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面接官が避けるべきタブーな質問・NG行動とは?質問例・行動例と対策を紹介

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面接で、応募者の緊張をほぐすためのアイスブレイクや、話を掘り下げるためにした質問が、実は「聞いてはいけない質問」かもしれません。そういった質問は、法律違反に該当したり、企業イメージの低下につながったりする可能性があるため、十分に注意し、事前に対策することが必要です。

本記事では、面接官として知っておくべきタブーな質問の具体例と、企業のイメージダウンにつながってしまうNG行動を紹介します。あわせて、それらを避けるための対策についてもお伝えします。

タブーな質問やNG行動を控えるべき理由

面接において、タブーな質問やNG行動に注意すべき理由として、以下の理由が挙げられます。

企業イメージの低下

スマートフォンが普及し、SNSなどへの書き込みによって企業に関する情報が拡散されやすくなっています。また、CSR(※)がますます重要視されていることから、採用面接において応募者の人権を傷つけたり、精神的な苦痛を与えたりすることで、企業が社会的な信頼を失うリスクもあります。

罰則が課せられる場合もある

職業安定法では、面接やエントリーシートなどで収集してはいけない応募者の個人情報を以下のように定めています。

  • 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地、その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
  • 思想および信条
  • 労働組合への加入状況

違反した企業には、行政指導や改善命令などの対象になり、さらに改善命令にも応じない場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科される場合があります。 具体的に、面接においてどのような質問が上記に当たるのか、詳しくは後述します。

面接の効果が得られない

後述するタブーな質問は、それを採用基準としないつもりでも、面接で質問してしまうと、応募者にとっては過度に緊張したり、心理的に動揺したりして、実力を発揮できない可能性があります。企業にとっても、面接の精度が下がり、優秀な人材を逃してしまう可能性があります。

採用選考の基本的な考え方を知っておこう

そのつもりが無かったとしても、面接時にうっかり就職差別につながる質問をしてしまうことで、応募者を傷つけ、場合によってはインターネットを通じて拡散されることで企業の社会的な信用を失うリスクがあります。また、上述したように法的な罰則が科せられる可能性もあります。

それを避けるためにも、採用選考における2つの基本的な考え方を理解しておきましょう。

1.応募者に広く門戸を開く

求人条件に当てはまるすべての人が応募できるようにする必要があります。そのためには、特定の国や地域の出身者、難病のある人、障がい者、LGBTQ(※)といった性的マイノリティなど、特定の人を除外することがないように注意しなければいけません。

2.本人の適性・能力にもとづいた採用基準とする

次の項で紹介する、本人に責任のないこと(本籍地や家族の職業など)や、本来自由であるべきこと(宗教・支持政党など)は、応募者が仕事するうえで必要となる適性や能力とは関係がありません。そのため、それらを採用基準にしないように注意が必要です。

また、採用基準にしないつもりでも、面接で尋ねたりすれば、無意識のうちに採用結果に影響する可能性があるため、質問すべきではありません。

法的にも避けるべきタブーな質問例

採用選考は、応募者本人の適性や能力に基づいたものでなければいけません。適性や能力とは関係のない項目として厚生労働省が定めている「就職差別につながるおそれがある項目」を紹介します。あわせて、避けるべき質問の具体例も紹介します。

本人に責任のないこと

家族や出生地に関わることなど、本人の意思で変えることができず、かつ本人の能力や適性とは関係のないことを把握しようとすることは不適切です。

家族

令和2年度、応募者からハローワークに寄せられた「適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があった797件の苦情・相談のうち、「家族に関すること」が46.9%と、約半数を占めています。以下の質問などは、応募者の緊張をほぐすためのアイスブレイクの際に、うっかり質問してしまうこともあるため、特に注意が必要です。

