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社員とアルムナイ(元社員)による“ビジネスマッチングイベント”がマイナビにもたらしたもの

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マイナビでは、2024年9月に社員とアルムナイ(元社員)を対象とした「ビジネスマッチング&交流イベント」を開催しました。コンセプトは「未来志向の再会」。当日は約200人が参加し、活発な交流が行われたといいます。開催に至った経緯と、イベントの内容、そして企業がアルムナイのコミュニティを運営する意味について、株式会社マイナビ 人事統括本部長 粟井俊介と、今回のイベント企画にも携わった株式会社Strobolights 代表取締役社長 羽田啓一郎氏に話を聞きました。

  • 粟井 俊介 氏
  • 粟井 俊介 氏 株式会社マイナビ 上席執行役員 人事統括本部長

    1981年1月生まれ。大阪府出身。2003年に新卒入社後、新卒領域の採用支援事業(営業、営業企画、商品開発、事業企画、大手担当営業チーム責任者など)に従事。2020年12月、株式会社ベガルタスポーツクラブ(現・株式会社マイナビフットボールクラブ)代表取締役社長に就任し、女子プロサッカーチーム「マイナビ仙台レディース」立上げを担当。2022年7月より社長室長としてグループ全体のコーポレートブランディングを統括し、マイナビ50周年記念事業を主導。2024年1月より現職。


  • 羽田 啓一郎 氏
  • 羽田 啓一郎 氏 株式会社Strobolights 代表取締役社長

    2003年、立命館大学卒業後、株式会社毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)就職。大手企業の新卒採用営業に従事した後、キャリア甲子園、課題解決プロジェクトなどのキャリア教育事業を立ち上げる。2020年、マイナビを退社し株式会社Strobolightsを創業。学生の声を反映した企業の採用広報支援や学生向けキャリア教育事業を展開。立命館大学産業社会学部客員教授。武蔵野大学非常勤講師。一般社団法人プロティアンキャリア協会認定ファシリテーター。



リアルイベントのために打ち出した「未来志向の再会」というコンセプト

――まずは、「YELLoop」を中心としたオンラインの交流から、オフラインのイベント開催に至った経緯について聞かせてください。


粟井:小規模のイベントをいくつかトライアル的に行ったあと、「さらに規模の大きいイベントをするならどんなものが考えられるだろう」と、2024年の5月ごろに議論をスタートさせました。マイナビの50周年事業がその年の8月で一区切りになることもあり、せっかくなので社員とアルムナイ双方にとって良い形になるようなものを、派手にやってみようと。

羽田: とはいえ単純な“同窓会”では、人が集まる動機としては弱いと感じていました。会いたい人とは普段会っているでしょうし、誰が来るかもわからないイベントにわざわざ来るだろうかと。自分だったら行かないな、と思ったんですね。

――確かに、アルムナイは社員時代の所属も年代もバラバラですし、「行ってみたけど知っている人が誰もいない」という可能性もあります。


羽田: そこで「未来志向の再会」というコンセプトを作りました。昔を懐かしむだけでなく、前を向いた再会をしよう。それを考えたとき、ビジネスパーソンにとっての“未来”は、やはり新しいビジネスですので、ビジネスマッチングの仕掛けみたいなものがあればいいのではと。

粟井:ただ、「アルムナイがマイナビに売り込む」という一方通行では、少々弱いように思ったので、社内向けにアンケートを取りました。こういうイベントを考えているけど、アルムナイにお願いしたい仕事はあるかと。いくつかの事業部から前向きな回答が得られたので、これなら双方向のマッチングができそうだ、と進めることにしました。イベントタイトルは「Reunion(再会)」です。

――イベントの準備をする上で、苦労されたことはありますか?


粟井:一番心配だったのは、社員とアルムナイがバランスよく集まるかですね。イベントでは、アルムナイ側と社員側の双方にプレゼンをしてもらう予定だったのですが、そうなるとお互い「誰が来るのか」が気になるわけです。

アルムナイも社員も「知っている人が来る」というのが参加のための最も大きな動機になるので、参加を表明された方の許可を得て、参加者の情報を開示することにしました。募集期間中、参加者一覧のスプレッドシートを毎日更新するようにして。社員にはこのスプレッドシートを見せながら、周りの人にも呼びかけてほしいと声をかけ続けました。

羽田: 私もFacebookで知り合いのアルムナイに直接声をかけたりしましたが、あるときから急に参加者の数が伸びたんです。恐らく、参加を決めたアルムナイが、SNSで他の人たちを誘いはじめたんですね。そのおかげで、最終的にアルムナイ約100人、社員約100人の計200人が集まりました。この数は想定以上でしたし、久々にSNSの底力を見た思いでしたね。

約200人が参加。社員とアルムナイの“ビジネスマッチング&交流イベント“

――こうして2024年9月11日に、「マイナビ50周年記念 アルムナイ・ビジネスマッチング&交流イベント“Reunion”」が開催されました。会場はどのような様子だったのでしょうか。


粟井:会場は、東銀座にあるマイナビPLACE 歌舞伎座タワーの23階で、300人ほど収容できる大きなスペースでした。このスペースの真ん中にケータリングを置いた立食スペースを作り、プレゼンを行うステージと、テーブルを置いた懇親エリアを設けた形です。

プレゼンは、アルムナイとマイナビから6組ずつ、現在取り組んでいるビジネスや、依頼したい仕事についてプレゼンをしてもらいました。会場には商談スペースを設けて、興味がある案件があればその場で商談を進められるようにしました。

