経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
0 s_saiyo_s04_s20210617094032 column_saiyo cp_naiteic_gakuseiinterview

覆面新入社員座談会 内定者時代に感じていた「不安」について教えてください ―【連載】内定者と深くつながる研修・コミュニケーションのキモ 第3回

/news/news_file/file/thumbnail/s-column-27.jpg 1
2021年卒の新入社員が社会人になって、早2カ月。日常業務や研修で忙しい中、内定者時代を振り返る座談会に3名の方に協力していただきました。

採用後期から内定者時代にわたって経験したこと、その時に感じた不安や不満、そして安心感。採用活動において自社以外の「内定者との付き合い方」はなかなか見えてこないもの。そんな貴重な話を根掘り葉掘り、覆面座談会で伺いました!

― Aさん、Bさん、Cさん。今日はお忙しい中、オンライン座談会にご参加いただきありがとうございます。皆さんの就職先企業名を含めて、今日お話しいただいた内容は個人が特定されないよう記事化しますので、何でもお話ししてください。まず、内定を決めるまでの話を伺ってもよろしいでしょうか。


Aさん: 私はスカウト型求人で声を掛けていただき、今の会社に入社しました。BtoCのマーケティングをやりたかったので、それがかなえられることが条件でしたが、ぴったり合致したことが決め手です。

Cさん: 私の場合、公務員試験を終えてからの就職活動だったので、お二人よりも開始が遅く、社会貢献性の高い企業という希望で大学の就職課から紹介を受けて今の会社に入社しました。大学時代の専攻とはまったく内容が異なるのですが、希望の方向性は通ったので良かったですね。

― 内定受諾まで、どのようなアプローチがありましたか?


Bさん: 選考が進むのに合わせて、リクルーターの方からアプローチをいただくようになりました。5月の内定後は入社意思の確認が頻繁にありましたね。実は、僕はその段階で就職活動をやり切れていない感覚があったので、「就職活動を再開します」と連絡をしたら、すぐに向こうからも連絡があって…。

そこで「納得する形でやりたい仕事を見つけて欲しい」と言ってくれたんです。それがうれしくて、7月中旬ごろに内定を受諾しました。そこからの連絡は結構ドライな印象に切り替わりました。

Cさん: 私の場合、先ほどもお伝えしたように内定が遅く12月ごろでした。すぐにいろいろな書類を提出しなくてはいけないタイミングで、あまり迷うような時間はありませんでした。
特に向こうからのプレッシャーも感じず、疑問に思ったことは聞けばすぐに答えてくださったので、親しみを感じていました。

Aさん: 私もBさんと同じく、内定時点では就職活動をやり切れていない実感がありましたね。今の会社は、若手のうちからマーケティングの仕事に就ける環境で私の希望どおりではあるんですが、もっと突き詰めてやるべきでは? という気持ちも正直ありました。

ただ、スカウトの段階からずっと連絡を取ってくださっていた人事の方から「内定承諾は、あなたが最後の1人だよ」と言われてしまい…。正直ちょっと急かしすぎだという気もしましたし、本当はやり切りたかったけれど、今の会社に決めました。

― 続いて、内定者時代の「研修」についてお話をお聞かせください。内定者研修の内容は十分だと感じましたか?


Aさん: 内定者時代に、研修らしい研修はありませんでしたね。人事の方が「最後の大学生活だから楽しんで」と。

Cさん: 私もです。Aさんと同じく最後の大学生活を楽しんでほしいということで研修はありませんでした。新生活の準備に使えたのは良かったかな。

Bさん: 僕の場合、研修というスタイルではありませんでしたが、内定者で運営する学生向けイベントがありました。その準備を通じて会社の理解が促進されたような感じです。

― Aさん、Cさんは内定者研修がなかったということですが、良かった・悪かったでいうと、どちらでしょう。


Aさん: 研修のスタイルではありませんでしたが、私も座談会のようなイベントはありましたね。

内定者同士で話し合いながら、紙芝居ワークをするような内容です。会社の理解にはつながりませんでしたが、同期に知り合いができたことはうれしかったです。それをきっかけに全員がお互いのインスタグラムをフォローし合うようになって、そのうち1人とはDMで連絡も取り合えるようになって。

Cさん: 私は、そういう機会もなかったです。すでに出社し始めていますが、同期のほとんどが生産部門への配属で、実際に話せたのは1人だけ。その1人とも、内定者時代には話したこともありませんでした。

― かなり不安もあったのでは?


Cさん: そうですね…。私の場合、大学時代の専攻とはまったく別分野の企業に就職したのでなおさらです。同期とのコミュニケーションも取りたかったのですが、仕事内容については正直、もっといろいろ教えてほしかったですね。

Aさん: 仕事内容については私も同じです。商品知識などは企業サイトなどを通じて一通り勉強していましたが、仕事をする上で必要になるマーケティングなどの専門知識については入社するまで研修がなかったので。

ただ、知識としてマーケティングを知るのではなく、入社後に実際の仕事にひも付いた形で学べたので、今にして思えば良かったかもしれません。内定者時代に勉強するのとは、理解度が違うというか。

― Bさんはしっかりした内容のイベントが内定者時代にあったようですが、実感としてやって良かったと感じますか?


