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学生の業界イメージとその変化~業界イメージ調査をもとにした採用戦略~

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就職活動の準備として多くの学生が取り組む業界研究。まだ社会を知らない学生からすると、どの業界が自分に合っているのか、どのような仕事があるのかを理解するのは難しいものです。今回は全40業界に関する就活生のプラス・マイナスイメージと各業界への活動状況を調査した「マイナビ2025年卒大学生業界イメージ調査」をもとに、業界に対する学生のイメージとその変化を見ていきます。ぜひ、今後の採用広報やブランディングの参考にしてください。
インターンシップ・仕事体験に参加したことのある業界を聞くと、TOP5は以下の5業界となりました。

<全体>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:銀行・証券
3位:食品・農林・水産
4位:電子・電気機器
5位:住宅・インテリア

<文系男子>
1位:銀行・証券
2位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
3位:専門商社
4位:百貨店・スーパー・コンビニ
4位:クレジット・信販・リース

<文系女子>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:銀行・証券
3位:人材サービス(派遣・紹介)
4位:食品・農林・水産
5位:住宅・インテリア

<理系男子>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:電子・電気機器
3位:機械・プラント
4位:自動車・輸送用機器
5位:繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック

<理系女子>
1位:薬品・化粧品
2位:食品・農林・水産
3位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
4位:繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック
5位:医療・調剤薬局

全体で1位の「ソフトウエア・情報処理・ネット関連」は文理男女別のいずれでもTOP5にランクインしていましたが、それ以外は属性ごとに異なる結果となっています。インターンシップ・仕事体験を実施する企業側の目線で考えれば、募集しやすい属性、しづらい属性があると考えられそうです。
就職先として検討したことのある業界を聞くと、TOP5は以下の5業界となりました。

<全体>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:銀行・証券
3位:官公庁・公社・団体
4位:食品・農林・水産
5位:電子・電気機器

<文系男子>
1位:銀行・証券
2位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
3位:官公庁・公社・団体
4位:鉄道・航空
5位:クレジット・信販・リース

<文系女子>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:銀行・証券
3位:広告・芸能
4位:食品・農林・水産
5位:放送・新聞・出版

<理系男子>
1位:電子・電気機器
2位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
3位:自動車・輸送用機器
4位:機械・プラント
5位:繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック

<理系女子>
1位:薬品・化粧品
2位:食品・農林・水産
3位:繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック
4位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
5位:医療・調剤薬局

ここでも全体では「ソフトウエア・情報処理・ネット関連」が1位となり、さらに文理男女のいずれの属性でもTOP5にランクインしていました。その他の業界は、属性ごとにばらつきがあります。
また、インターンシップ・仕事体験に参加したことのある業界ではTOP5圏外だった「官公庁・公社・団体」が全体で3位となりました。マイナビ2025年卒大学生公務員のイメージ調査によれば、「公務員」を就職先の選択肢として考えたことがある人は65.4%と、半分以上の人がこの業界を就職先として考えたことがあることがわかります。【図1】
【図1】公務員を就職先の選択肢として考えたことがあるか/マイナビ2025年卒大学生公務員のイメージ調査

ただし、同調査で公務員の「仕事についての情報」に関して、民間企業と比較してどう思うか聞いた結果では、「情報量が少ない」が71.5%という結果もありました。【図2】
【図2】公務員の「仕事についての情報」に関して、民間企業と比較してどう思うか/マイナビ2025年卒大学生公務員のイメージ調査

就職先としては検討されるも、情報量の少なさゆえに、インターンシップ・仕事体験の参加に至らなかったのではないかと推察できるでしょう。
エントリーをしたことのある業界を聞くと、TOP5は以下の5業界となりました。

<全体>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:食品・農林・水産
3位:銀行・証券
4位:電子・電気機器
5位:通信

<文系男子>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:銀行・証券
3位:食品・農林・水産
4位:クレジット・信販・リース
5位:通信
5位:鉄道・航空

<文系女子>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:食品・農林・水産
3位:銀行・証券
4位:広告・芸能
5位:住宅・インテリア

<理系男子>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
2位:電子・電気機器
3位:自動車・輸送用機器
4位:機械・プラント
5位:繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック

<理系女子>
1位:薬品・化粧品
2位:食品・農林・水産
3位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
4位:繊維・化学・ゴム・ガラス・セラミック
5位:医療・調剤薬局

ここでも全体の1位は「ソフトウエア・情報処理・ネット関連」となりました。文理男女別にみても、文系男子・文系女子・理系男子で1位、理系女子で3位と、どの属性からもエントリーされている業界であるようです。また、全体のTOP5をみると、これまでインターンシップ・仕事体験の参加や就職先の検討業界としては上位にあがらなかった「通信」が5位となりました。
就職活動を始めた頃の志望業界と現在の志望業界を聞くと、TOP5は以下の5業界となりました。また順位の上昇・下降を比較し、変動が大きかったものも調べています。

<就職活動を始めた頃(全体)>
1位:食品・農林・水産
2位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連
3位:薬品・化粧品
4位:官公庁・公社・団体
5位:銀行・証券

