【魅力棚卸しワークシート付】すぐに実践!「魅力発見の3ステップ」│差別化できる“自社だけの魅力”(後編)
採用担当者の仕事はまず、「自社の魅力を正しく理解する」ことから始まります。
しかし、社内にいながら自社ならではの強みや魅力を知ることは、言葉以上に難しいものです。学生にそれを伝えようとすると、なおさら難しく感じるでしょう。
そこで、前編では「自社の魅力を伝えるのが苦手な企業にありがちな3つの特徴」と、「学生が求めている3つの情報」についてご紹介しました。
●魅力を伝えるのが苦手な会社の特徴&学生の求めている情報とは│差別化できる“自社のだけ魅力”(前編)
この後編では、より実践的に「魅力発見の3ステップ」をご紹介します。ぜひ前編と併せて、自社に合った使い方、考え方を学んでください!
しかし、社内にいながら自社ならではの強みや魅力を知ることは、言葉以上に難しいものです。学生にそれを伝えようとすると、なおさら難しく感じるでしょう。
そこで、前編では「自社の魅力を伝えるのが苦手な企業にありがちな3つの特徴」と、「学生が求めている3つの情報」についてご紹介しました。
●魅力を伝えるのが苦手な会社の特徴&学生の求めている情報とは│差別化できる“自社のだけ魅力”(前編)
この後編では、より実践的に「魅力発見の3ステップ」をご紹介します。ぜひ前編と併せて、自社に合った使い方、考え方を学んでください!
河本さん: まずは「会社の考え方」「事業内容」「仕事特性」「制度環境」「人・風土」の5つに分けて、客観的事実を列挙していきます。
「会社の考え方」と「事業内容」、「制度環境」は採用サイトなどに明文化されていることが多いでしょうから、まずはそれを書き留めます。
それ以外の2つは明文化されていないことがほとんどですので、重点を置いてご説明しますね。
まず「仕事特性」です。これは、社員が仕事をする上でのモチベーションのことを指します。なので、社員に「仕事の何がいいところで、何が悪いところなのか」を挙げてもらうことから始めましょう。
河本さん: 匿名のアンケートでもいいですが、お勧めは社内のハイパフォーマーに直接ヒアリングすることです。
高いパフォーマンスを挙げているということは、それだけ仕事の特性に「合っている」ということですから、ハイパフォーマーの言葉は、ほぼそのまま「仕事特性」を表現していると言えます。
「会社の考え方」と「事業内容」、「制度環境」は採用サイトなどに明文化されていることが多いでしょうから、まずはそれを書き留めます。
それ以外の2つは明文化されていないことがほとんどですので、重点を置いてご説明しますね。
まず「仕事特性」です。これは、社員が仕事をする上でのモチベーションのことを指します。なので、社員に「仕事の何がいいところで、何が悪いところなのか」を挙げてもらうことから始めましょう。
— なかなか、人事と対面して語りにくいことのようにも思えますが、ヒアリングのコツはありますか?
