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オープンポジションとは?中途採用におけるメリットと採用戦略の立て方

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近年、多くの企業が中途採用を強化するなか、自社が求めるスキルや経験を持つ人材を見つけ出すことが年々難しくなっていると感じる採用担当者もいるのではないでしょうか。このような状況を受け、「即戦力」を重視する採用戦略から、候補者のポテンシャルや適性、人柄など重視する採用にシフトする企業も増加しています。

そんななか、注目を集めている募集形態が「オープンポジション」です。オープンポジションは、募集時に職種やスキル要件を限定せずに、応募者のスキルや経験に応じて柔軟にポジションを設定する方法で、企業と求職者の双方に新たな可能性が生まれます。

本記事では、オープンポジションとは何か、採用におけるメリットやデメリットとあわせて、オープンポジション採用を成功させるための具体的なポイント、成功事例について紹介します。

オープンポジションとは

オープンポジションとは、企業が人材を募集するときに、職種や職務内容を限定せず、幅広い人材を採用対象とする方法です。オープンポジションの求人票では、通常の求人票のように具体的な職種や業務内容を明確に記載することはありません。その代わりに、選考フローを通じて応募者のスキルや適性、人柄を見極め、最適な職種やポジションを決定していきます。

なお、必ずしも入社までにポジションを決定するとは限らず、様々な業務を経験する「総合職」のような形で採用するケースもあります。

オープンポジションと通常の求人の違いは以下の通りです。

オープンポジション

通常の求人(中途採用)

採用の対象

未経験者も含む幅広い求職者

特定の職種の経験者
求めるスキルに合致する人材

選考で重視すること

ポテンシャルや仕事に対する考え方を重視
例:「学ぶ意欲」「柔軟性」 など

特定のスキルや経験を重視
例:「5年以上の営業経験」「特定のプログラミング言語に精通している」など

入社後の業務内容

募集段階では決まっていない(選考を経て決定される)

募集の段階で決まっている

オープンポジションが活用されるシーン

オープンポジションは、企業の採用ニーズや対象となる人材の特性に応じて、様々なシーンで活用されています。特に活用されやすいシーンとしては、以下が挙げられます。

  • 障がい者雇用
    オープンポジションを活用することで、障がいを持つ個人の特性に応じて、柔軟に業務内容を調整することが可能となり、応募者のスキルや経験を最大限活かせます。
  • エンジニア採用
    新しいプログラミング言語や技術が次々に登場するなか、特定の技術やプログラミング言語に限定して採用すると、応募の間口が狭くなる可能性があります。オープンポジションを活用することで、幅広いスキルを持つ人材を確保しやすくなるとともに、技術のトレンドや変化に柔軟に対応できるようになります。

オープンポジションを中途採用に取り入れるメリット

オープンポジションを導入することで期待できるメリットについて解説します。

採用の間口が広がる

オープンポジションでは、特定の職種や業務内容を限定しないため、異業種から「新しい仕事に挑戦したい」と考える人や、「職務内容よりも価値観がマッチする企業に入社したい」と考える人まで採用の間口が広がり、母集団形成に役立ちます。

また、中途採用では経験者採用が難しい専門性の高い業種においても、オープンポジションを活用することで人材確保のチャンスが広がります。

労働条件や配属を柔軟に決定できる

オープンポジションの特徴の一つに、労働条件や配属を柔軟に決定できる点があります。特定のポジションに縛られることなく、プロジェクトの進行や事業のニーズに応じて最適な人員配置が可能になるため、社内リソースを効率的に活用することができます。

また、特定の経験やスキルに偏らないことで、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まりやすくなります。これにより、新たな視点やアイデアが生まれ、組織のイノベーションを促進する効果も期待できます。

ミスマッチを低減できる

応募者のスキルや経験、希望を考慮することで、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。ミスマッチによる早期退職のリスクが軽減され、定着率の向上につながるとともに、採用コストを抑えることができます。