<現在(全体)>
1位:ソフトウエア・情報処理・ネット関連(↓)
2位:官公庁・公社・団体(↑)
3位:食品・農林・水産(↓)
4位:薬品・化粧品(↓)
5位:銀行・証券(→)

<順位上昇のTOP5>
1位:通信(20位→8位)
2位:自動車・輸送用機器(19位→13位)
3位:専門商社(28位→23位)
3位:生保・損保(31位→5位)
5位:建設・設備工事(18位→14位)

<順位下降のTOP5>
1位:放送・新聞・出版(6位→16位)
2位:ホテル・旅行(14位→21位)
3位:総合商社(22位→8位)
4位:住宅・インテリア(15位→20位)
4位:ゲームソフト(27位→32位)

「通信(20位→8位)」「自動車・輸送用機器(19位→13位)」など、大きく順位が上がった業界もある一方、「放送・新聞・出版(6位→16位)」「ホテル・旅行(14位→21位)」など、順位が下がった業界もありました。
今回は、就職活動を始めた頃の志望業界と現在の志望業界で変化が大きかった「通信(20位→8位)」と「放送・新聞・出版(6位→16位)」の2つについて、業界のプラスイメージとマイナスイメージの結果を見てみたいと思います。
まず、22の項目から当てはまると思われるプラスイメージ・マイナスイメージを聞いた結果をみると、それぞれ上位に上がったのは以下の項目でした。

<通信:プラスイメージ>
将来性:2位
変革性:4位
休日・休暇・労働時間:5位

<通信:マイナスイメージ>
技術力・商品企画力:4位

<放送・新聞・出版:プラスイメージ>
宣伝力・ブランドイメージ:3位
社会全体への影響力:4位
仕事の魅力:4位

<放送・新聞・出版:マイナスイメージ>
将来性:1位
ビジネスモデル:3位
社会貢献・環境への取り組み:3位
人の役に立つ:1位

これをみると、志望順位の好転・悪化によらず、プラスイメージもあればマイナスイメージもあるようです。
「通信業界」はコロナ禍を契機としたリモートワークの普及や5Gや6Gといった次世代通信技術の進歩などにより、「将来性」や「変革性」といったプラスイメージが持たれやすいのではないでしょうか。またそのような特性上、リモートワークの導入に積極的で、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる企業も多いと考えられます。そのため、「休日・休暇・労働時間」についても良い印象が強いと考えられます。
近年の学生はワークライフバランスを重要視する傾向が強く、マイナビ2025年卒内定者意識調査によれば、入社意欲を高めると思うこととして、「ワークライフバランスの良さ(61.9%)」「在宅勤務・リモートワークの制度の充実(37.5%)」は上位にあがっています。【図3】「休日・休暇・労働時間」といった働きやすさを強みに持つ企業は積極的にアピールできると良いでしょう。
【図3】入社意欲を高めると思うこと/マイナビ2025年卒内定者意識調査

一方で「放送・新聞・出版」業界の「将来性」や「ビジネスモデル」に対してのマイナスイメージは、デジタル化による影響が大きいと考えられます。インターネットやSNSといった新しいメディアの台頭により、情報の流通方法が大きく変わりました。特に、大学生をはじめとした若年層はそれらを通じて情報を得ることが一般的になっています。このような状況を踏まえて、放送・新聞・出版業界は、デジタル化に対応した新しいビジネスモデルの構築が急務とされてきました。それが「将来性」や「ビジネスモデル」に対するマイナスイメージにつながったと推察されます。
しかしながら、プラスイメージとしてあげられる「宣伝力・ブランドイメージ」や「社会全体への影響力」は、依然として強力な魅力を持っています。特に、メディアの力を通じて社会に影響を与えることができる点は、この業界ならではの特徴です。また、「仕事の魅力」に関しても、クリエイティブな業務や社会的な意義を感じられる仕事が多いことは、多くの学生にとって魅力的に映るでしょう。
「将来性」や「ビジネスモデル」のマイナスイメージに対しては、丁寧に説明した方が学生からの心証も良いでしょう。マイナスイメージを覆すことができるロジックがあればそれでも良いですが、無理やりな説明だと逆効果です。むしろ業界全体に対するマイナスイメージは認めつつ、あくまで自社は違うのだという印象を持たせる方が効果的です。例えばデジタル化への取り組みや事業ドメインの強固さなど、自社ならではの特徴や魅力を伝えることで、ポジティブなイメージに転換し、さらに同業他社との差別化も可能です。
すべての業界について取り上げることはできませんでしたが、業界ごとに強み・弱みがあるように、学生のもつイメージも様々です。キャリア形成活動や就職活動を通じて、学生の志望業界や志望企業は変化します。学生を惹きつけるための採用広報やブランディングを進めていくためには、まずは自社がどのようなイメージを学生に持たれているのかを分析し、そのイメージをどう変えていきたいのかというゴールを設定することが第一です。その分析の参考として、この業界イメージ調査を活用してみてはいかがでしょうか。
  • Organization 株式会社マイナビ 社長室 キャリアリサーチ統括部

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    雇用や労働に関連する様々な調査データやレポートを通じて、雇用の在り方や個人のキャリアを考える上で役立つ情報を発信します。

  • 人材採用・育成 更新日:2025/01/21
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