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【イベントレポート】「内定辞退」を掘り下げる会!

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Human Capital サポネットでは人事・採用の担当者同士で交流し、悩みを解消したり採用業務に関する知見を深めたりすることができるコミュニティを運営しています。コミュニティでは意見交換が活発に行われ、セミナーや交流会、質問会などを開催しています。
今回の開催では、「内定辞退」をテーマに、お集まりいただいた各社の皆様にお話しいただきました。コミュニティの会員である株式会社SOLIAの東さんに司会進行とこれまでのご経験をもとにコメントをいただいています。
各社の事例から、内定辞退対策として自社のリソースを使ってできる最大限の可能性を探るヒントとなれば幸いです。

参加メンバーの事業内容を簡単にご紹介します。

Aさん:製造事業
Bさん:製造事業(医療器具などの金属部品製造)
Cさん:小売業
Dさん:システム開発事業
Eさん:製造事業(銅合金の鋳造加工事業、産業機械の設計製作事業、解体事業など)
Fさん:IT業

内定辞退を防止するためには、接点を持ち続け関係性を深めることが大切

東さん: 新卒の内定辞退を防止するための取り組みについてお伺いしたいと思います。工夫されていることや、過去に新卒の辞退防止に効果的だった施策があればぜひ教えてください。

Aさん: 弊社では、入社が決まった人に対して、内定から入社までの期間中に「学習ツール」を提供していて、ツール上で管理側と内定者のコミュニケーションをとっています。
また、1か月に2回ほどの頻度でショートメッセージを使用して、連絡を絶やさないように心がけています。

Bさん: 弊社は「面談」を中心に、内定者と定期的に接点を持つようにしています。
具体的には、人事担当者や先輩社員との面談を実施し、定期的に内定者同士の交流会を行っています。その効果もあってか、ここ3年ほどは内定辞退がありませんでした。
私個人の意見としては、内定を出す前の「情報提供」が、内定辞退の対策として重要だと感じています。
ここ数年はインターンシップ期(大学3年)から接点を持った学生が内定に繋がるパターンが多いです。自社への理解度が高い状態で選考に望んでいることが、内定辞退率が起きづらい理由となっているのではと思います。

Cさん: 弊社では、入社後のギャップを軽減するために、新卒採用では数回勤務体験をしていただいてから内定を出すようにしています。これは、弊社の業界にとって一番の繁忙期である春の入社時期に向けて、社員の大変な状況を少しでも理解してギャップを埋めるという意図があります。インターンシップというよりは研修に近いかもしれません。

特に、入社を悩んでいるようなケースでは積極的に勤務体験を実施しています。 やはり社員に直接会うことは内定者からの反応も良く、「店舗の社員と会ってみて、すごく良い人ばかりで安心できた」という声も実際に頂いています。社員の目を通して、採用担当者側が、入社後のギャップの可能性を確認できるという点でも、現場体験がやはり一番だと思います。

採用活動で他部門を巻き込むポイント

東さん: 他部門の巻き込みは、各社の皆様が共通で苦労されている点かもしれません。内定辞退を防止するために、他部門とどのように連携していますでしょうか。
他部署を巻き込んだ分かえって手が掛かる面もある……というジレンマを抱えていらっしゃると思います。
うまく取り組んでいる方の事例などを新卒・中途採用それぞれお伺いできればと思います。

Dさん: 弊社の新卒採用においては、会社説明会の座談会を、他部署の方にも参加してもらいながら実施しています。それから入社前の数か月間の研修を、所属予定先の先輩とコミュニケーションをとりながら実施し、他部署の方を巻き込んで取り組んでいます。

座談会への巻き込み方としては、オンラインのコミュニケーションツールで「採用活動を行うので手伝ってください」といった感じで、有志で集まった社員たちをチームにしています。座談会の前には、参加する社員向けの説明会を実施し、採用方針や求めている人物などの認識をすり合わせたうえで座談会に参加いただいています。

東さん: 有志での募集は、社員の方のモチベーションにも繋がりそうですね。少ないマンパワーの場合は、各部署・各職場のトップの方々を巻き込んでいくと、より合理的なのかなと感じました。

Eさん: 弊社の中途採用に関しては、特に製造系の管理職というのは現場を飛びまわっていて多忙なので、巻き込みのための交渉をするのはどうしても気が引けますね。現場を巻き込めないため、工場見学の実施方法は自分で勉強して実施しています。
早期離職してしまった方も過去にいましたが、人同士の相性は、どうしても入社してみないと分からない部分があり、社内でもある程度仕方のないこととして認識いただいています。

Cさん: 弊社では、新卒採用では数回の勤務体験を実施していますが、中途採用では現職中の方も多いので、時間をとるのが難しい面があります。
そのため、中途採用では勤務体験などは実施せず、選考のみとなるパターンが多いですね。基本的には、現場の巻き込みはあまりしていません。