河本さん: 匿名のアンケートでもいいですが、お勧めは社内のハイパフォーマーに直接ヒアリングすることです。
高いパフォーマンスを挙げているということは、それだけ仕事の特性に「合っている」ということですから、ハイパフォーマーの言葉は、ほぼそのまま「仕事特性」を表現していると言えます。
その中で「もっとこうだったらさらに仕事がしやすい」のような、改善ポイントも併せて収集できると、その後のマネジメントにも役立つでしょう。
河本さん: そうですね。「人がいい」「オープンな社風」みたいな抽象的な言葉ではなにも伝わりませんが、企業側も自社の人・風土に対する解像度がそこでとどまっていることが多いようです。
なので、具体的な「シーン」にまで落として言語化していくことが重要です。どういうときに「人がいい」と思ったのか、その前後を含めた具体的なエピソードを収集するようにしましょう。
採用担当者のインタビュー力が試されるところです。
— 「人・風土」についてはいかがでしょうか。先ほど、最も学生に伝えにくいことの一つというお話もありました。
河本さん: そうですね。「人がいい」「オープンな社風」みたいな抽象的な言葉ではなにも伝わりませんが、企業側も自社の人・風土に対する解像度がそこでとどまっていることが多いようです。
なので、具体的な「シーン」にまで落として言語化していくことが重要です。どういうときに「人がいい」と思ったのか、その前後を含めた具体的なエピソードを収集するようにしましょう。
採用担当者のインタビュー力が試されるところです。
— 続いてが「魅力への転換」ですね。これはどのようなステップなのでしょうか。
河本さん: はい。ステップ1で収集した「事実」から「魅力」を引き出していきます。
例えば「会社の規模が大きい」という事実をステップ1で引き出したとしましょう。その後ろに「だから」とつなげていって、魅力を引き出していくのです。
「会社の規模が大きい(事実)。だから、社会的影響力が大きい。だから、自分の仕事にやりがいを感じられる。だから、長く働きたいと思える」
のようなやり方です。
これをステップ1で列挙した事実の一つひとつに対して行います。「ワンストップビジネスを提供している。だから……」「ほかの人の業務量が多いとき、自然と助けてくれる風土がある。だから……」「地域特性に合った福利厚生が充実している。だから……」と、どんどん「だから」を繰り返すんです。
すると、ただの事実だった情報が「魅力」へと転換できます。
やってみると、1つの魅力が複数の事実から生まれてくることも、1つの事実から複数の魅力が生まれてくることもあるでしょう。そういったことも併せて整理を行います。
この整理が誰でも簡単にできるよう、「魅力棚卸しのためのワークシート」をご用意いたしましたので、ぜひダウンロードの上ご活用ください!
— なるほど。事実から魅力を引き出すというのは、大変分かりやすく実践もしやすいですね。では最後に「競合との差別化」について教えてください。
河本さん: はい。採用担当者は多くの場合、社内のことには誰よりも詳しくても、社外とのやりとり、業務の現場についての知識はあまり持っていないことが多いと思います。
でも実は、そこにこそ「他社との差別化」があります。まったく独自の事業を行っていて競合のない企業というのは、ほとんど存在しませんから、会社が存続できている以上、他社との差別化ポイント、強みがあるのです。
営業パーソンは必ず、他社と比較されたときに話す「カウンター営業トーク」を持っているものですが、まさにそれです。
つまり、3C(顧客Customer, 自社Corporate, 競合Competitor)分析ですね。
河本さん: そうです。そのために、ステップ2で引き出した魅力をどのように使うかを考えるのが、この最後のステップになります。
ただし、ここで注意したいのが、採用においては「事業上の競合」だけが競合相手になるわけではないということです。
事業上はまったく競合していないのに、採用では競合するということがあり得ます。
例えば、航空業界であれば、他社やほかの交通系事業者が事業上の競合に当たりますが、採用においてはホテル業界も競合となります。
河本さん: そうです。そういった競合相手は、なかなか見えてきません。企業説明会の場で匿名アンケートを募り、「ほかに志望している業界」を聞くなどの方法で情報を集めるといいでしょう。
こうして判明した「採用上の競合」を分析するには、大きく2つの軸があります。「同列化」と「差別化」です。
河本さん: はい。まず「同列化」ですが、同じ土俵に立っている魅力のことを指します。航空業界とホテル業界の例で言えば、「英語力が活かせる」は同列に扱えます。
なので、「英語力を活かしたい」と考えながらもホテル業界しか見ていない学生に対して、航空業界は「こちらでも同じように英語力を活かせますよ」とアピールすることが可能です。
つまり、競合に流れそうな学生を、同列化された魅力で引き込む・引き留めるのに使えるわけです。マーケティングと同じですね。
