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令和の採用広報に必須? くるみん認定制度とは - 認定基準やその他の制度も紹介

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近年、働きやすい環境やワークライフバランスは学生たちにとってひとつの就職活動の軸となっています。働きやすい環境の指標として、国や自治体は、企業に対して「くるみん認定」などの働き方改革を推進する認定制度を設けています。

これらの認定を取得することは、学生たちが就職先を選ぶ際の安心材料となるだけでなく、企業の価値向上にも繋がるでしょう。

実際に「マイナビ2023」でも、企業情報画面に「くるみん認定制度」についてアピールしている企業はおよそ100社にものぼります。(2022年5月現在)

そこで今回は、社会保険労務士の大森絵美さんが、企業が新卒採用において「くるみん認定制度」を取得するメリットを解説。また、その他の制度の概要なども紹介します。
くるみん認定制度とは、「子育てサポート企業」として、一定の基準を満たした企業が得られる認定制度のことです。

2005年に施行された「次世代育成支援対策推進法」に基づいて「一般事業主行動計画」を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業が厚生労働大臣により認定されます。さらに2015年より、くるみん認定を既に受け、高い水準の取り組みを行っている企業を評価しつつ、継続的な取り組みを促進するため、新たに「プラチナくるみん認定」もスタートしました。
2022年3月末現在、くるみん認定企業数は3,801社にのぼります。2011年の1,015社から約10年間で2,700社以上、年間200~300社のペースで増加。認知度もそれに伴って高まっています。

くるみん認定発足の背景には、急激な少子高齢化による労働力不足があります。労働力を補うためにフォーカスされたのが、働く女性の活用です。共働き世帯の女性は出産・育児との両立が難しく、離職せざるを得ないケースが多く存在していました。
そこで労働力確保のため政府が企業に対して、まずは女性が長く働き続けられる環境を整備しようと、労働者が子育てと仕事を両立できるような環境づくりを求めるようになりました。

くるみん認定を受けると、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
4つのポイントに分けてご紹介します。
くるみんマークは求人サイトや求人票、自社の宣伝広告等に掲載が可能です。掲載することによって、子育て支援に積極的で長く働きやすい環境が整備されている企業として、学生や求職者、取引先や顧客などからのイメージアップが期待できるでしょう。

最近は学生の間でもくるみんの認知度が上がってきています。女子学生はもちろん、将来的には積極的に育児に参加したいと考える男子学生も急増しており、彼らからも注目が集まっているのです。
学生や求職者にとって、ワークライフバランスは就職先を選ぶうえでの重要な基準であるため、くるみん認定の取得は大きなアピールポイントとなります。特に、就職活動に対して積極的な学生はこうした情報にも感度が高く、企業選びの軸にしているケースが多いです。そのため、くるみん認定の取得は優秀な学生の採用にも貢献してくれるでしょう。

さらに、出産や育児を機に離職せざるを得なかった優秀な女性の再就職先としても選ばれやすくなっています。
くるみん認定・プラチナくるみん認定を受けた中小企業事業主に対し、助成金が交付される「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」という制度があります。
常時雇用する労働者が300人以下の中小企業に対し、上限50万円の助成金が交付されるというもので、くるみん認定企業は1回の認定につき1回、プラチナくるみん認定企業は1年度ごとに1回交付を受けることができます。
総合評価落札方式や企画競争による公共調達で、「くるみん認定企業」「プラチナくるみん認定企業」は加点評価を受けることができます。
参考配点例は以下の通りです。
くるみんの認定基準には、
・雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと
・策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと
・男性の育児休業等の取得割合が一定以上であること
など、10の条件があります。

くるみん認定を受けるためには、子育て支援策はもちろん、雇用契約書の整備や残業時間の制限が守られているかなど、基本的な労働に関する法令が守られているかもしっかりチェックされます。あらゆる従業員が働きやすい環境であるかどうか、今一度会社の体制を見直しましょう。

加えて2022年4月1日、くるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準が引き上げられました。それに伴い、引き上げ前のくるみん認定と同様の認定基準である「トライくるみん」と、不妊治療と仕事との両立がしやすい環境整備に取り組む企業を認定する「プラス」がスタートしました。

