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日系企業のアルムナイ活用事例④〜行内の協力を得て、早々に登録人数目標を達成!導入から5ヶ月で交流イベントを開催できるまでに〜(株式会社八十二銀行)

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長野県を代表する金融機関として、90年以上の歴史を培ってきた株式会社八十二銀行。2024年よりアルムナイとのつながりを作りはじめ、外部で培ったキャリア・経験を再び活かせる環境を整えています。

八十二銀行は「健全経営を堅持し、もって地域社会の発展に寄与する」という経営理念を掲げており、地域活性化や地域企業の経営課題の解決を担うためには「人的資本経営の推進が不可欠」だと判断しています。多様な人材確保を目指し、アルムナイとの関係性構築に力を入れていくことになりました。今回は、アルムナイコミュニティの立ち上げに携わってきた人事部 峯村 諒汰様に、人事戦略としてのアルムナイコミュニティ活用についてお聞きしました。

Qなぜ、アルムナイコミュニティを立ち上げようと思われたのですか?

峯村 諒汰様(以下、峯村): 最近では「人材の流動化」が当たり前になりました。さらに少子高齢化の影響も受けて、どの業界でも人手不足が叫ばれています。当行も長い目で考えれば、同じような社会課題に必ず直面していくだろうと考えていました。

人的資本経営の一環として、退職された方とも関係を築いていくことは、必要になってくるはず。そうなると、なるべく早い段階でアルムナイコミュニティを立ち上げておく必要があると思いました。

アルムナイコミュニティを立ち上げた目的としては、まず「アルムナイの再雇用」が目的でしたが、さらに「行員のエンゲージメントを向上させ、企業ブランディングを高めたい」ということ。そして「アルムナイの人脈を活かした協業促進」を実現したいと考えています。

Q過去の退職者の方とは、これまでどのようなお付き合いをされていたのでしょうか?

峯村: 当行では以前から、一度退職された方が再入行する「キャリアリターン制度」を導入していましたが、積極的に利用されているわけではありませんでした。結婚・出産などのライフイベントで退職した方が数年後に戻ってくるケースはありましたが、毎年1〜2名ほどが再入行する程度でした。

過去に退行された方へのアプローチ施策もなかったため「前向きに転職して経験を積み、その後また八十二銀行へ戻ってスキルアップする」といった方は、ほとんどいませんでした。

Qアルムナイコミュニティサービス「YELLoop(エーループ)」を導入することになったきっかけについて、教えてください。

新卒採用でお付き合いがあったマイナビに相談

峯村: 以前より、マイナビ様には新卒採用でお世話になっており、相談をしてみて初めて「YELLoop」について知りました。「YELLoop」は、アルムナイと社員のつながりを強化するアルムナイコミュニティ運営支援サービスであり、アルムナイのメンバー同士のやり取りや、管理がしやすい仕組みになっていると知ったのです。

他社のサービスも比較検討しましたが、マイナビ様は新卒採用でもお世話になっており、親身になってご対応いただいた点が導入の決め手となりました。

「アルムナイコミュニティを立ち上げよう」と決めたものの、具体的に何をどうすれば良いのかというイメージが全くありませんでした。そこで、月1回の定例ミーティングを実施していただくことにしました。情報発信の内容についてアドバイスをいただきながら今後の運用方針を決めていくことができ、本当に助かりました。

実務面をサポートする運用代行を活用し、工数負担を軽減

峯村: もう1点、導入にあたりネックになっていたのが「運用工数の負担」です。私が新卒採用業務を担当していることもあり、コミュニティの運用を並行して進めることに難しさを感じていました。

ノウハウもない中でアルムナイの方と個別で話したり、参加登録へのサンクスメールを送ったりする工数を考えると、運営するのは厳しいかもしれないと感じていました。そうした不安に対し、マイナビ様の担当者から「運用代行を活用してみては?」と提案いただきました。

マイナビ様がアルムナイコミュニティの立ち上げから、運用に至るまでの実務面をサポートいただけるので非常に心強く、長く続けていけそうだと判断し、お願いすることにしました。具体的には、発信するコンテンツの企画内容や運営のポイントなどについてアドバイスをいただき、安心して始められたと思っています。

Q「YELLoop」導入前は、周囲の反応はどのようなものだったのでしょうか?

行内でのコンセンサスを得るために、導入前からメリットを丁寧に説明して懸念を払拭

峯村: 最初は「一度退職した行員を、また迎え入れるのはどうか」という意見もあり、アルムナイとの関係を築いていく必要性や目的をきちんと提示していかなければなりませんでした。

ただ、客観的に考えると「やらない理由がないのでは?」とも思っていました。確かに、退職者が戻ってくるという事実が、感情的に受け入れられない部分はあるかもしれません。一方で、アルムナイとの関係構築に力を入れれば「退職者も当行の人的資本に含む」と位置付けていることになります。結果として人を大切にしている当行の姿勢が伝わり、職員のエンゲージメント向上や協業、再雇用につながっていけば明らかなメリットになるでしょう。

それならば、問題はコスト面だけになります。そこで、アルムナイコミュニティがどのような価値を生むのかを発信し、コンセンサスを取っていきました。

正直に言えば、やってみないとはっきりした効果が見えないとも感じていました。それでも八十二銀行の将来を考えると、やること自体に意義があるはずです。最後はアルムナイコミュニティを立ち上げることの必要性を共通認識として持つことが出来ました。