— なるほど。マーケティング視点で自社の採用における魅力を引き出していくわけですね。
河本さん: そうです。そのために、ステップ2で引き出した魅力をどのように使うかを考えるのが、この最後のステップになります。
ただし、ここで注意したいのが、採用においては「事業上の競合」だけが競合相手になるわけではないということです。
事業上はまったく競合していないのに、採用では競合するということがあり得ます。
例えば、航空業界であれば、他社やほかの交通系事業者が事業上の競合に当たりますが、採用においてはホテル業界も競合となります。
— なるほど、ホスピタリティ軸で学生の志望がかぶるということですね。
河本さん: そうです。そういった競合相手は、なかなか見えてきません。企業説明会の場で匿名アンケートを募り、「ほかに志望している業界」を聞くなどの方法で情報を集めるといいでしょう。
こうして判明した「採用上の競合」を分析するには、大きく2つの軸があります。「同列化」と「差別化」です。
— 具体的にはどのようなものでしょうか。
河本さん: はい。まず「同列化」ですが、同じ土俵に立っている魅力のことを指します。航空業界とホテル業界の例で言えば、「英語力が活かせる」は同列に扱えます。
なので、「英語力を活かしたい」と考えながらもホテル業界しか見ていない学生に対して、航空業界は「こちらでも同じように英語力を活かせますよ」とアピールすることが可能です。
つまり、競合に流れそうな学生を、同列化された魅力で引き込む・引き留めるのに使えるわけです。マーケティングと同じですね。
— ありがとうございました。では最後に、「3つのステップ」で引き出した魅力を活かせるコミュニケーションの方法について教えてください。
河本さん: はい。重要なのは、採用フロー全体を通じた「カスタマージャーニーマップ」を考えることです。
いつ、どこで、誰に、なにを発信するのか、その発信の結果として何を期待するのか。それを整理したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼んでいます。
— 「カスタマージャーニーマップ」は、サポネットでも作り方と活用法を特集したことがあります。
河本さん: はい、まさにそれです。その上で、「自社に集まる学生」と「自社が集めたい学生」の指向性を分析し、その接続部分となる情報を厚めに提供することを心掛けるといいでしょう。
— 具体的な例を挙げてご説明いただけると助かります。
河本さん: 例えば、自社が「地域密着型のオーダーメイド住宅専門工務店」で、これまで集めることができなかった建築系学生を採用したいとします。
この場合「家を造りたい」という指向性はどのメーカーでも合致します。おそらくこれまでも、営業や事務など他職種で採用してきた社員にも共通していた指向性だったはずです。これが「自社に集まる学生」の指向です。
しかし、それでは大手メーカーや地元の競合など他社との差別化が図れないので、自社の仕事特性など「3ステップ」で分析した魅力をもとに、「集めたい学生」の像を構築していきます。
「オーダーメイド」という点をアピールすれば、大手デベロッパーで建売り住宅を造る仕事をしたくない、施主さんとじっくり向き合いたい学生には魅力的に映るでしょう。それが「集めたい学生の指向性」の一例です。
では、そういった学生に何をアピールしていくのか。それを「3ステップ」で引き出した魅力の中から見つけることがキモになります。
「同時に複数の設計業務を担当することはないから、施主さまと常に向き合っていられますよ」とか「設計に集中してもらえるよう、出社義務はありませんよ」とか、会社によってそれぞれアピールポイントがあるはずです。
河本さん: そうですね。専門的なスキルが必要な場面もありますので、マイナビなど知見のある業者に依頼するのも一つの手でしょう。
ぜひ、自社の魅力を十分に知って、それを余すところなく活用していただきたいと思います。
では、そういった学生に何をアピールしていくのか。それを「3ステップ」で引き出した魅力の中から見つけることがキモになります。
「同時に複数の設計業務を担当することはないから、施主さまと常に向き合っていられますよ」とか「設計に集中してもらえるよう、出社義務はありませんよ」とか、会社によってそれぞれアピールポイントがあるはずです。
— なるほど、よく分かりました。まずは魅力を引き出す、次にそれをどう使うのかを考えるために「学生の指向性」を分析し、「カスタマージャーニーマップ」に落とし込んでいく。この手順が大事なんですね。
河本さん: そうですね。専門的なスキルが必要な場面もありますので、マイナビなど知見のある業者に依頼するのも一つの手でしょう。
ぜひ、自社の魅力を十分に知って、それを余すところなく活用していただきたいと思います。
- 人材採用・育成 更新日:2023/01/23
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