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「再雇用が目的ではない」マイナビがアルムナイ(元社員)のコミュニティを立ち上げた理由

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マイナビは2023年8月の50周年を機に、アルムナイ(元社員)のコミュニティを立ち上げました。アルムナイコミュニティサービス「YELLoop」を中心に、現在約200人のアルムナイが交流を図っています。コミュニティを立ち上げた経緯や、コミュニティ運営する上で意識していることなどについて、株式会社マイナビ 人事統括本部長 粟井俊介と、キャリア教育事業を展開する株式会社Strobolights 代表取締役社長 羽田啓一郎氏に話を聞きました。

  • 粟井 俊介 氏
  • 粟井 俊介 氏 株式会社マイナビ 上席執行役員 人事統括本部長

    1981年1月生まれ。大阪府出身。2003年に新卒入社後、新卒領域の採用支援事業(営業、営業企画、商品開発、事業企画、大手担当営業チーム責任者など)に従事。2020年12月、株式会社ベガルタスポーツクラブ(現・株式会社マイナビフットボールクラブ)代表取締役社長に就任し、女子プロサッカーチーム「マイナビ仙台レディース」立上げを担当。2022年7月より社長室長としてグループ全体のコーポレートブランディングを統括し、マイナビ50周年記念事業を主導。2024年1月より現職。


  • 羽田 啓一郎 氏
  • 羽田 啓一郎 氏 株式会社Strobolights 代表取締役社長

    2003年、立命館大学卒業後、株式会社毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)就職。大手企業の新卒採用営業に従事した後、キャリア甲子園、課題解決プロジェクトなどのキャリア教育事業を立ち上げる。2020年、マイナビを退社し株式会社Strobolightsを創業。学生の声を反映した企業の採用広報支援や学生向けキャリア教育事業を展開。立命館大学産業社会学部客員教授。武蔵野大学非常勤講師。一般社団法人プロティアンキャリア協会認定ファシリテーター。



アルムナイは、50年の歴史をともに歩んだ「仲間」

――まずは、マイナビがアルムナイのコミュニティを立ち上げた経緯について聞かせてください。


粟井: マイナビは2023年8月15日に創業50周年を迎え、約1年間にわたり50周年記念事業を実施しました。当時、私は50周年記念事業プロジェクトのリーダーとして関与しており、1年前の2022年から準備を進めるなかで、この50年を共に歩んだ仲間である「アルムナイ」に関する取り組みを進めることにしたのです。

アルムナイの皆さんは、この50年の歴史の一部を担ってくださった存在であり、ある意味マイナビにとって重要なステークホルダーでもあります。一般的にアルムナイに関する活動は再雇用を目的にすることが多いですが、そうではなく、50周年という節目に「マイナビの今とこれから」を伝える相手として接点を持ちたいと考えました。

また2022年8月に、当社のアルムナイコミュニティサービス「YELLoop」が立ち上がったのも後押しになりました。マイナビ公式のアルムナイコミュニティを「YELLoop」で運用し、生きた事例となればと。

――当時、羽田さんは既にアルムナイの立場であったわけですよね。


羽田:そうですね。2020年3月にマイナビを退社して起業し、それ以降、現在も一緒にお仕事をさせてもらっています。粟井さんとは同期なんですよ。

粟井: 羽田さんはOB・OGとSNS上でつながりも多いので、アルムナイのコミュニティ立ち上げに力を貸してもらえたらと声をかけました。

羽田: HR界隈で「アルムナイ」というキーワードは聞いていましたし、別の会社でアルムナイを立ち上げて活動している友人もいたので、率直に「マイナビもやるんだ」と思いましたね。

――アルムナイのコミュニティを立ち上げるにあたり、まずはどこから始められたのでしょうか。


粟井: 羽田さんを含めたアルムナイのメンバーと、「YELLoop」のチームメンバー、そして人事部でプロジェクトチームを作り、最初は「アルムナイにとって何がメリットになるか」を議論しました。かなり時間をかけて、数ヵ月はミーティングを重ねたと思います。

ひとくちにアルムナイといっても、マイナビ時代に取り組んだ事業も人脈も年代もバラバラです。久しぶりに会って話しましょうと企画しても、それがメリットになるとは限りません。せっかく声をかけるなら、「懐かしい」という気持ち以上のものを用意したいなと。

羽田: 自分もアルムナイではありますが、退社後も会社とつながりがあったので、「つながりがないアルムナイは、元いた会社からそういう誘いがあったらどう思うのか」は興味がありましたね。他社でアルムナイの組織を運営している方にインタビューもさせていただき、コミュニティの参考にしました。

粟井: まずは焦らずに、スモールスタートでじっくり広げていこうと。そもそも、アルムナイに一斉に連絡する手段はないので、人づてに声をかけたり、退職予定者にコミュニティを案内したりして、じわじわとアルムナイとの接点を増やしていった形です。

アルムナイに刺さるコンテンツを、アルムナイが企画する

――検討期間を経て、実際にアルムナイコミュニティが動き出したのはいつごろでしょうか?