行員が退職した同期に連絡。アルムナイコミュニティへの登録を推奨

峯村: 現職の行員からの反応はとても良かったです。退職した同期に連絡を取って「登録してみて!」と促してくれた行員も多くいました。

当行は新卒採用の比率が高く、同期が一斉に集まって、研修を受ける機会も多くあります。そのため支店を超えた人間関係が築きやすく、つながり続けられる風土が根付いています。

また、当行の新たな取り組みを、退職者に紹介すること自体が好意的に受け止めてもらえている証拠だと思っています。導入当初は退職者への反発心が大きいのではと心配していましたが、問題ありませんでした。

半年後の目標を2ヶ月で達成。早々に交流イベントを実施

峯村: 導入当初の目標は「半年間で登録者数50名、1年間で100名」と設定しました。行員の口コミ紹介でコツコツと広げていこうと考えていたのですが、スタートから2ヶ月で目標を突破。その後も登録者数は増え、順調なペースで伸びています。

想定よりも早いペースでコミュニティが拡大してきたため、次の一手として「リアルで集まる交流会イベント」を実施することにしました。私たちとしては「もっとたくさん集まるようになったらやろうか」とのんびり構えていたのですが、マイナビ様との月次ミーティングにおいて「まずは少人数でも良いので、やりましょう」との提案がありました。イベントを通じて登録者が何を求めているかを知り、情報収集ができれば運用改善につながるからです。

そこで“懇親会”として参加者と会食をする形で、スタートさせてみました。非常に早いタイミングでイベントが実施でき、コミュニティの質を高められたのではないかと思います。

Q今後はどのように「YELLoop」を活用していきたいですか?

再雇用による人材確保を実現し、キャリアのロールモデルを提示

峯村: 目的の1つだった「再雇用による人材確保」ですが、長期的な目線で考えております。おそらく3年程度はかかるのではないでしょうか。とはいえ、できるだけ早期に1人目を採用し、実績を作っていくつもりです。

実績がモデルケースになり、多くの人に周知することができれば「こういう働き方もありだ」と示せるようになります。その結果、再雇用の連鎖が起きれば嬉しいですね。

金融領域にこだわらないビジネスチャンスの拡大

峯村: アルムナイが外部で築いた経験や人間関係をきっかけに、ビジネスが実現できないかと常々考えています。こちらも実現までには時間がかかると思いますので、長期的な目線で実績が出せるように動いています。理想としては、大規模なアルムナイ交流会を開催し、そこで参加者同士が事業プレゼンをする…そんな夢を描いています。ビジネスにつながるきっかけをお互いに探していける。そんな機会を積極的につくり出してみたいです。

そのためにも、今は「登録者数を増やすこと」が最優先になるフェーズです。より多くのアルムナイに、コミュニティの存在を知ってもらえるように露出も増やしていき、行員と連携しながら広めていければと思います。

「YELLoop」には、アルムナイが新規登録者を紹介するとポイントが貯まる仕組みがあります。ギフト交換もできるので、そうした仕組みも活用しながら「登録者数100名突破」を目指したいです。

今後の八十二銀行のビジョンを伝えることで、アルムナイコミュニティの活性化につなげたい

峯村: 当行とアルムナイ、双方にとってメリットのある関係を築くには「情報」が欠かせません。有意義な情報提供によって、人同士がつながり、新しいチャレンジがうまれるような仕組みを形にできると良いですね。

例えば以前と比べると、現在の八十二銀行は人事制度が大きく変わっています。かつては管理職への道がキャリアアップの王道でしたが、2022年よりキャリアの選択肢が増え、専門人材として活躍できる道も開かれています。自分の強みが活かせる仕事にチャレンジし、能力を伸ばしていくことが可能になりました。

最近のトピックスや投資家向けのIR、行員向けの行内報などを、コミュニティ内で発信することで、関心を持ってもらえるようにしていきたいと考えています。ただ、私たちからの「一方通行のコミュニケーション」になってしまいがちなので、双方向の発信になるように気をつけていきたいです。

そのためには「アルムナイコミュニティに所属しているからこそ得られる、魅力的な情報」が必要になるのでしょう。再雇用された方のキャリア変遷や、協業につながったビジネスマッチングの事例を発信できると、大きな価値が提供できると思います。

アルムナイ同士で情報交換し、活発なコミュニケーションを生むのは難しいものです。最初は「情報を投稿しても大丈夫かな?」と、つい迷ってしまう気持ちも分かります。そうした心理的なハードルを下げるためにも、盛り上げ役となるキーパーソンの発掘が重要かもしれません。

色々とお話しましたが、重要なのは「八十二銀行そのものの魅力」を高めていくことが、アルムナイコミュニティを成功に導いていくのではないかと考えています。八十二銀行に関わると、メリットがある。そう思っていただけるような実績を、1つずつ積み上げていきたいです。

  • Person 峯村 諒汰

    峯村 諒汰 株式会社八十二銀行 人事部 キャリア開発グループ

    新卒で八十二銀行に入行。入行後は個人・法人の営業としてコンサルティングに従事。2022年より人事部へ。人事部では新卒採用がメイン。

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