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Z世代に「きれい事」は通じない! 企業情報の受け取り方が変わってきた理由 ―【特集】企業として出すべき採用広報とは? 第3回

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Z世代とのコミュニケーションについて扱っている本シリーズの中では何度も触れてきたことですが、彼ら・彼女らのリサーチ力は非常に高く、学生座談会では「IR情報まで調べ尽くしてから説明会に臨む」という声まで聞かれました。

この背景には、デジタルネイティブで「検索」がごく自然な行動としてなじんでいる世代であることはもちろん、コロナ禍によって人とのリアルな接触が極端に減ってしまい、実際に情報が不足しているという事情もありそうです。

いずれにせよ、企業側としては彼ら・彼女らが「なぜそこまで調べるのか」という理由を知っておくことで採用広報の効率を上げることができそうです。

そこで今回は、大学生向けにウェブメディアやイベントを提供している「マイナビ 学生の窓口(https://gakumado.mynavi.jp/)」から高谷理佳と藤本奈々子に話を聞いてみました!

― 今日はよろしくお願いします!まずは、やはりSNSのことから伺いたいと思います。学生の普段のSNS利用、SNSでの情報収集はどのような実態がありますか?

高谷: SNSは完全に生活の一部で、ちょっとしたスキマ時間にもSNSを開いています。主に使われているのはTwitterとInstagram、あと動画系ではTikTokとYouTubeですね。

就活に関する情報収集という点では、そのためにアカウントを分けているという学生も多いようです。

― アカウントを分ける理由は何ですか?


高谷: 友人とつながっているアカウントとは分けて使いたいという欲求はあると思います。有名人の情報を見る用、趣味用、といくつもアカウントを使い分けることは普通です。その一環として「就活用」のアカウントを作っているんですね。

そのアカウントで、企業アカウントや就活応援アカウントなどをフォローして情報収集しているようです。

― 就活応援アカウントも結構見られているという印象でしょうか?


藤本: そうですね。就活を終えた内定者や新入社員、人材コンサルタントの方などが解説している就活のコツや考え方、エールなんかも送ってくれるアカウントは見ている学生が多いと思います。
就活のコツやノウハウの収集では、YouTubeもよく使われているようです。

高谷: あと、志望先企業の社員の個人アカウントを探して見ている、という話も聞きますね。

― 社員の個人アカウントですか!それはちょっと想定外という方も多いでしょうね。企業側としては情報管理が難しそうです。

高谷: 学生も社員の個人アカウントに書かれることが企業の公式情報でないことは認識していますし、企業の公式アカウントも併せて見ています。企業側から社員に向けて強い情報規制をかけるほど、危険なものとは思いませんし、それは本質的な対策にはならないと思います。

― 本質的な対策にならないというのは、どういうことでしょうか?


藤本: 学生は企業選びに失敗したくない気持ちが強いので、リアルな情報が知りたいんです。企業の公式情報にウソやきれい事が含まれていないか、実態がかけ離れていないかを確認しようとしています。また学生はデジタルネイティブ世代で、SNSの情報収集は私たち大人より上手なんです。悪い言い方になるかもしれませんが、隠せない。

ただ確認することは学生にとって手間なので、規制するのではなく、最初から実態に即した情報を発信した方が、結果として学生からの信頼は獲得できるはずです。

― それはつまり企業の「実態」を知りたいという欲求だと思います。公式情報は信じていないということなのでしょうか。


藤本: 信じていないのではなく、企業が公式で発信する情報が、必ずしもその企業の全てを反映しているわけではないことに気付いているんです。

例えば、SDGsについて、企業が「私たちは○番と○番に力を入れています」と公式に発言していても、それが本当に実効性のある活動に繋がっているのかどうか、確認しようとしますね。

― ある意味で「見透かされている」ということでしょうか。


藤本: そうですね。きれい事を言っているだけだな、というのは見透かされると思います。先ほどのSDGsの話で言えば、じゃあ具体的に何をやっていてどんな成果が出ているの?というところまで知りたいんです。

