求職者を惹きつける面接官の心得 (中途採用・面接官講座 第1回)
面接に正解はありません。しかし、面接の成功とは内定辞退はもちろん採用後に活躍し定着してもらうことです。企業は人で成り立っていることを考えれば、面接は、経営の観点からもとても大切な職務です。
しかし一方で、多くの採用担当者が成功に近づくちょっとしたポイントを知らない事で苦労されている様を私は見てきました。
新任面接官の皆さまのなかには、面接に不安を抱いている方もいるかと思いますが、この講座では、私の面接官経験に基づき、成功する面接手法についてお伝えしていきたいと思います。
パートナーを作る気持ちで向き合う
面接で大切なことは、応募者と信頼関係を構築することです。
面接官は、自社にふわさしい人材かどうかを見極めていますが、同時に応募者も面接官の言葉や態度から入社すべき企業かどうか考えています。応募者を見極めるだけでなく、応募者が入社したいと決断する面接をおこない信頼関係を構築することが大切です。
私は約20年間の人事経験から、一月に約50名の正社員を採用し、新卒採用と合わせるとこれまで1万人以上の面接をおこなってきました。最近の転職希望者の特徴は、失敗したくないという気持が強く、安定性を求め慎重に活動している求職者が多いように感じます。
会社を選ぶ意識が強いことで、もっといい会社があるのではと考えてしまい、なかなか決断できず長期間転職活動をしている求職者もいます。
上から目線で面接をおこなっていれば、入社したい企業だとは思ってはもらえません。面接官の威厳を示すことが、面接の目的ではありません。応募者の緊張感を和らげるために面接開始時に「今日はありがとうございます。」「雨で大変でしたね。」「当社はすぐにわかりましたか?」という場を和ます一言を語るだけでも、応募者の気持が和むだけでなく、面接官に好感を持ちます。
面接で信頼関係を構築し、活躍できる人材を採用するために抑えておきたいテクニックについて考えてみましょう。
質問より説得
中途採用では、新卒採用とは異なり企業説明会をおこなわず、面接で会社の概要や仕事内容を説明することが多いのですが、同業他社と比較した優位性や将来像といった応募者が人生を託したいと思うような説明をしてください。
選考する場という意識が強いと、どうしても説明が疎かになり質問だけを繰り返す面接官がいますが、応募者の気持を自社に引き寄せることが求められています。
そのためには面接官自身が自社に魅力を感じていることが大切であり、その気持ちが言葉だけでなく表情や態度に表れます。自社に誇りを持ち、転職者を受入れさらに良くしていこうという気持ちで面接に臨んでください。
深掘る!ただし、楽しんで
応募者の多くが、退職理由、志望動機、自己PRといった定番質問の回答を予め用意してきますが、用意してきた回答だけでは、本質は見極められません。
応募者の本質を見極めるためには、回答に興味を示しながら、さらに質問を繰り返してください。面接官が回答に興味を示し、理解しようとする姿勢から、応募者は面接官に信頼感を抱き、もっと話がしたいと考えます。
定番質問を聞き流すだけでは、応募者は話をしたいとは思いません。回答に共感し、さらに質問を繰り返す言葉のキャッチボールから、信頼関係が芽生えるのです。
当然、応募者に不安な点があれば厳しい質問や確認をしなければなりません。しかし、相手の良さを見つけるスタンスで続ければ、応募者はあなたに好感を抱き本音の答えを見せてくれます。
見えない言葉に注意
面接では、応募者の回答内容だけに目を向けがちですが、応募者の本質は言葉だけでは見極められません。応募者の表情、語調、態度といった「見えない言葉」にも気を配ってください。
立派な回答でも、表情や語調から熱い思いが伝わらなければ、模範回答を述べているだけで、本心ではない可能性があります。また面接官の説明に一瞬でも顔を曇らせれば、本音を隠していることが考えられます。入社後のミスマッチを最小限に抑えるためにも回答の信憑性を表情や論調も含めた応募者の雰囲気から信頼に足る人物であるのか考えてみてください。< /p>
応募者の見えない言葉を読み取った対応することで、応募者の本質を見極めるだけでなく、不安も同時に払拭することができ、お互いに価値のある時間となります。
私自身これまでの面接官経験の中で会話のキャッチボール不足や関係性の構築不足のまま採用したことにより、定着せずにすぐに辞めてしまうことがありました。このときを振り返ると、応募者に興味を持たず事務的な面接をおこなっていたことに問題がありました。
面接は、応募者の人生を左右します。面接官に求められる資質は、人が好きであり、人に興味を持つことなのです。そして、面接の場とは、選別する時間ではなく将来のパートナーを作る時間なのです。
次回は中途採用面接で「求職者を見極める3つのポイント」について、お伝えします。
- 人材採用・育成 更新日:2015/01/30
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