人材獲得のための「採用広報」とは?必要性や手法を分かりやすく解説
採用広報には、計り知れない数の転職潜在層へ働きかけ、理想の人材との出会いを生み出す可能性があります。現代の人材市場では競争が激化しており、単に求人広告を出すだけでは十分ではありません。ターゲットに沿った魅力的な情報発信を通して、企業のビジョンやミッションを求職者に伝えることで、自社に共感し、働きたいという人材と出会うことができるでしょう。
この記事では採用広報の重要性とその実践方法についてご紹介します。
採用広報とは
採用広報とは、新たな人材を獲得するために行う広報活動のことです。会社のビジョンや働き方、社員の声などを発信することで、求職者に企業の本当の姿を知ってもらい、「この会社に入社したい」という動機を与えます。人事部門だけでなく、広報部門とも連携し、多岐に渡る情報発信を行うことで、企業と求職者との間に共感や興味が生まれ、人材のミスマッチを防ぐ効果も期待できるでしょう。
採用広報が企業にもたらすメリット
採用広報を活用することで、求職者の関心を引き付け、他社との差別化を図ることができます。さらに、採用活動の効率化が進み、コスト削減にも繋がります。また企業のブランド価値が向上することで、求職者に好感を持たれやすくなり、内定辞退や早期退職の防止にも寄与。結果的に、長期的に安定した人材確保が実現します。
採用広報が注目される背景
近年、採用広報が注目を集める背景にはいくつかの理由があります。まず第一に、人材市場の競争激化が挙げられます。また、求職者の情報収集手段が多様化したことで、候補者に出会う方法も多様化。求める人材に合わせて、さまざまな媒体を使った採用活動を実践することが重要になってきます。
人材市場の競争激化
デジタル化が進む中、人材市場はますます激しく競争しています。優秀な人材を確保するためには、魅力的な企業文化や独自の福利厚生を積極的にアピールするだけでなく、求職者のニーズに応える柔軟な働き方やキャリアパスの構築も欠かせません。結果として、採用広報が企業の存続と成長を左右する重要な要素となっているのです。
デジタル化の進行と多様な媒体の必要性
求職者の情報収集手段は近年、大きな変化を遂げています。特にZ世代の求職者は、従来の求人広告に加え、SNSやオウンドメディアなどデジタルプラットフォームを積極的に利用しています。多方面からの情報をもとに企業を評価し、応募するかどうかを決めるのです。
そのため企業側にも、多様なデジタルチャネルを駆使して一貫したメッセージを届けることが求められます。具体的には、公式ウェブサイト、ソーシャルメディアアカウント、求人専用のオウンドメディアなど。特にSNSでは企業の日常や社員の声をリアルタイムで伝えることができ、求職者に対して親近感を与えることができます。また動画コンテンツを活用することで、企業の雰囲気や文化を視覚的にも伝えることができ、求職者のより深い理解を得ることが期待できます。
採用広報の基本戦略・4つのステップ
採用広報の成功には、明確な戦略が不可欠です。ここでは、効果的に採用広報を行うための基本戦略を4つのステップで紹介します。
ステップ1:採用広報の目的を決める
目的を明確にすることで、理想の採用と実際の課題のギャップを埋めることができます。例えば、企業のブランドイメージを強化することや、特定のスキルセットを持った人材を集めることなどが目的に挙げられます。また、既存の従業員の満足度向上にも寄与する目的を持つことも重要です。
ステップ2:誰に何を伝えるかを決める(ターゲットペルソナの設定)
発信する情報や媒体を精査するために、まずどのような求職者にアプローチするのかを明確にします。ペルソナの設定では「行動特性まで落とし込む」ことが重要です。
ステップ3:コンテンツを企画する
ターゲットペルソナを分析し、彼らのニーズに応えるコンテンツを作成します。コンテンツを考える際には、認知度を上げる「集める力」と、志望度を上げる「選ばれる力」という2つの軸を元に企画することが重要になります。
ステップ4:発信方法を決める(効果的な媒体の選定)
SNS、求人サイト、オウンドメディアなど多様な選択肢の中から、ターゲットペルソナに最もマッチする発信方法を選びます。例えば、SNSは若年層へのアプローチに効果的ですし、オウンドメディアは企業の深い情報を伝えるのに適しています。
採用広報で利用すべき主要メディアと手法