きちんとそのあたりを開示して、ただの「きれい事」ではないと信じられれば好感度は高いと思いますし、そうでなければ悪印象につながりますね。
高谷: あと、学生受けをあえて狙っているな、という表現にも敏感ですね。ただそれが悪いというわけではなく、それとは別に本音や真実も知りたいということだと思います。

― 本音や真実が知りたいということはつまり、その企業の実態を知った上で納得して就活をしたいという欲求のように見えます。いかがでしょうか。


藤本: そうですね。学生から見た就活市場は、売り手市場とはいってもコミュニケーションの上では企業優位で、学生は発信されたものを受け取ることしかできません。
その中で、自分たちの疑問に応えて真実を話してくれる企業なのか、といったスタンスをよく見ています。
また、コロナ禍において就活イベントや会社説明会もオンラインになっている今、一昨年までの就活生のような、リアルの場で社員に直接話を聞いて「自分の疑問に、自分のために応えてもらった」という体験が不足していることも理由の一つではないでしょうか。

高谷: 企業側は学生の気持ちや志望度が知りたくて、よくアンケート企画や座談会を開きますよね。そういった場でも「ギブ アンド テーク」があるかどうか、は非常に大切です。

企業側は意外と気付いていないのかもしれませんが、学生から情報を提供してもらったらその分だけ返してあげる、というスタンスを貫くことができれば、学生からの好感度はぐっと上がるんじゃないでしょうか。

― 学生が企業の発信する情報の「裏」まで見て、その実態を知りたいと考えていること、そして「きれい事」は通じないことがよく分かりました。そのような環境下で、企業はどのようにコミュニケーションを取るべきでしょうか。


高谷: 誰にでも好感を持たれるような情報を企業が発信したくなるのは、どんな人に情報を受け取ってほしいのかを明確に認識できていないからではないでしょうか。
企業としてどうありたいか、そのためにどのような学生とコミュニケーションを取って採用したいのか、まずはそこを明確にすることが正直な本音ベースの情報発信につながっていくと思います。

藤本: カジュアルなコミュニケーションが学生に好まれるからといって、企業理念や採用方針と一致しない場合もありますよね。
企業としてありたい姿を定め、それがマッチするテンションやトーンなどの表現を工夫して、正しい温度感で学生に伝えていくことが重要だと思います。

すごく基本的なところに立ち返るようですが、自社にとって必要だと思う学生に真剣に向き合って、その姿勢を伝えようとすることがそもそもコミュニケーションの軸ですし、結果的に学生に好意的に伝わります。
企業の利益にもつながるはずですね。

― 今日はありがとうございました!

インタビューの中であった「社員の個人アカウントも見ている」という情報には驚かれた方、危機感を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
かくいう私も「そこまで見ているのか!」という強い驚きがありましたが、その理由を知れば、驚いてしまった自分自身を見つめ直すことになりました。

売り手市場とはいえ、コミュニケーションのリードを取るのは多くが企業側です。その中で、採用母集団を拡大し、採用充足率を高めることを志向すると、気付かないうちに「きれい事」な発信をしてしまうことがあるのではないでしょうか。

まずは自社のあるべき姿を考え、そのために必要な学生と本音で真剣なコミュニケーションを取ること。簡単なことではありませんが、まずはそこを目指すだけでも学生とのコミュニケーションは変わってくるかもしれません。
マイナビ学生の窓口とは?
「大学進学を検討している高校生」「大学生」「就活生」「これから社会人になるフレッシャーズ」をターゲットに入試・入学、就活、入社などの若年層のライフスタイルの転換期にあわせてWEBメディア・SNS・イベントなどの様々なサービスを展開、日々の生活をワンストップでサポートしています。
また、高校生のビジネスコンテスト『キャリア甲子園』(https://careerkoshien.mynavi.jp/)や、小中学生のためのプレゼン大会『スタートアップジュニアアワード』(https://startupjr-award.jp/)などキャリア教育事業も展開しています。
マーケティング・広告掲載・協賛に関する資料請求、お問い合わせ、ご質問、ご相談などお気軽にお問い合わせください。
https://gakumado.mynavi.jp/
  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2021/10/20
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