ただし、選考フローにおいて、応募者に適したポジションを見極めるプロセスが不十分だと、結果的にミスマッチが生じるリスクがあるため注意が必要です。


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オープンポジションのデメリット

オープンポジションにはメリットがある一方で、いくつかの課題も伴います。ここでは、企業が特に直面しやすい課題を見ていきましょう。

選考の負担が大きくなる

オープンポジションでは、特定の職種やスキルを限定しないため、多くの応募が集まりやすくなります。それに伴い、履歴書や職務経歴書の確認、面接の調整などにかかる時間や労力も増える懸念があります。

また、通常の採用プロセスに加えて「どの職種やポジションに配置するか」を選考の中で判断する必要があり、追加の意思決定が発生します。リソースが限られている企業では、このプロセスが大きな負担となるかもしれません。

選考が複雑化する恐れがある

オープンポジションでは、特定の職種やスキルを前提としないため、一律の評価基準を設けることが難しくなります。応募者ごとに異なる経験や強みを考慮しながら評価を行う必要があり、選考プロセスや評価基準が複雑化する可能性があるでしょう。

また、応募者が、自身の適性や強みをうまく言語化できない場合、面接官が適切な質問を通じて情報を引き出す必要があります。そのため、面接官には質問力や洞察力が求められます。

オープンポジション採用を成功させるポイント

オープンポジション採用を成功させるには、単に幅広い人材を集めるだけでなく、自社の成長に繋がる採用にするための戦略と準備が不可欠です。ここでは、採用の効果を高めるための具体的なポイントを解説します。

選考基準と質問項目を明確化する

採用担当者の負担を軽減し、選考フローをスムーズに進めるには、選考基準を事前に明確化しておくことが重要です。部門ごとに必要とされる資質や能力を洗い出し、人事部門と事業部門が連携して選考基準を設定しましょう。

例えば、「柔軟性」「学習意欲」「企業文化との適合性」「チームでの協調性」などが求められる場合、それらをどのように評価するのか も明確にしておくことが大切です。柔軟性であれば「新しい環境に適応した経験」、学習意欲なら「主体的に知識を習得し、それを活かした事例」など、具体的な行動を評価基準として定めるとよいでしょう。

面接では、応募者の適性やポテンシャルを引き出すための質問を事前に用意しておきましょう。例えば、「過去の経験から何を学び、どう活かしたか」といった質問を盛り込むことで、応募者の能力や価値観を把握することに役立ちます。


入社後のフォロー体制を整える

採用後の定着率を高めるには、入社後のフォロー体制も重要です。入社した人材が段階的にスキルを習得できるよう、OJTやサポートの仕組みを整えましょう。また、定期的な面談を通じて、人材が抱える課題を早期に把握することや、メンター制度を導入し、入社後のサポートを強化する方法も有効です。

個人の適性やスキルに合った研修制度を整え、長期的なキャリアパスを提示することで、モチベーションの維持にもつながります。

関連記事: OJTとは?Off-JTとの違いや目的、進め方についてわかりやすく解説
関連記事: オンボーディングとは?施策の重要性やプロセス、事例を紹介


カジュアル面談からスタートする

オープンポジションでは、応募者が特定の職種やポジションを志していないケースも多いため、まずはカジュアル面談を通じて、企業と応募者が相互理解を深めることが重要です。

カジュアル面談では、自社の事業内容や職種の概要、社内の雰囲気などを紹介し、応募者に働くイメージを持ってもらいましょう。また、応募者が関心を持つ分野や得意分野をヒアリングすることで、適切なポジションにマッチングを図るための材料となります。

カジュアル面談の成功事例

カジュアル面談は、求職者と企業が選考前に相互理解を深めるための場として、多くの企業で導入されています。例えば、株式会社Careconでは、カジュアル面談を通じて求職者の本音を引き出し、入社後のミスマッチを防止する取り組みを行っています。

関連記事: マイナビ転職の利用で母集団形成に成功し、毎月安定した人数を採用できるように。 独自のカジュアル面談で本音を聞き出し、ミスマッチを防止

採用広報に取り組む

オープンポジションの求人募集では、求人情報を魅力的かつ分かりやすく伝えることが重要です。ただし、「未経験歓迎」「ポテンシャル重視」「チャレンジできる環境」などの表現は他社と似通いやすいため、自社の独自性や魅力を具体的に伝える工夫をしましょう。

