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“マイナビだからできる”採用広報とは? 「プラスト」企画責任者にインタビュー

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近年、新卒採用はもちろん中途採用においても、求職者に向けて仕事内容、自社の魅力、社風などの情報を発信する採用広報に力を入れる企業が増えています。
マイナビでは2021年に、マイナビ転職に求人広告を掲載しながら、ブログ記事で自社の雰囲気や人間関係を伝えられる採用広報プラットフォーム「+Stories.(プラスストーリーズ。以下、プラスト)」をリリース。以来、1000社以上がプラストを活用した採用広報にチャレンジしています。
プラストの立ち上げに企画責任者として携わったマイナビ転職情報事業本部の松浦仁に、採用広報の必要性やプラストを使った採用広報のメリット、具体的な成功事例を聞きました。

ページ上の各種情報は2023年9月時点のものです。

近年、なぜ中途採用領域で採用広報に注力する企業が増えているのでしょうか。必要性が高まっている背景を教えてください。

松浦仁(以下、松浦):近年、終身雇用を見直す企業が増えたことや柔軟な働き方が可能になったことなどを背景に、求職者の転職へのハードルは下がってきています。一昔前に比べると、キャリアアップや希望のキャリアチェンジを実現しやすくなりました。

それに伴い、転職する理由も多様化しています。たとえば職場の人間関係が円滑ではないことは、今や立派な転職理由です。

また、情報収集のスタイルがこの10年で大きく変化したことにも着目する必要があります。特に若い世代は、キャリア選択をする際に、インターネット上のさまざまなメディアから情報を収集して、多角的に検討するようになりました。

そんななかで、求職者に転職先として選んでもらうためには、ブログや動画、SNSといったツールや手法を積極的に活用して、基本的な求人情報だけでは伝えきれない社風や職場の人間関係、社員の人柄といった企業の魅力を発信していくことが重要です。

中途採用における企業の採用広報への取り組みは、どの程度進んでいるのでしょうか。

松浦:現状、新卒採用では採用広報が盛んですが、中途採用における企業の採用広報への取り組みはそれほど進んでいるとはいえません。

全国の企業を対象としたマイナビの調査では、2021年に中途採用で最も多く利用された採用手法・サービスは「転職サイト」で、全体に占める割合は50.7%でした。一方、「SNS」は18.3%、「オウンドメディア」は17.6%にとどまっています。従業員数別に見ると、従業員数が少ない企業ほど利用率が低くなっています。
(※出典:マイナビ「中途採用状況調査2022年版(2021年実績)」)

企業によっては、自社のHPがないという場合も少なくありません。必要性が高まっているにもかかわらず、企業からの情報発信が足りていないと感じています。

マイナビは2021年7月から、ブログ形式で企業が自社の情報を投稿できる採用広報プラットフォーム、プラストの提供を開始しました。立ち上げの経緯や企画責任者になられた経緯、サービスに込めた思いをお聞かせください。

松浦:プラストの企画に携わるまで、私はマイナビ転職の営業担当者として10年以上、地方も含めた複数のエリアで企業の採用活動を支援してきました。

地方の中小企業には、魅力あふれる経営者がいる企業や他社には作れないユニークな商品・サービスを有する企業が多数あります。しかし、待遇などの雇用条件や認知度の面で採用では苦戦しがちです。

当時の私は、求人広告だけでは中小企業の魅力を十分に求職者に届けられないことにジレンマを感じていました。何とかできないかと考えるうちに、次第に地方の中小企業の採用力向上のために情報発信をサポートしたい、という思いを持つようになっていきました。

先ほどお話しした通り、求職者の情報収集手段が多様化した昨今、採用広報の必要性は高まっています。また、2020年以降、オンラインを活用した企業の情報発信も急速に進みました。

そんな時代の変化を受けて、マイナビでも、求職者のよりよいマッチングを実現する採用広報のサービスを企画することになり、立ち上げにあたって私が責任者に選ばれました。その新サービスが、プラストです。

私にとっては、営業担当者として感じていたジレンマを解消し、中小企業の力になれる、またとないチャンスでした。私の体験や思いを企画チームのメンバーとも共有した結果、プラストは、中小企業にとって使いやすいサービスというコンセプトで企画されました。