  • ご家族はどんなお仕事をされていますか。
  • ご両親は共働きですか。
  • お父さんが「義父」となっていますが、詳しく聞かせていただけますか。

面接で「家族構成」や「親の職業」を聞くことによって、偏見が入り込み就職差別につながります。

本籍・出生地

  • 生まれてから現住所に住み続けているのですか。
  • 出身地はどちらですか。

本人に責任のない、生まれた地域に関することを質問することは、同和関係者などの特定の人を排除することにつながります。

住宅状況

  • 自分の部屋を持っていますか。
  • 持ち家ですか。借家ですか。

これらの質問は、家庭の経済状況を判断しようとする意図で質問されるため、就職差別に当たります。

生活環境・家庭環境

  • ご自宅は、最寄り駅のどちら側ですか。
  • 家庭はどんな雰囲気ですか。
  • 現住所付近の略図を書いてください。

仮に、通勤経路を把握するために現住所付近の略図が必要だったとしても、入社後に把握すれば問題なく、採用選考時に尋ねることは合理的ではありません。

本来自由であるべきこと

本来、応募者の自由であるべき事柄を採用基準にすることは、憲法における「思想の自由(第19条)」「信教の自由(第20条)」などに反します。以下で紹介する、思想・信条にかかわることは面接で質問してはいけません。質問の例とあわせて紹介します。

宗教

  • ご家族は、何を信仰していますか。
  • あなたは、神や仏を信じる方ですか。

支持政党

  • 先日行われた選挙にはいきましたか。
  • 政治に関心がありますか。
  • 高校生が有権者として政治に参加することについて、どう思いますか。

社会運動

  • 学生運動をどう思いますか。
  • デモに賛成ですか。

思想

  • あなたの信条としている言葉は何ですか。

人生観・生活信条

  • あなたは、自分の生き方についてどう考えていますか。
  • 将来、どんな人になりたいと思いますか。

尊敬する人物

  • 尊敬する人物はいますか。どんなところを尊敬していますか。

労働組合

  • 労働組合についてどう思いますか。

新聞・書籍・雑誌

  • 新聞を読んでいますか。どの新聞を購読していますか。
  • 愛読書はありますか。

先ほど紹介したハローワークに寄せられた苦情・相談のうち、「思想」に関することが13.1%を占めており、特に注意すべき項目であると言えるでしょう。また、「愛読書」や「尊敬する人物」などは、応募者との会話の中で、話題が広がった際にうっかり触れてしまうこともある点に気を付けましょう。

男女雇用機会均等法に反する質問

結婚や出産に関することを、女性(もしくは男性)に対してのみ質問することは、男女雇用機会均等法(第5条)違反になります。また、男女両方に同じ質問をしたとしても、どちらかの性では採用基準に影響がなく、もう一方の性については採用基準に影響するような場合は、性別を理由とした差別であると見なされます。

結婚や出産に関することを、女性(もしくは男性)に対してのみ質問することは、男女雇用機会均等法(第5条)違反になります。また、男女両方に同じ質問をしたとしても、どちらかの性では採用基準そもそも、結婚や出産に関する以下のような質問は、応募者のプライバシーの侵害や、場合によってはセクシュアルハラスメントと捉えられる可能性もあるため避けるようにしましょう。

  • 結婚の予定はありますか。
  • 出産後も働き続けたいですか。
  • この業務は、女性(または男性)は少ないですが、それでも入社しようと思いますか。
  • (女性または男性にのみ)残業はできますか。転勤はできますか。(※労働条件の事前確認として、応募者全員に対して質問することは可能です)

また、スリーサイズなど容姿に関わる情報は、差別的な評価につながるという理由から、原則として情報収集が認められていません。

判断が難しい質問

質問してはいけないわけではないものの、配慮が必要な項目が含まれる2つの質問について、解説します。

犯罪歴

犯罪歴や表彰歴を記載するための「賞罰欄」が設けられている履歴書の場合は、応募者の犯罪歴(懲役、禁固、罰金などを受けたかどうか)を確認することができます。しかし、厚生労働省が推奨している「JIS規格」の履歴書には、現在、賞罰欄は設けられていないため、確認したい場合は面接で質問する方法が考えられます。

