経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
1

マイナビのネットワークで難易度の高い欧米圏人材の獲得に成功
事業の永続性を高めるグローバル人材の力とは?

/news/news_file/file/thumbnail_s-column-050.jpg 2
日本政府が「留学生30万人計画」を打ち出して13年、達成して2年となりました。日本にはさまざまなスキルを持つグローバル人材がおり、多くの企業が自社の成長に欠かせない存在として積極的に採用しています。
そんな中、今回は「新卒総合職」での採用を進めている企業に取材を行いました。

プログラマーや生産部門での採用は一般的になってきましたが、総合職となるとまだまだ事例も少ないのが現状です。
どのようにして彼ら・彼女らが活躍できる環境をつくり出しているのでしょうか。「ルナルナ」や「music.jp」など人気サービスを有する株式会社エムティーアイの林 愛也さんにお話を伺いました。

社名:株式会社エムティーアイ
本社:東京都 事業内容:コンテンツ配信、ヘルスケア事業
設立:1996年8月12日
従業員数:1,283名(連結・2021年6月30日現在、うちグローバル人材50名以上)

  • アジア圏を除くグローバル人材採用の母集団不足
  • キャリア意識の明確な人材の紹介

― 林さん、今日はよろしくお願いいたします。まず、御社がグローバル人材の採用を続けていらっしゃる理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?


林さん: はい。弊社では海外展開を見据えて動いており、グローバル人材を採用している理由はそれらを直接的に後押ししたい、というものだけではなく、全体的な競争力の底上げを狙ったものです。

日本人ばかりの企業では、やはり似たアイデアが出てしまいやすいので、バックグラウンドが全く異なるグローバル人材を採用することで新しいアイデアが創出されることを期待しています。

― 今回は新卒でのグローバル人材採用のために、マイナビの「グローバル人材紹介サービス」をご利用いただいたということですが、例年どのくらいのペースで採用され、現在はどのくらいのグローバル人材が在籍されているのでしょうか?


林さん: ここ3年ほどは毎年3〜4名ほど新卒で採用しています。その他にも専門職で中途入社したグローバル人材も多くいますが、現在のところ弊社単体では従業員数約750名に対して、6~7%程度の比率ですね。

この比率をもっと上げて競争力の底上げを進めていきたいので、これからさらに力を入れて新卒の半分くらいはグローバル人材にしたいと思っています。これからもマイナビさんには助けていただくことになりそうですね。

― 今回、マイナビの「グローバル人材紹介サービス」をご利用いただいた経緯には、アジア圏外からのグローバル人材の採用が難しいという背景がおありだそうですが、なぜアジア圏外からの採用に力を入れているのでしょうか?


林さん: もちろんアジア圏からも採用をしているのですが、日本人社員とのバックグラウンドの「違い」を生かした競争力向上がグローバル人材採用の狙いですので、欧米圏からも積極的に採用したいと思っているんです。

ですが、例えばイギリスにいる人材が海外で働きたいと考えた場合、言語が共通で給与水準も高いアメリカを選択するのが自然なことですよね。地理的にも遠い日本にわざわざ就職したいというアジア圏外の人材は貴重です。

― 結果として「グローバル人材紹介サービス」をご利用になっていかがでしたか?


林さん: 今回、グローバル人材紹介サービスからは2名採用しました。ポーランドとドイツの方ですね。

お二人とも優秀であることはもちろん、日本で働くことに意味を見いだしていることが魅力的でした。母国語はおろか、英語も通じにくい日本で働くことはとても大変なことだと思いますので、それを乗り越えるだけの「理由」が本人の中にあることが重要なんです。

― 具体的にはどういう理由なのでしょうか?


林さん: 日本の文化が好きだということ、そして日本企業の仕事の進め方に魅力を感じているという方をご紹介いただきました。

日本型の仕事の進め方は非効率だといわれることもありますが、相手の要望や意見を傾聴し、汲み取って仕事をするこのスタイルを身に付けたいとおっしゃっていて、ぴったりだと思いましたね。

また、欧米圏だけでなく中国でもそうなのですが、他国では新卒でも日本でいう「ジョブ型」に近い採用手法を取り入れているため、文学や歴史を専攻した学生が就職しにくいという実態があります。
その点で、日本の「ポテンシャル採用」も魅力的に映るようです。

【グローバル人材紹介サービス担当者からのコメント①】

エムティーアイさまはグローバル人材採用の実績が豊富なので、なかなか出会えないバックグラウンドをお持ちの方を紹介させていただきました。
ポーランドの方は元陸上選手で、ご紹介当時は東京大学大学院に在籍されていました。ドイツの方は現地在住で日本語学科を専攻し、ご本人自身で日本への就職活動も行っていた意欲の高い方です。
グローバル人材紹介サービスでは、留学生だけでなく、豊富な人材をご紹介することができます。

― 御社では、グローバル人材を「新卒の総合職」として採用されていると伺いました。グローバル人材を専門職で採用されている企業は増えてきましたが、新卒の総合職はまだまだ浸透していない採用手法だと思います。難しさはありませんか?


