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他社と差別化する働きやすさアピールとは?伝えるべき「弊社の事情」

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世の中の求人広告は、どうしてこんなにも書いていることが似たり寄ったりなのだろう。

仕事内容はそれぞれまったくちがうのに、「残業が少ない」「育児支援」「丁寧な研修」……こんな文句ばかりが並んでいる。

おかしいな、喜ぶべき「働きやすさアピール」のはずなのに、全然心に響かないぞ……。

8割以上の企業が実施する残業削減は、アピールになるのか?

そもそも転職者は、求人情報のどういう要素に惹かれるのか?

転職者に「応募へ影響する施策・制度」を聞いてみると

  • 「有給休暇取得率向上施策」⇒ 38.4% ※1番多い結果になっている。
  • 「企業独自の休暇制度」⇒ 34.4%
  • 「在宅時の設備や通信費を補助する制度」⇒ 32.5%
  • 「充実したキャリア育成支援・社内研修制度」⇒ 31.2%
  • 「男性育休の実績がある」⇒ 30%

*1

つまり「休みやすい」「ちゃんと研修がある」などは、転職者に対する有効なアピールになるわけだ。だから、求人情報で働きやすさをアピールすること自体はまちがっていない。

労働者の需要に応えるかたちで働き方改革を進めている企業も多く、労働者が大切にされるという意味では、喜ばしいことだ。ぜひともこのまま広まっていってほしい。

しかし同時に、どの企業も一斉に改革に乗り出したため、働きやすさアピールが陳腐になっているとも思う。

調べてみると、8割以上の企業が、有給休暇取得促進や残業削減、仕事・育児両立支援を行っているようだ。*2

8割以上の企業がやっていることを企業の特色としてアピールしたところで、求職者の心をつかめるのだろうか?

10年前なら、「男性の育休歓迎!」「残業基本なし!」にはかなりの訴求力があっただろう。でもいまとなっては、「そんなのどこでもやってるよ」。

働きやすさは大事だし、そのアピールはプラスに働くけど、それだけで求職者の関心を引くのはむずかしいのが現実じゃないだろうか。

中途採用の求人情報を見て、「どこも似たり寄ったりだな」という印象を受けたのは、これが理由だと思う。

働きやすさ施策の背景にある「事情」こそが大事

こんなことを言うと、「じゃあなにをアピールすればいいっていうんだ。働きやすくするために努力しているのに!」なんて声が聞こえてきそうだ。

……答えは、その「努力していること」にあるんじゃないだろうか。

昨今はどの企業も定型文のようにアピールしている「仕事と育児の両立支援」。しかし企業によって、その意味は大きく異なるはず。

  • たとえば、子育て世代の社員が多いA社。
    人事や管理職にも子育て世代が多いので、支援制度は充実しているし、実際に利用もしやすい。子どもが急に熱を出してもフォローしあえる環境だ。

求職者がそんな事情を知ったらどうだろう?
現在子育て中、将来子どもがほしい人は、「働きやすそうだな」と思うだろう。

  • 一方B社には35歳以下の社員が少なく、社員が高齢化している。
    そこで若手社員を育てるために、育児支援制度を整えたとしよう。

そういう背景を知れば、「経営陣が柔軟な考えをもっていて風通しがよさそう」というイメージになる。

そう、「育児支援」といっても、各企業によってまったく別の事情があるのだ。

その「事情」こそが企業それぞれの特色であり、求職者が知りたいことであり、求人情報に書くべきことなんじゃないのだろうか。

「働きやすさアピール」に必要な説得力

「子育て中の社員も活躍! 育児支援が充実しています♪」の一文で、「よし、この企業に応募しよう!」と思う人はどれくらいいるんだろう。

ポジティブなメッセージであることは間違いないが、他社との差別化という意味では、少し押しが弱い気がしてしまう。
でももし、

「以前は繁忙期の残業時間が長く、出産を機に退職する女性社員が多かった弊社。しかし繁忙期前のスケジュール調整や在宅ワークの推進、臨時で人を増やすなどの対応をし、繁忙期の残業時間を押さえることに成功!
育児で一度離れた社員も数人戻ってきてくれて、従業員の意見を聞きつつ子育てと両立しやすい環境づくりに力を入れています。現在の目標は、男性の育児休暇取得100%です。」

こう書かれていたらどうだろう?
「ちょっと気になるな」という気持ちにならないだろうか?

結局のところ、働きやすさアピールに必要なのは、説得力なのだ。

ブラック企業ですら、求人情報では働きやすさをアピールしているもの。そんななかで、「この企業は本当に働きやすい環境なんだな」と思ってもらうには、根拠が必要になる。

その根拠となるのが、具体的にどういう経緯でどういう施策を実行したか、という「各企業の事情の説明」なのだ。

採用面接でも、ただ「やる気あります!」と言うよりも、「この仕事に就くために〇〇の資格を取り、インターンシップにも参加しました!」のほうが、言葉に重みが増す。企業から求職者へのアピールもしかり。

求職者を「この企業は本気で働きやすくしようと思っているんだな」と説得できてはじめて、働きやすさアピールに価値が生まれるのだ。

内部事情を丁寧に伝えるメリット

求人情報で企業ごとの「事情」を伝えるのには、働きやすさアピールの説得力以外にも、さまざまなメリットがある。

たとえば、内部事情に一歩踏み込むことで、企業風土がより正確に伝えられる。

残業が少ないアピールだって、上司が積極的に早く帰るのであれば「有給休暇も取りやすそうだな」と思うし、コミュニケーションを大事にして仕事量を調節しているなら「キャリア相談にものってくれそうだな」という印象になる。

そういう雰囲気のちがいを感じるとることで、求職者は自分に合うかどうか、その企業が魅力的かどうかを判断できる。結果として、企業はより相性のいい人からの応募を期待できるわけだ。

また、事情を説明することで他社との差別化になり、働きやすさ以外のアピールもできる。

「残業時間を減らすために、上司が率先して定時で帰宅するようにしました。しかし実際は持ち帰りで家で働く人も多く、『これでは意味がない』と緊急会議。20時にはアカウントをロックしてログインできないようにし、納期に追われずに済むようにスケジュール管理を見直して『平均残業月10時間以下』を実現」

という事情を書けば、有名無実の制度を作って満足するのではなく、ちゃんと実行できたかを確認し、実行できていなければ対策するしっかりした企業、というのが伝わる。

残業が少ないアピールを通じて、「仕事のタスクに関しても、無理なスケジュールを押し付けることなく実現可能な範囲内で割り振ってくれそうだな」と思わせることができるのだ。

本当に伝わる求人情報を用意すれば、他社と差別化できる

いまの時代、残業が少なくて、休みやすくて、育児支援があって……なんて企業はいくらでもある。「働きやすい」と書けば人が来る、なんてことはない。

だからこそ、「なぜ働きやすいのか?どうやってその環境を作ったのか?」を伝えることで、他社と差別化し、求職者を説得する必要がある。

逆に、そういった事情をうまく説明できないのであれば、それは上っ面だけの働きやすさアピールで実を伴っていない……ともいえるだろう。

わたしとしては、現実的な事情をオープンにすることで、働き方改革を実行・実現した経緯をちゃんと説明できる「本当に働きやすい企業」が高く評価されるようになるといいなぁ、と思う。

  • Person 雨宮 紫苑
    雨宮 紫苑

    雨宮 紫苑 -

    ドイツ在住フリーライター。Yahoo!ニュースや東洋経済オンライン、現代ビジネス、ハフィントンポストなどに寄稿。著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。

  • 人材採用・育成 更新日:2024/06/04
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