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新卒採用広報とは 「母集団形成」の基本とテクニック

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働き方の多様化、キャリアの流動化が進む昨今でも、相変わらず重要度の高い採用手法が「新卒採用」です。
中途採用と比較して育成にはコストがかかりますが、自社の社風や文化になじんだ人材は将来の幹部やコア人材の候補となるため、事業の永続性を担う重要な採用手法のひとつとして欠かせません。
そこでこの記事では、新卒採用初心者の方へ向けて、採用活動のファーストステップである「母集団形成」について、広報手段とその選び方から有効な活用方法までを解説していきます。



まず新卒採用のフローは、大きく4つのステップに分けることができます。


  • (1) 母集団形成:自社で採用する可能性のある学生の認知を獲得する段階
  • (2) 意識醸成:説明会などを通じて自社の魅力を伝え、選考への参加意識をつくっていく段階
  • (3) 選考:学生の資質と自社にとって必要な人材像を照らし、選考をする段階
  • (4) 内定者フォロー:入社までの期間に、一定の教育・意識醸成などを行いスムーズに入社できるようサポートする段階
  • (1)から(4)へと進むにつれて関わる学生が少なくなっていき、最終的に採用する数人〜数百人に絞られていく「ファネル(漏斗)型」のステップです。

つまり、採用を成功させるためには「(1)母集団形成」が非常に重要となっています。特に、少子化で22歳以下の人口が減っていくこれからの時代は今よりも、強い競争原理が働くことから、その重要性は増す一方でしょう。

自社が新卒採用を行っていることを認知し、応募してもらうために情報発信することを「採用広報」といいます。


採用広報の基本はまず、「発見してもらう」こと。次に「エントリーしてもらうこと」、そして「説明会で自社についてしっかり理解してもらうこと」の3つです。
これらを具体的な4つのステップに分けて解説します。

まずは、自社のことを知ってもらう(発見してもらう)段階です。
誰でも知っているような有名企業ならまだしも、社会経験のない学生はほとんどの企業を知りません。
採用広報ツールを上手に使って、まずは「知ってもらう」こと。これが採用広報の最初のステップになります。
広報ツールの種類や特徴についてはこの後の章で解説します。

次のステップが「エントリー」です。採用広報ツールを駆使して自社の採用情報ページを見てもらったとしても、エントリーするのはその一部。そして、エントリーの判断をするために採用情報ページを見る時間は30秒程度といわれています。


なかなか高いハードルのようですが、ポイントは「学生が望む情報を簡潔に見せる」ことです。

上のグラフが、学生がエントリーの判断基準とする情報の優先順位を示しています。ひとつずつ確認し、自社の採用情報ページに漏れなく掲載されているかを確認しましょう。
次が、個別会社説明会への予約獲得です。個別会社説明会では自社の情報を細かく学生に伝えることができ、志向が合致すれば選考参加にもつながる重要なステップとなります。

学生は多くの説明会に参加するため、「選考へ進む一社」に選ばれるための工夫が欠かせません。ここからは説明会予約を最大化するための3つのテクニックをご紹介しましょう。

テクニック1:告知は2週間〜20日前に

あまり早すぎると、予約したことを忘れてしまった、他の説明会の予約を重複して入れてしまったなどの理由でキャンセルの原因になります。

テクニック2:一度の告知では多くても5日程まで

学生が参加しやすいようにとあまり多くの日程を提示すると、予約画面が見づらくなるばかりか、「たくさんあるから後でまた検討しよう」と後回しにされてしまう原因になります。

テクニック3:ターゲットごとに日程を変える

文系は月曜日〜木曜日、理系は休日が参加しやすい日程とされています。また時間は正午から午後3時くらいまでが適切でしょう。
ただし、同じターゲットに対して同じ曜日・時間だけを複数提示しても、授業やアルバイトなど定期的な予定とかぶってしまってどれも参加できない……ということになりがちです。バリエーションを意識しつつ、ターゲット学生が参加しやすい曜日と時間を選びましょう。

学業と並行して多くの企業を同時に検討している学生にとっては、「うっかり」での説明会キャンセルが起こるのも仕方がありません。ここでは説明会の予約からいかに参加へつなげるかのテクニックをご紹介します。

テクニック1:説明会予約画面を充実させる

コンテンツ内容を詳しく記載して、学生が「ぜひ参加したい!」と思える期待感をつくり上げることができれば、参加率は向上します。例えば、単純に「当社の事業を説明します」ではイメージが伝わりにくいですが、「●●を手掛ける若手社員が皆さんの質問にお答えします!」といった内容であれば、より期待感を醸成できるでしょう。
また、説明会以降の選考フローを具体的に記載するのも有効です。

テクニック2:リマインドメール・リマインドコール

説明会告知の直後から参加予約締め切りまでの間に、予約してくれた学生に対し細かくリマインドの連絡をすることは無断キャンセル対策として非常に有効です。
リマインドに対して返信があった学生のみに参加URLを送る、必ず電話で参加確認を取るなど各社工夫をしています。

母集団形成とは、「自社で採用する可能性のある学生の認知を獲得していく」ステップです。
自社の事業内容と合致する分野を専攻していたり、地域的なつながりがあったりする学生に対し、自社の存在をまずは「知ってもらう」ことに注力し、前述のとおりエントリーと説明会への参加を目標として採用広報を行います。


