採用担当者必見。優秀な人材を見落とさない書類選考のポイント
人材の募集を行う前に、準備をしておくことで、スムーズに書類選考を進めることができます。ここでは、その準備を紹介します。
人材要件の整理
人材要件とは、募集する人材のスキルや経歴を言語化した資料です。細かく要件を定め求人募集を行えば、応募してくる人材のミスマッチを減らすことができます。
人材要件は、主に「職務経験」、「スキル」、「資格」に加え、「性格」、「志向」、「期待する行動」なども定義される場合があります。
また、応募に際し必ず条件を満たさなければならない「必須条件」と、持っていると好ましい「歓迎条件」に分けて記載を行います。
●人材要件の事例
営業の部署で新チームを立ち上げるために、リーダークラスの人材を募集したい。
取り扱っているSaaS商品を一人でクロージングできるレベルの営業力と、新チームを統率するマネジメント経験、そして、営業管理に用いているSaleceForceを活用できる人材が好ましい。また、商品資料は英語が多いため、英語力も必要である。
●必須条件
- BtoB向けSaaSの営業経験3年以上
- SalesForceを用いた営業管理
- TOEIC700点以上
- 5人以上の組織マネジメント経験
●歓迎条件
- ビジネス英会話
- 海外赴任経験 1年以上
- MBA取得
- BIツール開発経験
- 課題を発見し自走する能力
- エンタープライズ営業の経験 1年以上
この「人材要件」を明確にすることは、選考過程の効率化 にも貢献します。シンプルに「応募者が必須条件を満たしているか? 満たしていないか?」を見れば書類選考の最初の判断が可能になります。また、必須条件を満たした上で、さらに絞り込みが必要な場合は「歓迎条件をいくつ満たしているか?」で採否の判断ができます。
また、人材要件を決める要素の一つに、採用スケジュールを考慮にいれる必要があります。
理想の人材要件を設定することは重要ですが、ハードルが高すぎて人材が集まらない場合もあります。必要なときに必要な人材を採用できなければ、事業は進みません。
事業のスケジュールに合わせて人材の調達ができるように、適切なレベルに人材要件を調整することも大切です。
評価ポイントの整理
履歴書はある程度フォーマットが決まっていますが、職務経歴書は、比較的自由に記載されている場合が多く、応募者同士の単純比較が難しい場合があります。
「必須条件」を満たしていれば全て選考通過ならばシンプルですが、それ以外の評価も選考に含む場合は、評価者によって評価のズレが発生しないように、評価するポイントを設定しておく必要があります。
人材獲得経路の違いによる注意
人材獲得には、大きく分けて、直接公募で求職者を集める方法と、人材紹介会社を利用する方法があります。後者の場合は、人材要件をエージェントが整理し、厳選した人材と出会えるメリットもありますが、一方で、条件設定が厳しいと、多様な人材から選考できなくなる可能性もあります。
人材紹介会社を利用する際には、どのレベルで 厳選するのか、人材要件をエージェントと充分にすり合わせをしましょう。
書類選考の評価ポイント
人間には無意識の偏ったモノの見方「アンコンシャス・バイアス」 があります。例えば、「有名企業出身だから仕事の能力も優れているはずだ」と思い込んでしまう「ハロー効果」や、「高齢者だからITが苦手だ」と思い込んでしまう「確証バイアス」、自分と似たタイプの人を高く評価してしまう「類似性バイアス」などがあります。
これらの先入観は人材の評価に大きな影響を与えます。
今まで見つけられなかった優秀な人材を発掘するには、この先入観に縛られずに選考を進めることが大切です。ここでは、優秀な人材を見落とさないためのチェックポイントを紹介します。
学歴や社歴を重視したブランド採用になっていないか?
例えば、特定のレベル以下の学歴は仕事ができないと考えてしまう。有名な企業出身者は評価を高くしてしまう。これらの先入観で人材を評価してしまうと優秀な人材を見落としてしまいます。
過去の学歴や社歴は、選考材料のひとつですが、採用は「個人の力量」を評価することが大切です。評価がブランドに左右されないように意識しましょう。
対策として、学歴や社歴を見えないようブラインドをかけて、先入観を排除して書類選考を行う方法もあります。
同業界、同業種の経験にこだわっていないか?
即戦力にこだわるあまり、同業界や同業種の人材に評価の比重を置きすぎていないか確認しましょう。まったく違う業界の人間でも、仕事に必要な能力は共通しています。他業界で実績をあげているならば、どの業界でも創意工夫をし、成果を残すポテンシャルを持っているでしょう。また、多業種の考え方を迎え入れることで、社内に変化を起こすこともできます。
「畑違い」というだけで、人材を見逃さないようにしましょう。
休職期間(ブランク)を意識しすぎていないか?
書類上、無職の期間がある応募者に対して、職歴のブランクをネガティブな方向に思い込み、減点してしまう評価者もいるでしょう。
しかし、「ボランティアをしていた」、「病気療養をしていた」、「介護をしていた」、「世界一周をしていた」など、その理由はさまざまです。ブランクを書面だけで判断すると、多用な経験をしている優秀な人材を逃してしまう可能性があります。
書類選考では、ブランクを意識せず、「個人の能力」を評価するようにしましょう。
年齢をネガティブに考えていないか?
年齢で判断することも、人材を見逃してしまうポイントです。若手が欲しいのはどこの企業も同じですが、需要がある故に、すぐに転職してしまうリスクもあります。
一方で、ミドル・シニア人材は、培ってきた経験や人脈を活かして安定した結果が期待できます。健康寿命が伸びた現在、長期に渡り企業に貢献するでしょう。
ここまで、「書類選考」のポイントを紹介してきました。企業の人材獲得競争が激しくなる中、書類選考は「落とすための選考」から変化していく必要があります。いままでの先入観を排除し「可能性を見つける選考」を心がけるようにしましょう。
- 人材採用・育成 更新日:2023/01/11
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