リファレンスチェックとは?企業の実施率や活用方法を知って採用ミスマッチを防ごう
採用活動において、書類や面接だけで求職者の人物像を見極めるのは難しいと感じていませんか?そんな悩みを解決する手段として近年注目を集めているのが、リファレンスチェックです。
今回は、「リファレンスチェックで変わる!『採用の未来』」と題して、現状の採用課題を挙げたうえで、リファレンスチェックとはなにか、実態や活用方法について詳しく解説します。
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現状の企業の採用課題
最初に、現状の企業の採用課題を確認しておきましょう。次の3つは、企業によくある採用の悩みです。
●書類や面接だけでは求職者を判断できない
求職者の面接リテラシーは年々高くなっております。インターネットで気軽に企業情報を収集できることから、対策を練って選考に臨むようになってきています。また、人材紹介会社経由の求職者の場合、紹介会社の担当から面接対策を受けた上で面接に来られるため本音が見えづらいことがあります。さらに、オンライン面接が主流となってきたことで、限られた選考期間と画面越しの面接だと求職者を見極めることがより難しくなっています。
●実際に採用してみたらイメージと違った
面接では華やかな実績や経歴を話していた求職者が、いざ入社すると想像していた働きぶりとギャップがあるというケースも起こりがちです。 例えば「全社表彰で優秀賞でした」というような実績は、一見輝かしい成績でありそうですが、実際は社内の過半数が表彰されていたようなことがあります。限られた時間の中で回答内容の裏付けを確認するのは非常に難しいです。
●早期退職などミスマッチが発生している
求職者の人物像を多角的に理解することができなかったために採用のミスマッチが発生し、その結果が早期離職として現れるケースもあります。お任せする業務量・業務内容が適切ではなかった、業務内容は問題ないが上司との相性が合わなかった、マネジメントスタイルが会社の方針と合わなかったなど、面接時の確認不足により発生する可能性が高まります。
では、なぜ上記のような課題が発生してしまうのでしょうか。
採用した人材が入社後に活躍できない大きな要因は、「選考時の見極め~オンボーディングの失敗」であると考えられます。
より詳しくいうと、例えばスキルが不足していて本来できるはずの業務ができない、基本的なコンプライアンスが徹底できていない、企業のカルチャーと合わないといったことが要因になります。細かいところでは、配属先の上司やメンバーとの相性が要因になることもあります。
さらには、入社後の育成計画が不明確であるために、採用した人材の本来の力が発揮しづらくなる場合もあります。このような要因から生じる企業の採用課題に対して、リファレンスチェックが有効です。
詳しくは下記の記事でも紹介しています。
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックは、書類や面接ではわからない求職者の情報を、一緒に働いたことのある第三者(現職・前職の職場の上司や同僚など)から取得することです。マッチング精度の向上や入社後の育成に活用することができます。
情報を取得する方法にはいくつか種類がありますが、最近の主流は上の図のような方法です。 主な登場人物は、採用企業、選考を受ける求職者、推薦者として求職者を評価する関係者(上司・同僚・部下など)の3者です。
リファレンスチェックは、採用企業がリファレンスチェックを実施する旨を求職者に依頼するところから始まります。その後、求職者が推薦者に回答を依頼し、推薦者が採用企業に回答を提出するというのが大まかな流れです。
サービスによって細かい部分は異なりますが、多くの場合、求職者本人は回答を見ることができません。そんな特性もあり、リファレンスチェックでは、求職者の働きぶりについてネガティブな面も含む客観的な意見を知ることができます。簡単にいうと、リファレンスチェックは求職者の口コミ情報といえます。求職者が公式サイトやブログ、口コミサイトなどから多角的に企業を知ることができるのに対し、企業には履歴書や面接の情報しかないとなると、判断材料が少ないと感じるのは当然です。求職者の口コミ情報であるリファレンスチェックへの注目度は、日に日に高まっていると感じています。
リファレンスチェックの種類
先ほどリファレンスチェックには複数の種類があるとお伝えしましたが、大きく分けると、リファレンスチェック(パーソナルリファレンス)とバックグラウンドチェックの2種があります。
● バックグラウンドチェックとは
候補者から提供された経歴に関する情報が真実であるという裏付けを取るための調査をすることです。調査内容は、身元、反社・犯罪情報、訴訟、破産歴の確認などです。クレジットカードの審査に近いイメージで、今回ご紹介するリファレンスチェックとは、手法や性質が少し異なります。
リファレンスチェックをさらに分けると、次の2パターンがあります。
●電話型
バックグラウンドチェックのように第三者機関が間に入ることが多く、電話やzoomなどを利用して推薦者から回答を取得します。推薦者の生の声を確認しながら柔軟に質問内容を変更できるというメリットがあります。一方、コストの問題や、回答を得るのに時間がかかるため選考期間が長くなり辞退につながるといったデメリットもあります。
●Web型
Web完結で、アンケート形式で回答を行うのが特徴です。アンケートを事前にセットする必要があるため柔軟に対応しづらい面はありますが、対応が簡単で、24時間いつでも回答できる、選考スピードに影響しにくいといったメリットがあります。電話型に比べて、費用も安価なサービスが多いです。リファレンスチェックで確認している項目
では、採用企業はリファレンスチェックでどのような項目を確認しているのでしょうか。多くの企業が重点的に確認しているのは、「求職者本人からでは確認が難しく、リスクが高い項目」です。
具体的には、勤務状況や性格、ストレス耐性、モチベーションが上がる業務環境、スキルのレベルなどです。マネジメントに従事する人材であれば、マネジメントスタイルや成果を確認することもあります。
