地元(Uターン含む)就職を希望する学生は23年卒と同率の62.6%/2024年卒 大学生Uターン・地元就職に関する調査
地元(Uターン含む)就職を希望する学生は23年卒と同率の62.6%
2024年3月卒業予定の全国の大学生、大学院生が地元(Uターン含む)就職を希望する割合は62.6%で前年同率となった。【図1】 経済状況の指標の一つとして有効求人倍率の推移と比較したところ、地元就職希望者の割合との緩やかな相関が見られる。景気が上昇傾向で求人倍率が比較的高いころには、都市部の大手企業などへの就職意向が高まり地元就職希望者は減少していたが、コロナ禍以降は、求人倍率が低下する等、経済状況が不透明であることなどから地元就職意向が高まっていると推察される。24年卒については経済状況は回復しつつあるものの、物価高などによって学生にとっては景気回復の実感が薄いことや、引き続き採用活動にWEBが取り入れられていることで地元を離れていても情報収集や選考参加がしやすいことなどが、地元就職意向が高く維持されている背景にあると考えられる。
地元就職希望の理由は「両親や祖父母の近くで生活したいから 」
「実家から通えて経済的に楽だから」「地元での生活に慣れているから」。
背景にあるのは、経済面・生活面で安心感を持ちたいという意識
地元就職希望の理由の1位は、例年同様「(自分の意思から)両親や祖父母の近くで生活したいから(50.6%) 」、次いで「実家から通えて経済的に楽だから(41.0%)」、「地元(Uターン先)での生活に慣れているから(38.1%)」が続いた。理由は「新卒で一人暮らしは経済的負担が大きい」「まずは実家で暮らして仕事に慣れたい」「ライフスタイルの変化があった時にも頼れる人が近くにいる環境がいい」などが挙がった。一人暮らしで経済的な不安を抱えたくないという気持ちや、社会人になる時や将来家庭を持った時などライフスタイルが変化する時期は、家族や友人などがいる環境で生活したいという意識があると推察される。【図2、3】
24年卒は大学・大学院進学時点の地元就職希望割合も57.6%と高い数値になっているが、この学年は大学入学直前からコロナ禍で過ごしており、地元や親元を離れたタイミングでコロナ禍での移動制限などを経験したことによって、地元や親元の安心感を再認識していた学生もいたと推察される。また、大学で交友関係を築く時期にオンラインで授業を受けていたために、大学入学を機に地元を離れた学生でも、地元の交友関係の方が結びつきが強く、より安心感を持っていることも考えられる。
地元を離れているUターン就職希望者のうち、
セミナー実施形式が参加申し込みに影響したことがある学生は57.9%
企業セミナーの実施形式が、参加申し込みするかどうかに影響したか聞いたところ、地元外に進学していて、Uターン就職を希望する学生の57.9%が、「影響したことがある」と回答した。詳細を見ると、「WEB参加可能だったのでエントリーすることにしたセミナーがある」学生は45.0%、「WEB参加不可(対面のみ)だったためエントリーしなかったセミナーがある」と回答した学生は24.6%だった。【図4、5】地元外に進学した学生にとって、地元企業への就職活動でもっとも障害に感じていることでは例年「交通費」と「距離や時間」が上位となっており、Uターン就職希望者が就職活動で利用する交通手段を見ると、新幹線を利用する学生が東北地方では52.3%、中国地方では38.4%、長距離バスを利用する学生は東北地方や四国地方で3割以上、飛行機(JAL・ANA)を利用する学生は九州・沖縄地方で17.4%など、地域によっては移動費用の高い交通手段を用いて就職活動している学生が少なくないことが分かる。【図6、7】
移動費用の高い交通手段を使って就職活動している学生にとっては特に、就職活動において地元に帰る際の交通費が負担となっていることが推察される。コロナ禍での移動制限や感染対策を踏まえて普及したオンライン化だが、地元外進学しているUターン就職希望者の約4分の1が「WEB参加不可だったのでエントリーしなかったセミナーがある」と回答したように、今後もオンラインで情報収集できる状態が維持されることは、企業と学生が接点を持つ機会を確保する上で重要だと考えられる。
- 調査・データ 更新日:2023/05/10
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