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魅力を伝えるのが苦手な会社の特徴&学生の求めている情報とは│差別化できる“自社だけの魅力”(前編)

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採用担当者の仕事は多岐にわたりますが、業務全体に通じるコアスキルとして、「学生に自社の魅力を的確に伝える力」が求められます。

会社説明会など採用広報期間はもとより、面接、面談などあらゆる場面において、採用担当者は自社ならではの強みについて正しく理解した上で、それを魅力として伝えていくことが求められることは、実務をご担当されている読者の皆さまであれば実感されていることでしょう。

そこで今回は、多くの企業に採用コンサルティングを提供しているシーズアンドグロース株式会社の河本 英之さんに「自社の魅力を伝えるのが苦手な企業にありがちな3つの特徴」と「学生が求めている3つの情報」について伺いました。

後編では、オリジナルのワークシートを用いた実践的な「自社の魅力を理解するための3ステップ」もご紹介していますので、ぜひ前後編併せてお読みください!

― 今日はよろしくお願いします。まずは、多くの企業に採用コンサルティングをされているお立場から、よく聞かれるお悩みについてお聞かせください。


河本さん: はい。大きく分けて3つありますので、1つずつご紹介します。
河本さん: 1つ目は、中小企業の方に多いお悩みで、「そもそも自社に魅力などあるのだろうか」と考えてネガティブになってしまっているタイプです。
実際に新卒採用が継続できている場合でも、「大手志望の学生が第2、第3志望として選んでいるだけで、独自の魅力はないのではないか」と考えてしまうんです。結果として、自社の魅力を見つけられず、採用戦略の基盤が弱くなってしまっています。

― そういった企業は少なくないですね。どのようにアドバイスされるのでしょうか?


河本さん: 会社が存続しているということは、お客さまに求められているという証拠です。それだけの価値がある企業であることは間違いありません。だから、自信を持ってほしいんです。

しかし、そのこと(継続するだけの価値が会社にあること)と、新卒採用で学生にアピールできる魅力がつながっていないことが多いようです。これは、後編でご紹介する「魅力発見の3ステップ」で解決することができます。
河本さん: 「ネガティブタイプ」とは真逆で、「自社の魅力はきちんと発信しているはずなのに、なぜ学生に理解されないのか、分からない」と考えているタイプの企業も多いようです。

経営者がワンマンタイプだったり、採用担当者の自社愛があまりに強かったりする場合に多く見られます。要するに、「自社が最高で、それを理解できない学生を理解できない」という状態です。

― なるほど。確かに、そういう企業もありそうですね。どのように解決すべきなのでしょうか


河本さん: むやみに自社を信じ切ってしまい、客観視できていないということが問題です。自社も含めて「完璧な企業」は存在しないということを、まずはしっかりと認識していただく必要があると思います。

よくお伝えするのは「魅力の反対側」を考えてみてください、ということです。 例えば「事業内容の幅広さ」が魅力だと考えている企業の場合、その反対側には「個々の専門性の低さ」や「異動に伴う社員の負担増」などのデメリットが隠れているはずです。

まずはそれを認識した上で、フォーカスすべき自社の魅力を探すところから始めるのが良いと思います。
河本さん: 最後が、学生にどう見えるかを気にしすぎて、自社独自の魅力を打ち出せなくなってしまっている企業です。

学生が企業に望むことが分かる統計データは多く出回っていますが、それに応えようと必死になりすぎた結果、「どこにでもある企業」のように見えてしまっています。

例えば、今の学生は「福利厚生の充実」を望むことが多いから、と反射的に自社の魅力として「福利厚生」を打ち出してしまう、というようなことですね。

もちろん、それも企業の魅力の1つである可能性はあるでしょう。しかし、過剰に学生視点を意識することで、本当にアピールすべき独自の魅力に気付けない、ということが問題です。

― 採用活動は学生へのアピールが大切ですが、それを気にしすぎてしまうのもまた問題、ということですね。


河本さん: そうですね。こちらも、後編でご紹介する「魅力発見の3ステップ」で、本当に打ち出すべき自社の魅力に気付いていただきたいと思います。

― ここからは、学生側の考えている「企業から聞きたい情報」についてもお伺いしたいと思います。「学生ファースト」も1つの問題であるということですが、やはり採用活動を通じて学生とコミュニケーションを取るには、求めている情報の提供も重要です。今の学生は、どのような情報を求めているとお感じになられますか?


