっかりヒアリングし、相談しています。

その上で選考を進めていきますので、個別ケアについては双方の確認ができています。希望するケアが難しい場合は、こういった方法であれば対応できます、などと代替方法を提案することもあります。

― 受け入れ部署ではどうでしょうか?


伊藤さん: 受け入れ部署に対しては、入社前に内定者本人と相談した必要なケアを伝えています。そのときにも、先ほどお話ししたように社内で対応可能なケアであることは確認できていますし、多様性のある職場環境というカルチャーも浸透していますので、スムーズです。

― 今では障がい者採用に積極的な企業として認識されている御社ですが、最初はどのように認知を獲得していったのでしょうか?

伊藤さん: 私が障がい者採用の担当になって10年以上になりますが、それ以前から採用自体は積極的に行っていました。
しかし、私が担当し始めた頃はまだ、障がいのある方の採用を積極的に進めている、しかも安心して働ける企業であることの認知は低かったと思います。

そこで、障がい者採用に強い就職情報ベンダーのイベントに参加したり、実際に社内で活躍している障がいのある社員との交流イベントや、紙のパンフレットを作ったりもしました。

― 課題を感じている企業の方の参考に、ぜひ交流イベントとパンフレットについてもう少し聞かせてください。


伊藤さん: はい。交流イベントでは、障がいのある学生が自分の働く姿をイメージしやすいように、年齢が近く、障がいの内容もさまざまな社員に登壇してもらっています。
学生からも好評で、「自分と似たケアが必要そうだけれど、ちゃんと活躍できているんだな」という情報がしっかり伝わっているようです。
また、選考が進む中で、希望に応じて先輩社員との交流機会を個別で設けることもしています。

パンフレットも同様に、障がいのある社員が登場する構成です。紙で用意しているのは、障がいのある学生は親御さんに相談することも多いようですので、一緒に見ていただいて「この環境なら安心して働ける」とご理解いただけるように工夫しています。

― 御社では「マイナビ チャレンジド」もご利用いただいていますが、認知獲得には一役買えているでしょうか?


伊藤さん: はい。障がいのある学生向けの専門サイトと併せて活用していますが、広く認知されているマイナビの採用サービスの一部であるというところで、非常にメリットを感じています。

というのも、障がいのある学生の中には、「障がい者採用で活動するか、一般採用で活動するか」と迷われている方も多いからです。双方に門戸が開けますので、一般採用から説明会などに参加していただいて、「マイナビチャレンジド」から応募いただくということもあるようですね。

マイナビチャレンジド経由での採用人数が多い・少ないという価値基準ではなく、迷っている学生にとって障がい者採用からも一般採用からもエントリーできる貴重な窓口として非常に価値を感じています。

― 今日は貴重なお話をありがとうございます。最後に、障がい者採用について課題を抱えている、どうやって始めればいいのか迷っている読者の方にメッセージをお願いします。


伊藤さん: 障がいがあるからといって、「この業務は荷が重いのではないか」というような、無意識に持ってしまう固定概念の枠を取り払うことから始めていただければと思います。

枠を決めてしまうと、やはり集まる人材もその枠に応じた方々になりますので、「障がいの有無と能力は無関係」と強く信じて、いま自社でできるケアを整理した上で採用活動を進めていただければと思います。

― 今日はありがとうございました!

インタビューにお答えいただいた伊藤さんのソフトバンクのように、障がいの有無を問わず同じ評価基準で受け入れ、働いてもらうというポリシーを全ての会社が持つことはハードルが高いかもしれません。
業界や自社の状況から、それぞれ最適な方法を模索する必要のある分野だと思います。

とはいえ、記事の前半でもお伝えしたように、障がいのある学生も「自分自身の成長」を強く望んでいます。また、企業としても一人の戦力として入社してもらうことを望んでいるはずです。

そのために必要なケアを用意することはもちろん必要ですが、今できるケアの範囲で「他の社員と同じように成長してもらうにはどうすればいいか」と視点に切り替えると、企業と学生の双方にとってより良い障がい者採用がかなうのではないでしょうか。

マイナビの新卒障がい者向け採用サービス「マイナビチャレンジド」では、障がい者採用について幅広くご相談を承っています。一歩踏み出そうと思われた方はぜひ、ご相談ください。
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障がい別に就職活動のチェックポイントを解説しています。働きやすい環境・条件についてなどもありますので、参考にされてください。
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2022/01/07
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