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労働基準法とは? 人事・採用担当者が注意すべきポイントも解説

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労働基準法は、採用担当者や人事が理解しておくべき法律です。労働基準法に違反をすると、罰則の対象となるため、注意しましょう。この記事では、採用担当者や人事に向けて、労働基準法の内容や、労働基準法違反となるケースについて解説します。

労働基準法は、1947年に制定された、日本の労働基準を定めた法律です。労働基準とは、企業に勤める者の労働時間、休日、休憩時間などの最低限の基準のことを指します。正社員、アルバイトなどの名称を問わず、すべての労働者に適用されます。

労働者を採用する際には、必ず明示しなければならない事項があります。必ず明示しなければならないことは、以下のとおりです。


  • 契約期間
  • 期間の定めがある契約を更新する場合の要件
  • 就業場所、従事する業務
  • 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業転換
  • 賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締切及び支払の時期
  • 昇給
  • 退職(解雇の事由を含む)

6の昇給に関する項目を除き、原則書面を交付して明示しなければなりません。また、定めた場合に明示しなければならないことは以下のとおりです。


  • 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期
  • 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与等並びに最低賃金額
  • 労働者に負担させるべき食費、作業用品など
  • 安全及び衛生
  • .職業訓練
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助
  • 表彰及び制裁
  • 休職

※参考:労働基準法の基礎知識│厚生労働省

賃金とは、賃金、給料、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものをいいます。労働基準法第24条では、賃金支払いの5原則が定められています。以下は、賃金支払いの5原則です。たとえ労働者の同意があったとしても、最低賃金額を下回ることは禁止されています。最低賃金額は、都道府県ごとに決められています。


  • 通貨払い
  • 直接払い
  • 全額払い
  • 毎月1回以上払い
  • 一定期日払い

※参考:労働基準法の基礎知識│厚生労働省

労働基準法第32条、第40条では、法定労働時間の上限は、原則として1日に8時間、1週間に40時間までと定められています。法定労働時間は労働基準法で定められている労働時間で、所定労働時間は労働契約上、労働義務を負う時間を意味します。

労働基準法第35条によると、少なくとも毎週1日、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと示されています。休日とは、労働契約上、労働の義務がないものとされた日のことを指します。


※参考:労働基準法の基礎知識│厚生労働省

労働基準法第34条には、6時間を超えて8時間以下の場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上休憩しなければならない、と示されています。労働者が休憩をとっている間に、来客や電話の対応をするように指示している場合は、労働時間と見なされる可能性があるため、注意が必要です。


※参考:労働基準法の基礎知識│厚生労働省

労働基準法第37条には、時間外・休日・深夜労働を行わせた場合に割増賃金を支払わなければならないと示されています。法定内残業は所定労働時間を超えた法定労働時間以内の残業、法定外残業は法定労働時間を超える残業のことです。2021年4月には、残業に関わる「36協定」の届出の様式が新しくなっています。


※参考:労働基準法の基礎知識│厚生労働省

時間外労働協定(36協定)とは、法定労働時間を超えて残業をさせる場合の労使協定のことをいい、労働基準監督署に届出をしなければなりません。労働基準法36条に規定されていることから、一般的に、36協定(さぶろくきょうてい)と呼ばれています。36協定を締結せずに時間外労働をさせた場合、労働基準法違反になります。

労働基準法第39条では、雇い入れ日から6カ月間継続して勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者に年次有給休暇が与えられる、と示されています。なお、パート社員の場合は、比例付与の対象となっています。比例付与とは、労働時間と労働日数が増えるにしたがい、比例して有給休暇の日数も増える仕組みのことです。

なお、1週間の労働時間が30時間以上の労働者と、労働時間に関係なく週5日働いている労働者は、正社員と同じ有給休暇日数の対象となるため、注意が必要です。また、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対しては、年5日の年次有給休暇を取得させる義務があります。


※参考:労働基準法の基礎知識│厚生労働省

労働基準法第20条には、やむを得ず労働者を解雇する場合は、30日以上前に予告するか、解雇予告手当を支払う必要があると明記されています。労働基準法第19条には、業務上の傷病や産前産後による休業期間とその後30日間は、原則として解雇できないとも示されています。


