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アルムナイを活用した人材力の強化への道〜前職への印象を極力ネガティブレスにして戻ってもらおう!

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近年人材をひとつの資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値の向上に繋げる経営の在り方が注目を浴びています。これを人的資本経営と呼び、その実現に向けたアプローチのひとつとして注目されているのが「アルムナイ」です。企業の退職者や転職した社員を指すこの概念をうまく活用することで、企業の人的資本をより強力なものにすることができます。

アルムナイは外資系を中心とした企業が取り組んでいてどこか敷居が高く感じられてしまいがちですが、本記事ではアルムナイ活用による成果創出を高めるためのポイントや、より大きなメリットを享受できる企業の特徴について解説していきます。

アルムナイ事業を推進する上でプラスに働く3つのポイント

アルムナイに関する取り組みを進めていくうえで、以下の3つは特にプラスに働く重要な要素となります。退職者との関わり方や会社の方針など、アルムナイ事業と親和性が高い項目について紹介していきます。

退職した従業員からの評価・満足度

辞めた従業員のどの程度の割合がネガティブな印象をお互いに持たないかたちでの退職 であったのかという点が、アルムナイ事業の成否を大きく左右します。次なるキャリアを志して転職する場合や家庭事情などやむを得ない理由で退職するケースもある一方で、もちろん給与や仕事内容、人間関係など明確に嫌なところがあって、いわば消去法的に辞めるという選択をする人の割合はまだまだ多いのが現状です。

しかしこのネガティブな要因は起きてしまった以上仕方がない一方で、企業とある意味縁を切るような形での退職は避けなければなりません。このような場合においては、再入社はもちろん前職へ良い印象を持つ人は少なくなってしまい、結果的にアルムナイとして資産化することは難しくなってしまいます。

そこでアルムナイを活用して企業の人的資本形成に寄与するためには、ネガティブな退職を限りなくゼロに近づけ、 去り際のコミュニケーションでポジティブな印象を築くことが重要になります。もちろんネガティブな理由で退職される方は仕方ない一方、去り際の印象だけでもプラスに変えることができるのです。

特に退職届を受けて本人が会社を去るまでの期間のコミュニケーションが、ネガティブなかたちでの退職を防ぐ大きな鍵となります。終身雇用をある程度前提としている企業の場合は特に、退職を申し出た社員に対して冷たく接するなど、快く思わないケースが多いのが現状です。しかし退職理由がたとえポジティブなものでなくとも、社員の意見を会社としてきちんと受け止め、次のキャリアを快く応援することを普段より文化として浸透させておくことで、社員の退職時に少しでも前職としての印象を向上させることができます。

実際に転職者1149人にとったアンケート結果によると、前職への満足度が高いほど「前職と何かしらの関わりがある」と回答する人の割合が高くなっていることが読み取れます。このように前職への満足度、言い換えるとポジティブな退職か否かという点が、その後のアルムナイとしてのエンゲージメントを高める鍵になるのです。

退職後も続くアルムナイとの繋がり

先述の通り前職への満足度が高いことと、退職後の従業員との繋がりは比例関係にあることが読み取れます。同じアンケート結果の詳細を読み解いていくと、さまざまな方法でアルムナイとの繋がりを形成するヒントを得ることができます。前職への満足度が高い回答者群のデータに着目すると、在籍有無に関わらず前職の上司や同僚とのプライベートの繋がりを持っている人が圧倒的に多くなっています。さらに、前職との間で業務の受発注やサービス利用をする人の割合が満足度の増加とともに大きくなっているなど、彼らとの繋がりをうまくマネジメントすることが、アルムナイ事業の成否に大きく関わると言うことができるでしょう。

キャリア採用のニーズ

アルムナイを活用したカムバック採用は、即戦力人材の獲得に適していると言うことができます。カムバック採用で入社をする社員は、一度同社での勤務経験があるため組織文化や事業活動への深い理解があり、基礎知識も持ち合わせているため即戦力としての活躍が大いに期待できるのです。もちろん通常のキャリア採用でも他社での経験や自社にないスキルを評価されて入社するケースが多いですが、カムバック採用はこうした社外の知見に加えて自社への共通理解を兼ね備えているため、より即戦力としての人材確保に寄与することができます。このように、キャリア採用を継続・拡大する企業は特に、アルムナイ採用との親和性が非常に高いと言えるでしょう。

アルムナイ活用に向けて人事担当者が取り組むべきこと

企業規模の大小に関わらずどの企業も気軽に始めることができるアルムナイ事業ですが、しっかりと人的資本形成への貢献などの成果に繋げていくために、人事担当者は一体どこから取り組んでいく必要があるのでしょうか。もちろん制度の設計やアルムナイコミュニティの形成は進めていく必要がありますが、今回はアルムナイ活用による成果創出を高めると言う観点から、取り組むべきポイントを2つご紹介します。

社員が退職する際のコミュニケーション

先ほど従業員の前職への満足度がその後のアルムナイとの関わり方に大きく影響するという話をした通り、退職時にいかにポジティブな印象を持ってもらえるかが成否を分ける大きな鍵となります。しかし日本ではまだまだ終身雇用の考え方が根強く残っている企業が多く、企業側が退職をネガティブに捉えてしまうケースも少なくありません。その結果企業側が無理矢理引き止めようとしたり、退職する社員を快く送り出すことができないと、前職への印象が悪くなりそこで関係性が途絶えてしまいます。

社内の文化を変えていくことは時間がどうしてもかかってしまいますが、まずは退職時に本人が気持ちよく次のキャリアに挑戦できるよう、面談や従業員同士の声かけなど細かいところから、ポジティブな送り出しができるよう心がけてみましょう。そこで再雇用制度が社内にあれば、一つ退職時のコミュニケーションにおいて役に立ちます。具体的な制度紹介と同時に「いつでも戻ってきて良い」ということを伝えることができ、退職者からみても前職の印象が少しプラスに傾きます。

社員同士の交流促進

先述の通り、前職への満足度が高ければ高いほど何かしらのかたちで関わりを持ち続ける人の割合が多くなる傾向にあります。この前職との関わりが、アルムナイ事業において成果創出を目指す上で非常に重要になってきます。

一番わかりやすい例が、元々の職場の同僚や上司とのプライベートな関係です。職場は変われど、一度築いた関係性は前職への印象が高ければ高いほど維持されていることが見て取れます。さらに母数は少なくなりますが、退職後も前職のサービスを利用したり業務の受発注を行うなど、退職した後もアルムナイから数々のメリットを享受することができるのです。

このようにアルムナイ事業においてさまざまな成果創出に繋げていくためには、在籍当時から社員同士の交流を一定程度促進しておくことが必要不可欠です。例えば部署間の交流を促す会社主導のランチ会や部活動の活動促進、自己啓発関係におけるワークショップなど、仕事の枠を超えて社員同士が繋がるさまざまな機会を提供することができます。

在籍当時より関係性が薄い場合は、退職してからアルムナイネットワークとして新たに関係構築を促すことは難しいです。退職したアルムナイはもちろん、今現在も働いている社員とのネットワークを社内で形成しておくことが、アルムナイ事業による成果創出をより高めるうえで重要になってくるのです。

  • 人材採用・育成 更新日:2022/10/28
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