介護法人が採用単価を抑えるためにできること
欠員が生じるたびに人員補充を目的に採用をしている介護法人は、その採用活動を見直すことで、採用単価を下げられるだけでなく、求めるレベルの人材を現状より効率的に採用できるようになる可能性があります。
そもそもスキルを備えていて自法人にマッチする人材を採用するのは、簡単なことではありません。人手が足りなくなってから急いで探しても、短期間では求める人材は見つかりにくいでしょう。
良い人材と出会う確率を高めるには、欠員が生じていなくても、普段から常に新しい人材を探しておかなければなりません。マッチする人材との出会いがあれば、人員に余剰が生じるとしても可能な範囲で採用しておくのがよいといえるでしょう。
また、職員の離職や休職の可能性をある程度想定しておくことも重要です。たとえば結婚して間もない職員が3人いたら、のちに新たなライフイベントを迎える可能性があると予測できます。
職員の離職や休職を予測しながら、日頃から求人募集を行い、マッチする人材がいれば採用する、という計画的な採用活動を定着させていけば、急な欠員に慌てることは少なくなるはずです。
逆にいえば、そのようなサイクルができていない介護法人では、急な欠員が生じやすくなり、欠員が出た場合には人材紹介または人材派遣でカバーすることになります。
もちろん人材紹介や人材派遣経由でよい人材に出会えることもありますが、それらの短期間でスピーディーに採用できる手法をメインに使うと、どうしても採用単価は高額になります。採用単価を抑えるためには、欠員が生じる前から計画的に採用に取り組んでいく必要があるのです。
新卒採用は、大学や高校、専門学校を卒業する見込みの学生を対象に、毎年同時期に一括で採用する方法です。学生のなかでも、もっとも採用人数の増加を狙いやすいのが、大学を卒業する見込みの学生です。大卒者を対象とした新卒採用の求人募集には、就職情報サイトをメインに利用するのが一般的です。
就職情報サイトは、法人がサイト上に求人広告を掲載し、それを見た登録者が入職を希望する法人に応募する仕組みになっています。就職活動を行う学生の大多数が登録するため、母集団を形成しやすく、サイト上で選考管理をしながら効率的に採用を進めることができます。
就職情報サイトへの掲載とあわせて、自法人のWebサイトにも求人情報を掲載し、理念や施設の雰囲気が伝わるコンテンツを充実させると、さらに学生の関心と入職意欲を高めることにつながり、母集団を増やせる可能性があります。
ただし、新卒採用の採用活動は、1年以上と長期間にわたるうえ、説明会の開催が必須と考えられるため、労力がかかります。採用担当者1人では負担が大きいので、複数人の採用チームを組んで採用業務にあたることをおすすめします。
加えて、採用担当者が試行錯誤しながらノウハウを身につけて、安定的に採用できるようになるまでには、3年ほどかかることを念頭に置いておきましょう。
通常、新卒採用にかかるコストのうち大部分を占めるのは、就職情報サイトの掲載料金と、合同企業説明会を中心としたイベントへの出展料金です。といっても人材紹介の利用料ほど高額ではないため、これまで人材紹介に頼ってきた法人は、新卒採用に取り組むことで安定した人数を安定した単価で確保しやすくなるといえるでしょう。
近年、介護業界を志望する学生は増加傾向にあります。新卒採用が軌道に乗れば、将来性のある若手人材を安定的に採用できるようになるでしょう。
以上でお伝えしたように、採用単価を抑えたい介護法人にとって、新卒採用はメリットが多い選択肢といえます。採用フローを確認して計画を立てたうえで、ぜひ新卒採用にチャレンジしましょう。なお、新卒採用の基本的な採用フローは、下記の記事の後半に掲載されています。
中途採用には、さまざまな採用手法の選択肢があります。有料の手法もありますが、いずれも人材紹介を使う場合ほど高額になることはありません。自法人に合った手法を組み合わせて活用することで、採用単価を抑えることができます。
以下に、主な採用手法を紹介します。
■ハローワーク
国が運営する雇用サービス機関で、正式名称は「公共職業安定所」です。ハローワークを利用する求職者に向けて、無料で求人募集をすることができます。ただ、競争率が高いため、マッチする応募が集まりにくい面もあります。
■転職情報サイト
転職希望者向けに求人情報が掲載されているWebサイトです。有料ですが、人材紹介に比べると低料金で利用できます。
介護法人が利用できる転職情報サイトは、福祉・介護業界専用の転職情報サイトと、職種・業種を限定しない総合転職情報サイトの2種に大きく分けられます。
福祉・介護業界専用の転職情報サイトには介護職経験者や介護職志望の求職者が集まるため、自法人の特徴や魅力を訴求しやすく、マッチ度の高い人材からの応募が期待できます。総合転職情報サイトにも、登録者数が多い、未経験者にアピールできる可能性があるといった利点があります。
■自法人の採用ホームページ
自法人の採用ホームページで直接求人募集をする方法もあります。求職者の多くは、転職情報サイトやハローワークで気になる求人募集を見つけたら、まずインターネットでその法人の情報を探すはずです。より多くの求職者を応募につなげるためには、理念や事業所内の雰囲気、従業員の様子が具体的に伝わるように工夫をし、応募しやすいように導線を整えておくことが重要です。
また自法人の採用ホームページが古い場合は作り直しも検討する必要があります。その際は複数の制作会社から話を聞いて、費用や制作内容を比較して依頼先を決定しましょう。
■リファラル採用
職員に知人や友人を紹介してもらう採用手法で、ミスマッチが起こりにくいのが特徴です。制度化している法人では、紹介者に謝礼金を支払うのが一般的です。制度を整備しても周知や活用が進まない場合もあるので、社内広報で制度を紹介するなど、まずは制度の周知と活用を促す工夫をしましょう。
- 人材採用・育成 更新日:2023/09/08
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