プラストを活用して採用広報を行うことで、企業にはどんなメリットがあるのでしょうか。

松浦:プラストを利用する企業にとって一番のメリットは、マイナビ転職と連動しているところです。

採用広報の手法自体はほかにもありますが、一企業のSNSアカウントやオウンドメディアが情報を届けられる範囲は限られています。その点プラストなら、700万人以上(*)のユーザー(会員)がいるマイナビ転職内に記事を掲載できるので、より多くの人に自社の情報を見てもらえます。
*マイナビ転職サイトデータ(2023月7月末時点)

また、マイナビ転職の求人広告とプラストのブログ記事を相互にリンクさせることができるのもポイントです。ユーザーのなかには、プラストの記事で企業を認知してから求人広告に飛ぶ人もいれば、求人広告を見て気になった企業のプラストに飛んできて、さらに関心を深める人もいます。

中小企業が使いやすいサービスというコンセプトは、プラストのどんなところに反映されているのでしょうか。

松浦:中小企業の採用担当者には、情報発信に慣れていない方もいらっしゃいます。そこで初心者でも投稿しやすく、操作や管理がしやすいように、シンプルなサイト設計にしています。

加えて、サポート体制も充実させています。具体的には、マイナビの担当者が記事のテーマを提案したり、データをもとに改善に向けてアドバイスをしたりします。企業の初めての採用広報をともに進めていくというスタンスでサービスを提供しています。

実際にプラストを利用して採用に成功している企業では、プラストをどのように活用しているのでしょうか。具体的な事例を教えてください。

松浦:代表的な成功事例の一つが、SES(システムエンジニアリングサービス)を手がける「アンリミ株式会社」様の事例です。同社では、求人広告だけではSES業界の実情や自社の魅力、入社後の活躍イメージを伝えきれず、内定承諾率が低いことに悩んでいました。

そこでプラストを導入して、社長の人柄を紹介する記事や未経験からエンジニアになった社員のインタビュー記事を掲載。スカウトメールや応募者への返信メールに記事のURLを付記したことで、内定承諾率をはじめとする歩留まりが大幅に改善しました。

同社では、改善の理由を、プラストによる採用広報の結果、応募者が入社をためらう要因となっていたSES業界のネガティブなイメージや、未経験者ゆえの「自分でもやっていけるのか」という不安が払拭されたためと分析しています。

参考:アンリミ株式会社
企業側から情報を発信することで未経験者の不安が払拭され、低下していた内定承諾率が改善。企業理解が深まる効果も

秋田県の総合不動産企業「株式会社むつみワールド」様も、プラストをうまく活用して採用に成功しています。ハローワークなどの無料の手法を使って採用活動をしていた同社は、多数の求職者に求人情報を届けられないために、なかなか人材を確保できずにいました。

そこで打開策としてプラストを利用し、社員の経歴や人柄、職場の雰囲気、福利厚生といった多彩な情報を発信しました。若い世代に身近に感じてもらえるように、記事では砕けた表現も取り入れています。

全国にいるマイナビ転職のユーザーに情報を届けられるようになった結果、若手人材からの応募が増えたほか、県外の求職者からも応募があり、求める人材を採用できるようになりました。

また、同社では、新入社員向けの社内報としてもプラストを活用しています。さらに、プラストの記事作成のためのインタビューやリサーチを通して、社内コミュニケーションが活性化するという思いがけない効果もあったそうです。

参考:株式会社むつみワールド
今、採用広報に取り組むべき理由とは? 就労人口が少ない秋田県勤務での採用成功まで

求職者の側は、プラストにどんな印象を持っているのでしょうか。プラストの記事を読んで転職した方のエピソードがあれば教えてください。

松浦:プラストの記事を読んで転職したユーザーの声は、「みんなの転職ストーリー」としてプラスト上に掲載しています。

なかでも印象的な例を2つご紹介します。1つは、自動車ディーラーに転職した方のエピソードです。

営業職を志望していたこの方は、店舗を訪ねた際に対応してくれた担当者に好印象を持ったことがきっかけで、この企業に興味を持ちます。

ところが、業界や職種に対するネガティブな情報を耳にして不安になり、転職を迷い始めます。

そんな状況で発見したのが、社員が楽しそうに働く姿や休日を過ごす姿を伝えるプラストの記事でした。記事を通して思った以上に休みが取りやすいことを知り、厳しい業界だというイメージがすっかり覆されます。

