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2024年卒大学生就職企業人気ランキングを振り返る

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2023年4月12日に【マイナビ・日経】2024年卒大学生就職企業人気ランキングが発表され、文系総合はニトリが初の1位。理系総合はソニーグループが2年連続1位となりました。マイナビでは大学生就職企業人気ランキングを1978年(1979年卒)より毎年実施しており、今回は41,185名の有効回答を得て、文系総合理系総合、文理男女各々を100位まで、理系学科系統別30位まで、理系院生50位まで、業種別各10位まで、本社所在地エリア別各30位までと幅広く発表しています。結果詳細は発表を参照いただければと思いますが、2024年卒就職企業人気ランキングの傾向を考察してみます。

マイナビ・日経 2024 年卒大学生就職企業人気ランキング


>2024年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング
考察の前に昨年2023年卒の結果を振り返ります。2023年卒の文系総合のホテル・旅行業界ではPlan・Do・Seeが前年41位から12位に、JTBグループが前年35位から19位と大きく順位を上げました。新型コロナウイルスの感染状況は投票期間である2021年12月~2022 年 3月はまだまだ影響は大きかったはずですのでホテル・旅行業界も2023年卒に引き続き同傾向のまま復活はまだ先ではないかと予想していましたが、アフターコロナを見据えてか回復の傾向が見えました。

理系総合では富士通が前年8位から3位に、NTTデータが前年6位から4位に、Skyが前年12位から7位になるなど、IT関連需要増とともに情報技術に強みを持つ企業がランクアップしました。前年2022年卒では傾向として強く出ておらず、2023年卒の特徴となりました。

>2023年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング
では、今回の2024年卒の結果を見てみましょう。文系総合ランキングでは前年3位のニトリが初のトップに立ちました。ニトリのインターンシップは毎年平均3万人以上が参加し、学生から多くの支持を集めています。インターンシップ等のキャリア形成プログラムの充実は採用ブランディングにもつながるという事例と言えるでしょう。また、同社のプログラムは学生の社会的・職業的自立に貢献したインターンシップやキャリア形成支援に係る取組を表彰する【第6回 学生が選ぶキャリアデザインプログラムアワード】で入賞プログラムとして受賞されています。

文系総合3位の「JTBグループ」は、旅行業界の人気回復を受けて前年19位から大きく票を伸ばし、ホテルやレストランを展開する「Plan・Do・See」も12位から10位にランクアップ。航空需要の高まりから「日本航空(JAL)」が前年35位から13位と、全日本空輸(ANA)も66位から26位へと大きく順位を上げました。前項で振り返った2023年卒でもホテル・旅行・航空は回復傾向にありましたが、今回の2024年卒ではより傾向は顕著となり、コロナ後を見据え人気が復活となりました。4位には初任給引き上げが話題となった「ファーストリテイリング」が前年13位からランクインしました。

理系総合ランキングでは「ソニーグループ」が2年連続1位となりました。半導体関連事業の拡大や電気自動車(EV)などの新領域に取り組む先進性が今回も支持されたのではないでしょうか。2位に「味の素」がランクイン、3位「三菱重工業」は前年8位からランクアップ。人気上昇が際立ったのは6位の「セガ」と10位の「アイリスオーヤマ」。共に前年47位からトップ10入りし、大幅なランクアップとなりました。

>文系総合(2024年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング)
>理系総合(2024年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング)
>学生が選ぶキャリアデザインプログラムアワード
全国を8エリアに分け、そのエリアに本社を置く企業によるランキングを見てみます。北海道エリアでは、「ニトリ」が3年連続でトップ。6位「AIRDO」、7位「ANA新千歳空港」と航空関連が前年より大きくランクアップしました。東北エリアでは「アイリスオーヤマ」が4年連続で1位、「七十七銀行」が前年4位から2位にランクアップ。

