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アルムナイ採用の懸念やデメリットとは?失敗回避の注意ポイント

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「アルムナイ採用は良さそうだけれど、本当にうまくいくの?」
と疑問を抱く方も、少なくないのではないでしょうか。

近年、即戦力人材の確保や採用コストの抑制といった観点から、退職者を再雇用するアルムナイ採用に注目が集まっています。

しかし、アルムナイ採用を成功させるためには、さまざまな課題やリスクが潜んでいることを認識しておく必要があります。

この記事では、筆者の体験談を交えながら、あえて “アルムナイ採用の負の側面” に焦点を当て、ご紹介したいと思います。

アルムナイ採用の懸念点やデメリット

筆者は、自身が一度退職した企業に再入社した経験と、自身が所属する企業で再雇用された社員と一緒に働いた経験があります。

つまり、アルムナイ採用の当事者と受け入れ側の双方を、現場目線で経験しているということです。

その経験から、懸念点やデメリットを3つのポイントに整理してお伝えします。

なお、以下文中では、アルムナイ採用された当事者を「アルムナイ」と呼びます。

(1)組織適応が難しい

まず1つめのポイントとして挙げられるのが、「アルムナイの組織適応の難しさ」です。

意外かもしれませんが、アルムナイだからこそ、変化した組織文化や人間関係への適応に、つまずくケースがあります。

ゼロベースで入社する一般採用の新入社員とは対照的に、アルムナイは過去の経験や記憶にとらわれ、環境に順応するまでに時間を要することがあるのです。

【組織適応を阻害する要因】

  • 組織文化のギャップ
    マネジメントスタイルや意思決定プロセス、コミュニケーション方法など、離職中に起きた変化が戸惑いの原因となります。


  • 人間関係の変化
    社内の人員構成の変化により、新たな関係性の構築に苦労するケースがあります。かつての部下が上司になっているなど、立場が逆転している場合、コミュニケーションがぎくしゃくすることも少なくありません。

こうした組織適応の難しさから、アルムナイが孤立感を覚え、悩みやストレスを抱えてしまう危険性があります。

筆者自身、アルムナイとして職場に戻ったとき、“以前のように溶け込む難しさ” を感じました。

たとえば、自身の退社後に入社した社員たちが、筆者を「先輩として接するべきか、同僚・後輩として接していいのか」という点で気を遣っている様子が見受けられました。

微妙な距離感を図りながらの日々は、疲れるものです。アルムナイならではの立ち位置の曖昧さを、痛感せざるを得ませんでした。

(2)スキルギャップが生じるリスクがある

2つめのポイントは、アルムナイに対する「採用側の過剰な期待」に起因するものです。

アルムナイの過去の活躍をもとに能力を判断し、過度な期待を寄せてしまうことがあります。

アルムナイの現在の実力はもちろん、その実力と現在の職場環境への適合性を見誤ると、スキルのミスマッチを招くリスクがあります。

【期待とスキルのギャップが生じる背景】

  • スキルの陳腐化
    アルムナイが不在の間に、社内で必要とされるスキルセットが変化している場合があります。たとえば、デジタル化により新しいツールやプロセスが導入され、過去のスキルが通用しないことがあります。


  • 過去の評価への依存
    採用側は、アルムナイの以前の実績や評価をもとに、現在の能力を判断しがちです。しかし、時間の経過とともに、実力が変化している可能性を考慮しなければなりません。


  • サポート不足
    相談相手やメンターとなる社員がいないと、アルムナイは孤軍奮闘を強いられます。適切なフォローがないまま業務を任され、孤立感を募らせることになります。

アルムナイの実力を適正に評価せずに、過剰な要求をしてしまうと、本人に大きなプレッシャーがかかり、バーンアウトのリスクも高まります。

この“すれ違いのジレンマ” は、現場でも難しさを感じるポイントでした。

ときを経て戻ってきたアルムナイの多くは、「再びがんばりたい」と強い意欲を持っています。受け入れ側としても、かつての仲間とまた働くことに喜びがあります。

しかし、実際に働いてみると「思っていたのと違う」ということは、お互いに起きやすいのです。

(3)退職時の課題が再燃しやすい

3つめのポイントとして、アルムナイが退職時に抱えていた課題が未解決のまま再入社すると、「同じ問題が再燃するリスク」があります。

一度退職に至ったのは、何らかの事情があったはずです。年月の経過とともに、その所在があやふやになったかもしれません。しかし、根本的な問題が解決していなければ、同じことの繰り返しです。