Bさん: はい。会社への理解も進みますし、自分の後輩になるかもしれない学生と話すことは刺激になりました。少人数のグループに分かれて行ったのですが、自分では自信のあった分野だけれど、同期の方がずっと優れていることに気が付いたり、友達と言えるような仲になった同期もできました。

― 続いて、入社前の時期についてお話を伺います。気持ちも、その他もいろいろと準備が必要な時期ですが、サポートはしっかりしていたと感じますか?


Cさん: 私は、聞きたいことを聞けばすぐに答えてくださる環境だったので特に連絡事項についての不安はありませんでしたね。ただ、繰り返しになりますが事業内容や取扱製品については企業サイトにある以上の情報はその時点で手元になく、それだけは不安でしたが…。

Bさん: 当時、強く感じていたのは、とにかく「対面で会いたい」ということでした。先ほどお話ししたイベントも少人数でしたし、対策をすれば対面でも実施できたんじゃないかと思っていました。

同じように、会社に行くことができないために、自分で用意しなくてはいけないものが多いのも大変でした。社用PCは貸与されますが、そのセットアップは情報が足りない中で何とかやらなくてはいけない、健康診断も自分で受けなくてはいけない、PCR検査もぎりぎりで連絡が来て慌てて受けました。入社人数が多いので仕方ないのかもしれませんが、こちらは何も分からない中でもう少しサポートが欲しかったな、という実感はあります。

Aさん: 私も同じくです。Bさんほど入社者数は多くないのですが、入社式をオンラインでやるのかオフラインでやるのかといった基本的な連絡すらぎりぎりまでいただけず、連絡が来ない、どうしていいか分からない不安が強かったですね。

― 続いて、入社後についてお伺いします。内定者時代の研修に不足感を覚えていたという話もありましたが、入社後はどうですか?


Aさん: 入社後の研修はすごく充実していますね。先ほどもお話ししたように、マーケティングについて、かなりしっかりした内容の研修をしていただいて、なおかつ、実際の仕事とひも付いた形で学べるので勉強になります。

何より、私の場合は内定から研修まで同じ人事の方がずっと見てくださっていて、その安心感も上乗せで、今の対応にはとても満足しています。

Cさん: 入社後からは積極的な研修があり、会社や製品への理解も一気に進みました。実務も少しずつ始めていますが、その中でも私にしっかり向き合って分からないことをちゃんと教えてくださいます。精神的にも肉体的にも、今のところ苦痛はまったくないですね。

Bさん: 僕も、入社後の研修プログラムが思った以上にしっかりしていて驚いています。全行程で4カ月、担任までいるような体制で。 事業の幅が広いので研修の内容も幅広く、勉強になるなと思っています。

一方で、研修自体が残業と課題の持ち帰りを前提としたカリキュラムになっているのは、ちょっと疑問です。講習があって、課題が出て、提出日までに各自やっておいてね、という感じです。現実問題として、業務時間内では完了しないので。

― 最後に、今の勤務先について総合的な「満足度」を伺いたいと思います。100点満点で、何点ですか?


Cさん: 95点です。先ほどもお話ししたように、皆さん真摯に向き合ってくださいますし、こちらが1聞いたことに10で返してくれます。本当は、同期も含めて皆さんと会いたいのですが、それは今の段階で現実的には難しいので…。

ただ、シャイな方が多くて(笑)。もっとカジュアルにお話ができれば100点ですね。

Bさん: 70点です。不安なのは配属先で、希望面談があると聞いていたのですが、何しろ入社人数が多いので簡単なフォームに入力するだけで終わってしまいました。昨年は新卒社員のかなりの割合がグループ会社に出向しているので、今年はどうなんだろうと。

それ以外は、僕がもともと持っていた希望に沿う内容の会社ですし、満足しています。

Aさん: 90点です。私が希望しているマーケティング部署に配属していただけそうなので、その点が大きいですね。

ただ、私が目指すべき姿となるロールモデルが不足していて、漠然と不安です。

もう少し手厚いフォローがあると、キャリアビジョンが明確になって不安が解消され、100点と言えると思います。

― 皆さん、今日はありがとうございました!

いかがだったでしょうか。想像されていたよりも、多くの不安を抱えていると感じられた方も多いと思います。

今の学生は、いわゆる「Z世代」。デジタルネイティブで、どんな小さな疑問や不安も調べることで解決してきた世代です。それだけに自己完結性が高く、自身が抱えている不安を素直に話せないという面も持ち合わせています。

ここで一度、自分たちが「内定者」だった時代を思い出してみましょう。

小学校、中学校、高校…とその延長線上にあった学生時代から完全に切り離された「社会人」という新しいステージ。そこに上がる不安を、当時の自分たちも持っていたのではないでしょうか。

それに加え、世代的な要因でそれを表に出せない今の新入社員たちに、自分たちの過去と彼らを重ね合わせれば、どのようなフォローやサポートが必要なのか、見えてくるかもしれません。
  • 人材採用・育成 更新日:2021/06/09

RECOMMENDED

  • ログイン

    ログインすると、採用に便利な資料をご覧いただけます。

    ログイン
  • 新規会員登録

    会員登録がまだの方はこちら。

    新規会員登録

関連記事