さらに、掲載写真に店舗で好印象を持った担当者が写っていたことで、親近感がアップ。迷いが消えて勢いよく応募し、無事入社に至ったといいます。

2つ目の例は、セキュリティ機器やOA機器の販売受託事業を手がける企業に転職した方のエピソードです。

この方は、前職でプライベートの時間がなかなか取れないことに悩み、転職活動を決意。応募した十数社のうち、特にこの企業が気になったのは、プラストの記事がきっかけでした。

その記事は、女性社員自身が休日にペットの犬と過ごす様子を投稿したもので、プライベートも仕事も充実している雰囲気が伝わってきたそうです。さらに他の記事にも目を通して、社員の個性を尊重する社風や社員同士の交流が盛んなところにも魅力を感じたといいます。

記事の内容から、オンとオフのメリハリをつけながらやりがいを持って働ける職場だと判断し、求人に応募することに。最終的には、面接の際に、実際の社風とプラストから受けた印象にギャップがないと確認できたことが、入社を決める要素の一つとなったそうです。

企業がプラストを使って効果的な採用広報を実現するには、どうすればよいのでしょうか? 成功のコツや知っておきたいポイントがあれば教えてください。

松浦:記事を完璧に作り込もうとせず、自社の情報を包み隠さずどんどん出していくといいと思います。というのも、プラストの記事が、企業側が意図しなかった効果を生むこともあるからです。

転職先を探しているユーザーは、企業が伝えたいこと以外の細かい情報を記事から読み取っています。たとえば、ある企業の社内イベントの記事を読んで、「ひんぱんにイベントがあるわけではなさそう」という印象を持ち、自分に合うと判断したユーザーもいました。

プラストにアクセスするユーザーの多くは、求人広告を読んで企業に興味を持った方や、応募した企業の詳細をリサーチしている方です。すでにある程度の好感を持っているので、格好つけずに素顔を見せることで、志望度アップや入社理由の醸成につながる可能性があります。

マイナビがプラストをリリースしてから数年経ちましたが、現段階で、サービスを提供する側として、課題に感じていることや改善していきたいことはありますか?

松浦:成功事例も多い一方で、なかにはプラストを導入しても、うまく活用できない企業もあります。その理由として最も多いのが、情報発信に手間や工数をかけられないということです。特に、採用担当者が他の業務を兼務している場合、ブログ記事の作成にまで手が回らないのは当然です。

ただ、プラストは、一度ある程度の本数の記事を作成してしまえば、後々まで何度でも、採用広報や社内広報に活用することができます。事前に応募者に読んでもらうことで面接での説明を省けるなど、採用業務の工数削減につながる面もあります。

私たちが現在注力していることは、そのようなメリットを得られる段階に到達してもらえるように、記事を作成する時間がないという採用担当者の悩みに寄り添うことです。

そのためには、プロダクトの改修やツールの作成、そして何よりマイナビの担当者が個別に悩みを聞いて、ケースに応じて人の力で解決し続けることが重要だと考えています。

最後に、これから採用広報に取り組もうと考えている企業に向けて、メッセージをお願いします。

松浦:採用のために情報発信をすることは、実は、企業自体をよりよくすることにつながります。これには実例があって、サービス開始当初からプラストを利用しているある企業を訪問したときに、社長が「プラストで情報発信をすることで、会社が良い方向に変わった」と言ってくださったのです。

社長によると、当初は「社内で何かニュースがあれば発信しよう」という方針だったのが、記事の投稿を重ねるうちに、会社をよりよくすることを第一に考えるように変化していったようです。働きやすさが向上する新しい制度や社員が喜ぶイベントを立案しては実行し、発信するという、会社にも採用にも好影響をもたらすサイクルができあがったといいます。

この例のように、企業が改革や改善の努力をして、その結果を公開するというのが、採用広報の本質だと私は考えています。よい企業になって認知度が高まれば、優秀な人材は自然に集まってきますから。

プラストに限らず、どの手法・サービスを使ったとしても、求職者の心に響く情報発信をしていくには、企業側が手間や時間をかけて試行錯誤する姿勢が欠かせません。

求職者に自社への理解を促す情報発信ができれば、採用活動におけるマッチング精度の向上につながります。さらには、先の企業の例のように、情報発信する文化を根付かせることで、もっと多くの求職者に振り向いてもらえる会社に進化していく可能性もある。そして何より、自分たちで努力すればするほど、応募者から反応があったときや実際に採用につながったときには、達成感や喜びを得ることができます。その採用広報の効果や取り組みのおもしろさを、もっと多くの企業に感じていただけるサービスを目指しています。

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