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インターンシップからの「歩留まり」をどう改善する? ニーズに応える&印象に残るコンテンツ設計の方法

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マイナビが行った調査では、2025年卒就活生のオンラインを含むインターンシップ参加率はなんと85.7%と、過去最高を記録しています。
出典:2025年卒 大学生 広報活動開始前調査
学生にとってはキャリアについて考える上で重要なイベントとなっているインターンシップですが、一方で「経費や時間、人手に対して得られるものが少ない」という悩みを抱える企業も多いようです。

そこで今回は、数々の企業の採用コンサルティングを手掛けるシーズアンドグロース株式会社の代表・河本英之さんに「インターンシップからの歩留まり改善」、すなわち、インターンシップに参加した学生に説明会など次のステップに進んでもらうための打ち手について話を伺いました。

ポイントは「学生のニーズに沿いつつ、自社を印象付ける」バランス感覚

— 今日はよろしくお願いします。インターンシップが一般化した結果、企業側は「その後」にどうつなげるかというお悩みも増えてきました。


河本さん: そうですね。三省合意の改正によって、一定の条件を満たしたインターンシップであれば、参加学生の情報を採用活動に活用できるようになりました。こうしてインターンシップが選考母集団の獲得手段としても注目を集めた結果、そのようなお悩みが増えているという事情はあると思います。
採用と大学教育の未来に関する産学協議会
「産学で変えるこれからのインターンシップ —学生のキャリア形成支援活動の推進—」をもとにサポネット編集部にて作成
とはいえ、やはりインターンシップで重要なのは学生のニーズに応えることです。そうでなければ、そもそも参加者を集めることができません。

そのことには企業の皆さんもお気付きかと思うのですが、学生のニーズを満たしつつ、自社のことを印象付けることに課題を感じていらっしゃる方が多いですね。

— 学生のニーズを満たすことと、自社を印象づけること。この2つは相いれないのでしょうか。


河本さん: そんなことはありません。学生のニーズを満たしつつ、自社を印象付けることはできます。要するにバランス感覚なのですが、そこに難しさを感じる企業の方は多いようです。

今日はそのバランスの取り方を2つ、具体的にお伝えします。

<インターンシップで自社を印象付ける方法・1>
徹底した学生目線のコンテンツを豊富に用意して、継続的にコミュニケーションを取る


今や、学生にとってインターンシップはキャリアを考える上で欠かすことのできないイベントです。
出典:2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(12月)
このように、学生が考えるインターンシップの位置付けは、「適職を知るため」「就職活動に向けた準備」「やりたいことを見つける」といった項目が上位に入ります。
つまり、学生にとってインターンシップは「企業探しの場」ではなく、「自分探しや自己鍛錬の場」とも言えるものなのです。

そのため、無理に自社のことを印象付けようとするのではなく、「面接対策」「業界研究」「自己分析」など、学生のニーズが高いコンテンツに振り切った方が参加者を集められるのは間違いありません。

しかし前述のとおり、それだけだと学生はきっと感謝してくれると思いますが、次のステップに進むかどうかはまた別、というわけですね。

そのため、この手法を取る場合には、何度も繰り返し学生とコミュニケーションを取れるよう、たくさんのコンテンツを継続的に提供していく必要があります。

例えば、インターンシップを「初級・中級・上級」の3つに分けて、必ず初級からでないと受けられないようにするような方法です。
学生のニーズをつかんでいて、自分のためになると思ってもらえる内容であれば、3回連続で自社のインターンシップに通ってくれる可能性は高くなります。

就活の初期に3回もコミュニケーションを取った企業のことは強く印象に残りますので、いざ選考シーズンになった際には候補の1社に入る可能性が高くなります。

<インターンシップで自社を印象付ける方法・2>
コンテンツは少なくても、学生目線のコンテンツの中で自社を印象づける


今ご説明した方法は「学生のキャリア観養成」というインターンシップの本来的な意義に沿い、なおかつ単純接触効果(※ 見たり、会ったりする回数が多いほど好意度や印象が高まること。ザイアンス効果とも)によって自社に対する好意度を醸成できる点が優れています。

ただ、効果的に施策を行うためには、少なくとも3~5つのインターンシップコンテンツを用意しておく必要があり、ハードルが高いのも事実です。
そこで、多くの企業にお勧めなのが「数は少なくても、自社を印象付けるコンテンツ作り」です。

中でも実施しやすいのは「自社を参考資料とした業界研究」をインターンシップで行うという方法です。

先ほどもお話ししたように、学生は自分が目指すべき業界や企業を探すためにインターンシップに参加しているという側面があるため、業界研究は人気コンテンツです。
ただ、単に統計資料やIR資料など調べれば分かる情報から業界研究をするのであれば、大学の就職課や就活支援サークルなどでも行えます。

お勧めなのは、自社の情報を業界研究の参考資料として提供し、極めて具体的で実用的な内容のコンテンツに仕立てる方法です。
これであれば、誰にもまねすることができないオリジナルコンテンツになります。

そして、学生に自社の情報を積極的に分析し、考えてもらう機会にもなりますので、自社を強く印象付けることができるのです。

「インターンシップで自社を印象づける」ときに気をつけたい2つのポイント

— 具体的な方法論で非常に分かりやすいですね。これらの方法、特に2つ目の方法を実践する際に気をつけた方がいいことはありますか?


