担当者に聞く! オンラインインターンシップの本音
コロナ禍によって、選考過程以降がオンラインになった2021卒の採用が最終盤を迎えるなか、採用フロー全体がオンライン化することが見込まれる22年卒のインターンシップシーズンになりました。
今回、お話を伺ったのは夏インターンシップをオンライン化して成功させた2社。実際に会い、現場の空気を感じてもらうことで社風や社員の雰囲気を伝えることが大切とされてきたインターンシップを、いかにオンライン化したのでしょうか。
まずお話を伺ったのは、第一生命保険株式会社(以下、第一生命)の長屋晶子さん。毎年夏は、複数コースのオフラインによるインターンシップを全国で実施していたといいます。
しかし今年は、コロナ禍の影響で夏インターンシップは全面的にオンラインへ移行。その経緯、学生からの反応などについても伺ってみました。
― 今日はよろしくお願いします。7月初旬にインターンシップをオンラインへ移行することを決定されたと伺いました。学生をはじめ、率直な反応はいかがでしたか?
― オンラインへの移行を決めてから実施まで、短い期間でコンテンツを再考するのはご苦労されたのではないでしょうか。
長屋さん: 実は、インターンシップのオンライン移行を決めてすぐ、30名ほどの小規模でオンラインのグループワークを試してみたんです。
― 学生が期待する「グループワークの楽しさ」「他チームの意見を聞くことで学びを得る」といった方向性を、具体的にどのように形にしたのでしょうか。
長屋さん: まず、1チームの人数を減らすとともに、メンターの社員もオフラインより増やして、学生たちが議論をしやすい環境を整えました。
また、フィードバックは全体に対するものだけでなく各チーム個別にも行い、実際のビジネスではどう考えるのか、といった具体的なアドバイスを送ることで後々に生かせる学びが得られるようにしています。
第一生命のオンラインインターンシップでは、小規模のトライアルを経てコンテンツと実施フローを改善したことで、好評だったグループワークのメリットを活かしたまま、オンライン化に成功したようです。
さらに、生の声を届けるフォロー施策として冬に再度インターンシップを開催予定ということで、この手厚い対応は学生の心に響きそうですね。
一方、今回お話を伺ったもう1社、京セラ株式会社(以下、京セラ)では、第一生命とは違った方法でオンラインインターンシップにおける学生のモチベーション維持に挑戦しました。
続いてお話を伺ったのは、京セラの瀧川奏子さん。
京セラでは毎年、2日間集中のグループワーク形式で、ビジネスコンテスト形式のインターンシップを実施されてきたそうですが、コロナ禍を受けて今年は断念。
オンラインへの移行を検討するにあたり、最も重視したのが学生のモチベーション維持。どのような手法で実現したのか、伺ってみました。
― 今日はよろしくお願いします。まず、御社のオンラインインターンシップがどのようなプログラムで実施されているか伺ってもいいですか?
瀧川さん: はい、よろしくお願いします。弊社のオンラインインターンシップは、隔週で3日間に分かれたプログラムです。
それぞれ1週間ずつ間を空けて、1日目にガイダンス、アイスブレイクなどを含めてグループワークの説明と課題発表をし、2日目に中間報告会と相談会。そして、3日目に発表とフィードバックを行います。
― 実際にオンラインで集まるのは3日間であっても、かなり長丁場という印象ですね。
― ここまでの長期間になると、緊張感が途切れて中だるみすることが心配になりそうですが、その点はいかがでしたか?
瀧川さん: はい。その点については、課題のレベルを高めて非常に高い要求をすることで学生の本気を引き出す、という方法で解決できたかなと思っています。時間が足りないくらい、というところを目指しました。
― かなり手厚いフォローとプログラムだと思いますが、実施にあたっての苦労も多かったのではないですか?
瀧川さん: はい。オンラインへの移行を決めたのが5月ごろで、そこから準備したのでプログラムを作るのは苦労しましたね。社員も基本的に自宅からのリモートワークなので、協力を得るため、早め早めに依頼をしました。
また、採用フロー全体を見通したとき、秋・冬までこの体制でオンラインインターンシップを続けると、他の業務に支障があるのでは…という懸念もあります。
まずは学生ファーストで、学生の学習や成長に役立つという点は守りつつ、いかに効率的な運営をするかというのが今の課題です。
― やはり、ご苦労が実って学生からは好評のようですね。
瀧川さん: はい。そこは本当にうれしいですね。グループワークの完成度も高く、満足してもらえたようです。
また、私たちが予想していなかった意外な反応として「もっと堅い会社だと思っていたけれど、そうじゃないことが分かった」というものがありました。弊社は、どちらかというと「お堅い社風」に見られがちなのですが、実はそうじゃない。そんな社風や社内、社員の雰囲気を伝えられたのはうれしかったですね。
これから、秋冬に向けてオフラインでの実施も考えていたのですが、今年だけでなく来年以降も含めて、全国の学生に参加していただけるオンラインインターンシップを実施してもいいのかも、と思っています。
― 今日はありがとうございました!
小規模なトライアルをもとにプログラムや人員体制を見直してオンラインインターンシップを成功させた第一生命。
そして、プログラムは基本的に同じでも、課題のレベルと長期日程への移行によって学生のモチベーションが高いオンラインインターンシップを実施できた京セラ。
それぞれ方法は違えど、学生がインターンシップに求める「業界理解」や「自己成長」といった期待に沿いながら、社会情勢に合わせたオンラインでの実施を成功させています。
今回取材したのは2社でしたが、過去のインターンシップで実施したコンテンツや、ターゲット学生の方向性、そして社内リソースの状況などによって、インターンシップをオンラインへ移行する方法はさまざまなのでしょう。オンラインインターンシップに王道なし。これが今回の取材で得た教訓でした。
この記事をお読みの皆さまも、今一度、社内の状況や過去の事例を振り返ってオンラインインターンシップを成功に導く方法を考えてみてはいかがでしょうか。
- 人材採用・育成 2020/10/08
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