また、求人票だけでなく、SNSやオウンドメディアを活用して、企業の価値観やビジョンを発信することも効果的です。採用担当者や現場社員の声を通じて、実際の働き方や社内の雰囲気を伝えることで、志望度やマッチ度の高い応募者が増えるでしょう。


中途採用におけるオープンポジションの成功事例

オープンポジションを活用した企業事例を紹介します。

事例1:専門性の高い建設業界での採用成功事例

オープンポジションを導入した背景

  • 建設業の中でも経験者がほとんどいない専門的な分野で、経験者採用が難しく、未経験者にアプローチしても、専門的な分野のため仕事を理解してもらうことが難しいという課題があった。
  • これらの理由から、従来の求人媒体では採用が難しいと感じ、対面型の転職フェアに参加。求職者と直接対話する機会を増やし、業務内容や働き方を直接伝えた。
  • また、職種別の募集ではなく「総合職」として門戸を広げた。

成果

  • 希望や適性に応じた柔軟な配属を実施したことで、応募者の幅が広がり、多様な人材の採用が可能になった。
  • 転職フェアのブース来訪者には面接日程を事前に提示し、後日連絡できる仕組みを整備。つながりを維持する工夫により、10名以上の面接につながった。
  • その後も転職フェアを継続活用し、若手や適性の高い人材の採用に成功している。

成功のポイント

  • 職種を絞りすぎず、可能性を広げる採用を検討した。
  • 求職者と対面で直接コミュニケーションがとれる場を増やした。
  • 採用後の適性を見極めて、柔軟な配属を行った。

事例2:アパレル企業の採用成功事例

オープンポジションを導入した背景

  • 新卒社員が販売職からキャリアをスタートする仕組みがある一方で、組織が画一化しやすい課題があっため、中途採用を通じて新しい感性を持つ人材を採用し、組織の多様性を高めることを目指していた。
  • エージェントと連携しながら職種を限定しないオープンポジション採用を導入した。

成果

  • オープンポジションの導入により、20代のMD(マーチャンダイザー)経験者を採用。前職での業務内容は完全には一致しなかったが、仕事への姿勢や人柄が企業文化にマッチしていると判断した。
  • 面接では、一次面接でMDとしての適性を評価し、二次面接で現場責任者がポテンシャルを見極めるプロセスを採用。結果として、採用者は現在、企業の文化に適応しつつ、これまでの経験を活かして活躍している。

成功のポイント

  • 採用要件を明確化するため、エージェントと情報を密に共有し、信頼関係を構築した。
  • スキルや経験だけでなく、人柄やポテンシャルを重視して選考を実施した。
  • 選考には現場責任者に参加してもらい、応募者の業務適性を確認した。

事例3:マーケティング会社の採用成功事例

オープンポジションを導入した背景

  • 職種を限定することで応募者の可能性を狭めてしまうリスクを感じ、オープンポジション採用を導入。
  • 社会貢献性の高い仕事に関心を持つ人材をターゲットに、柔軟な採用活動を展開した。

成果

  • オープンポジション採用を通じて、ブランディング事業の推進責任者を採用した。
  • 採用プロセスでは、1人の応募者に対して複数部署のメンバーが面談を実施し、多角的な視点で応募者の適性を評価した。採用者は入社後、積極的に行動し社内に良い影響を与えている。

成功のポイント

  • 異なる部署のメンバーが面談に参加し、多角的な視点で応募者の適性を評価した。
  • 面接では応募者の興味や可能性を探り、適材適所の配置を目指した。
  • 「仕事に合わせて人を選ぶ」のではなく、「その人に合った仕事を探す」姿勢を重視した。

オープンポジションで中途採用の可能性を広げよう

オープンポジション採用は、柔軟な人材配置を可能にする効果的な手法です。しかし、選考基準が複雑化しやすい点や、採用担当者の負担が大きくなりやすいといった点が課題となる可能性があり、成功させるには採用戦略に基づいた事前準備が必要です。

応募者とのコミュニケーションを強化し、現場との連携を密にすることができれば、新たな感性やスキルを持った人材を迎え入れることができ、組織の成長を促進できるでしょう。


  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2025/03/27
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