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2024年卒学生のキャリア意識とコロナの影響

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3月に2023年卒の採用広報が始まったばかりですが、今年は4月から2024年卒のインターンシップの選考予約受付も開始しています。対象となる2024年卒の学生は、2020年4月、初めての緊急事態宣言発出直後に入学した学年。授業のほとんどがオンライン化され、課外活動もできないという大学生1年目を過ごした学生たちです。
今回は昨年12月に調査した『大学生低学年のキャリア意識調査』の中で、調査当時大学2年生だった彼らの回答から、コロナ禍によって24年卒の学生たちが受けた大学生活への影響と、それに伴うキャリアに関する意識や関心の特徴を見ていきます。

「大学への通学頻度」についての24年卒学生(当時大学2年生)の回答を見てみると、1年生の前期は67.0%もの学生が大学に「全く通っていなかった」と回答しており、後期も約3割の学生は大学に全く通っていませんでした。【図1】
また、大学生活に関して特に不満に感じていることを聞いてみたところ、もっとも多かったのは「交友関係を満足に広げられないこと」で54.2%となっており、半数以上の学生が交友関係について不満を抱いていました。【図2】
2年生になってからの大学への通学頻度は平均週3日程度となっており、大学に「全く通っていない」という学生は大きく減っています。しかし、大学生活の初めの1年間の授業がオンライン化されたことによって、授業前後の空き時間に交友関係が広がる機会がなかったことや、課外活動ができなかったことで学科の壁を超えた交流が深まらなかったことが、2年生になっても「交友関係が満足に広げられていない」という実感につながっていることが分かります。

では、このことはキャリア意識にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。つづいてこの「交友関係が広がらないこと」がキャリア意識に与える影響を見てみます。
『大学生低学年のキャリア意識調査』で、将来就きたい仕事・キャリアの方向性が決まっているかどうか聞いた結果を見てみると、24年卒の学生の中で、2021年12月時点でキャリアの方向性が決まっている学生は38.7%(「具体的に決まっている(26.7%)」+「どちらかといえば、決まっている(12.0%)」の合計)で、2020年12月調査と比べて6.7pt減少しました【図3】。
また、方向性が決まっている学生に、どのような対象から影響を受けたかを聞いたところ、コロナ禍前の2019年調査の結果と比べて、大学で関わる人から影響を受けた学生が減少しました。もっとも差が大きかったのは「大学の先輩(他大学含む)13.3%」で2019年調査と比べて17.9pt減少。ついで「大学職員・教授(授業や講義含む)16.3%」が15.4pt減少となっており、「同世代の友人16.1%」も10.8ptと比較的大きな減少となっています。【図4】
大学職員・教授や先輩からアドバイスをもらったり、(大学の友人とは限りませんが)同世代の友人と会話をしたりして自分が将来やりたいことや就職活動の方向性のヒントを得る、という経験をしている学生が減少していると考えられます。大学での交友関係が広がっていないことが、将来の仕事やキャリアを考える上でも影響していることが見てとれますし、このことは、キャリアの方向性が決まっている学生が減少していることの要因の一つとも考えられます。また、調査時点(大学2年生の12月)で自身のキャリアの方向性が決まっている学生についても、両親などの身近な存在以外で影響を受ける対象が少ないことは良いこととは言えません。
そこで、学生にとってキャリアについての考え方に影響を受けるような経験ができる大きな機会がインターンシップであると思います。インターンシップは大学も超えて同年代の学生同士で刺激を受けあう場になりえますし、社会人から仕事について直接話を聞く機会を持てることは企業選びや活動をしていく上での新しい視点を得るきっかけになると思います。
このように、24年卒の学生の多くは交友関係が広げられなかったことで、将来の仕事・キャリアについての視野も狭くなる可能性があると考えられますが、学生自身も気づいていなかった興味につながるようなインターンシップを実施して、学生の視野を広げるきっかけをつくることは企業にとっても母集団を増やすことに繋がるなど双方にとってメリットになるといえそうです。
「メディアやネットで話題になっているニュースワードのうち、自身の就職活動に影響しそうだと思うもの」を聞いたところ、全体の1位は「テレワーク、リモートワーク、在宅勤務」で40.7%、2位は「働き方改革」で34.8%となりました。コロナウイルスの感染対策によりテレワークが推進され、導入している企業が増えているために就職活動にも影響するだろうと考えている学生も多いと思いますが、大学で長期にわたりオンライン授業を受けていた経験もテレワークへの関心の高さに一定の影響を与えていると考えられます。【図5】
また、『2023年卒 学生就職モニター調査 3月の活動状況』で聞いた企業選択のポイントに関する質問でも、「企業を選ぶときに、あなたが特に注目するポイント」を3つまで選んだ場合に「在宅勤務などのコロナ対策を行っている」は1位となっています。オンライン授業を経験した大学生にとって、コロナウイルス感染対策の意味も含めて在宅勤務の実施状況は関心の非常に高いものであることが分かります。【図6】
インターンシップを実際の職場で行う場合や会社見学を行う場合は、インターンシップのプログラム内容や会社の雰囲気以外に、職場での社員の様子や出社状況などにも学生は注目すると考えられます。在宅勤務を実施している場合はそのことを実感してもらうチャンスでもありますし、何らかの理由で実施していない、またはインターンシップの実施日に出社率が高い場合、学生はその理由も知りたいポイントになると思います。いずれにせよ、リモートワークや在宅勤務に関して学生の関心が高いことを認識しておくことは重要といえそうです。
コロナ禍で入学した24年卒の学生たちは、授業のオンライン化や行動制限により、例年の学生たちと異なる大学生活を送ってきたことは周知のことと思いますが、上記のように、コロナウイルスの影響は大学生活が変わったことによってキャリアについての意識や関心にも及んでいることが分かると思います。21年卒からのコロナ禍での採用活動は、毎年さまざまな対応の変化が求められていますが、24年卒からの学生については考え方や価値観も変わっていくことを踏まえた準備が必要といえそうです。
  • Organization 株式会社マイナビ 社長室 キャリアリサーチ統括部

    株式会社マイナビ 社長室 キャリアリサーチ統括部

    雇用や労働に関連する様々な調査データやレポートを通じて、雇用の在り方や個人のキャリアを考える上で役立つ情報を発信します。

  • 人材採用・育成 更新日:2022/04/28
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