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【緊急覆面座談会】学生は企業の何を見ているのか?―【特集】対求職者コミュニケーション 第3回

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<座談会に協力してくれた方>

― 皆さん、今日はお集まりいただきありがとうございます。
早速、まずは就職活動の初期に行かれたであろう「企業説明会」について伺わせてください。何か印象に残っていることはありますか?

Aさん: 私はエンタメ系を中心に就職活動をしていたんですが、暗い会議室に暗そうな大人が2~3人出てきて説明会を始めた企業がありまして…。「この人たちと面白いものが作れるイメージが全然沸かない!」と思ったことがありました 。

― 内容の前に雰囲気が…ってことですね。ちなみに、企業に関する情報などはどの程度インプットしてから説明会に参加していましたか?


Aさん: 採用サイトにある情報や、IRなどは全て目を通してから参加していて、説明会そのものは「答え合わせ」のような感覚が強いですね。社風や社員の雰囲気をつかむことが主な目的なので、先ほどお話ししたような内容だと、なおさらがっかりしてしまうかもしれません。

― IRまで読んでいるというのはちょっと驚きですが、他のお二人もそうですか?


Cさん: そうですね。事前にインプット可能な情報は、IRを含めてできる限り入れてから臨んでいました。なので、説明会で雰囲気が知りたいというのはAさんに賛成です。

社員さん同士の掛け合いだったり、仕事のリアルな姿を知れるようなお話はすごく興味深いのですが、行き過ぎて社内の専門用語を連発されたり、内輪ノリが過ぎたりすると、「何を見せられてるんだろう?」という気分になってしまいます。

― 程度の問題、ということは確かにありそうですね。Bさんはどうでしょう。


Bさん: 僕はインターンシップを中心に就職活動を進めていたので説明会に参加したことはないのですが、やはりIRを含めた情報はできる限りインプットしてから臨んでいました。

社員の雰囲気ということでいえば、インターンシップの冒頭で「日本で一番優しい人事でーす!」と登場した方がいらっしゃいました。一発で笑いをとって、場の雰囲気をつかんでいましたね。

― いわゆる「アイスブレイク」ですね。ここは悩んでいらっしゃる採用担当者も多いと思いますので、皆さんのお話をしっかり聞きたいと思います。


― 説明会を始める前に場をほぐす目的で「アイスブレイク」は重要とされていますが、一方で難しさを感じている方も少なくないようです。実際に説明会を受けられた皆さんは、アイスブレイクが重要だと思いますか?


Aさん: 重要だと思います。志望度の高い企業だと、出てくる社員の方が全員「憧れの社員さま!」というふうに見えてしまうんです。やっぱり緊張しますし、そのままでは質疑応答もしにくいので、少し距離が近くなるようなアイスブレイクがあるのはありがたいです。

― なにか印象に残ったアイスブレイクは?


Aさん: Bさんのような強いエピソードがあるわけではないのですが、少しだけプライベートをのぞかせてくれたりとか、Cさんがおっしゃったように内輪ノリになりすぎない程度の掛け合いがあると、「社員さま」から「社員さん」に印象が変わって、話しやすいです。

Cさん: 僕もアイスブレイクは重要だと思うのですが、うまいなと思ったのは、オンライン説明会でのものでした。
接続の確認のために若手の社員の方が登場して少し話してくださったんですよね。そこで、「この後怖い顔の人事が登場しますが、優しい人なので安心してくださーい」と本番につなげていました。

年の近い方が出てくださってすごく気持ちがほぐれましたし、実際にその後の説明会はリラックスした良い雰囲気でした。

― アイスブレイクのネタとして、TikTokやYouTubeといった皆さんが興味のある話題を収集して話すという採用担当者の方もいますが、それについてはどう思いますか?


Aさん: 若手の方ならいいんですが、年配の方がそれをやっても「無理しないで!」って思っちゃうかもしれません。
私たちに歩み寄ってくださっている気持ちはうれしいのですが、必ずしもそれだけで場の空気をほぐすわけではないと思いますので…。

Bさん: 僕の経験だと、会場から「ひと笑い」を取れれば勝ちなのかなと思います。有名芸人と同級生だったという人事の方のエピソードトークが面白くて、すごくいい雰囲気でした。

― 採用担当者が全員、笑いを取れるとも限りませんが…(一同笑)、必ずしも若い話題を使わなくてもいいということはある意味で救いになったかもしれません。

― 先ほどCさんからオンライン説明会の話題が出ました。すでにオンラインでの説明会がメインになって1年以上が経過していますが、まだまだやり方に悩んでいる採用担当者の方も多いようです。何かアドバイスはありますか?