羽田: 2023年夏からクローズドで始めて、11月ごろに「YELLoop」内でコミュニティを立ち上げています。12月にはオンラインで交流会や、キャリア系の勉強会を開いたりしました。当時は30人弱のメンバーから5~6人が参加してくれたので、今思えば参加率は悪くないですね。

粟井: 年明けに新年会もやりました。社員がよく行く中華料理屋で、アルムナイだけでも12,3人ほど集まったんです。近況報告を交わしつつ、コミュニティの方向性についても情報収集をして、それもまた持ち帰って検討して。

――「YELLoop」はどのように運営されていたのでしょうか。


粟井: 登録申請をしてきたユーザーが本当に元社員なのか、人事のデータベースで突き合わせて承認する必要があったので、「YELLoop」自体の運営は人事部が行っていました。そのうえで、発信するコンテンツの企画制作は羽田さんを中心に、アルムナイの皆さんと協議をしながら進めていきました。

羽田: メインコンテンツは、マイナビの今を伝えるニュースコラム「マイナビnow」と、マイナビ卒業後のアルムナイを特集するインタビュー記事「あの人は今」の2本です。

「マイナビnow」では、新たな人事制度や給与体系、“ABW”というフリーアドレス制の開始、サスティナビリティへの取り組みなど、月ごとにテーマを変えて取材した内容を掲載しています。近年ガラリと変わった部分もあり、昔のマイナビの雰囲気を知るアルムナイからの関心も高いですね。古巣が今どうなっているのか、まったく興味がないわけではないのだなと。

――アルムナイだからこそ、アルムナイに刺さるコンテンツが企画できるという面もありそうですね。ちなみに、アルムナイ同士が交流する場はあるのでしょうか?


粟井: 「YELLoop」内には、属性や共通の趣味に合わせたグループで交流ができる「グループ機能」など、交流の機能が用意されています。ですが、マイナビのアルムナイコミュニティでは、別にSlackを立てて、そこでやり取りを行っています。

仕事でSlackを使われる方も多いので、Slackで交流を図れば、このコミュニティを思い返してもらえる回数も増えるのでは?と考えたんです。コミュニティの入口はあくまで「YELLoop」という位置づけで、そこからもう少し表現の自由度を高められたらと。アルムナイの皆さんの反応を見ながら、こうした工夫をいろいろと積み重ねていきました。

「公式のアルムナイコミュニティ」が持つ存在意義

――他にも、アルムナイのコミュニティを活性化させるために、工夫したところ、心がけたところはありますか?


羽田: アルムナイは再雇用の文脈で語られることが多いですが、このコミュニティはマイナビ50周年を契機にスタートしたものですし、「マイナビいいよ」「また戻っておいでよ」というメッセージが強くなりすぎるのも違うだろうと思っていました。ですので、再就職先としての魅力を発信するというよりは、単純に「古巣は今こうなっています」といったフラットな見せ方になるよう意識していました。

――実際に、アルムナイからのリアクションを耳にする機会はありましたか?


羽田: 「あの人は今」では、アルムナイに近況をインタビューした記事を載せたんですが、「あの人こんなことやってるんだね」という声はよく聞きましたね。会社を辞めてからも会うような人はともかく、それ以外の人はなかなか近況を知らないことが多いですから。最近は、Facebookに近況報告を載せる人も少なくなってきましたしね。

粟井: 確かに、SNSを通じて近況を発信する人が減ってきたような気がします。だからこそ、プライベートなネットワークとはまた違う、「マイナビ公式のコミュニティ」に存在意義が生まれたのかもしれませんね。

プライベートなネットワークは知り合い同士に特化しているので、アルムナイ全体から見れば、そのつながりには偏りが生じます。知っている人とはつながるけど、知らない人はまったく関係がないわけです。一方で会社公式のコミュニティの場合、会社とアルムナイのつながり方はフラットだと言えるでしょう。「マイナビnow」や「あの人は今」といった公式が取材したコンテンツも、そのフラットなつながりを後押しして、「自分もこのコミュニティに参加していいんだ」と感じさせる効果があると思っています。

――2024年春には、コミュニティのメンバーは100人近くまで増えたと伺いました。コミュニティを立ち上げたことで、改めて感じたメリットなどあれば聞かせてください。


粟井: やはり、マイナビとして公式のアルムナイコミュニティを作ることで、アルムナイ同士や社員とのつながりが可視化されはじめたのは、大きなメリットだと感じています。私個人としても、在職中はつながりがなかったアルムナイとたくさん知り合えましたし、「一緒にこんなことができませんか」と提案をいただくことも増えています。

コミュニティでの交流が広がれば、それぞれのアルムナイがどんな経験や知見を持っているのか、といった情報も広がります。それが結果的に、さらなるコラボレーションや協業につながっていったら嬉しいですね。

まとめ

マイナビは50周年を機に、会社公式でアルムナイコミュニティを立ち上げた。公式が運営することで、特定の知り合い同士がつながるといった内向きなものではなく、アルムナイ全体が広くつながることが期待できる。そもそもアルムナイコミュニティを立ち上げたのも、アルムナイを「マイナビにおける重要なステークホルダーのひとり」と捉えたからだ。その運営方針はコンテンツにも現れており、マイナビアルムナイ自身が企画制作に携った“アルムナイによるアルムナイのためのコンテンツ”が作られている。これも、会社公式のコミュニティだからこそできる表現だと言えるだろう。

さらに後編では、約200人の社員・アルムナイが参加した“ビジネスマッチングイベント”の裏側に迫る。既にコミュニティに参加しているマイナビアルムナイも、そうでないアルムナイも、コミュニティの現在地と未来予想図について知ってもらえたら幸いである。

取材・執筆:井上マサキ

▼「アルムナイ×既存社員によるマッチングイベント」の様子はこちらから

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 経営・組織づくり 更新日:2025/01/21
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