採用広報を成功させるためには、適切なメディアと手法を選定することが重要です。特定のスキルセットを持つ求職者にアピールできる求人広告やダイレクトリクルーティング、双方向のコミュニケーションができるSNS、オウンドメディアを活用すれば、企業の情報を深く伝えることができます。重要なのは、どのメディアでも一貫したメッセージを発信すること。求職者は複数のメディアを駆使して情報の信憑性を見ています。
求人広告
採用広報における基本的な手法です。特にオンライン求人サイトは幅広い求職者にアプローチすることができます。募集職種の詳細や企業文化、福利厚生などを魅力的に掲載することで、応募者の関心を引き寄せます。求人広告は多くの求職者にリーチできる反面、競合他社と比較されやすいため、差別化が重要です。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者に直接アプローチする手法です。転職エージェントに登録している候補者にスカウトを配信したり、求人ページやメールなどで広報活動をします。この方法は特にIT系企業やスタートアップ企業で採用されており、迅速に即戦力となる人材を確保できる点が強みです。
SNSの活用
XやInstagram、TikTok、facebookなど、SNSは採用広報において非常に重要なツールとなっています。企業や採用担当の個人アカウントを通して、企業の日常や社員の声を紹介することで、企業文化をリアルタイムに伝えることができます。
また、SNSは求職者とのインタラクションを促進しやすい点でも優れています。コメント機能やライブ配信を通じて、求職者からの質問に直接答えることで、信頼関係を築くことができます。さらに、SNS広告を利用することで、ターゲットとなる求職者層に対して効果的にアプローチできます。特定の地域や年齢層に向けた広告配信が可能なため、限られた予算でも高い効果を期待できます。
人材紹介・ハローワーク
人材紹介サービスでは、専門のコンサルタントが企業のニーズに合った人材をマッチングし、採用活動をサポートします。企業はスクリーニングの手間を省き、質の高い候補者に焦点を当てることができます。一方、ハローワークは公的な機関であり、全国の求職者に対して幅広い情報を提供します。無料で利用できる点が魅力で、特に地域に密着した情報収集が可能です。
オウンドメディア
企業自身が所有・運営するウェブサイトや採用ブログなどのメディアを活用することで、自社の企業文化や魅力を直接的に発信できます。オウンドメディアの強みは、自社の思いを自由に表現できる点にあり、長期的に見ても高い効果が期待できます。また、ブログ記事や動画コンテンツを活用することで、より具体的なイメージを提供できるのも大きなメリットです。
アルムナイ
アルムナイとは、職場を去った後も企業に対して好意的で、今後も関係を維持している元従業員を指します。アルムナイは企業の良きアンバサダーとなることが多く、彼らの紹介から潜在求職者との接点を増やしたり、彼らの体験談や成功ストーリーを通じて、企業の魅力を自然な形で伝えることができます。
入社案内、フライヤー
入社案内では、企業のビジョンやミッション、職場環境、福利厚生といった魅力を詳細に伝えることができます。フライヤーはイベントや説明会で配布されることが多く、視覚的に魅力的であることが求められるため、写真や図表を用いて直感的に理解できるデザインが大切です。
採用フェーズごとの主な方法や媒体の選択の仕方
採用フェーズごとの戦略を練るには、各フェーズに最適な方法と媒体を選定することが重要です。まず、認知フェーズではSNSやオウンドメディアが効果的です。具体的なターゲット層に地道にアプローチできます。次に応募促進フェーズでは、求人広告やダイレクトリクルーティングを活用することで多くの候補者を集めることができます。
選考進行フェーズでは、コンテンツの質が求められるため、採用動画やブログ記事が有効です。最後に内定フェーズでは、フライヤーや入社案内などで企業文化を伝えることが大切です。
採用広報の最新トレンド
YouTubeやInstagram、LinkedInなどの動画配信サイトやSNSに加え、求職者と企業が直接コミュニケーションを取れる、インタラクティブコンテンツの重要性が増しています。例えば、ライブQ&Aセッションやバーチャルツアー、ウェビナーを通じて、求職者は企業文化や職場の環境をより身近に感じることができます。
さらに個別化されたメッセージの発信もトレンドの一つです。AIとデータ解析を活用することで、求職者一人一人にカスタマイズされた情報を提供し、ターゲット層の関心をより強く引きつけます。