※参考:労働基準法の基礎知識│厚生労働省
労働基準法違反にあたる行為をした場合、罰則を科される可能性があるため、十分に注意する必要があります。以下のケースは、採用・募集する際にも気をつけるべき内容です。
36協定を締結せずに法定労働時間を超えて労働させた場合や、36協定で合意された範囲を超えた労働をさせた場合は、労働基準法違反となります。違反した場合、6カ月以上の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
残業代や休日手当、深夜手当などを支払わない場合、労働基準法違反と見なされます。違反した場合、6カ月以上の懲役または30万円以下の罰金が科せられるため、採用・募集する際に反した内容になっていないか、改めて確認するとよいでしょう。
週1日以上の法定休日を与えない場合、休日・有給休暇に関する違反となります。違反をしたら、6カ月以上の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。ただし、36協定にて雇用者と労働者間で合意している場合であれば、週7日労働してよい決まりとなっています。36協定を締結せずに、週1日以上の法定休日を与えないのは違法です。
通貨で支払う、直接支払う、全額支払う、毎月1回以上支払う、一定期日で支払うといった5原則に従っていない場合は、労働基準法違反となります。1つでも守れていない場合は違反と見なされるため、採用や募集をする際にも要注意です。違反した場合、30万円以下の罰金です。
労働災害による療養補償・休業補償・障害補償などをしない場合、労働災害に関する違反となります。労働災害とは、勤務中あるいは通勤中に発生した怪我や病気のことです。労働基準法違反と見なされた場合、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科されます。

労働者と契約をする際に労働条件を明らかにしない場合や、常時10人以上の労働者を雇用しているのに就業規則を労働基準監督署に届け出をしていない場合は、労働基準法違反となります。違反した場合、30万円以下の罰金が科せられるため、採用・募集する際には厳重に注意しましょう。

入社前に労働条件の説明をしなかったり、入社後に労働条件を勝手に変更したりすることも、違反に該当します。特に入社後の労働条件の変更はよくあるため、その場合は労働者本人に必ず同意を得ておきましょう。

国籍や性別、信条、社会的身分などを理由に差別的な扱いをした場合、労働基準法違反と見なされます。違反した場合、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科されるため、募集要項や面接では、差別的だと判断される記載や発言をしないように十分に気をつけましょう。
労働者の出産前・出産後の休暇を認めない場合や、生後1年未満の子どもを育てる労働者へ育児の時間を与えない場合は、労働基準法の違反として見なされます。違反をすると、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。

解雇や雇止めをする際に30日前までに予告、予告できなかった場合に30日分以上の平均賃金を支払わない場合は、労働基準法違反となります。違反をしたら、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。

労働基準法に違反しないために、採用担当者や人事も押さえておくべきポイントがあります。ここでは、注意すべきポイントについておさらいします。
労働条件とは、雇用者と労働者間で取り決める労働条件で、通常内定時に書面で交付します。労働基準法第15条には、採用する際には、労働契約書(雇用契約書)または労働条件通知書を交付し、労働条件を明示しなければならない、と示されています。明示項目については、前述している労働条件の明示をご確認ください。

性別や年齢制限をかけた募集は禁止されているため、注意する必要があります。労働基準法3条には、性別の限定、年齢による制限をしてはならないと記されています。「30歳以下限定」「女性歓迎」のように、年齢や性別に制限をかけて求人広告を出すことは、原則として禁じられているため、覚えておきましょう。

ただし、性別や年齢に制限をかける募集が例外的に認められるケースもあります。その場合は、ハローワークや労働局にて確認をすることをおすすめします。

労働基準法とは、日本の労働基準を定めた法律のことで、採用担当者や人事が理解しておくべき法律です。労働基準法に違反すると、罰則の対象となりかねないため、注意しましょう。

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  • Person 菅田 芳恵

    菅田 芳恵 グッドライフ設計塾 代表

    特定社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャルプランニング技能士等13の資格を活かして幅広く活動をしている。

  • 人材採用・育成 更新日:2023/04/06
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