Bさん: 資料は絶対に変えたほうがいい、と思っています。ビジネスの現場では良いこととされていないのかもしれませんが、アニメーションを使って画面を動かしたり、見栄えにこだわることは重要だと思います。
オンラインの場って、ほぼ資料しか見るものがないので退屈しちゃうんですよね。

Aさん: 私もそう思います。ただ資料を読んでいるだけの時間が長い説明会も多くて、飽きてしまいますね(笑)
資料にない、例えばプロジェクトの裏側にあったエピソードみたいなものを織り交ぜていただけるといいと思います。

Cさん: そうですね。オンライン説明会は「資料を見ている」時間が長いというか、資料しか見るものがないので、僕もオフラインと違って圧倒的にキレイに作ることは重要だと思います。

ただ、動画を流す説明会では困ったことも多かったですね。学生の一人暮らしだと安いWi-Fiを使っていることも多いです。実際に僕がそうだったんですが、通信環境が良くない中でカクカクした映像を3分も4分も見せられるのは苦行です。
想定できる下限の環境を基準としてオンライン説明会を行うということは、すごく重要なことなんじゃないかなと思いますね。

― オンライン説明会に移行してから動画に力を入れている企業さんも多いので、その指摘は新鮮に聞こえると思います。ありがとうございます。


Cさん: あと、説明会を見ながらスマホで投票、みたいな仕組みのものも時々ありますが、その説明会自体をスマホで見ていることが少なからずあるので、それも困ってしまいました。

Aさん: 動画関連では、私は感動したものもありました。社員の方がYouTuberみたいにオフィスツアーをしている動画を公開していて、普段は見ることのできない部分も案内してくれていたんです。最高の印象を抱きました。
確かに接続状況への配慮も必要だと思いますので、説明会の中で流すのではなく、別に配信してもいいかもしれません。

― 説明会関連でもう一つ、採用担当者の方が迷いがちなポイントについてお伺いしたいと思います。仮に1時間の会社説明会があるとして、会社側からの説明と質問の時間配分はどの程度が理想的だと思いますか?


Aさん: 説明40分、質問20分くらいですかね。ただ、前提として説明部分では「調べれば分かること」を省いて、その裏側にあったエピソードみたいなものを聞きたいですね。

例えば、「○○の売り上げが上がった」という話はIRを見れば分かりますが、そのためにどんな努力や工夫があったのか、ということは読み取れませんので。

Bさん: Aさんと同じく、2対1くらいが適切だと思います。僕も調べ尽くしてから話を聞きに行くタイプですが、そうじゃない学生も多いと思うんですよね。

そういう学生のために丁寧に説明をしながらも、しっかり調べている学生にとって退屈な時間がないように話の途中で細かく質問の時間を取ってくださるといいのかな、と。

Cさん: 僕の場合、質疑応答はもっと短くていいと思います。10分とか。正直に言うと、あまり調べてきていない学生の質問を聞いている時間が無駄に思えてしまうんですよね…。

一同: (笑)

Cさん: その時間を取るくらいなら、Aさんが言うように事前のリサーチでは知ることのできない貴重な情報をたくさん聞きたいですし、質問があれば個別に聞きに行く方が効率がいいなと思ってしまいます。

― ここまでは、説明会など不特定多数の学生対企業でのコミュニケーションについて伺ってきましたが、就職活動の現場では学生と企業が一対一で向かい合う場面も多いですよね。まずは具体的に、リクルーターとの関係について伺いたいと思います。何か印象的なエピソードはありますか?