ブログや動画コンテンツの活用
ブログは企業の文化や働き方、成功事例などを詳しく紹介することができ、社員インタビューやプロジェクト紹介の記事を通して、企業のリアルな姿を発信できます。一方、動画コンテンツは短時間で多くの情報を伝えることが可能です。オフィスツアーやイベントの様子、社員の日常を動画で共有することで、企業の雰囲気や働く環境をより具体的に伝えることができます。
特にZ世代の求職者はデジタルネイティブであり、動画コンテンツを好む傾向があります。SNSでの発信はもちろん、企業紹介動画や採用プロセスの説明動画をWebサイトに掲載することで、求職者の理解を深めることができます。
インタラクティブコンテンツの重要性
クイズ形式のコンテンツや、企業のバーチャルツアーなどのインタラクティブコンテンツも、Z世代に対して特に効果的です。彼らは他の世代よりもスマートフォンやソーシャルメディアを日常的に使用しており、自主的に情報を探し、体験することを好む傾向があります。求職者はただ情報を受け取るだけでなく、自身で体験することで、企業の文化や価値観をより深く理解できるでしょう。
さらにインタラクティブコンテンツは、企業のデータ収集にも役立ちます。求職者がどのような情報に興味を持っているか、どのコンテンツに対して最も反応が良いかを分析することで、今後の採用広報戦略に活かすことが可能です。
採用広報の成功事例
採用広報は求職者に企業の魅力を伝え、優秀な人材を引き寄せるための重要な手段です。このセクションでは、実際に成功を収めた企業の事例を通じて、具体的な採用広報の戦略や手法を紹介します。
これらの成功事例から、企業は自社に合った採用広報戦略を見つけ、活用することが重要であることが分かります。次に、各手法の具体的な実践ポイントについて詳しく見ていきましょう。
株式会社栗山米菓:ブログ形式でありのままの企業文化を発信
「ばかうけ」などの米菓の開発・販売を行う株式会社栗山米菓。ユニークな組織文化があるにも関わらず、そうした情報は求職者に届いていませんでした。そこで、ブログと求人広告を同時に利用できる「+Stories.」を活用して記事を発信することに。「ありのままの栗山米菓の雰囲気」を心がけ、企業で行なっている取り組みや活動から、朝礼や社内イベントの様子を写真付きで公開、「ぶっちゃけインタビュー」と題して現役社員の本音を引き出した記事を公開。応募前の情報収集ができることで安心してエントリーできたという声も増え、事前のミスマッチも減少。
結果として、採用活動自体の質が上がり、有効応募が増えました。
株式会社オービット:社員みんなで「らしさ」を発信。
建設コンサルタント企業として、道路などのインフラ整備を手がけている福岡の企業、株式会社オービット。知名度の低さや、会社理解が浅いまま選考に進む求職者が多いことなどの課題を解消するため、マイナビ転職と連携した「+Stories.」にて記事を公開することに。執筆は全社員に依頼し、各々が自由なテーマで記事を投稿。日々の業務やイベントなど、社員自らが感じた企業の魅力を発信することで、リアルな企業文化を発信することに成功。
また社員全員で採用広報に取り組んだことで、社内の活性化にも繋がっている。
まとめ:採用広報の重要性と実践方法
この記事では、採用広報の重要性とその実践方法について詳しく解説しました。採用広報は優秀な人材を確保するために不可欠な戦略であり、企業のブランド価値向上や求職者の関心を引くための効果的な手段です。
まずは具体的な戦略として、目的設定、ターゲットペルソナの設定、コンテンツ企画、媒体選定の4つのステップを踏むことで適切な採用広報を展開できます。 求職者とのタッチポイントとして、SNS、オウンドメディア、アルムナイなどの主要メディア、最新トレンドとしてブログや動画コンテンツの活用やインタラクティブコンテンツが注目されている点も見逃せません。
さらに、成功事例を参考にすることで、自社の採用広報戦略に多くのヒントを得ることができます。採用広報を効果的に行うことで、リクルーティング活動の効率化が図れ、優秀な人材の確保が容易になります。企業の未来を共に切り開くために、採用広報を積極的に実践していきましょう。
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- 人材採用・育成 更新日:2022/06/21
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