しかし、最初の段階では学生も就職活動を始めたばかりで、実生活の中で触れられる一部の有名企業を除けば、そもそも名前すら知らないということがほとんどです。では、どのように自社のことを知ってもらえばいいのでしょうか。


そこで重要なのが、就職情報サイトや自社の採用サイトなどに代表される「広報ツール」です。ここでは7つの主要な広報ツールを、その特徴とともにお伝えします。

マイナビなど、学生向けの就職情報を網羅的に掲載しているWEBサイトを指します。
学生にとっては就職活動の「入り口」となるサービスで、企業にとっても基本的な採用広報ツールのひとつですので、きっと多くの方が利用されているでしょう。

こちらのデータを見ると、その重要性が理解しやすいかもしれません。
企業名を知らなくては到達できない「企業のホームページ」とは違い、ほとんどの学生が、自分の専攻や就職希望地域、希望職種などを入力することで志向に合った企業と出合える就職情報サイトを主な情報源としている現状があります。


就職情報サイトで「新卒採用の窓口を開けている」ことをまずは知ってもらう。これが母集団形成の第一歩です。
一方で、学生にとっても主要な就職活動の窓口となるだけに、その掲載内容によって成果が大きく左右されることには注意が必要でしょう。
多くの企業に埋もれてしまわないようにコピーや画像に気を配り、検索画面での見え方を自社でも確認するなど工夫が必要です。

合同会社説明会とは、複数の企業が集まって学生に向けて採用情報や自社の事業内容などを伝える場です。


学生が自分の志向に合わせて検索をして企業を発見する就職情報サイトなどでは、特定の業界、特定の職種の情報にのみ触れることが多い傾向にありますが、合同会社説明会では「偶然」の出会いに期待できます。
学生の多くは「さまざまな企業を発見するため」に参加しているという調査結果もあり、ナビサイトでは出会えない層にも能動的にアプローチできるのも大きなメリットでしょう。

出展の際には、目に留まり、話を聞いてみたくなるブース装飾や、立ち寄ってくれた学生向けのトークスクリプトなど事前の準備をしっかり行うことをおすすめします。

大学の就職課(キャリアセンター)に提出する求人票は、コストが低く実施しやすい採用広報のひとつで、採用ターゲットとする学校・学部に直接アプローチすることが可能です。


ただ、多くの企業が並列に見えてしまい、認知度が低いと、そもそも見てもらえないことなどが起こり得るため、目に留まりやすいレイアウトにするなどの工夫が必要です。
また直接大学へ持ち込むことも多いため、就職課との関係づくりの一環としても良いでしょう。

コロナ禍を契機にして、一気にメジャーとなった採用広報ツールです。企業、学生の双方にとって時間や場所を気にすることなく実施でき、なおかつ動画ならではの表現力で文字情報だけでは伝えにくいリアリティのある情報提供ができるのが大きなメリットとなります。
また、出張費や会場費を節約しながら、全国の学生に向けて情報を届けられるのもWEBセミナーならではの特徴です。


WEBセミナーには、双方向でコミュニケーションが取れるライブ配信型と、いつでも見返せる録画型の2種類がありますので、自社の戦略に従ってどちらか、または両方を実施すると良いでしょう。


<関連記事>
【新卒採用担当者向け】初めてのWEB説明会-プログラムから開催の流れまで徹底解説!

学生の自宅に直接送付される就職情報誌にも、実は大きなメリットがあります。
それは、合同会社説明会のように「偶然」の出合いがあり得ることです。ページをめくりながら、意識していなかった企業の情報に目が留まる。そんな体験をする学生も意外と多いと思われます。


また、手元に残っていつでも見返せる点、保護者世代にもなじみやすい媒体であることもメリットとなります。特に後者は、内定受諾を迷う学生の背中を最後に押してくれる親や先生へのアピールができる数少ない媒体として効果を発揮するでしょう。

就職情報サイトの登録学生へ向けて、メールやはがき、封書で情報を提供できるダイレクトメールは、採用ターゲットとなる学生の専攻や地域などがはっきりと定まっている場合に有効です。
また、エントリー後の学生に対して選考参加を促す最後の一押しとしても利用することができます。
ただし、紙の場合は郵送代などのコストが割高になることもありますので、注意が必要です。

中途採用では一般的なエージェントサービスの新卒採用版です。急な採用計画の変更に対応できる、条件を絞った採用ができるなどの利便性があるのもさることながら、学生への紹介、面接の日時調整から内定承諾までサービス会社にフォローをしてもらえますので、マンパワー不足の企業の皆さまには強い味方となってくれるでしょう。
一方で成果報酬型の人材紹介サービスのため、採用人数が多い場合はコストが割高になります。また、広く認知を募るものではありませんので、母集団形成をしたい場合は別の手法がおすすめです。

最終的に採用できる学生の数が決まっている以上、選考できる学生の数は多い方が自社の望む人材を採用できる可能性は高まります。
だからこそ、母集団形成は採用担当者として最も重要な業務のひとつといえるのですが、一方でその「数」にこだわりすぎて採用候補者の少ない母集団を形成してしまうのも本末転倒です。


サポネットでは、母集団形成の各ステップについてより専門性の高い記事も多く配信していますので、この記事で基本を押さえたら、ぜひ一つひとつのステップの精度を高めてより良い採用を目指してください。

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2023/03/08
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