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内定辞退者の声から採用成功の手掛かりを得る「辞退者調査」とは

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2025年卒学生の内々定保有数は、6月15日時点の平均で2.6社。現行の採用スケジュールになってから最も高い数値を記録しました。

出典:マイナビ2025年卒大学生活動実態調査(6月15日)
計算上、全学生が平均で1社は辞退するということになります。実際、どんな施策を行っても内定辞退が減らずに困っているという採用担当者は多いのではないでしょうか?

そんなときに役立つのが「辞退者調査」です。
自社の内々定を辞退した学生を対象にアンケートやインタビューを行い、その理由を探ることで採用戦略の弱みや、採用上の競合の戦略を知ることができます。

しかし学生の立場からすれば、辞退した会社からの調査依頼にはなかなか答えにくいのも事実。そんなときに有効なのが、第三者機関を利用した調査です。

そこで今回は、マイナビのパートナーとして辞退者調査サービスを提供している株式会社アールナインの山下 涼雅さんにお話を伺いました。


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聞くべきなのは「辞退理由」だけではない 戦略立案に生かせる辞退者調査のポイント

— 採用市場が売り手優位となり、多くの企業が内定辞退に悩んでいます。その対策として「辞退者調査」はどのように有効なのでしょうか?


山下さん: 辞退者を調査することによって分かることは実にさまざまですが、大きく分けて次の3つです。

  • 自社の課題:採用プロセス、広報などで改善すべきポイント
  • 競合の情報:見えていなかった競合の発見、競合の採用プロセスや戦略についての情報
  • 学生のニーズ:自社の採用選考を受ける学生の志向など

— 自社、競合、学生。つまりマーケティングにおける「3C(※)」ですね。


山下さん: はい。学生を顧客と捉えれば、採用活動はまさにマーケティング活動であると言えます。
しかし一般的なマーケティング活動と違い、具体的な製品やサービスを販売しているわけではないため、そのプロセスと成果に対する評価・分析が難しいという特徴があります。

しかし辞退者調査であれば、聞き取り調査やアンケート調査を通じてこれらの情報をしっかりと取得し、分析し、次年度以降の採用戦略立案に役立てることができるのです。

※3C:マーケティング活動において重要な三要素「Company(自社)、Competitor(競合)、Customer(顧客)」の頭文字を取った言葉。これらを分析してマーケティング戦略を立案する方法を「3C分析」という。ここでは顧客を学生としている。

辞退者調査は自社でも可能? 第三者機関に委ねるメリットとは

— 多くの企業では辞退者に対し採用担当者やリクルーターを通じて「辞退理由」を尋ねていますが、それでは足りないのでしょうか。


山下さん: 辞退理由も、もちろん重要な情報の一つです。しかし、それだけでは表層的な情報しか得ることができず、具体的な戦略の改善につなげていくことは難しいでしょう。

私たちが行う辞退者調査では、就職活動の開始から内定辞退に至るまでの経緯を時間軸に沿って聞いていきます。
その中で、「そのとき、何を考えていましたか」「企業に対してどんな思いを抱いていましたか」と丁寧に聞き取っていき、学生が内定辞退に至ったストーリーの全体像を明確にしていきます。

こうすることで、採用戦略のどこに問題があったのか、どんなポイントで競合に負けてしまったのか、ということが分かるのです。

— そこまでの内容となると、採用担当者やリクルーターが調査を行うのは難しそうですね……。


山下さん: 辞退した会社との関係は静かにフェードアウトさせたいのが学生の本音ですし、もしも辞退の主な理由が採用担当者やリクルーターだった場合は、おそらく事実については何も話してくれないのではないでしょうか。

その点、第三者機関による調査であれば気持ちの面で抵抗感がありませんし、弊社の場合はキャリアコンサルタントの資格を持った者が調査を行うため、専門的な知見を持って学生のキャリア観をひも解きながら有益な情報を取得していくことができます。

辞退者調査はどう進める? 意外な辞退理由が見つかることも

— 御社で辞退者調査をする場合の具体的なプロセスを教えてください。


山下さん: はい。具体的なプロセスは次のようなものです。

  • 依頼主(企業)から学生へ連絡を取り、個人情報を調査機関へ共有する許諾を得る
  • 許諾を得られた学生を対象に、WEBアンケート調査やインタビュー調査(謝礼あり)を行う
  • 調査結果を分析し、レポートを作成 する

— こうして見ると、シンプルに見えますね。しかし先ほどのお話にもあったように、辞退した企業からはフェードアウトしたいと思っている学生から個人情報共有の許諾を得るのは難しいのではないでしょうか?