ただし、就職差別の原因になる情報を入手してしまう可能性もあることから、業務の関係上どうしても犯罪歴を確認することが必要な場合にのみ、面接で質問するのがよいでしょう。例えば、業務で運転を必要とするドライバーなどの仕事の場合は、「道路交通法違反によって刑事処分を受けたことがあるかどうか」を面接で確認することが認められると考えられます。 面接で「犯罪歴があるかどうか」を直接質問することは、応募者に不安を与える可能性もあるため、質問の意図を十分に説明し、配慮することが必要です。

在宅勤務が可能かどうか

「在宅勤務になった場合に、業務ができる環境かどうか」を応募者に質問する場合、先ほど紹介したタブーな事柄のうち、「住宅状況」に関する質問には、該当しないと考えられます。なぜなら、インターネットなどの在宅勤務に必要な環境は、本人の意思によって整備したりすることができると考えられるためです。

しかし、その質問をしたときに「子どもが家にいるため在宅での業務は難しい」などの回答につながる場合は「家族」に関することを把握したとして、禁止事項に該当してしまいます。 応募者の回答が予測できない以上、この質問をするかどうかは慎重な判断が求められます。法律の専門家に相談したうえで、あらかじめ質問内容をマニュアル化しておくと安心です。

ここまで、採用面接において避けるべき質問と、慎重な判断が求められる質問についてお伝えしてきました。ここからは、面接官として避けたい面接中の行動を紹介していきます。

イメージダウンにつながるNG行動の例

面接は、応募者の仕事への適性をチェックする場であると同時に、自社の志望度を高めてもらうために企業側が応募者にアピールする場でもあります。そのため、先述した「採用選考の基本的な考え方」に則って、応募者の人権を尊重し、思いやりのある態度で臨むことが大切です。

ここでは、面接において面接官が避けたいNG行動の例を紹介します。また、オンラインで面接を実施するケースで、追加で気を付けるべきポイントも紹介します。

面接で避けるべきNG行動

応募者に圧を与えるような面接官の態度は、応募者が委縮して実力を発揮できなくなったりするだけでなく、企業のイメージダウンにもつながる可能性があります。ただでさえ面接は緊張する場面です。面接官として、特に以下の行動には気を付けましょう。

  • 腕を組む・足を組む
  • 自己紹介をせずに面接を始める
  • 導入質問をせず、いきなり志望動機から聞く
  • 応募者の苗字ではなく名前で話しかける
  • 応募者の目を見て話さない
  • 最後にお礼を言わずに面接を終わる

応募者を尊重する姿勢を示すために、面接を始める前に「人事部の○○○です。弊社に応募いただきありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。」など、自己紹介をしましょう。 また、採用に関わる重要な質問をする前に、応募者の緊張をほぐすための導入質問を入れましょう。

例えば、「当社のことはどこで知りましたか?」など、応募者にとって比較的答えやすい質問を導入質問として用意しておきます。 面接の最後には、「本日はありがとうございました。」と感謝を伝え、「採用結果を○○日までに連絡します」とその後のスケジュールを案内することが、応募者の志望度を高めるために大切です。

なお、応募者の不安を軽減し、入社への志望度を高めるために採用担当者がすべきことについては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

オンライン面接で特に注意したいこと

オンライン面接も増えてきているなか、対面での面接と同じように振る舞っているつもりが、応募者からするとイメージダウンにつながっているケースもあります。 オンラインで面接を行う場合、上述したNG行動に加えて、以下の行動にも注意が必要です。

  • カメラではなく画面を見続けている
  • リアクションが少ない
  • パソコンの操作が多い

応募者と目を合わせようとして、応募者が映っている画面を見ていると、応募者側からすると目が合っていないように見えてしまいます。オンライン面接では、カメラに目線を向けるようにしましょう。

また、対面での面接とは異なり、画面越しのオンライン面接では、相手の反応や細かい表情が伝わりづらいものです。対面よりも大きく頷いたり、リアクションを多めに入れたりしないと、応募者が話しづらくなり、悪い印象を持たれてしまう可能性もあります。面接中、メモを取るためのパソコンの操作が多いと、応募者は「話をきちんと聞いてもらえていない」と感じてしまうでしょう。タイピング音やクリック音が多いことが集中の妨げになる可能性もありますので注意が必要です。