関東・甲信越エリア(※東京除く)では、「オリエンタルランド」が4年連続で1位となり、2位「イオングループ」、3位「ミリアルリゾートホテルズ」が続く結果となりました。「ANA成田エアポートサービス」が前年95位から19位になるなど大幅なランクアップの動きもありました。東海エリアでは「トヨタ自動車」が8年連続の1位。旅行業界の人気復活から「リゾートトラスト」が前年12位から6位へと大幅にランクアップしました。北陸エリアでは「クスリのアオキ」が3年連続で1位に。2位には前年5位からランクを上げた「システムサポート」が続きました。

関西エリアでは3年ぶりに「Sky」が関西エリアでトップ。2位に「日本生命保険」、3位に「住友生命保険」が続きます。上位30社を見ると、「ユー・エス・ジェイ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」が24位と大きく順位を上げました。中国・四国エリアでは4年連続で「マツダ」がトップ。僅差で「エフピコ」が2位に、前年14位から大きくランクを上げた「福助工業」が3位となりました。九州・沖縄エリアでは「アイ・ケイ・ケイホールディングス」が2年ぶりに1位に返り咲きました。2位が「ふくおかフィナンシャルグループ」、3位が「西日本シティ銀行」と地元銀行が続きます。航空関連で「ANA福岡空港」が前年19位から8位へ大きく順位を上げました。

コロナ禍が一段落し、各エリアでも旅行関連や鉄道・航空などのランクアップが目立ちました。また「2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」では地元(Uターン含む)就職を希望する学生は62.6%と前年同率となりました。引き続き採用活動にWEBが取り入れられていることで地元を離れていても情報収集や選考参加がしやすいことなどが、地元就職意向が高く維持されている背景にあると考えられます。

>本社所在地エリア別(2024年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング)
>2024年卒 大学生Uターン・地元就職に関する調査
「2024年卒大学生就職意識調査」では就職観について当てはまると思うものを答えてもらったところ、これまでと同様に「楽しく働きたい」が最多で38.9%(対前年1.3pt増)となりました。【図1】

【図1】就職観の推移(マイナビ 2024年卒大学生就職意識調査より)

「楽しく働きたい」は2020年卒以降、減少傾向でしたが前年2023年卒に3年ぶりに増加に転じ、今年で2年連続の増加となりました。この項目は経済状況の悪化や大きな災害等が起きた際に減少する傾向にあり、コロナ禍前後である2021年卒から2022年卒までの2年連続で減少してきました。2023年卒は感染拡大防止に伴う大きな行動制限・移動制限などもなく、2024年卒も引き続き学生にとっても社会に対する不安が軽減されたことが、2年連続の数値上昇の背景となった可能性があります。

この就職観の変化がそのままランキングの順位に反映されるわけではないですが、学生に「楽しく働くことができる」と思わせる仕事の魅力が伝わっているかどうかは大事なポイントであると思います。
文系総合で躍進した「ニトリ」と「ファーストリテイリング」は取り扱う商品は異なるもののSPA(流通小売)型の業態であり、その仕事内容も商品の企画開発から材料の仕入れ、製造、物流、IT、店舗小売とフィールドの広さが魅力的に学生に伝わっていたのではないかと推測します。理系総合で10位となった「アイリスオーヤマ」も業態は異なるものの仕事のフィールドの広さには共通点があるように思えますし、海外市場に挑戦する気概や勢いに会社と共に成長できる楽しさを見出しているのかもしれません。理系総合1位の「ソニーグループ」や3位の「三菱重工業」、前年47位から6位に躍進した「セガ」も新領域への挑戦やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進などの新しいテクノロジーや世の中の動きへの先進的な対応が支持されてるのではないかと感じました。次回の2025年卒採用の同ランキングでは旅行や観光、航空といったアフターコロナのさらなる人気復活もあるでしょうし、目まぐるしくする変化する時代を好機・追い風ととらえ今回のように大きくランクアップしてくる企業もまた出てくるのではないでしょうか。新卒採用市場の一指針として注視していきたいと思います。
  • Organization 株式会社マイナビ 社長室 キャリアリサーチ統括部

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  • 人材採用・育成 更新日:2023/08/08
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