Aさん: 私が女性だということもあると思いますが、ライフプランとキャリアプランをしっかりと並列で一緒に考えてくださったリクルーターさんにはすごく好感を抱きました。

Cさん: 僕は、なぜ働くのか? 僕自身は何をしたいと思っているのか? というような仕事観から、生きていく上で参考になる考え方のようなものも教わったと思っています。自分では全く見えていなかった、働き方や生き方の選択肢を提示してもらいましたね。

そして、最後の2社で迷っていたときには、「迷っているなら、うちじゃないのかもね」とおっしゃっていただいて、結果としてそちらは内定を辞退しました。が、感謝の気持ちは変わらず持ち続けています。

― 本当にキャリアを考えくれていたんだな、と思えるエピソードですね。


Bさん: 自分自身への理解が深まったということで言えば、僕の場合は総合人材サービス企業の面接が印象的です。
質問力が高くて、面接を重ねるたびに自分に対する理解が深まっていって、本当にすごい面接を受けたという印象がありますね。
Aさん: 私の場合、面接で相互理解を深める時間を取ってくださったことが印象に残っています。
普通、面接といえば学生側が一方的に質問に答えることが多いと思うのですが、先方の面接官も自分のお話をしてくださって、いい雰囲気で面接に臨めましたし、志望度も高まったと感じます。

― 皆さん良いエピソードをお持ちですが、逆に嫌だったことはありましたか?


Bさん: 金融系の企業に内定辞退を申し出たら、2時間も説得されたことですかね…。僕の場合はインフラ系を志望する意思が固くなっていたので、それで意見を変えることはありませんでしたが、百戦錬磨の金融営業パーソンから2時間も説得されたら、意思を覆してしまう学生もいるんじゃないかな…と思いました。

Aさん: ハラスメント系の発言は、それ一発で志望度がゼロになるようなインパクトがありましたね。「営業職だとかなりお酒を飲むことになるけれど、大丈夫かな?」みたいな。
お酒を飲むことが嫌かどうかではなく、そういうことを学生に聞いてしまうということは、会社の文化としてコンプライアンスがしっかりしていないんだろうと想像できてしまった出来事でした。

― 記事では学校名も社名も伏せていますが、皆さん有名大学から有名企業へと就職されますよね。一方、皆さんのような人材は規模にかかわらず採用したいと考えている企業も多いと思います。
中小企業から受けたアプローチで印象的なものはありましたか?


Bさん: サービス業界の新興企業から受けたアプローチは強烈でした。社長が有名大学の学生にどんどんご飯をおごって、いろいろな話をするんです。豪華な接待という感じですね。結果として今、有名国立大学の学生をどんどん採用しています。

学生にとって、就活中に接触する社員と会社への印象はほぼイコールになりますから、入社後も面白いことが起こるのでは?と期待できてしまいますよね。

Aさん: 中小企業だと、人的リソースの問題でウェブサイトの作り込みや情報発信が大企業ほどはできないことは理解していますので、個別のコミュニケーションでこちらを深く理解していることが伝わってくると、グッと志望度が上がります。

私が内定を受諾した企業はエンタメ業界では決して大企業ではないのですが、私の高校時代に少し関係があったことも織り交ぜた上で、私のプロフィールをしっかりと読み込んで連絡してくださったんです。

定型文じゃない、私のことを本当に理解した上で書いている文章だと伝わってきて、志望度が高くなり、結果として内定を受諾しました。

Cさん: Aさんのおっしゃるように、なぜ僕を採用したがってくれているのかが伝わってくると、大手と中小の情報や、こちらが抱いている印象の格差を超えて志望度が高まることは実際にあると思います。

学生側は、自分が社会で何をできるのかがまだまだ分かりませんので、こちらを深く理解した上での明確なスカウトがあると好感度が高いですね。

― 皆さん、今日はありがとうございました!


今回の座談会を通じて感じたのは、「学生は企業側のコミュニケーションの裏」を本当によく見ているということでした。

リサーチ力の高いZ世代の学生さんは、企業が説明会で話すようなことはほぼ把握しています。それだけに、非言語情報をあらゆる方法で読み取り、志望する企業を見定めているようです。

また一方で、真剣に向き合うコミュニケーションには率直に反応し、好感を抱くことも印象的でした。
採用業務は効率化と個別化(学生との個別コミュニケーション)というてんびんの上でバランスをとる難しい仕事ですが、個別コミュニケーションをいかに積極的に取るのか、ということは採用実績を大きく左右するようです。

今回の記事が、皆さまの採用活動のお役に立てることを願っています!
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

    新卒・中途採用ご担当者さま、経営者さま、さらには面接や育成に関わるすべてのビジネスパーソンに向けた、採用・育成・組織戦略のヒントが満載の情報メディアです。HR領域に強いマイナビだからこそお伝えできるお役立ち情報を発信しています。

  • 人材採用・育成 更新日:2021/09/07

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