介護法人への志望度が上がるインターンシップとは?設計・企画方法と事例集【介護職採用シリーズ_vol.8】
といっても、介護業界では、「インターンシップは実施したことがないし、実施する予定もない」という法人がまだまだ多いのが現状です。介護法人がインターンシップを実施しない理由はさまざまですが、費用や人員、ノウハウが不足していて実施したくてもできないケースもあれば、インターンシップを開催するメリットを理解していないケースもあります。
そのほか、人事担当者が、単なる就業体験という旧来のイメージでインターンシップを捉えているために、「規模が小さく、これといった特色がない自法人の職場を学生に見せても訴求力がない」と考えているケースも少なくありません。
しかし近年、インターンシップは多様化していて、現場での就業体験に加えて、グループワークやディスカッション、事業内容に関するセミナー、先輩職員との座談会など、さまざまなコンテンツを含むインターンシップが開催されています。中小規模の法人であっても、コンテンツしだいで、自法人の魅力をアピールすることは可能です。
介護法人は他業界に比べると学生に実務を体験してもらいやすいため、インターンシップと相性がよいのが特徴です。学生のインターンシップへのニーズは高まっている現状を考えても、今後はできる限り人員や費用などのリソースを確保して、インターンシップを実施・導入していくべきでしょう。
では、インターンシップは、介護法人にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
インターンシップはキャリア形成支援の取り組みで採用活動ではありません。しかし、キャリア観醸成のためにその業界への志望度や興味関心が高まるコンテンツを実施し、良い印象を与えることで、参加学生に業界、職種、その法人自身にもプラスの印象を持ってもらえることに繋がります。
たとえば「応募が集まらず母集団を十分に形成できない」という課題があるのであれば、具体的な業務内容に触れる機会を積極的に設けたプログラムにして、自法人でキャリアを磨く自分を思い描いてもらえる可能性が高まるでしょう。
ここからは、介護法人が採用課題を解決するために、どんなインターンシップのコンテンツを企画すればよいのかを見ていきます。コンテンツを企画する際には、下記「3C」の観点を活用しましょう。
1. 自法人(Company):採用活動の現状、これまでの承諾理由、辞退理由の傾向
2. 学生(Customer):求める人物像の志向性、志望業界・企業
3. 競合(Competitor):他法人が訴求している魅力、採り負けている理由
上記「3C」に着目して自法人の現状、他法人に負けている理由を把握し、求める人物像の志向性に合わせて内容を考えると、採用課題の解決につながるコンテンツになります。加えて、介護業界への志望度が低い学生が介護の仕事に興味を持つ、他法人を志望している学生が自法人の魅力を理解するといった学生の心理変化を意識することも大切です。
続いて、介護法人によくある2つの採用課題別に、コンテンツの企画方法を紹介します。
求人への応募が少ない場合、求人情報の伝え方に課題があることも原因の一つですが、もう一つの大きな原因として、採用の対象が狭いことが考えられます。介護業界志望の学生は数が少ないため、この層だけを対象にしていると、なかなか十分な数の母集団を形成することはできません。
解決策の一つが、介護業界と他業界を比較するコンテンツを企画することです。介護法人のインターンシップに参加する学生の多くは、介護業界だけを志望しているわけではなく、教育・行政機関、飲食・観光などのサービス業をはじめ他業界への就職も視野に入れています。
具体的には、講義形式で、これらの他業界と介護業界の事業・仕事内容や社会的価値などを比較しながら解説するとよいでしょう。学生自身にシートに記入しながら比較してもらうグループワーク形式にするのも一つの方法です。
たとえば飲食・観光などのサービス業と介護業界では具体的な仕事内容は異なりますが、「人から感謝される仕事」という共通点があります。講義やグループワークで共通点を可視化すれば、他業界を第一志望にしている学生が「介護業界でもやりたいことはできる」と気づくきっかけになります。
2つ目は、日常の業務ではなく、レクリエーションや誕生日会、お祭りなどのイベントを企画する体験を中心としているのが特徴です。すでに自法人のインターンシップ・仕事体験に参加したことがある学生や、介護業界に興味を持っていて、自分でもある程度の情報収集をしている学生向けのプログラムです。イベント企画の就業体験は、人事担当の職員だけでも実施できるため、現場に負担をかけられない状況の法人にも適しています。
就業体験以外のプログラムは事例1とほぼ同じですが、説明会では仕事のやりがいをエピソードとともに紹介するというように、学生がより深く業界や自法人の魅力を知ることができる内容にするとよいでしょう。事例1、事例2の順にシリーズで実施して、学生には両方に参加してもらうのも一案です。
- 人材採用・育成 更新日:2024/08/06
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