河本さん: 大きく分けて2つあります。

インターンシップでの自社アピールで気をつけるべきこと・1
自社アピールに終始しない(告知と実態を合わせる)


まず1つが、自社アピールに終始しないということです。

採用担当者は自社のことを知り尽くし、それを学生に伝えることに慣れています。だからこそ、インターンシップでもつい自社アピールに熱が入りがち。しかしそれでは、学生からは「会社にとって都合のいいことばかり言う人」に見えてしまいます。これを組織に埋没すると、状況を俯瞰できなくなるという意味合いから、「埋没性の原理」と呼びます。

先ほどの例で言えば、学生は「業界研究」のために集まっているわけなので、その場で会社説明会のようなものが始まってしまうと、落胆して自社に対する好感度が下がるのは間違いありません。

「業界研究」と銘打って告知したのであれば、あくまでも主題は「業界研究」にすべきです。

インターンシップでの自社アピールで気を付けるべきこと・2
自社の「強み」に目が向くコンテンツ設計を心掛ける


もう1つが、学生に自社の情報を教材として渡す場合に、「弱み」ばかりに目が向かないように気を付けることです。私が支援した企業で、こんな事例がありました。

その企業はATMの保守/運用を主業としていて、業界研究も同業界をテーマに行ったのですが、学生の中に「ATMは将来的になくなるのではないか」と疑問を持ったグループがあったんです。
確かに、「キャッシュレス社会になっていく中でATMが不要になるのではないか」と予測する学生がいても不思議ではありません。しかし、ATMは公金受け取りやプリペイドカードへの入金など高機能化しており、これからの社会にも求められるインフラです。

その時は私が第三者としてその旨を説明して誤解は解けましたが、自社を題材にすると時々こういうことが起こります。
第三者を入れずに自社のみでインターンシップを行う場合は、予測され得る学生の思考を何パターンも検証し、誤った弱みの発見をさせず、強みに目が向くように課題の設計を行う必要があります。

最後の仕上げ 選考時期までのリテンションはどうする?

— ここまで解説いただいた内容を実践すれば、インターンシップで学生の心をつかむことができるような気がしてきました。最後に、そうして心をつかんだ学生を選考時期までつなぎ止めておく、リテンションについて教えてください。


河本さん: はい。今の採用市場は一人の学生に多くの企業がアピールしていますので、適切なリテンション施策を行わないと、インターンシップでつかめたはずの学生が離れていってしまう可能性は大いにあります。

大きく分けて4つのリテンション施策が考えられますね。

インターンシップからのリテンション施策・1
継続的なコンテンツの提供とコミュニケーション


1つ目が、先ほどもお話しした「継続的なコンテンツの提供」です。夏インターンシップの時期から、選考時期まで継続的に学生のためになるコンテンツを提供し、常に学生の心に留まり続けることでリテンションすることができます。

しかし先ほどもお話ししたように、コンテンツ制作のリソースが非常に大きくかかるため、実施が難しいと考える方も多いかもしれません。

インターンシップからのリテンション施策・2
インターンシップ参加者に特別なリターンを提供する


そこでリソースを節約しつつ行える施策としてお勧めなのが、インターンシップ参加者にリターンを提供する方法です。
例えば、選考時期に説明会を免除してストレートに選考まで進める特別ルートを設定するなどですね。
インターンシップで自社の魅力を理解してくれている学生なら、早期内定取得のために選考に参加してくれる可能性は高いと思います。

インターンシップからのリテンション施策・3
インターンシップ参加者にリクルーターを付ける


採用予定人数がそれほど多くないのであれば、インターンシップ参加者に若手社員をリクルーターとして付けて、継続的なコミュニケーションを取っていくのも一つの手です。

大企業がよく取る古典的な手法という印象があるかもしれませんが、若手社員からすると、後輩のモチベーションアップのスキル獲得や自社の理解をより深める機会でもあります。つまり社員育成も兼ねることができるということ。社内の育成リソースが不足しているという中小企業にも実はお勧めです。

ただし、リクルーターはあくまでも学生のキャリアコーチ、アドバイザーのような存在であるべきでしょう。ここで自社への入社をあまり強く促しすぎると、まだ志望が固まっていない学生にとっては煩わしく感じ、かえって志望度が下がってしまうかもしれません。

インターンシップからのリテンション施策・4
インターンシップ参加者からアンケートを取って特別コンテンツを提供


最後が、インターンシップに参加した学生に「他にどのようなインターンシップコンテンツを受講してみたいか」というアンケートを取り、人気のあったコンテンツを実際に行う方法です。

学生からのアンケートが基になっているコンテンツなので、もちろんニーズはつかめていますし、自分の答えたアンケートが反映されたとなれば、モチベーションも高まるでしょう。

2で紹介した「インターンシップ参加者に特別なリターンを提供する」と組み合わせて、インターンシップ参加者限定にすることでプレミアム感を高めてもいいですね。

— インターンシップの設計からリテンションまで、網羅的にお話を伺うことができ、大変参考になりました! ありがとうございました。

時には社外の力を借りるのも一つの手

インタビュー中で印象に残ったのが、「埋没性の原理」という言葉です。

例えば記事の中でご紹介したATMをテーマとしたインターンシップの例では、河本さんが第三者として説明することで学生の不安を払拭(ふっしょく)することができましたが、同じことを採用担当者が行ったらどうでしょうか。学生からは「この会社の人事なんだから、当然そう言うよね」と、真実として受け止めてもらえない可能性があります。

学生のニーズが高いコンテンツと自社の魅力付けを接続する場合にも、この「埋没性」が邪魔をして、説明会のようについつい自社のことばかりを話してしまうという現象も起こりやすいようです。

採用担当者は改めて自らの立場を俯瞰しつつ、時には社外のパートナーをうまく利用するのも一つの手かもしれませんね。
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2024/06/03
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