リファレンスチェックでは自己申告だと確認が難しい情報を第三者から取得し、面接では本人からの情報を確認すると、人物像を多面的かつ正確に判断しやすくなります。
Webのトレンドで見るリファレンスチェックへの関心度
Googleトレンド(※1)で「リファレンスチェック」というキーワードの過去3年間の検索状況の推移(※2)を見ると、緩やかな上昇傾向にあります。また、メディアに関連のニュースや記事が掲載される機会も増えています。
(※2) 出典:Googleトレンドにて「リファレンスチェック」を検索(期間:2020/01/01~2023/01/01)
リファレンスチェックの実態
ここでは、海外の事情や国内の実施状況など、リファレンスチェックの実態について見ていきます。
海外のリファレンスチェック事情
アメリカではリファレンスチェックの浸透度が非常に高く、9割以上の企業が実施しているといわれています。主な理由には、求職者の経歴詐称率が高めであること、ジョブ型雇用が一般的で、転職時に推薦状を提出する文化が根づいていることがあります。
対照的に中国では、リファレンスチェックは浸透していません。背景には、経歴詐称率が低く、政府や公安が国民の犯罪率や学歴などを管理しているという事情があります。
一方の日本では、現状ではそれほど浸透していませんが、外資系企業はもちろん国内企業での導入も徐々に増加していて、これから普及していく可能性はあります。ただし日本の場合、経歴詐称の対策よりもマッチング精度の向上を目的とする面が強い印象です。
リファレンスチェックの実施状況(採用企業)
次に、国内の採用企業側のリファレンスチェックの実施状況を見ていきましょう。
マイナビが採用企業の人事担当者を対象に実施したアンケート調査によると、2020年の実施率は12.6 %ですが、2021年では16.1 %、2022年では20.1%と、1年に約4ポイントずつ増えています。一方で、将来的に実施したいと思っていると答えた割合は15%前後で推移をしています。
実施している企業が増えているのに対して、将来的に実施したい企業の割合は毎年ほぼ同じという状況からも、注目度が高まっていることがうかがえます。
リファレンスチェックの実施状況(求職者)
求職者側の実施状況も見てみましょう。
マイナビが全国の転職経験者と今後3カ月以内に転職活動を行う正社員を対象に、中途採用の選考でリファレンスチェックを受けたことがあるかを聞いたところ、28.6%が「ある」と回答しました。転職者の約4人に1人はリファレンスチェックを経験していることがわかります。
また、希望する企業の選考にリファレンスチェックがあった場合、どう感じるかという問いに対し、「応募意欲が高まる」「どちらかというと応募意欲が高まる」「応募意欲が変わらない」と答えた人の割合を合計すると、約8割(80.7%)に上りました。この結果から、リファレンスチェックを実施しても求職者の多くは応募意欲が低下しないことがわかります。
リファレンスチェックの活用方法
続いて、具体的なリファレンスチェックの活用方法を見ていきましょう。
導入のタイミング
リファレンスチェックを実施するタイミングは、「1次面接後~2次面接前」または「2次面接後~最終面接前」がおすすめです。選考の初期で実施すると途中で選考辞退が増えやすくなりますが、後半の工程では求職者の志望意欲が高まるため、辞退が出にくくなります。
内定後に勤務態度やコンプライアンス面の確認を行うことはおすすめしません。そうすることで内定取り消しにつながるおそれがあり、一度出した内定を取り消すことは基本的にはできないためです。
企業の利用イメージ
リファレンスチェックの活用方法は、企業の採用課題や目的によって主に3つあります。
●求職者の見極め(面接の補助)
最も多いのがこのケースです。2次面接前や最終面接前にリファレンスチェックに対応してもらい、 面接では回答結果を参考に深掘りし、整合性を確認することで、ミスマッチを防ぎます。
●求職者の引き上げ
書類と面接だけでは主観的、属人的な判断になりがちなので、判断する人によっては、実際には優秀な人材なのに評価が低くなることがあります。そのような求職者を、人事担当者がリファレンスチェックをもとに「引き上げる」目的で活用します。
●育成(オンボーディング)
リファレンスチェックの結果をもとに入社後の育成計画を作成し、配属先の上司に人物像や適切なマネジメント方法を共有することで、スキルに合った業務量、業務内容を任せていくために利用します。早期退職のリスクを軽減する効果があります。
リファレンスチェックを実施するときの注意事項
リファレンスチェックを実施する場合は、求職者から同意を得る必要があります。一般的には、面接の場で、次にリファレンスチェックがあることを案内して依頼するという流れで同意を得るケースが多いでしょう。
加えて、一例ですが採用に関するプライバシーポリシーに、次の2つのような項目を追加するとよいでしょう。
採用選考のためのバックグラウンドチェック、リファレンスチェック、その他の確認手続により弊社が取得する一切の情報
「適格性の評価、職務経歴、背景確認の目的のため(これにはバックグラウンドチェック、リファレンスチェック、その他の 確認手続を含みます)」
まとめ
採用活動の大きな目的は、限られた時間の中でお互いのミスマッチを解消していくことだと考えています。人生100年時代といわれる今、会社員の転職回数が増加し、ジョブ型雇用をはじめ、働き方の多様化が進んでいます。変化に対応していくために、採用の在り方、手法も柔軟に見直しながら、ミスマッチのない採用を目指しましょう。

マイナビではオンラインリファレンスチェックサービスである「TRUST POCKET(トラストポケット)」を提供しています。
TRUST POCKETは、「前職の引継ぎを当たり前に。」をコンセプトとした、求職者の現職や前職の上司・同僚などから、働きぶりのレビューを取得できるサービスです。求職者が過去に積み重ねた実績を客観的に評価することで、ミスマッチを軽減し、より精度の高いマッチングを可能にします。
- 人材採用・育成 更新日:2023/04/25
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