再入社した直後は順調に見えても、やがて過去の問題が再浮上するでしょう。アルムナイ本人のストレスが蓄積し、周囲とのコンフリクト(対立や衝突)も生じやすくなります。

体験談をお話しすると、社長との折り合いが悪くて退職した管理職が、しばらくして戻ったことがありました。

離職中に、社長と食事をともにし、関係の修復を図ってからのアルムナイ採用でした。

ところが、一緒に働き始めると、再び問題は表面化し、1年と経たずに去ることとなりました。

受け入れ側の現場としては、なんとも疲弊する出来事でした。人員体制の変更だけでなく、社内のコンフリクトに幾度も巻き込まれてしまったからです。

失敗を回避するために注意したいポイント

では、アルムナイ採用の懸念を払拭するためには、どうすればよいのでしょうか。ここでは以下3つのポイントをお伝えします。

(1)退職時の課題を解決する

退職時の課題を顧みることなく、安易にアルムナイを受け入れるのは危険です。

先ほど述べたとおり、円満退社を装っているように見えても問題が解消されていなければ、同じ轍を踏むことになりかねません。

アルムナイ採用にあたっては、退職時の経緯を丁寧にヒアリングし、課題の所在を明らかにする必要があります。

退職時の課題と真摯に向き合う姿勢は、アルムナイ採用成功の秘訣といえるでしょう。

別の観点から見れば、アルムナイ採用を契機として社内の問題解決を進めるプロセスは、働きやすく離職率の低い職場づくりにつながります。

(2)通常の採用フローに準じてスキルを確認する

次に、アルムナイに対する “過度な期待とスキルのギャップ” の問題についてです。

アルムナイ採用であっても、通常の採用フローに準じたスキル確認の実施が有用です。

「以前はうちの社員だったから大丈夫」と安易に考えず、現在の実力を客観的に評価する必要があります。

理想的なのは、アルムナイコミュニティを築き、アルムナイとの関係を長期的に継続したうえで、その延長線上での再入社をサポートすることです。

アルムナイコミュニティは、外資系企業でよく見られる「OB・OG組織」を指します。退職後のキャリアを把握できる状態を維持できていれば、再入社後のスキルギャップのリスクを軽減できます。

※アルムナイコミュニティ、ネットワークの関連情報は以下の記事もあわせてご覧ください。

アルムナイコミュニティのエンゲージメントを高める7つのルール

アルムナイコミュニティがない場合には、書類選考・適性検査・面接など、通常の採用フローと同等のプロセスを経ることをおすすめします。

これは、入社後の人間関係の構築にも資するものです。既存社員にとっても不公平感が払拭され、アルムナイとのポジティブな関係を築きやすくなるからです。

(3)アルムナイ専用の受け入れ体制を整備する

最後に、アルムナイの円滑な受け入れと定着を実現するには、アルムナイ専用の受け入れ体制を整備することが不可欠です。

一般の新入社員とは異なるニーズを持つアルムナイに対して、独自の支援体制を用意することが求められます。

筆者が在籍していた企業では、何度かアルムナイ採用の失敗を経て、最終的には以下を実施していました。

  • オリエンテーションの最適化
    アルムナイ向けの特別なオリエンテーションプログラムを用意します。組織変更点の説明や新しいシステムのレクチャーなど、アルムナイ特有の課題に焦点を当てた内容とします。


  • メンター制度の拡充
    アルムナイの相談役となるメンターを置き、サポート体制を整えます。状況によっては孤立しかねないアルムナイの悩みに寄り添います。


  • キャリア面談の定期実施
    アルムナイのキャリアビジョンを定期的に話し合う場を設けます。アルムナイのモチベーションを維持し、長期的な活躍を支援するため、きめ細やかなキャリア面談を行います。

こういった取り組みは功を奏し、多くのアルムナイが即戦力として活躍できるようになりました。

アルムナイだからオンボーディング(入社後の適応プロセス)がうまくいくものと思い込まずに、アルムナイだからこその課題に目を向けた体制を整備することが大切です。

さいごに

アルムナイ採用は、即戦力の獲得に有効な手段ですが、安易に取り組むと失敗するリスクがあります。

退職時の課題の未解決、過度な期待とスキルのギャップ、受け入れ体制の不備など、さまざまな落とし穴が潜んでいるからです。

アルムナイ採用の課題を認識し、適切な対策を講じながら、人材の流動化が進む時代に適応した採用戦略を進めていただければと思います。

  • Person 三島 つむぎ

    三島 つむぎ -

    ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。

  • 人材採用・育成 更新日:2024/10/22
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