Bさん: 弊社も、中途採用に関してはあまり現場を巻き込んでいません。私と、所属長が面接をして決めるケースがほとんどです。
弊社ではなるべく書類選考前に職場見学を推奨していますので、入社後に現場とのギャップが生まれないように、職場見学の段階で、今いる社員や社風との相性を確認するようにしています。

新卒採用で辞退が発生した際に行っていること

東さん: 各社の皆様が内定辞退防止のために取り組まれているとはいえ、辞退が発生することもあると思います。それに対してどのような対応をされているでしょうか。

Fさん: 私の場合、学生からメールで辞退したいと連絡を受けたときは、学生側の負担も考えて、特に理由を聞くようなことはしていません。 エージェントを経由している場合は、エージェント経由で辞退の理由を聞いて、今後の参考にしています。

辞退の理由として一番多いのは「リモートワークの環境が少ない」というものですね。やはり今は、「ワークライフバランスを整えたい」「リモートワークをしたい」と考える方が多いため、それが一番の内定辞退の理由になっているのかなと思います。

中途採用では「ギャップを埋めること」が重要

東さん: 中途採用において、内定辞退だけでなく選考辞退も含めて、以前と比べて最近増えているのかどうか、各社の皆様の肌感を伺いたいと思います。

Fさん: 増えている・減っているという感覚はありませんが、常に一定数は辞退が発生している印象ですね。新卒と同様に「リモート環境がなかなか整ってない」「他と比べて給与が低め」などの辞退理由が多いと感じます。

Cさん: 弊社の場合は、中途採用における辞退は減っています。おそらく3~4年前に比べて、多少条件を上げていることが、辞退の減少にも影響しているのではないかと思います。
また、選考担当者が二次選考のときに「こういうギャップがある可能性がありますよ。どうですか?」と積極的に候補者に伝えています。ギャップについて十分に説明したうえで双方が納得している点も辞退防止に関係していると思います。
一次選考は魅力づけに徹して、二次選考では自社のリアルをさらけ出す……という役割分担がうまく機能しているのではないでしょうか。

Eさん: 弊社では、応募いただく前に工場見学、職場見学をしていいます。その効果もあってか、工場見学後の辞退はありますが、内定辞退はほとんどありません。

東さん: 皆様ありがとうございます。意思決定に必要な情報として職場環境を見せたり、ギャップを埋めていったりすることの大切さを感じました。良い面ばかりではなく、職場環境の特性までしっかりと伝えたうえで選考に進んでもらうことで、結果的に辞退が減ることに繋がっているのですね。
「正直ベースで伝える」ことは、中途採用において重要なのかもしれないですね。

採用確度を高めるための取り組み

東さん: 中途採用をしていて、「なんとかして採用したい」と思う応募者と出会うことがあると思います。
その際、条件面での交渉以外で、特に注力することや何か特別なアクションをされていますか?

Aさん: 弊社の場合は、特別感を出すための仕掛けを用意したり、現場の部門長が面接をする際に、自社の内情をお話して「君に期待したい」といった言葉を伝えていますね。
製造部門の中途採用では、スピード選考という意味も含めて、最大でも二次面接までとしています。間延びするとどうしても選考辞退に繋がりやすくなるため、部門長と役員が面接に出て、スピード重視で選考を進めるようにしています。

東さん: 選考スピードは確かに大事ですよね。私が携わっている採用でも、選考ステップを3回から2回に減らしました。やはりスピード勝負で「一発で決めきる」ということに、どれだけ注力できるかがポイントになると感じています。

まとめ

東さん: 本日皆様からお話を伺って、選考に入る前にどれだけ企業理解を深める取り組みなどに注力できるかが、内定辞退に大きく影響してくると学びました。

もちろん、内定辞退が発生してしまうと、気持ち的に落ち込むとは思いますが、長期的に見た時に、入社しないという選択が、企業にとっても候補者の人生にとってもプラスになっていることもあるのではないかと思います。

人事は、内定辞退を100%ネガティブな事柄ではなく、前向きに捉えていくことで、より良い継続的な採用活動に繋がっていくはずだと、本日皆様のお話をお聞きしていて改めて実感できました。
内定辞退という結果を受けて、候補者とのコミュニケーションや、選考課程における自社の訴求など、新卒・中途合わせて設計の見直しに繋がっていくとよいのではないかと思います。

  • Person 東 良太

    東 良太 株式会社SOLIA

    総合通販企業、アパレル・コスメ企画小売業の人事を経て2022年9月より株式会社SOLIAへジョイン。人事労務/総務/社長室それぞれの役割が統合されたチームのManagerとして、VMVの浸透と顕在・潜在課題の解決、および社内メンバーのエンゲージメントの向上をミッションとしている。

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