山下さん: インタビュー調査には謝礼がありますので、実績として8〜9割ほどの学生から許諾を頂くことができています。
また、インタビューにはWEB会議システムと併せて、電話も活用しています。顔出しがないと回答者の心理的ハードルが下がるため、これも許諾を得やすい理由の一つです。

その上で、前述のように就活について時系列に沿って話を聞いていきます。学生一人ひとりの状況に応じて質問内容は変わりますが、おおむね以下のような内容です。

  • いつの時期から就活を意識し始めたか
  • 最初に取った具体的な行動は(キャリアセンターに行ってみた・友達や先輩に勧められて就職情報サイトに登録してみた、など)
  • いつごろ、どんな企業と出合い、どういう印象を持ったか
  • さまざまな企業とコミュニケーションを取る中で、心情やキャリア観がどのように変化し、最終的に就職予定先の内々定を受諾したのか

— 依頼主企業の内々定を辞退した理由を直接的には聞かないんですね。


山下さん: はい。多くの学生はどこか別の企業の内々定を受諾していますので、「なぜ辞退したか」よりも、「いつ、何を考え、最終的にその1社に決めたのか」を聞いていく方が、依頼主が持っている課題を明確にしやすいからです。

例えば、近年は新卒採用でもダイレクトリクルーティング(スカウト)が増えた結果、新しい競合企業が登場していたりします。
実際に、IT系の学生を中心に採用しているSIerの競合として、DXを推進したい小売業が突然浮上してくるような例はよくあることです。

— 見えていなかった競合が見つかることがあるわけですね。


山下さん: はい。そして、その競合がどのような採用活動をしていたのかも、辞退者調査から分かってきます。すると、いま自社が行っている採用活動のスピード感が適切なのか、施策に誤りはないのか、といった課題も見えてくるわけです。

他によくある例として、企業側が良かれと思って行っていた施策が原因で内定辞退につながっていたというケースもあります。

— ぜひ聞かせてください。


山下さん: 成長環境を求める今の学生に満足してもらおうと、5daysのインターンシップを開催されていた企業がありました。
宿泊研修で、チームビルディングもしっかりと行い、ハイレベルな課題に挑戦してもらうというものです。

しかし、インタビューから得られた学生の声は、「内容がハードすぎて、入社してからもこんな働き方を求められるのかと思ったら怖くなってしまい、最終的に内定辞退した」というものでした。

つまり、企業の意図とはまったく逆で、悪い印象につながっている施策だったのです。しかも、その企業はワーク・ライフ・バランスの良い優良企業です。間違った印象を抱かれた上に内定辞退にまでつながっていたわけですね。

— その話を、実際にインターンシップを開催した企業の担当者にできる学生は少ないでしょうね……。


山下さん: はい、そう思います。その企業では、翌年からインターンシップの内容をもう少しソフトなものにリニューアルし、内定辞退率を下げることに成功しています。

企業の担当者からすれば「意外」と受け取られるような情報を得られるのが、辞退者調査が持つ最大のメリットです。

— 具体的で役立つお話をありがとうございました!

学生の「本音」を引き出す辞退者調査

第三者機関による辞退者調査によって、企業には語ってくれない学生の「本音」を聞き出すことの効果はよくお分かりいただけたと思います。

マイナビでは辞退者調査のサービスをご提供しております。さまざまな事例を交えてご紹介が可能です。資料請求など下記よりお気軽にお問い合わせください。


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  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2024/09/06
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