河本さん: そうですね。こちらも大きく3つに分類できると思います。
河本さん: まずは「本音を知りたい」というのが根底にあります。就職活動を通じて企業から得られる情報には、「嘘」や「ごまかし」があると学生は思っているんです。実際に、そう取られても仕方のない情報発信をしている企業はあると思います。
例えば先ほども例に出た「福利厚生」ですが、単に「男性の育児休暇制度が整っています」というだけでは、学生に納得してもらうことはできません。多くの企業が同じことを言っていますし、言うだけなら誰でもできる、と考えます。

重要なのは「制度がある」ことを伝えるのではなく、「制度を実際に使った社員の声」を伝えることです。
男性の育児休暇制度であれば、実際に取得した社員が「復帰後もスムーズに元のポジションに戻れた」とか、「でも、実際には仕事のことが気になって時々出社したりもした」とか、経験談として語ったことは「本音」として受け止めてもらえると思います。

会社からのメッセージではなく、社員からの「体験談」にするのがポイントです。座談会やインタビューなどを利用して伝えていくのがいいでしょう。
河本さん: もう1つが、企業の「独自性」を知りたいというパターンです。これは、どの企業も似たようなアピールをしてしまうことに問題があります。

例えば「ワンストップビジネスである」ということを独自性としてアピールする企業は多くありますが、それだけでは独自性にはなり得ませんよね。あまりに多くの企業が同じことを言い過ぎています。
学生の視点から見れば、どの企業を選べばいいのか、決め手に欠けた状態です。

もう一つ、踏み込む必要があるということです。ワンストップビジネス体制を持つことで、いかにして顧客に利益をもたらすのか、なぜ顧客から評価されているのかなど、具体的なメリットにまで言及して初めて「独自性」のあるアピールポイントになります。

そこまで踏み込むには、自社はもちろん、他社の分析も必要になるでしょう。後ほど紹介する「魅力発見の3ステップ」が役に立つはずです。
河本さん: コロナ禍で会社説明会やインターンシップがオンライン化されたことで、学生がオフィスへ出向く機会が極端に減ってしまい、会社の雰囲気や仕事の様子をリアルに感じることが難しくなっています。

そのため「入社した後、自分はどんなところで、どうやって働くのだろう」というイメージが持てずにいるんです。

そういった声に対し、「社風」や「社員の人柄」をアピールする企業は多いですが、実際に伝わるように表現するのは難しいことですよね。「雰囲気」という非言語情報ですから、入社して肌で感じることでしか本来は伝えることのできない情報です。

一方、言葉で伝えられる魅力で、「働くイメージ」が付きやすいものもあります。

たとえば「成長環境」です。今の学生は新卒入社の企業に長く在籍するつもりはないと考えている場合も多いですが、自身の成長、その後のキャリアに役立つのであれば、ある程度の年数は働きたいと考えてくれるでしょう。

「本音を知りたい」学生向けの方法として紹介したように、実際に社員が実感した自分自身の成長ストーリーを語ってもらうのが有効でしょう。
「学生に伝えるべき魅力なんて持っていないのではないか」「なぜ学生に自社の魅力が伝わらないのだろう」という声は採用担当者からよく聞かれますが、まずは自社を客観視し、学生が求めている情報の傾向を知ることで、上手に伝えられるようになりそうです。

後編では、オリジナルのワークシートを用いながら、より実践的に「自社の魅力を発見する3ステップ」もご紹介します。ぜひ併せてご覧ください!

【魅力棚卸しワークシート付】すぐに実践!「魅力発見の3ステップ」│差別化できる“自社のだけ魅力”(後編)
  • Person 河本 英之
    河本 英之

    河本 英之 シーズアンドグロース株式会社 代表

    2005年、株式会社リンクアンドモチベーション入社。その後、同社の人事を担当し、08年に全社MVPを獲得。10年に採用コンサルティング・育成コンサルティングを専門とするシーズアンドグロース株式会社を創業し、現職。

  • 人材採用・育成 更新日:2023/01/23
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