また、懇親エリアでは出身事業部別にテーブルを配置したり、グループで席を予約できるようにしたりして、交流を促すようにしました。

羽田: 当日の会場運営にもアルムナイが携わっています。イベント運営を仕事にしているアルムナイに設営などはお任せしましたし、司会もカメラマンもアルムナイ。そこはこだわりましたね。

粟井:プレゼンを聞くのも、懇親エリアで交流するのも、参加者には自由に動いてもらったので、とても盛り上がりましたね。「久しぶり!」という声があちこちから挙がっていましたし、名刺交換や商談をする場面も多く見られました。

――参加者の方からは、どんな感想があったでしょうか。


羽田:アルムナイからは、単に懐かしんだだけで終わらず、「新しい仕事につながった」という声もいくつか聞きました。マイナビとつながったものもあれば、アルムナイ同士で商談が進んだものもあったようです。

粟井:ビジネスマッチングを謳ったイベントではあったのですが、会場で懐かしい人に会って、ワイワイ騒いでいたら終わってしまった、という人もいたみたいです(笑)。「とても良い機会だったのでまた開催してほしい」という声が多く挙がった一方で、「プレゼンを集中して聞きたかった」といった声もあり、この辺りは次回の課題ですね。

羽田:ただ、ひとつのスペースにみんながワッと集まったからこそ、「お祭り感」もありましたよね。プレゼンが聞けなかったという方には申し訳ないんですが、あのガヤガヤした感じもイベントには必要だったと思います。プレゼンと懇親会を別の部屋にしていたら、だいぶ空気感も違ったでしょうから。初回のイベントとしては、次第点だったのかなと。

粟井:確かに、すごいエネルギーでしたよね。約200人が一同に会して、ものすごい勢いで「元気だった?」「どうだった?」ってまくし立てて。あの雰囲気を作れただけでも、イベントをやって良かったなと思います。

公式がアルムナイのコミュニティを運営する意味

――マイナビ50周年事業は2024年秋で終了しましたが、アルムナイの取り組みは今後も続けられるのでしょうか?


粟井:はい。人事部門のキャリア採用チームが運営を引き継いでいます。50周年をきっかけに生まれた取り組みではありますが、アルムナイとの交流は持続的にやっていこうと。「Reunion」のような大規模なイベントも恒例にしていきたいですね。羽田さんにも、引き続き企画制作に携わっていただいています。

――羽田さんとしては、本業がありながらマイナビのアルムナイとして活動を続けるのは、なかなか大変なことではないでしょうか?


羽田: いえ、楽しいですよ。なんだかんだ言って、一番恩恵を受けているのは僕だと思います(笑)。いろいろな人の話を聞けるのは単純に楽しいですし、在職中には知らなかったアルムナイと知り合って、仕事を依頼したこともありますし。ありがたいですよね。

マイナビにいたころは「人と仕事と会社」が一体になっていましたが、アルムナイになった今は、それらがバラバラになるというか、緩やかにつながるような感覚があります。会社を辞めた過去はあるけども、お互いが良しとするなら、再び接点を持ってもいいんだなと。これからの時代、こうした「緩やかなつながり」はますます大事になると思いますので、アルムナイの取り組みが、そのきっかけのひとつになればと考えています。

――ちなみに、アルムナイ採用につながった例はあるのでしょうか?


粟井:コミュニティの活動が採用に直接寄与したかまではまだ検証できていないのですが、実際にアルムナイ採用という形で再入社される方は、増加傾向にあります。もともと採用を目的とした取り組みではありませんが、会社が公式にアルムナイとつながる機会を設けることで、結果的にひとつの選択肢として「再入社」が浮かびやすくなったのはあるかもしれません。

――公式に取り組むからこそ、「マイナビはアルムナイをどう考えているか」が伝わるのではと思いました。


粟井:そうですね。そもそも会社公式のイベントで「アルムナイと社員がつながる機会を設ける」というのは、他に類を見ないものだと思いますし。

羽田: 最初にアルムナイのコミュニティを立ち上げるとき、他社のアルムナイの事例を10社ほど聞いたんです。おおよそ、会社が公式で取り組むパターンと、アルムナイ側が有志で立ち上げるパターンの2つに分かれるんですが、後者は「参加者から強引な勧誘があった」といったトラブルも多いみたいで。その意味でも、会社がきちんと公式に取り組む意味はあると思いました。

粟井:有志のつながりだと、どうしても内向きなものになりがちですしね。在職中の所属部署や年代がまったく違う人たちを、「アルムナイ」でひとくくりにするのは簡単なことではありませんから。ましてや、マイナビのように事業領域が幅広ければなおさらです。だからこそ、公式が取り組む価値がありますし、「『元マイナビ』なら誰でもOK」という強いメッセージにもつながります。いつでも帰ってきていいんだよ、と。

繰り返しになりますが、私たちにとってアルムナイは、50年の歴史の一部を共にした重要なステークホルダーのひとつです。アルムナイのコミュニティは、ステークホルダーの存在を可視化し、さらなる対話を生み出すものだと捉えています。今後も引き続き、アルムナイとのつながりを作っていければと思います。

取材・執筆:井上マサキ

▼「再雇用が目的ではない」アルムナイコミュニティのあり方とは?についてはこちら

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 経営・組織づくり 更新日:2025/01/21
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