圧迫面接は「パワハラ」や「セクハラ」「マタハラ」を連想させる可能性も

パワーハラスメント(パワハラ)にはさまざまな形がありますが、「精神的な攻撃」や「過大な要求」もその一つです。面接において、応募者に威圧感を与える質問をしたり、反論したりする圧迫面接は、応募者にとって「入社したらパワハラにあうかもしれない」といった不安を与える可能性があります。

また、パワハラ以外にも、「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」や「マタニティハラスメント(マタハラ)」に遭うかもしれない、とネガティブなイメージを持たれる可能性もあるでしょう。 面接での威圧的な対応が、SNSやインターネットの掲示板を通じて拡散され、企業イメージの低下につながる場合もあります。仮に、ストレス耐性をチェックするなどの目的があったとしても、圧迫面接には十分な配慮が必要です。

タブーな質問・NG行動をしないための対策

そのつもりがなくても、うっかりタブーな質問やNG行動をしてしまわないように、事前にできる対策を紹介します。

面接マニュアルを作成する

あらかじめ面接方法や質問内容を決めた「面接マニュアル」を作成し、面接担当者全員で共有しておくことで、タブーな質問を避けることにつながります。

ただし、実際の面接では応募者によって話の広げ方を変えたり、一つの話題を掘り下げたりする必要があるでしょう。そのため、面接マニュアルに記載してあること以外の話題のなかで、うっかりタブーな質問をしてしまわないように、先ほど紹介した「採用選考の基本的な考え方」や、実際にあった失敗事例などを知っておくことも大切です。

採用基準をチェックする

採用面接の前に、採用基準の内容を今一度見直すことも大切です。例えば、LGBTQや障がいを持つ人、持病のある人など、特定の人が除外されるような内容になっていないかどうか、確認しましょう。 そのうえで、「応募者の適性や能力に基づいた採用基準となっているか?」「適性・能力を客観的に評価できる選考方法になっているか?」をチェックすることが、公正な選考を行ううえで大切です。

面接官同士の打合せ・ロールプレイングを実施する

面接官同士で事前に打ち合わせをしておくことで、「実際の面接で何を質問するか」を絞り込むことができ、意図せずタブーな質問をしてしまうリスクを軽減できます。また、ロールプレイングをしてお互いの印象や気になった行動・質問などについてフィードバックし合うことも大切です。

打ち合わせでは、応募者の提出書類や試験などであらかじめ得ているデータ内容を整理し、面接官同士で共有しましょう。そうすることで、当日の面接では、事前に整理した内容を確かめるための質問をしながら総合的に評価しやすくなります。

【対処法】もしタブーな質問をしてしまったら

注意していても、話の流れからついタブーな質問をしてしまったら、どう対処すればよいのでしょうか。

もし面接中に気づいたら、すぐに「いまの質問は不適切でした。回答の必要はありません」と伝えましょう。面接の後に気づいた場合は、すぐに応募者に連絡をとって謝罪の言葉を伝え、「合否には影響させません」という旨を伝えることが必要です。

応募者からタブーな事項に触れてきたときの対処法

また、面接官がタブーな質問しないように注意していたとしても、応募者が、家族の職業や本籍地について話し始めるケースもあるでしょう。そのような場合は、「公正に採用選考を進めるために、それらについては話す必要はありません。」と伝え、「合否には関係しない」旨をきちんと伝えましょう。

まとめ

本人の意思では変えることができない「家族」や「出生地」などに関する情報や、本来個人の自由であるべき「思想」や「人生観」「尊敬する人物」などの情報は、それを採用基準としないつもりでも、情報を得るだけで無意識の偏見につながってしまう可能性があることから、面接で質問することは禁止されています。

同和関係者や、難病のある人、LGBTQなど、特定の人に対する差別をなくし、広く採用の門戸を開くことは、企業にとってコンプライアンス対策だけでなく、自社に必要な人材を採用しやすくなるという利点があります。 応募者から選ばれる企業になるためにも、面接における質問には十分に配慮し、応募者から好感を持たれるような態度で面接に臨みましょう。

参考

  • 人材採用・育成 更新日:2023/02/14
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