林さん: 総合職採用をしている理由は、繰り返しお話ししているとおり、そのポテンシャルで新たなアイデアを創出してほしいからですが、確かに難しさはありますね。

総合職ではさまざまな職種を経験してもらうことになりますが、そのうちの1つとして「営業」は避けて通ることができません。
先ほどもお話ししたとおり、本人の希望としても「傾聴とくみ取り」の日本型ビジネスに興味があるため、その点では問題ありませんでした。

しかし、母国語でなく日本語での営業活動になりますので、考えていることと実際に提案できることの間にどうしても差異が生まれてしまって、悩むことも多いようです。

― モチベーションの維持が難しそうですが、どのようにケアされていますか?


林さん: 上長を含めた三者面談や、1on1は細かく実施しています。そこで強調するのは、日本のことわざで言う「初心忘れるべからず」ですね。日本での就職を希望した自分自身の思いを取り戻して、改めてモチベーション高く仕事をしてもらえるように気を付けています。

― もう一つ気になったのが、営業を行う上での日本語力です。言葉の壁でうまくいかないこともあるということですが、採用時の見極めはどのように行っていますか? JLPT(日本語能力試験)などでスクリーニングされているのでしょうか。


林さん: JLPTランクなど、単純な線引きはしていません。面談の場でどれだけ本人の言葉で、本人の意欲を語ることができるか、という点を重視しています。
N3(※)でも冗舌に語れる方もいますし、N1でも面談でうまく話せずに英語面接に切り替えることもありますね。

【グローバル人材紹介サービス担当者からのコメント②】

林さまのおっしゃるとおり、JLPTのランクだけではコミュニケーション能力などは判断できないとかもしれません
マイナビの「グローバル人材紹介サービス」では、ご紹介する人材との面談を大切に、パーソナリティまで把握した上で人材の良いところも悪いところも含めたポテンシャルを企業さまにお伝えしています。

今回はご紹介した2名のグローバル人材は、どちらも日本での就職を強く希望されていましたので、面接の練習や実際の面接で得られたフィードバックを基にした受け答えの改善などを特に徹底してフォローさせていただきました。

採用いただく企業さまはもちろん、グローバル人材にとっても良い就職ができるよう、寄り添ってフォローをしています。

※ N3:JLPT(日本語能力試験)のランク。N5が「基本的な日本語をある程度理解することができる」で、N1が「幅広い場面で使われる日本語を理解することができる」が認定の目安となる。通常、N2以上でビジネスレベルの日本語力があるとされる。

― グローバル人材で新たなアイデアの創出をして競争力を底上げしたいとのことですが、実際に有効に働いた事例はありますか?


林さん: 具体的に新しいアイデアが事業を大きく変革したという事例はまだありません。これからも投資を続けて世代を重ねることで実現できるだろうと思っています。

一方、現場レベルではいい影響も出ています。例えば、長く運用されている サービスだとコアの技術が非常にレガシーなまま、増改築が重ねられている……ということがありますよね。日本人社員は「そういうものか」と空気を読んでその開発を引き継ぐのですが、グローバル人材は違います。「なんでこんなものを使っているんだ」と意見できるんですね(笑)。

改めて直言されると「それは確かにそうだ」と、動き出します。そうしてレガシーなシステムを刷新すれば、次の一手を打ちやすくなりますよね。

― なるほど。それはまさに、バックグラウンドの違いが生きた好例ですね。


林さん: そう思います。マネジメント上、日本人には「もっと能動的に動いてほしい」と伝えることが多いのですが、グローバル人材には「もっと慎重になってほしい」と伝えることの方が多いんです(笑)。

今回ご紹介いただいたお二人もそうですが、海外、それも日本で就職しているような方々ですから、エンジンの出力がそもそも桁違いに大きいということは確かにあるでしょう。一長一短な側面があることは確かですが、好影響の方が大きいんじゃないでしょうか。

― それを受け入れる現場の度量の深さも重要だったりするのではないでしょうか。


林さん: 弊社はもう数年、グローバル人材の採用を続けていますが、現場からの反発がないといえば、それは嘘になってしまいます。
しかし、弊社の成長戦略に欠かせないと考えているからこそ、経営層の判断でグローバル人材の採用を続けることができるんです。

他の多くの企業でも、やはりグローバル人材の受け入れには現場レベルでの混乱があるでしょうが、こちらも「初心忘れるべからず」でマイナビさんの力も借りながら長期的な経営戦略を忘れずに続けていきたいと思っています。

― 今日はありがとうございました!


インタビューの中で話に出た、日本の「ポテンシャル採用」の魅力は過去に記事としてご紹介した九門先生のインタビューでも話題になりました。

こうした日本式の採用手法やビジネス、そして文化の魅力は多くのグローバル人材を引きつけています。
一方で、言葉の壁が採用を阻む一つの要因になってしまうのもまた事実です。

しかし、林さんのおっしゃるとおり、バックグラウンドの違いから生まれるイノベーションを期待するのであれば、JLPTなど画一的なスクリーニングではなく、手間は掛かっても一人ひとりと向き合ってそのポテンシャルを見極めることが大切なのかもしれません。

マイナビの「グローバル人材紹介サービス」では、一人ひとりと面談をした上でご利用企業さまの要望に合った人材をご紹介しています。
まずは一度、ご相談ください!

お問い合わせ