出典:厚生労働省 「次世代育成支援対策推進法関係リーフレット」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/jisedai.pdf)より加工して作成

くるみん、プラチナくるみんに関しては、男性の育児休業等の取得率の基準などが引き上げられており、ここが企業側にとって一番のハードルと言われています。
くるみん、プラチナくるみんとともに新設されたトライくるみんとプラスについても詳しくみていきましょう。

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html

トライくるみんは、2022年4月1日から新たにスタートした認定制度です。
認定基準は旧くるみんと同じで、男性の育児休業等に関しては

・男性の育児休業等取得率:7%以上 または
・男性の育児休業等・育児目的休暇取得率:15%以上 かつ育児休業等を取得した者が1人以上いること

のいずれかを満たしていることが認定の条件となります。

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html

2022年4月1日の認定基準改正により、くるみんの男性の育児休業等の取得に関する基準が引き上げられました。

・男性の育児休業等取得率:7%以上→10%以上 または
・男性の育児休業等・育児目的休暇取得率:15%以上→20%以上 かつ育児休業等を取得した者が1人以上いること

さらに認定基準に、男女の育児休業等取得率などを厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」(https://ryouritsu.mhlw.go.jp/)で公表すること、が新たに加わっています。

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html

プラチナくるみんも、くるみん同様、2022年4月1日の認定基準改正により、男性の育児休業等の取得に関する基準が引き上げられました。

・男性の育児休業等取得率:13%以上→30%以上 または
・男性の育児休業等・育児目的休暇取得率:30%以上→50%以上 かつ育児休業等を取得した者が1人以上いること

さらに、
出産した女性労働者及び出産予定だったが退職した女性労働者のうち、子の1歳時点在職者割合:55%以上→70%以上
と、女性の継続就業に関する基準も引き上げられています。

くるみん認定以外にも、学生へ働きやすさをアピールできる制度があります。今回はそのうちの4つをご紹介します。それぞれ詳しくみていきましょう。

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html

「ユースエール」は、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働省が認定する制度です。要件には直近3年の新卒者の中で正社員として就職した人の離職率が20%以下であること、前年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいないこと、などがあります。

技術の継承が必要であるにも関わらず一般への知名度があまり高くなく、若手の採用に苦戦している企業などにとっては、特に取得のメリットが大きいと言えるでしょう。

認定を受けると、くるみん同様、自社の宣伝広告や求人票等に掲載して対外的にアピールできるほか、公共調達における加点評価や日本政策金融公庫から低金利で融資を受けることができる利点があります。認定企業数は2022年6月時点で892社です。

<リンク>
厚生労働省 ユースエール認定制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html

「ホワイト企業認定」は、一般財団法人 日本次世代企業普及機構が定める認定制度です。ビジネスモデル/ダイバーシティ/ワークライフバランス/健康経営/人材育成/リスクマネジメント/労働法遵守の7つの指標より、70設問の評価をクリアすると認定が受けられます。認定を受けると、くるみん同様自社の宣伝広告等に掲載して対外的にアピールすることが可能です。2022年5月時点で174社が認定を受けています。

<リンク>
ホワイト財団
https://jws-japan.or.jp/recognition/

若者の人口が減少している今、働きやすい環境整備を進めるか否かは、企業にとって大きな分かれ道になります。
優秀な学生は、働きやすい環境整備を進めている企業に流れていき、古い体制のままの企業は人材確保に苦労する……という傾向はいっそう強まることでしょう。

働く環境の整備には、経営層や現場の管理職を巻き込むことが不可欠です。それぞれの立場から、今回取り上げた「くるみん」などの認定制度の取得のメリットを理解し、社員一人ひとりに寄り添った働き方改革を実践していきましょう。

また、顧問の社労士に相談することで具体的なアドバイスが得られることもあります。ぜひ周囲を巻き込んで、働きやすい環境づくりへの一歩を踏み出してみてください。
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2022/07/15
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